「清々しく、ドロドロしたあまのがわ」寝ても覚めても トコトコとことさんの映画レビュー(感想・評価)
清々しく、ドロドロしたあまのがわ
前情報もなんの期待もなく見始めましたが、とても面白かったです。そう感じるのは主に次の二点からだと思います。
①物語が淡々と進んでいく…と思ったらラストで大きく変化していく物語。「ピンクとグレー」を観たときのような衝撃があったこと
②描写が細かいというか…さらっとした会話が後々とても重要な意味を持つことが何度もありました。どのシーンもムダがなくて、どの役者さんにも感情移入しまくりです。
バクを好きになってしまう…、あると思う。朝子なりの恋愛のツボにハマったの。理由はわかわからないけど、夢中になる感じ。
東出さんと瀬戸さんが外階段でタバコを吸うシーン。これもさりげなくあとに繋がります。
亮平が、バクと似ていると言われて、朝子のことを察していたことをさらっと表現したことも、本当にさらっとすぎて絶妙でした。
伊藤さんが、バクに住所を教えたということ。
伊藤さんなら、こうなると思っていた…とまさにその通りで、人の運命を狂わすことをしちゃって!!なんだけど。外ロケで偶然見かけた時にちゃんと話をできなかった朝子を思って、病気を患っている伊藤さん(役名忘れた)は、朝子に後悔のない人生を送ってほしかったのかも。運命が変わったとしても、それは本人の選択だしね。
ほんとにいろんなことがあちこちさりげなく、あとからつながってくる。
亮平は、朝子のことを信じてたし大切に思ってる心の広い人だった。お好み焼きパーティーをするときの串橋のトラブルでうまく場を収めた亮平の人柄は本当に素敵な男性。そんな亮平を…(T_T)
そんな亮平でも朝子を信じられなくなる、追い払いたくなる、よっぽどだよね(T_T)
寝ても覚めても、というタイトルと、朝子という名前がとてもマッチしてる。バク、というからにはバクが夢の方の話なのかな。どちらも現実だけど、バクを好きになること、翻弄されることは本当に夢みたい。
ところで、私は関西出身じゃないけど、東出さんと唐田えりかさんの関西弁は無理があるように聞こえました。
東日本大震災や、難病の友人が出てくることで、物語が現実のどこかで起こっているんじゃないかと思えました。
長くなるのでやめます…とても丁寧に描かれた作品だと思います。