YARN 人生を彩る糸

劇場公開日:

YARN 人生を彩る糸

解説

糸(YARN)を紡ぎ、編み、表現する4組のアーティストを追ったドキュメンタリー。全身ニット集団と街を闊歩するかぎ針編みアーティストのオレク、白い糸を人生のメタファーと見立て、超絶的なパフォーマンスを見せるサーカス・シルクール、街をゲリラ的にニットで彩っていく「ヤーン・グラフィティ」でアイスランドから世界を旅するティナ、カラフルな手編みのニットで子どもたちが乗って遊べる巨大なニット作品を世界中で作り続ける堀内紀子。糸に魅せられた4組のアーティストが、糸を媒介に人とつながっていく姿が描かれる。監督はアイスランドのアニメーターで、本作が長編デビューとなるウナ・ローレンツェン。

2016年製作/76分/アイスランド・ポーランド合作
原題または英題:Yarn
配給:ミッドシップ、kinologue
劇場公開日:2017年12月2日

スタッフ・キャスト

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フォトギャラリー

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(C)Compass Films Production 2016

映画レビュー

5.0糸 。 赤い糸 。 蜘蛛の糸 。 リリアン 。 レース編み 。 彼らが本気で編むときは 。 縦の糸はあなた、横の糸はあたし 。

2024年9月29日
Androidアプリから投稿

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【 編み物雑感 】

◆トラック運転手の僕。
一日置きに大量の毛糸を運んでいる。愛知県の毛織物工場宛ての貨物だ。
「商業貨物」はその物量が半端ない。「毛糸」と言っても20キロの包装で50袋ずつ。⇒1トン。
どんな製品になるのだろう。

◆本多勝一の「極限の民族」が愛読書だった小学生の頃の僕。
パプアニューギニアの、森の中で裸で暮らす人たちの、あのルポはとても面白かった。
文章はもちろんのこと、たくさんの写真が興味深くて、僕は、彼らがかぶっている「なにかの植物の糸で編んで作った帽子」をずっと見ていた。あれが不思議に印象に残っているのだ。
人は裸であっても、人は時間をかけて、自分のために、そして大切な誰かのために糸を紡いで「編み物」をするらしい。

◆毛糸玉を転がしてセーターを編む。
編んだセーターをほどいて湯気に当てる。
巻いてほどいて、巻いてほどいて。
一本の毛糸のあちらとこちらに、人がいる。

◆母も、元妻も、
僕に心のこもった手編みのセーターを作ってくれた。
細い細い毛糸でタートルネックの黒いセーター。
紺碧の海の、沖合いから寄せる柔らかい波のような、青くて太い毛糸のセーター。
秋の実りや、大地のおごそかさを想わせてくれる茶色いセーターはボートネックだ。
冬の蒼空から筋雲がふわりと舞い降りたような軽いニット帽ももらった。
人知れず編み棒を繰って、どれだけの時間と想いがそこに費やされたのだろうか。
編んでくれたひとを裏切るなんて、僕はクズですよ。

◆折しも2024パリ五輪が終わり、
「#編み物王子」がトレンドとなった。
イギリスの高飛び込みの選手=トーマス・デイリーくん。彼は自分のために競技の待ち時間に編み物。そして同性のパートナーのためには応援席で、彼はずっと編み物をしていたのだった。
前回の東京五輪の折にも、彼は笑顔で編み物をする写真報道で、世界中に有名になっていた。
彼ら夫夫は結婚をして、その家庭で子供も授かっている。なんとも楽しくて、新しい姿ではないか。

◆会社の同僚が手編みのセーターを着ていたので「それって、手編みだよね?」と訊いたら彼は有頂天の笑顔。
「で、おめえ自分で編んだのかよ?」と僕が続けたら、ものすごいふくれっ面になった(笑)
編み物には物語があるのだ。
編み物は人なのだ。

◆母は辺野古の海岸で機動隊に見張られながら編み物をしていた女でしたね。
「どうしてあなたはこんなにところで編み物をしているの?」と問われて彼女は答えた
「私の日常は誰にも奪われたくないのよ♪」。
なるほどだ。

◆本作、全編通してのナレーションが素晴らしく心地よい。格調のある詩的で文学的なフレーズが、画面に流れる。
そういえば「編纂」の語も、これは「言葉の編み物」の事だ。

◆マハトマ・ガンジーは、
「偉業」を成し遂げたあとも、彼は最貧層の衣をまとって糸車をまわした。有名な写真だ。
愛と命の YEAN は、温かさと思いやりの結晶だろう。
KEEP CALM
戦争や憎悪とは、まったく対極のものだ。

ナチスがアウシュビッツでやった震撼の「人毛による織物」を除いては。

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きりん

1.0KEEP CALM. EAT MY C●CK. ?

2023年12月2日
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マサシ

3.5編むということで、平和、自然、生きるそれぞれのアーティストたちの思...

2023年10月8日
iPhoneアプリから投稿

編むということで、平和、自然、生きるそれぞれのアーティストたちの思いを形となって表現されていてよかった。

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しいたけ

4.0こういうドキュメンタリー映画は面白い

2022年2月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 近所の単館系時間つぶしで見た映画です。
ちょうどこの前年、君の名はで糸に纏わる人の縁や繋がりについて見た後にこの映画を見て
海外の人も同じような原始宗教的な世界観を持っているんだなぁと感心しました。

 糸を使う4組のアーティストさんの紹介。
古いアイスランドの伝統を紡ぐ人
NYでキャンディポップなかぎ針編みをする人
白糸でサーカスをする集団

 色んな方々が出てくる中で最後に出てきたのが堀内紀子さん
この映画を見るまで知りませんでした。
布のテキスタイル・アーテイストさんが糸を使った展示品を作ったところ
子供が一直線に作品によじ登ろうとして止められたのを見て、
「そうだよな、作品は遊ばれてなんぼだよな」
と実際に子供が遊べる作品を作ろうとハンモックの遊具を発表。
日本では箱根の彫刻の森美術館、富士山こどもの国のクモの巣ネット、その他で遊ぶことが出来ます。(遊べる期間等の詳細は各HP参照ください)
現代アートというと、素っ頓狂な形や色彩に色んな言葉で言い訳じみた意味不明で意識高そうな説明文を載せてドヤってるだけだと思いこんでた私にとって、実用性のあって子供が喜ぶ遊具があるとは驚きました。
いつか子供を連れて遊びに行きたいと思っていたらこのコロナ。。。

 文字通り、この映画が紡いでくれた糸で堀内紀子さんを知ることができ、その作品に興味を持つ。
これが縁が紡がれるってことなんですね。
更に子供がこの遊具で遊んで更にどこかに糸がつながればいいなぁと

 映画ってホント面白いですよね(水野晴郎風)w

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Katucov Mikhail