劇場公開日 2018年7月27日

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ウインド・リバーのレビュー・感想・評価

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4.5本当の世界は法が規定する社会よりも広く深い

2018年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

テキサス出身のテイラー・シェリダンが描く世界は、リベラルなハリウッドが見つめにくいアメリカの姿が映し出されている。

『ボーダーライン』ではメキシコ国境の街がいかに危険にさらされているかを描いている。国境は麻薬戦争の最前線であり、麻薬から国を守るためには法の枠内では対処できない。法が通用しない世界で正義を執行する、という価値観は西部劇の典型だが、シェリダンの作品には常にこの価値観がある。アメリカはある種、国際紛争に対してもこうした態度で臨むことがあるが、アメリカは法では裁けない脅威に対して異様に敏感で、超法規的措置に走りやすい傾向がある。

本作の主人公もまた、法の枠内で片付かない悪を暴力で倒す男だ。それは正しくない、だがそうでもしないと片付かない問題もある。法の枠内では正しくないが、本当の世界は法が規定する社会よりも広く深い。

シェリダンは、本作を現代のフロンティア三部作の最後と位置づけているそうだが、フロンティアとは未開拓の地であり、そこには法はまだない。そこでは生ぬるい法に守られた社会のルールは時に通用しないのだ。

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杉本穂高

4.0その時、狙撃手は不可視の存在になる

2018年8月11日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

興奮

主人公のコリーは優秀なハンターだ。前半は基本的に彼の視点で進む。驚いたのは、銃撃戦が勃発する終盤。敵味方が至近距離で撃ち合うこの場面、遠方から狙撃の腕前を発揮する主役の姿は映らず、カメラはひたすら撃ち倒される者たちの姿を追う。この非凡な演出!

脚本家テイラー・シェリダンが自ら監督も務めた本作は、現代フロンティア3部作の第3弾。かつての辺境開拓は「より強く、より豊かに」というポジティブな意志と欲望を原動力とする運動だったが、その陰で原住民やメキシコ移民は虐げられ悪者にされた。シェリダンはそんな辺境の暗部に光を当てる。

コリーはネイティブアメリカンの妻との間にできた娘を悲惨な事件で失った。だが終盤での狙撃は、復讐や、仲間を救うといった個人的な動機を超えた行為、神の裁きとして描かれる。だから狙撃手は画面に映らない。神にすがりたくなるほど辺境の現実は暗澹としている、ということか。

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高森 郁哉

4.0苛烈な極寒の地で正義が揺れる

村山章さん
2018年7月31日
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悲しい

興奮

知的

テイラー・シェリダンは、リバタリアニズム系の作家だと思っていた。リバタリアニズムと「自分のことは自分で決める」という考え方で、国家権力からも可能な限り自由でいるべきだという思想。イーストウッドが描くヒーロー像や、『アウトロー』でトム・クルーズが演じたジャック・リーチャーをイメージするといいかと思う。

シェリダンが脚本を書いた『ボーダーライン』も『最後の追跡』も、法律に頼らない、もしくは頼れないから、自分自身の倫理観を基準に生きる人たちの映画だった。『ウインド・リバー』もまた、人間の作った法律など及ばない環境で正義を求める物語だ。

ただ、シェリダンが監督も兼ねた本作は、リバタリアニズムを感じる点は同じだが、人間の力がほとんど意味を成さない極寒の地が舞台であることによって、もはやリバタリアニズム的価値観は思想や信条というより「生きる手段」に近づいている。彼らを追い詰めるのは、人間や制度だけでなく苛酷な自然でもあるのだ。この映画が描く、屹立する現実の険しさに、ただ茫然としている。

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村山章

4.0これは忘却されたアメリカの歴史や魂の物語でもある

2018年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

怖い

これまで2度にわたり“世界の果て”とも言える場所から現代アメリカの姿に光を当ててきたテイラー・シェリダンが、フロンティア3部作の最終章となる本作では脚本執筆だけにとどまらず、ついに監督までを買って出た。それだけでも彼の意気込みが伝わってくる。

舞台はネイティブ・アメリカンの保留地。いつもながらに、登場人物にも増して強烈な「土地」の持ち味がそこに住む人々の人間性を決定づける。苦しみや悲しみと共に生きる主人公(レナー)、経験は浅くても胸の内に強いものを秘めたヒロイン(オルセン)、二人が巻き起こす化学変化が力強く物語を前に進ませていく。前作『最後の追跡』と同様、本作もまたアメリカ映画が描いてきた「西部劇」が現代の視座、関係性の元でアップデートされたかのよう。シェリダンが描きたかったのは、忘れ去られたアメリカの歴史と魂なのだ。いま彼の作品が米映画界で大きな注目を集める理由もそこにあるのだろう。

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牛津厚信

3.0雪に覆われた"辺境のウエスタン"の読後感は寒々しい

2018年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

アメリカとメキシコ国境で展開する麻薬戦争(「ボーダーライン」)、廃れたテキサスを背景にした銀行強盗とテキサスレンジャーの追跡劇(最後の追跡」)と、脚本を担当した過去の2本を受ける形で、テイラー・シェリダンは監督デビュー作の舞台をワイオミングのネイティブアメリカン保留地に選んだ。"フロンティア3部作"と形容されるのはそのためだが、最新作は説明不足が若干気になるものの、画面から漂う殺伐とした空気には息を飲む。保留地で生き甲斐を奪われ、それでも何とか生き続けるネイティブたちのどす黒い絶望感が、物語のきっかけになる殺人事件を捜査する主人公の白人ハンターや、その他の登場人物たちにも乗り移っているかのよう。これは、希望に満ちていたはずの開拓の精神が、実は絶望を伴う排他主義以外の何ものでもなかったことを突き付けてくる、雪に覆われた"辺境のウエスタン"。漂う読後感は一言で言って寒々しい。

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清藤秀人

4.0裁く立場とは何か、真実を知った後の正義。

アルさん
2020年6月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

怖い

難しい

隔離されたも同然の極寒の山岳地帯で起こる、
非日常的な日常。
本来は法で裁かれるべき犯罪に、
隔離されてしまっているが故に正義が揺れる。
真相、復讐、後悔、仲間と家族、
そして亡き娘達への変わらぬ愛。

前知識無しで観たので衝撃的だった。
ジェレミー・レナー演じるコリー、
エリザベス・オルセン演じるジェーン、
アベンジャーズコンビの素晴らしい演技が、
ラストまで一気に魅せてくれる。

特にジェレミー・レナーの、
時間が解決するはずの心の痛みと、
時間が解決し切れない心の内面を、
表情と口数少ない言葉の絶妙な演技は必見。

復讐という重く難しいテーマを、
自分ならどう行動するか考えさせられる。
それにもかかわらず観終わった後の、
何とも言えないスッとした気持ちは、
結果として自分が求めていた通りだったからか。
マーティンへの友としてのコリーの優しさ、
ラストのゆっくりな一言一言が心に染みたからか。

ゆっくり観て欲しい作品。

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アル

4.5このクソみたいな世界で生きるということ

雪村さん
2020年6月21日
iPhoneアプリから投稿

作中、胸糞悪いシーンもあるけれど、そんな事はまるで関係ないように世界はただそこにあって、その捉え方は美しい。

静かで強かなコリーをジェレミー・レナーが熱演。

もはや対等な立場に上がる事すらままならぬよう、土地と金を与えられ、"殺された"人々がいた事も事実なのだろう。

ネイティブアメリカンの権利は弱く、文化も淘汰されていく。
その流れが抗いようのない事だと感じつつも、1日1日を確かに生きることで今は失われゆく種や文化も、確かにそこに存在している証明になる。

未来のことは誰にもわからない。
ただ来たる未来で過去を恥じぬよう、今日という1日を重ねていく。

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雪村

4.0ラスト3行に込められた告発

Birdさん
2020年6月1日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

事件自体は唾棄すべき集団レイプ事件を扱っていますが、
最も伝えたかったことはそこではなく、ネイティブ・アメリカンの人たちのこと。
ハリウッドが能天気な西部劇を作れなくなったのは
'70年に公開された「ソルジャー・ブルー」から。
これはその時代から何一つ変わってないアメリカの現状を訴えています。

あるサイトではそれはアメリカの「原罪」という言い方をしていて、
隠されたままのイマをえぐっています。

女性のFB I捜査官というと真っ先にジョディー・フォスターが浮かびますが、
この映画のエリザベス・オルセンもいいですね。
自然体で、変に大変がったりしないところが良かったです。
やっと女優に求める演技が変化してきたことを感じます。

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Bird

4.0映画館で観たらもっと楽しかっただろうな

mojimizuさん
2020年5月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

興奮

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mojimizu

3.5無法地帯ってあるよね。

Aprilさん
2020年5月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

実話に基づくお話となっています。
今でもアメリカではネイティブアメリカの失踪事件があるものの、
正確にその数がどの位あるのか、分かっていません。
おそらく出生届も出さない地域もあると思われるので、居なくなっても分からないと思う。
私自身もネイティブが経営するレストランへ行ったことがあるのですが、
その周りには電気がまだ来ていない住宅もありました。
ガイドさんの話ではその地域の若者が都会に行き、
自分達のコミュニティに絶望し自殺するものが多いとか話していました。
自分も同じだったら、浦島太郎みたいで恐怖とか絶望とか恐ろしいものを感じると思う。
そんな地域で起こった事件、色々と考える。

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April

3.0正義

mokaさん
2020年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ネイティブアメリカンの悲しい歴史を立ち向かう事で昇華させている素晴らしい作品。

銃弾戦のアプローチの仕方は、鳥肌物。

敢えて「インディアン」と白人女性に言わせている所なんかは
ほんと上手いなぁと思います。
歴史など知らなくてもこの雰囲気で教えてくれる感じは
なかなかないのではないでしょうか。

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moka

3.5雪深い地方でのネイティブアメリカンの悲哀

2020年5月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

僻地に蔓延る偏見、差別。アメリカの闇を描く映画は次から次へと出てくるがワイオミング州のウインドリバーが舞台の映画は聞いたことがない。この地もアメリカ先住民の保有地とされていて治安も守れていない無法地帯のようで病死より殺人が多い地のようだ。雪深く農業すら儘ならぬこの地が抱える闇を描いたクライムサスペンス。なかなかの見応えでした。

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トシくん

4.5静かな怒りと哀しみ

みんもさん
2020年5月9日
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鑑賞方法:VOD

某ラジオでお勧めのインディアン関連映画として紹介されていたことで視聴。タイトルのウインド・リバーとはインディアン居留地のこと。レイプされ逃亡する最中に凍死した若いインディアン女性の遺体が発見されるところから物語は始まる。全体のトーンは静か。しかし物語が佳境に入るにつれ、いつの間に両手を握り締めている自分に気がついた。アメリカ社会の抱える歪みを描いた佳作だと思う。主演のジェレミー・レナーとエリザベス・オールセンのアベンジャーズ組が好演。

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みんも

4.0アメリカの深い闇

Franciceさん
2020年5月9日
iPhoneアプリから投稿

監督、脚本はボーダーラインなどで脚本をつとめたテイラーシェリダン。
ネイティブ・アメリカンの保留地で少々の死体が発見され、第一発見者のハンターと新人FBI捜査官が調査を開始する。

ハンターのコリー役にはジェレミーレナー。
新人FBIのジェーン役にエリザベスオルセン。

どちらもアベンジャーズで有名なお2人ですね。

舞台はかつて白人によって追いやられた辺境の地ワイオミング州のウィンドリバー。
ネイティブ・アメリカン保留地は白人に対する強い嫌悪感もあり、星条旗を逆さまになっていたり、白人の新人FBI捜査官にも敵意を隠すこともなくあらわしています。

それもそのはずで、事件として成立しなければ死亡者数や行方不明者数もカウントされず、FBIものこのこ引き返さなければなりません。

その為、保留地では無法地帯と化しているところも多々ありガン患者が亡くなってしまうより殺人事件の死亡率の方が高いそうです。

しっかりとメッセージを残してくれている映画ですが、エンターテイメント性も高くハンターのジェレミーレナーがホークアイのような超人的な活躍を見せる場面あり、FBI捜査官のエリザベスオルセンの魅力もたっぷりです。

また、ストーリーもただのサスペンススリラーではなく娘を亡くした父2人のドラマにも焦点をあてられ見応えたっぷりです。

しかし、ナタリーもいつかはウィンドリバーを後にして白人が作り上げた都会に行く事を夢みていたのでしょうね。
恐らくコリーの娘さんも。

オススメです。

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Francice

5.0実話故の…。

tedさん
2020年5月5日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

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ted

3.0飽きずに観れた

アトラさん
2020年5月4日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

難しい

萌える

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アトラ

4.0久しぶりに良い映画に出会えた!

うりーさん
2020年4月29日
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鑑賞方法:VOD

怖い

まずミステリー映画ではない。
ジャンルとしてはスリラーサスペンスかな。
インディアン保留地で雪という閉鎖的な空間のお陰で、何気ないシーンもなぜかハラハラした。

ホークアイとスカーレットウィッチの共演が見られるけど全然違う感じで引き込まれる演技だった。

久しぶりに考えさせられる映画に出会って良かった!

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うりー

4.0

2020年4月16日
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シゲ・ハール

4.5白い大地

ワンコさん
2020年4月11日
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白い大地は、不毛で何もない。

そんな場所に、インディアン居留地が作られ、彼らはそこに押し込められたのだ。

これは、紛れもないアメリカ合衆国の歴史だ。

そして、そんな場所に資源が見つかれば、我が物顔で、所有権を主張する。

シェール石油やガスのブームに乗って、あちこちを掘り起こそうとしている現代アメリカ社会の様子も伺える。

この事件の背景は、ここまでがセットだ。

生まれた人種や民族、国や地域、場所によって行われる苛烈な差別や偏見。
これは、何もアメリカに限った話ではないだろう。

中国のウイグル人に対する苛烈な差別や、自治区でレアアースなど貴重な資源が見つかると漢民族が大挙してやってきて、大地を掘り起こしていくのもそうだ。

日本でも、北海道の開拓では、アイヌを迫害し、狭い地域に追いやったし、すこし前に、アイヌ女性に対して、開拓者がレイプをしていたというようなことを伝えるドラマを見た覚えがある。

この映画を観て、したり顔で、アメリカの暗部・闇の歴史、法の及ばない場所がある、など言うのは簡単だ。

レイプしたり、人を簡単に殺してしまうような連中には憤りを感じるし、そんな奴らが、猟銃の弾丸で撃たれ、吹き飛ぶ様を見ると、ざまみろみたいな感覚にも囚われる。

この映画は実際にあった事件をベースに作られたものだが、彼らインディアンは、復讐に囚われて生きているのだろうか。
暴力には暴力しか手立てはないと思っているのだろうか。

白人が持ち込んだ薬物の中毒になってしまった息子を一時は見放したものの、迎えに行くつもりだと話すインディアンの父親の気持ちを考えると、そんなことはないのだと改めて感じる。

そう、ここまでが、この映画のストーリーなのだ。

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ワンコ

4.5悲しみは時が癒すというが実際は違う。 痛みには慣れる。 良い知らせ...

2020年4月5日
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悲しみは時が癒すというが実際は違う。
痛みには慣れる。

良い知らせと悪い知らせがある。
悪い知らせは決して元には戻れないこと。
良い知らせは事実を受け入れ苦しめば故人と
心の中で会えること。

痛みから逃げてしまっては駄目なんだ。
逃げると失う、思い出の全てを。

とことん苦しんで、事実に向き合え。

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からあげ500g
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