デイアンドナイトのレビュー・感想・評価
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突きつけられる善悪の彼岸に魂が震える
山田孝之がプロデュースに徹したという程度の予備知識で臨んだが、これは何という傑作。
熱くて、優しくて、切なくて、正解などなくて、それ故に成す術もなくて……複雑な思いを抱きながら涙した。
父の自殺を機に故郷の秋田に帰った明石は、父が自動車会社のリコール隠しを告発し、係争中だったことを知る。企業の不正を暴こうとする一方で、明石自身も大切な者を守らんと闇の世界へ…
果たして大切な者を守ることが「正」なのか?
まさに善悪の彼岸を観る我々に突きつける傑作。今年の邦画のベストワン候補に一番乗りだ。
明石を演じた阿部進之介の「優しい表情」に魅かれた。キリストの如く、彼の行うことが善だとさえ思ってしまう。児童養護施設で育ち明石と心を通わす高校生を演じた清原果耶の孤独な佇まいも印象的。
そして、小西真奈美のクールネス(地味なのに圧倒的な存在感!)、佐津川愛美のピュアな温かさ(最近では逆に新鮮!)など、脇の女性陣も出色だった。
昼と夜、善と悪、単純には分けられない
とっても良かった。
小説やアニメ原作がほとんどのこの時代、原作無しでここまで面白いのかと思ってしまった。
テレビドラマでは描けない重厚感。劇場で見るべき。
俳優陣も良かった。特に清原果耶はとてもいい。
可愛い、可憐、無垢なイメージだけではなく、影のある雰囲気がとても良かった。
歌も上手いのね。
高校生くらいで、ここまで幅が広いと今後も期待。
これからも応援します!
愛唄もオススメ。
全ての人物が悪であり善でもあるという、なんとも曖昧なストーリーなので、スッキリしないと言えばその通りだけど、最後までどうなるのか、釘付けになった。法律を破る善人というようなダークヒーローだけではなく、法律を守る悪人というわけでもなく。とても複雑な人間の内側が良かった。
今ひとつ心に響かない映画
「善と悪はどこからやってくるのか」…使い古されたこのテーマに何ら新鮮味を与えることもなく、ただただ陳腐でつまらないストーリーに2時間以上も付き合わされた…そんな愚痴しか出て来ない映画でした。色々と凝った設定でしたが、テーマがシンプルなだけに、非現実的なストーリーや人物設定にあまり共感出来なかった…今年のワーストムービー候補です(笑)
ジワリじわりと心を侵食していく
1度目鑑賞時は、ただただ圧倒されつくし。
観終わってからずっと暇さえあればデイアンドナイトのことを考えてしまっていた。
2度目鑑賞時は、1度目とはまた異なり、このあとああなる…と知っているからこそ見えてくるひとりひとりの心の機微に胸打たれ。
その後もずっとデイアンドナイトのことを考えている。
じわりジワリと心に広がっていく、デイアンドナイトの世界に心と思考が侵食されているよう。
3度目鑑賞後はどうなるのか…
たくさんの人に観てほしい。
そして、その後観た人の心と身体がどうなっているのか聞きたい。
知りたい。
社会派映画としては未熟だが・・・
人間の二面性、善と悪、そして贖罪というテーマが重くのしかかってくる内容でした。仮にこれを社会派作品として成り立たせるには、地方都市における報道機関などの独裁的存在や政治家、警察との癒着まで掘り下げなければならなかっただろうし、そこまで踏み込んでしまったら詰め込み過ぎ感でいっぱいになってしまうと思われる。しかし、大人になるにつれ善と悪の違いは徐々に判ってくるものだし、社会経験の少ない若者にとっては入門書となるような映画だったかもしれません。悪に手を染めるという点だけなら『ギャングース』の方が良かった。
映画館に出かける前に、『万引き家族』のレビューを眺めていたら、「万引きという行為を推奨するかのような・・・云々」といった記事を偶然読んでしまいました。多分、そこまで言う方ならこの映画は観ることができないのでしょうね。車の窃盗団なんて高級車を狙うんじゃなくて、平均的な社会人が乗るハイブリットカーを狙ったりしてるし、許しがたいものがありました。テーマとしての“善と悪”はハッキリしすぎていたのです。“正義”という言葉は主人公・阿部進之介にも「大切な人を守ること」だと語らせているし、わかりやすいものでした。それよりは映画の中で田中哲司のふりかざす正義をもっと主張すれば、正義についても意見を飛び交わすことができたのでしょう。
それらよりも重く感じられたのが復讐と贖罪。安藤政信が悪に手を染めてまでして養護施設を守るのも重い贖罪があったから。阿部に復讐を勧めるでもなく、淡々と犯罪を経験させる不思議な性格だとも感じた。そんな不気味な性格のまま施設を運営するから奈々ちゃんは空を緑色にしてしまうんやろ!と突っ込んでみたくなるほどでした。
そんな分かり易さの中、安藤の死の原因だけが謎のまま。どう考えても「君の父親を殺したのは俺なんだ」と告白して、「いやーー」と奈々が彼を突き飛ばしてしまった雰囲気なのだが、実際はどうだったのか。阿部がそのまま彼女の犯した罪をも背負って服役するかのような想像が成り立ってしまうのだが、そうなったらそうなったで、出所してから奈々と恋人関係にまで発展しそうだ。
個人的には、昼間は市の職員、夜は不法外国人労働者の集金人という小西真奈美が良かったです(笑)
お気に入り
脚本、演出、キャメラ、音楽、演技すべてがバランス良く高レベルに感じました。
特にソフトフォーカスで繊細なキャメラワークはちょっと昔のフランス映画みたいで私のお気に入りです。
いつかこの作品がフランスでリメイクされ、字幕鑑賞できたら素晴らしい雰囲気の作品が産まれそう。
その時はきっと★5つです。
光と陰
「人の全部は例え家族でも見れない。」という台詞が印象に残りました。人の光の部分か、陰の部分か、どこを見るかによって人の印象は変わりますよね。何が正義で悪かも同じですね。
目的がどうであれ
自動車整備会社を営んでいた父親が自殺した為、東から秋田へ帰省した男が、父親に世話になったと述べる児童養護施設の代表の男に着いて行き巻き起こる話。
真相は良く判らなくても、まわりに流されやすいし、身内が責められるのは我慢ならなかったりするタイプという風にみえる主人公。
確かに善と悪の境目はどこかというのは難しいし、何に対しての善と悪であるかにもよるけれど、自分としては直接的に被害を受けて泣く人がいる犯罪を善と呼ぶことはない。
そういう意味では暴走していくというより最初から善を感じられなかったし、善悪についての線引きや善悪そのものとかについて投げ掛けられていることは判るけれど、色々と曖昧にされ過ぎていて、物語として面白味が足りなく感じた。
見終わった後涙がこぼれました
ほんと理不尽なお話ですよね。何を持って善とするのか悪とするのかきっと見た人それぞれで違ってくるのでしょう。正直今の日本のリアルを見た感じがしました。ぜひたくさんの人に見て欲しい映画ですね。諦めるのではなく、自分に何かできないかと考えるのも必要だと思いました。
こいつはやられた。とんでも無い名作だ!
心を突き刺され、脳天をガツンとやられる程のエンタメ社会派ドラマだった。現代社会の、少しばかりの光に照らされながらも深く汚い闇にドップリ浸かり生きる人々。正義と悪の区分が明確で無く、バットマンや必殺シリーズ、そしてタイガーマスクらのダークヒーロー物をも思い浮かべさせるが、決して夢を見させない希望の無いストーリーに震えた。
顔の表情変化(光と闇、穏やかと怒り)を巧く演じる事が出来る俳優人を集めたなぁと感じた。
規模はデカくないが、脚本と演技力でつまらない大作を凌駕する作品、邦画久々の名作。
もう一度観たくなった。
素晴らしかった!しばらくは、他の日本映画は観れないと思うほどに、重...
素晴らしかった!しばらくは、他の日本映画は観れないと思うほどに、重厚で中味が濃い映画。社会派の映画といえば社会派であるが、その中で家族とは何か?を問うている映画でもある。キャストも最高!!主演の阿部進之介さんの演技は自然で、ひとつひとつの表情が素晴らしい!ひとりでも多くの人に見て欲しい映画。
洋画のような撮り方のオシャレな社会派映画❗
星🌟🌟🌟🌟 あんまり期待してなかったのですが正直凄く良かったです❗去年ヒットした空飛ぶタイヤに内容は似てるのですがあちらは娯楽映画でラストはハッピーエンドでしたがこちらは…世間はそんなに甘くないですよね❗ネタバレになるので内容はこれくらいにして…みなさん演技凄く上手かったです❗特に田中哲司 の悪役は本当に腹が立つぐらい上手かったです❗実生活では仲間由紀恵さんのご主人ですよね…あと母役の 室井滋も上手くて圧倒されました❗オススメの作品です🎵 余談ですが施設の中に出てくるロボットがハードコアのロボットとそっくりでした❗山田孝之プロデューサーの遊び心でしょうか?つい笑ってしまいました❗
もっと顔腫れるやろ
配給が日活ということで久しぶりにスクリーンでNKロゴを観た。主演の阿部進之介が原案、山田孝之が脚本とプロデユースを手がけたというのだが、見事に「役者が作った映画」になっていて感心した。何がと言うとこの手のシリアスドラマにありがちな浮いた恥ずかしい科白がなく淡々と地に足が着いていて、端折らない芝居が映画の尺が長くなる所以。「オンザロード」の渡辺裕之がもはや阿部の親父役だもんなぁと言う感慨も。オーソドックスな社会派ドラマなのだが、かなり視野が狭過ぎて・・自動車メーカーもマスコミも設定自体が地方都市から一歩も外に出れないところに不満が残る。とことん殴りあうのはいいけれど、もっと顔が腫れてしかるべき・・映画とはいえ。敵役の田中哲司が良い。
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