デイアンドナイトのレビュー・感想・評価
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絶対の善も絶対の悪もない
自動車の安全データの偽装をめぐる人間ドラマ。不正を告発したら村八分にされ、自殺に追い込まれる主人公の父。閉鎖的な社会では和を乱す奴が悪人扱いされてしまう理不尽。実際、この映画の舞台の地方都市は、大手自動車メーカーによって経済基盤が成り立っているようなので、もし不正が世間に暴かれ、倒産したら多くの失業者が出てしまうのだろう。不正を隠蔽する自動車メーカーの幹部が、家では良き夫、良き父であるのも興味深い。悪事を働く人間も、1人のちっぽけな人間にすぎない。
主人公は養護施設存続のために車の盗難に身を染める。善の目的のために悪の手段を用いる。絶対の善も絶対の悪もなく、2つはないまぜになり、それぞれの人間に矛盾を背負わせながら社会が営まれている。
同じく安全データの偽装を題材にした『七つの会議』と合わせて観ると一層面白くなると思う。不正は告発しただけでは終わらず、むしろその後の方が大変だと思い知らされる作品だった。
山田孝之プロデュース作は意外にも社会派な人間劇
日本独特の閉鎖的な地域社会の舞台設定が効いている。豊田市とその周辺を思わせる自動車メーカーの企業城下町、三菱自動車のリコール隠しを想起させる不正の組織的隠蔽。登場人物の善と悪、昼の顔と夜の顔に目が向きがちだが、私たち日本人のパーソナリティーには、実はそんな日本の組織やコミュニティーの閉鎖性、倫理観より力関係が物を言う環境が大きく影響していることを痛感させる。表と裏の顔を使い分ける社会で育ち働くようになれば、おのずとそういう人間になる宿命か。山田孝之の出演作のイメージからユーモアや不条理の要素を予想したが、このテーマは意外だった。
主演の阿部進之介は強度のある演技が印象的な俳優で、今後の躍進が期待できる。「ユリゴコロ」でも闇を抱えたキャラクター(ヒロインの十代の役)で短いながらもインパクトある存在感を放った清原果耶は、奈々役でさらに演技の幅を広げた。若手女優の中でも最注目株だと思う。
骨太な社会派作品。
児童養護施設で育った北村が自身も養護施設の運営に関わる。
ただ、そこには児童の親を正当防衛で殺した罪悪感と養護施設の運営のため、裏の顔も持ち合わす。
そこに出入りしていた自動車修理工場の明石の父親が、不正を告発したら逆に自殺するほどに追い込められていく。
息子の明石はその真相追求と北村の思いを受け継ぎ施設の維持のため表と裏の側面に関わっていく。
何か善で、その善を続けていくには裏のこともしていいのか。
多数決で決まる善が世の中の善なのか。
繰り返しそのことが問いかけられる。
本当にこの着地でいいのか?しかし考える余地がある作品でもある
デイアンドナイトというタイトルが示す通り、人間の二面性、善悪が単純でないことが明らかになっていく映画。
しかし、随所に違和感がある映画だった。
まず、内部告発というが、父は自動車整備工場を経営しており(系列とはいえ)自動車メーカーからすれば外部の人間のはず。内部告発というものを作り手側がよくわかっておらず雰囲気で作っている印象を受ける。ハブベアリングとか言ってるのも、某トラックメーカーの事件のフォロー感がある。
一介の整備士が部品の強度偽装を見抜く、会社を揺るがす大問題の割に部長レベルまでしか出てこない、その部長が警察以上の捜査能力をもっている、自動車メーカーの不正なのに小さな町の中でしか話が進行しないなど、ディテールに不備も多い。
しかし、それらを譲ったとしても、根幹のテーマ部分に強烈な違和感がある。
主人公や父親の「不正は告発するべき」という正義に対し、部長は「事故が起きる可能性などほとんどないのに告発してリコールになれば大勢が迷惑する」というカウンターの正義を唱える。この映画は正義と正義のぶつかり合いなのだ。
そして、残念ながら現実世界では後者の「正義」を唱える人が多い。少なくとも力においては勝っている。だからミートホープよろしく内部告発は大抵ひどい目に合わされるわけだ。
だが、それをそのままなぞって「現実はこんなものだ」と飲み込ませるだけのエンディングにしてしまって良いのだろうか?
ハッピーエンドにしろとは言わないが、せめて映画くらい別の着地を見せてくれてもいいじゃない。
「あなたにとっての正義って何?」
「身近な人を守ることだ」
「あなたは守れたの?」
これでは「仮に事故が起きても死ぬのは赤の他人、でもリコールでボーナスカットになれば家族に掃除機を買ってやれなくなる」という部長的な考え方そのものだ。
内部告発した父も主人公も身近な人を守れず、命を落としあるいは刑務所行きになった。
でも部長は鼻に絆創膏を貼っただけで娘の卒業式に平然と出席している。
身近な人を守れた部長が正しいと思う人がいるのはわかる。でも主人公がそれを認めてしまって良いのだろうか。
ただ部長の言うことを飲み込み、「私が間違ってました、大人になります」で終わってしまうエンディングはあまりにも不快だ。
もちろん、部長を殺して終わらせるような安っぽい復讐劇にしたくなかったというのはわかるんだが。
一方で、良かった点もある。主人公が犯罪に手を染めていくシーンはかっこよかったし、昼の動きと夜の動きがカットを切り替えながらシンクロするシーンは面白い。
いろいろ書いたが、観て考えて意見したくなる時点で観る価値がある映画だった。
地元民です
ロケ地が地元て事で観てみましたが……とりあえず、飲み屋であんなアウター来て飲みません🤣
なのに子供達いる施設の方が寒いはずなのにあんな薄着なのは何故か💧
細部にツッコミどころ満載でしたwww
あと、コレ観た人がここは治安が悪いと勘違いされて敬遠されないか心配です😟……ただでさえ人口減ってるのに😭
安藤政信が好き
相変わらず、安藤政信はほんっとカッコいい。昔から私の妄想彼氏。
さて。北村は、自らが犯した罪の意識から、自分はいつか神に罰せられる、いや罰っしてもらいたいと願っているようだった。だから、罰を受けるのならまとめて引き受けるさと言わんばかりに、夜の犯罪行為にいっさい躊躇がない。
しかし、人は自分に罪があると思うことによっては決して罰せられない。北村の罪は、奈々から父親を奪ったことではなく、奈々に絶望を直視させなかったことだ。
善や無垢とは、悪や絶望をじっと凝視する視力と、そこから激烈に発動する光のことだ。
奈々に真実を告げた北村はやっと旅立つことができた。流れる透明な水と真っ白な冷たい雪は、北村の天国のようだった。
善と悪は、表と裏のようにはっきり分かれていない。モノクロ写真のグレーのように、黒と白が全体に散らばっていて、どちらが善か悪かなんてわからない。
そのことを物語と映像がしっかり、充分に語っていた。
だからこそ、善悪云々の台詞(説明)が邪魔に感じた。現代の邦画の特徴のようだけど、鑑賞者の受信能力を信じないのは何故だろう。
絶対的なものの先にあることは?
久しぶりに実家に訪れた主人公が父の死んだ事で色んな事実を知り始める。
父の自殺から窃盗集団と関わる事になる。
元々、自動車の部品を作っていた会社の社長だった父が大手の自動車会社で起きたリコール問題に関与していた可能性が出てきた。
ただその事実を公表する事で正義を貫いた。けれども、それによってその会社から多くのリストラが生まれて多くの人を路頭に迷わせる事になってしまった。
これから起きるかもしれないものを止めようと正義を貫けば、今あるものから悪とされてしまう。
正義とは?悪とは?
この映画では、とても暗い親子関係が描かれているなという印象だった。
今まで向き合ってこなかったから、死んだ後に呪縛のように取り憑かれた姿とても印象的だと感じた。
正義を貫いた父は、果たして正しかったのか?
主人公の葛藤を感じました。
施設に預けられた子供達の繋がる事で自分自身がしている事が正義だと思うようになる。
映像として、昼の場面と夜の場面を交互に入れ替えるシーンは、心理的な描写を描いているなと感じて面白いと思った。
北村さんの妻を殺した強盗を正当防衛とは、いえ殺してしまった。
その人には、娘がいた。
その子には、罪は無いと親の肩代わりとして育てていく事になる。
けれども、その子が大人になっていく中で真実を伝える事、自ら死に追いやる事で贖罪を受けようとしていたのかもしれない。
風力発電の道を走る所が多かったけど、それが何か意味するものがあるのかなと思ったけど、少し分からなかった。
最後、自ら罪を告白する事で主人公は、自らの正義を貫く事が出来たのかもしれない。
けれども、それによって残された家族には、悲しみを与えてしまう事になる。
自らの正義ってどこにあるんだろうと自問したくなるような映画でした。
全体的に写真の様なコマドリが僕的には、好きだなと感じた。
ストーリーとしては、もう少し人物のキャラクターの深い部分を見たいなと思いました。
社会悪への怒り・・・藤井道人監督の原点
2019年。
山田孝之プロデュース。
阿部進之介企画・原案・主演。
藤井道人監督がその後「新聞記者」「「ヤクザと家族」
そして最新作「ヴィレッジ」へと進む原点となった作品なのでしょうか?
終始重苦しい展開。
父親が大手企業の不正を内部告発した結果、
自殺に追い込まれて故郷に帰ってきた明石(阿部進之介)は、
児童養護施設を経営する北村(安藤政信)の料理人として
施設を手伝うようになる。
施設には孤児の奈々(清原伽耶)がいて、彼女も生い立ちに
影があるが明るく振る舞っている。
北村の秘密が後半のラストで明かされるのですが、
そこまでが描写にリアリティが薄くて、もやもやが募りました。
北村の死も唐突でした。
事故なのか?自殺なのか?他殺なのか?
一緒に湖にいた奈々と北村の死の関連は?
父親の内部告発が正当なものなら、証拠を持って新聞社に行くのが
筋ではないか?
北村の裏家業もそんなことで、何年も経営が続けられるものでは
ないだろう。
奈々と北村の関係もそれだけで一本の映画になるようなストーリー。
もっとじっくりと見たかった。
しかし、監督・製作の本気度と熱さが伝わる作品です。
清原伽耶が相変わらず強い印象を残す。
善と悪とはなんなのか
善と悪とは、考えさせられる作品でした。
善のために悪を働く。
正しさとは、犯罪を起こして、善を尽くす。
んーーー、私情を知らないと悪にしか見えない。
私情を知っても悪だけど、本当に悪なのか。
人間って感じの作品でした。
山田孝之さん監督の作品と聞き拝見しました。
名俳優の山田さんは一切、表には出ず、作品を通してのメッセージのみでしたが、人ってなんだろなってなりました。
北村さんは悪いことをたくさんしてましたが、悪一色ではない、善のある人でした。
難しいですね。
見てよかったです、面白いというよりは、なるほどなというお話しでした。
自分にとっての正しさとは
最後の結末が以外だった
途中で父を知っていくなかで変わっていったのか
善と悪が普通のいわゆる
建前の善し悪しではなかったから
難し過ぎて解らなかった
自分の正義とかも分からなくなってくる
理屈ではないもの…がある
自分だけの正しさがある
それは建前ではない
キャストの皆さんがそれぞれ素晴らしい!
重めのstoryですがよかったです
何とも言えない気持ちに
悪いことして稼がないと生きていけない子供たちがいて、その悪いことで迷惑を被ってる人達もいて…
これどうすればいいのよ…
期待してなかったけど引き込まれて見てしまった。
取り敢えず北村よ…そんな選択をしないでくれよ…
巧いだけに難点が目立つ。
昼夜で正義と悪を行き来する着想と編集のキレは評すが、
それと実父の復讐譚とが乖離した印象。
皆が疑問なく血族を最重要視するという前提が浅い。
リコール隠しなる巨悪が数人だけで展開する現実感の欠如。
安藤政信の不気味の不発。
巧いだけに難点が目立つ。
非支持。
強いメッセージ性
私の大好きな山田孝之&安藤政信
安藤政信はどこか影のある役が本当に似合う
七菜役の子が綺麗な瞳・髪で可愛かった。
山田孝之ドキュメンタリー「No pain No gain」でも瞳と髪で選んだと言っていた。
その作品にはなんと安藤政信に北村役を交渉する際の映像や、クランクアップの瞬間なども収められている。あの安藤政信が花をもらって泣くという映像が見れるので、みなさん見るべき。
ストーリーはメッセージ性(善と悪との境界線とは)をビンビンに感じた。ただ、ストーリー自体はそこまで、、?でも安藤政信・阿部進之介・山田孝之というタッグが見れる(山田孝之出ないけど)ので私にとっ手は最高の映画だった。
全く共感できない
主人公の行動も、周りも。
2歳から施設に入ってる高校生が親が死んでたってわかってあんなに動揺するのかな?もうとっくに諦めてるんじゃないかな?
所々なんなんだろうと思ってしまうシーンが有ってイマイチ。
善と悪…
はどこからやってくるのか、今の自分はどちらなのか。善行のためなら悪行も厭わない、こんな人間が持つ感情だろう。それも双方極端過ぎる。誰しもが善と悪、それぞれ併せ持つが、どちらも極端ではない。前半面白い展開から後半は尻すぼみした感あり。父親の自殺の原因を作った者への文字通りの抹殺、あるいは社会的抹殺という復讐を果たせず、消化不良だった。阿部進之介、清原果耶がそれぞれ好演。
山田孝之やるじゃん。
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会社の内部告発をしたことで追い詰めれれて、自殺した父親の代わりに孤児院での手伝いと夜にある仕事を行う男の話。
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デイアンドナイトというタイトルもあって、一人の人間の善と悪を描いてる話。現実はドラマのようにはっきり善と悪に分かれてなくて、人はみんな前も悪も持っているグレーな存在。『半沢直樹』のようにあそこまではっきりしてた方が逆に生きやすいのかもしれない。
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なのでこの映画では、それぞれの登場人物の色んな面が見えて来る。池井戸潤の小説なら最終的に土下座させられるような悪者の人物にも、良いお父さんの面がある。そういう割り切れないもの。
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そう考えると必ず悪を滅してくれるドラマは明日を生きる勇気をくれて、現実をうつす映画は人生を生きる勇気をくれるものなのかな。
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正義を実行したはずなのに死を遂げる父や不正を報道してくれない新聞記者などなど、『新聞記者』に繋がるものが散りばめられてて面白かった。
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やっぱり藤井監督は光の使い方が特徴的だね!今回も主人公が主人公なりの正義を貫こうとする時、めちゃくちゃ光顔に当たってたしね。
何が善で何が悪か
善と悪とは。この違いはなんなのか。
そんな気持ちにさせる映画です。
中盤以降は、なんとなく結末を予想できる展開となり、
やるせない感情を持ちながらも鑑賞しました。
私も大事なものを守るために生きて働いて行こうと思います。
主演の安倍進之介さんは、本作の原案と企画もしているところも見逃せません。
山田孝之プロデュース、コレは観なければっ‼️
演じる側から製作する側へ、監督やプロデュースなど、いつかは映画を創りたいと、彼も思ったんですね☺️いい役者さんなので俳優業をメインに、製作側もがんばってほしいですね。いづれは監督もって考えてるのかなあ!
なかなか良かった。北村は子供達を守るために、施設を運営していく為の資金源として裏の仕事の窃盗集団、善良なだけで無く悪の部分も持つ。ストーリーも良かったけど出演者もみんなよかったですね。
よく分からなかったのは、北村は奈々の見ている前で入水自殺って事?奈々はそれを見届けたの?それとも止めようとしたけど出来なかったの?小西真奈美(ヨウコだっけ)は北村の恋人なのか、ただの仲間なのかちょっとよくわからなかった。
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