低評価ではありません。
それぞれの役者が素晴らしい演技を披露しているし、特に子役の少女、少年たちの演技は素晴らしいものがあります。
ただ、お話の方向性に満足できなかったので、感動に応じて今回は星3つです。もし、疑問があれば、私が星を3つ付けた映画たちを確認してみてください。
WOWOWで「ギリー・ホプキンズの不機嫌な日常」として日本初公開された作品。劇場未公開になった理由は、地味で、興行的に成功が見込めないからでしょう。
キャシー・ベイツ、オクタヴィア・スペンサー、グレン・クローズ、ジュリア・スタイルズなど確固たる評価をものにした女優たちが顔を連ね、それだけで、「観てみたい」と思わせるに十分でした。
内容は、ファミリー・ドラマで、ほろ苦く、切なくて、なぜか寂しくて自分の愛する人を思い出してしまうような映画です。
解説も用意されていないようなので、軽く内容にも触れておきます。
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ギリーは母親が養育を放棄したために里親に預けられ、どの家でも問題を起こす。なつかず、皮肉ばかり口走り、学校でも男の子にケンカを売って歩く。しかし頭のいい子で、本気を出せば試験でA+を取ることもできる秀才。
実の母親に会いたい一心で、里親から全力で嫌われ、問題を起こしてたどり着いたその家はトロッター家(キャシー・ベイツ)。とにかく懐の深いおばさんは何をしても笑って彼女を許し、理解しようとする。先に養育されていた弟分のW.E.(ザカリー・ヘルナンデス)から怖がられながらも打ち解けた彼女は、盗みの手伝いをさせ、小銭を手に入れるが、偶然知った母親の住所への旅費には全然足りない。
そこで母親に手紙を書き、「この家は最悪です、不潔で、ろくな教育も受けられず、待遇もひどい。耐えられません。」と、大ウソを書きなぐりその住所に送る。
そのうち学校にもなじみ、友達もでき、ミス・トロッターの深い愛情に触れ彼女の日常も豊かな時間になっていく。
そんなある日、見知らぬ老女がギリーを訪ねてきて、彼女の生活を見て驚愕する。たまたま一家そろってインフルエンザにかかっていたために、家は散らかり、家事はギリーがこなし、幼いW.E.は今にも死にそうな顔でギリーに世話されている。まともな里親じゃないと勘違いして去っていったその老女こそ、手紙を見て心配で様子を見に来たギリーの祖母(グレン・クローズ)だった。
さあ、果たして、彼女は念願かなって恋しい母親に会うことが出来るのか?そして、ソーシャルワーカーから里親失格の烙印を押されたミス・トロッターは、それでもギリーを許し、受け入れるのか?
私が星を3つしかつけなかったのは、ストーリー展開です。
「必ずしもハッピーエンディングじゃなくていい」キャシー・ベイツのセリフにもある通り、この映画はめでたしめでたし、とは、なりません。それはいいとしても、多くの観客は、ギリーとミス・トロッターとのもっと深い結びつきとドラマを期待したはず。しかし映画は、そこに切り込まず、おばあちゃんとの生活に転換していきます。そしてそこに、展開が生まれると思えない「手詰まり」感が大きかったのです。
最後に、ちからわざで、「家族の愛」を見せて、感動を誘いますが、それは私が見たかったものじゃなかった。少女は、願いがかなったときに、それが必ずしも幸せとは結び付かないことを悟り、深く後悔します。でも、この気付きは遅すぎたのです。
それほどに、キャシー・ベイツとソフィー・ネリッセの間には特別な絆が生まれたように感じました。キャシーが上手いのは当然としても、子役のソフィーは順調にキャリアを重ねて、将来的にはジェニファー・ローレンスみたいになってほしいものです。
2017.7.28