劇場公開日 2018年7月27日

  • 予告編を見る

ウインド・リバーのレビュー・感想・評価

全285件中、1~20件目を表示

4.0現実を知り、憂鬱となる映画かも知れません。

2020年10月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

結論は物理的な破壊力であり、道徳も法規制も役には立たない。そんな風に考えると憂鬱になります。ただし、人が繁栄できた根拠は、護り合う生き物であるからこそ。それを信じるほかは無いな、と思いました。映画の冒頭で厳しく躾けられ、それでも、その厳しい父親を慕う息子の姿に、この世界の厳しさが物語られているような、そんな気がします。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
猿田猿太郎

4.5本当の世界は法が規定する社会よりも広く深い

2018年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

テキサス出身のテイラー・シェリダンが描く世界は、リベラルなハリウッドが見つめにくいアメリカの姿が映し出されている。

『ボーダーライン』ではメキシコ国境の街がいかに危険にさらされているかを描いている。国境は麻薬戦争の最前線であり、麻薬から国を守るためには法の枠内では対処できない。法が通用しない世界で正義を執行する、という価値観は西部劇の典型だが、シェリダンの作品には常にこの価値観がある。アメリカはある種、国際紛争に対してもこうした態度で臨むことがあるが、アメリカは法では裁けない脅威に対して異様に敏感で、超法規的措置に走りやすい傾向がある。

本作の主人公もまた、法の枠内で片付かない悪を暴力で倒す男だ。それは正しくない、だがそうでもしないと片付かない問題もある。法の枠内では正しくないが、本当の世界は法が規定する社会よりも広く深い。

シェリダンは、本作を現代のフロンティア三部作の最後と位置づけているそうだが、フロンティアとは未開拓の地であり、そこには法はまだない。そこでは生ぬるい法に守られた社会のルールは時に通用しないのだ。

コメントする (0件)
共感した! 20件)
杉本穂高

4.0その時、狙撃手は不可視の存在になる

2018年8月11日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

興奮

主人公のコリーは優秀なハンターだ。前半は基本的に彼の視点で進む。驚いたのは、銃撃戦が勃発する終盤。敵味方が至近距離で撃ち合うこの場面、遠方から狙撃の腕前を発揮する主役の姿は映らず、カメラはひたすら撃ち倒される者たちの姿を追う。この非凡な演出!

脚本家テイラー・シェリダンが自ら監督も務めた本作は、現代フロンティア3部作の第3弾。かつての辺境開拓は「より強く、より豊かに」というポジティブな意志と欲望を原動力とする運動だったが、その陰で原住民やメキシコ移民は虐げられ悪者にされた。シェリダンはそんな辺境の暗部に光を当てる。

コリーはネイティブアメリカンの妻との間にできた娘を悲惨な事件で失った。だが終盤での狙撃は、復讐や、仲間を救うといった個人的な動機を超えた行為、神の裁きとして描かれる。だから狙撃手は画面に映らない。神にすがりたくなるほど辺境の現実は暗澹としている、ということか。

コメントする 1件)
共感した! 34件)
高森 郁哉

4.0苛烈な極寒の地で正義が揺れる

2018年7月31日
Androidアプリから投稿

悲しい

興奮

知的

テイラー・シェリダンは、リバタリアニズム系の作家だと思っていた。リバタリアニズムと「自分のことは自分で決める」という考え方で、国家権力からも可能な限り自由でいるべきだという思想。イーストウッドが描くヒーロー像や、『アウトロー』でトム・クルーズが演じたジャック・リーチャーをイメージするといいかと思う。

シェリダンが脚本を書いた『ボーダーライン』も『最後の追跡』も、法律に頼らない、もしくは頼れないから、自分自身の倫理観を基準に生きる人たちの映画だった。『ウインド・リバー』もまた、人間の作った法律など及ばない環境で正義を求める物語だ。

ただ、シェリダンが監督も兼ねた本作は、リバタリアニズムを感じる点は同じだが、人間の力がほとんど意味を成さない極寒の地が舞台であることによって、もはやリバタリアニズム的価値観は思想や信条というより「生きる手段」に近づいている。彼らを追い詰めるのは、人間や制度だけでなく苛酷な自然でもあるのだ。この映画が描く、屹立する現実の険しさに、ただ茫然としている。

コメントする 2件)
共感した! 19件)
村山章

4.0これは忘却されたアメリカの歴史や魂の物語でもある

2018年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

怖い

これまで2度にわたり“世界の果て”とも言える場所から現代アメリカの姿に光を当ててきたテイラー・シェリダンが、フロンティア3部作の最終章となる本作では脚本執筆だけにとどまらず、ついに監督までを買って出た。それだけでも彼の意気込みが伝わってくる。

舞台はネイティブ・アメリカンの保留地。いつもながらに、登場人物にも増して強烈な「土地」の持ち味がそこに住む人々の人間性を決定づける。苦しみや悲しみと共に生きる主人公(レナー)、経験は浅くても胸の内に強いものを秘めたヒロイン(オルセン)、二人が巻き起こす化学変化が力強く物語を前に進ませていく。前作『最後の追跡』と同様、本作もまたアメリカ映画が描いてきた「西部劇」が現代の視座、関係性の元でアップデートされたかのよう。シェリダンが描きたかったのは、忘れ去られたアメリカの歴史と魂なのだ。いま彼の作品が米映画界で大きな注目を集める理由もそこにあるのだろう。

コメントする (0件)
共感した! 11件)
牛津厚信

3.0雪に覆われた"辺境のウエスタン"の読後感は寒々しい

2018年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

アメリカとメキシコ国境で展開する麻薬戦争(「ボーダーライン」)、廃れたテキサスを背景にした銀行強盗とテキサスレンジャーの追跡劇(最後の追跡」)と、脚本を担当した過去の2本を受ける形で、テイラー・シェリダンは監督デビュー作の舞台をワイオミングのネイティブアメリカン保留地に選んだ。"フロンティア3部作"と形容されるのはそのためだが、最新作は説明不足が若干気になるものの、画面から漂う殺伐とした空気には息を飲む。保留地で生き甲斐を奪われ、それでも何とか生き続けるネイティブたちのどす黒い絶望感が、物語のきっかけになる殺人事件を捜査する主人公の白人ハンターや、その他の登場人物たちにも乗り移っているかのよう。これは、希望に満ちていたはずの開拓の精神が、実は絶望を伴う排他主義以外の何ものでもなかったことを突き付けてくる、雪に覆われた"辺境のウエスタン"。漂う読後感は一言で言って寒々しい。

コメントする (0件)
共感した! 7件)
清藤秀人

4.0クライム・サスペンスのの傑作

2025年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD

緊迫感が最後まで持続するし、ラストの銃撃戦の激しさにも
震えました。

ネイティブ・アメリカンの保留地ワイオミング州を舞台にした映画です。
その地のハンターのコリー(ジェレミー・レナー)は、
16歳の娘を惨殺された過去を引きずる男です。
その保留地で発見された少女のレイプ死体。
殺害現場に現れたのは、新米FBI捜査官ジェーン(エリザベス・オルセン)
若いお姉ちゃんでしかも頼りない。
しかしジェーンはコリーの助けを借りながらも、
「警察権があるのは私(FBI)だけ・・・」と、危険な現場に入って行く。
実に勇敢でカッコいい。
少女殺しの犯人は誰なのか?
少女が裸足で雪原を2キロも走って肺から血を吐いて果てた。
真相は、バカバカしいほど単純。
そして許し難い。

アメリカは中西部のワイオミング州のネイティブ・アメリカン保留地。
資源もない、作物も育たない荒地、冬は雪深い酷寒。
もちろん仕事も娯楽もない。
ネイティブ・アメリカンに何よりも欠けているのは、
《生きる希望》
見捨てられた土地。見捨てられた人々。

最後のテロップで流される言葉、
「ネイティブ・アメリカンの女性の失踪者の統計は一切ない」

見捨てられた土地の見捨てられた人々の、怒りを飼い慣らした表情が、
悲しく印象的です。
ジェレミー・レナーと予想外のエリザベス・オルセンの
好演が光りました。
(レナーが怪我で療養中なのが惜しまれます)

コメントする 4件)
共感した! 22件)
琥珀糖

3.5感想メモ

2025年3月27日
iPhoneアプリから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
ヒラめ

3.5雪の中を10キロも走った裸足のナタリー

2025年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

 舞台はワイオミング州ウインド・リバー・インディアン居留地。
 FBIの新人捜査官のジェーン・バナー(エリザベス・オルセン)が、猛獣ハンターのコリー(ジェレミー・レナー)の協力を得ながら 雪原で発見された遺体(ケルシー・アスビル)の死因について捜査する。

 隠し撮り風なグラつくカメラワークが 時々あるが 臨場感がある。俳優陣の演技も 申し分なく、没入できる。
 クライマックスの撃ち合いのシーンで流れる 静かで悲しいBGMが、妙に場面に合っていた。エンドロールで流れる「 Feather」(歌:William Wild)のメロディも美しく、また、悲しくもある。
 印象に残る作品であった。

コメントする (0件)
共感した! 19件)
どん・Giovanni

3.0かなり重めの社会派胸糞系作品

2025年3月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

クライムサスペンス系だと思って見始めたら、かなり重めの社会派作品だった、という印象。
雪に覆われ、何もない辺鄙な土地に追いやられた、先住民族の歴史的苦境を描いた作品なんて、
日本人には全く馴染みがないし、想像もつかない。

そういえば最近「ゴールデンカムイ」が、アイヌ民族が生息する北海道が舞台だったかと連想する位で、
序盤に雪深い土地で殺されたマキタ・スポーツを思い出したが、
こちらの作品の序盤は、先住民系の若い女性が、裸足の状態で、雪しかない所で死んでいる。

ここからどうやって犯人を捕まえるのだろうと、頭をフル回転させて観ていたのだけれど、
あんな胸糞なアクション展開になるとは、思ってもみなかった。
これは、犯人を捕まえる物語ではなく、犯人を殺すしかない物語なのだと気づいたとき、
そんな世界が実話ベースでアメリカ社会に現存してるのかと思うと、ゾッとした。

ここだけでも胸糞な社会派なのだが、移民が先住民を追いやるしかなかった建国の歴史があるのに、
移民の子孫である現大統領が、南方からの移民を、ことごとく排除し拒絶する現在進行形の歴史も、
なかなかの胸糞展開だなぁと感じた。先住民にあれだけ加害したのに、
よくもまぁ被害者先住民ヅラできるなぁと。

あと、主人公と一緒に捜査する、「よそ者」女性FBI捜査官の、
現地事情や事件の本質が、よくわかってない感じの設定が、観客としての日本人の自分そのものだったので、
彼女の存在の配置により、効果的にリアルに感じることができて、良い設定だなぁと思った。

ただ、サスペンス映画としては、淡々と進み過ぎる分、
正直、飽きもあったし、面白かったという感想の作品ではなかった。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
ソビエト蓮舫

4.0見応えがあった

2025年3月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

難しい

なかなか見応えのあるサスペンスでした。
ネイティブアメリカンに関する社会的な事情であったり、寒い地域ならではの知らなかった知識が得られました。
また、ジェレミー・レナーがかっこいいです。
好きなエリザベス・オルセンも共演で一つのサスペンス作品としてまとまっていて楽しめました。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
たけお

4.0現実の問題を映画化したにとどまらない見応え。

2025年3月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

アメリカ ワイオミング州の雪深いネイティブアメリカン保留区「ウィンド・リバー」で発見された、少女の凍死体。
その謎を解く地元のベテランハンターとFBI捜査官。

確かにこれだけ雪深かったら、何もかもが閉ざされていて、ほんと、流刑だよなぁ。
現実の問題を取り扱っている作品とはいえ、どこまでも広く閉ざされた空間を活かして、自然の恐ろしさと、それが人々にもたらす心理的影響や、閉塞感。
そこで生きることの危うさを、存分に描き切っている。
本当に無知だと死ぬ。
無知じゃなくてもうっかりしたら死ぬ。

ジェレミー・レナーの危なげなく鮮やかにことを捌いていくいぶし銀演技と、圧倒的不利ながら勇猛果敢に立ち向かうFBI女子、エリザベス・オルセンの体当たり演技が、とても良いコントラスト。
最後、泣き笑いのジェーンに、貰い泣きした。
濃密で見応えのある一作だった。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
クリストファー

4.0実話を題材にした映画ではかなり良い

2025年2月14日
PCから投稿

現実の事件を題材にした映画で内容は良かった
気持ちよく見れるとかではないが
退屈せず見れる映画でした

コメントする (0件)
共感した! 1件)
MIKO

4.0随所にネイティブアメリカンの魂が見える

2025年2月6日
スマートフォンから投稿

雪原を走る女性
苦しみを背負う男

家族の悲劇に
それぞれが思う
行き場の無い怒り

忘却がつきまとい
凍りついた空気に
不思議な魂を感じる。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
星組

4.0アメリカの多様性

Kさん
2024年8月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

アメリカ原住民と白人、部族警察とFBI、被害者家族とそうでない者、私刑と法の下の裁き、都市部に住む者と過酷な自然環境で生きる者、男性と女性、といった社会の複雑で対立的な構造が様々に炙り出されている。相容れない者たちはお互いに介入せず、黙して自分たちのやり方を続けるのが、多民族国家アメリカの多様性に対する賢い対処方法であったと思うが、その闇を見せるだけでなく、その中で、理解し難いことを理解までいかなくとも想像したり容認したりして、ほんの少しだけ対立的なものが融和する瞬間を見せてくれた。社会の枠組みは変わらないだろうが、よりよく生きることは可能かもしれないと思わせてくれる良い作品だった。
ストーリー構成の妙も映像も無駄なものがなく素晴らしかった。また重低音が響く音楽が、過酷な自然環境を表現しているようでとても印象的だった。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
K

3.0銃撃戦のシーンなどもあったけど、自然が雄大過ぎて人間の争いがちっぽ...

kさん
2024年5月10日
Androidアプリから投稿

銃撃戦のシーンなどもあったけど、自然が雄大過ぎて人間の争いがちっぽけに見えた。
家族の死と向き合う描写は深かった。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
k

3.5特筆事項はないが良作

2024年5月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

実はベースなおかげか実は身内がとか反則気味のシナリオでは無いし、役者さんもしっかりしてるし、全般に良作だが、めちゃくちゃ心に残る何かがあるかと言われれば特に無い。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ダビ

4.0真っ白で広大な大地に渦巻く闇

2024年5月4日
iPhoneアプリから投稿

ジェレミーレナー主演。メイヤーオブキングスタウンを観ていたのでこちらもチェックしようと鑑賞。

ほとんどの画面が真っ白。ただ、内容は真っ黒に近い。(あるいは灰色?)ある女性の遺体を見つけ、その女性がレイプされているとわかりFBIと主人公が真相を追っていくっていうサスペンス。謎解きがメインではなく、この土地を巡る歴史的な背景がメインやと思った。

10キロもあの雪原の中どのような思いで被害者が走ったのか。恐怖と闘いながら必死に生きようとしていたんやろうなと思うと涙が出た。

アメリカは自由で平等な国というけれど、あそこに住む人たちは強制的にあの地に連れてこられ、自分たちの自由を取り上げられ、鬱屈した気持ちで暮らしている。自由とは一体なんやろうなと思った。ネイティブアメリカンの行方不明者統計がないというのも、必要がないと考えてるのか?現代にも残る闇を感じた。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
める

4.0雪原に隔離されたインディアンの

2024年4月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

雪原に隔離された先住インディアンたちの娘が何人も行方不明になっているという実話に基づいた作品で、その謎を紐解くFBIとその雪原で害獣駆除をするハンターとで捜査が進んでいく。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
にち

5.0「殺しが静かにやって来る」かなぁ。

2024年2月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする 2件)
共感した! 7件)
マサシ
PR U-NEXTで本編を観る