リズと青い鳥のレビュー・感想・評価
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映像が《音》を支えている
映像とは目で“見る”ものだが、大抵はそこに音が付いてくる。セリフや音楽というだけでなく、効果音だったり、遠くから聞こえてくる雑音だったり、吹き抜ける風の音だったり。
この映画を観て驚いたのは、耳から入ってくる情報の多さと、その緻密で研ぎ澄まされた表現の豊かさ。決して絵が音に劣っていると言いたいのではなく、音で表現されているものを、絵や、セリフや、ストーリーが支えているように感じたのだ。ただ音楽にまつわる映画だから、ではない。例えば序盤では、ほぼ主人公ふたりの足音でシーンを引っ張ってみせる。その演出の強度に震えた。
こんな映画体験をほかで感じたことがあっただろうか。劇場で二度観てみたが、次はなるべく目をつぶって観てみたいし、その上で改めて耳と目でじっくり味わいたい。そう思うと、自宅の音響設備に自信がないので、いつまでも劇場でやっていて欲しい。傑作。
映像でないと表現できない何か
言葉で語れないものを語るからこそ、映像作品には価値がある。しかし、本当の意味でそれをできる人はそう多くない。この映画はそれが非常に高いレベルで出来ている。「名前のない感情」を描きたいと監督はいっているが、まさに名付けようのない何かを捉えている。無理に名付けた瞬間、壊れなそうな何か。
アニメは動きを追求するものだ。動きによって何かを表現する、というのは芝居で言えばパントマイムのあり方に似ている。ウォルト・ディズニーは新人アニメーターにキートンなどの芝居を見せて教育したらしい。
しかし、この映画の芝居は何か別の方向を向いているように思う。パントマイムで「喜び」を表現するなら「笑顔」を作る。従来のアニメもそういう表現になる。しかし、この映画は「笑顔」であっても、その裏には違う気持ちがあることを描く。生身の役者ではなくアニメーターが描く芝居にもそういうものがあるのか、と驚いた。
何度観ても新しい発見がある。すごい、本当にすごい。
本当に素晴らしい
淡い恋心を描いた儚い物語。
吉田玲子の脚本と牛尾憲輔の音楽と西屋太志の作画、そしてそれらを絶妙にまとめ上げた山田尚子監督作品。
彼女らの心をうつしたような音楽が本当に素晴らしい。
それと作画、特にアップの目の描写がすごい瑞々しいんですね。
できたら劇場でその音と光を感じたかったです。
素晴らしい作品でした。
黄前、どこ行った(笑) スピンオフなんですね。画調もなんだか違う。...
黄前、どこ行った(笑)
スピンオフなんですね。画調もなんだか違う。
百合のお話。リズかと思ったら青い鳥だった。地味だけど面白かった。
黄前、どこ行った?おったなぁ、ちょっとだけ(笑笑)
繊細な映画
推しキャラがメインの映画ということで気になって観賞。
直接的な言葉ではなく仕草や表情からの感情表現が多く観れば観るほど新たな発見がある、するめ映画
思春期特有の繊細な感情がリアルに映し出されており幾度も胸が締め付けられた。
完全なる百合作品ではないものの限りなく百合に近い友情を取り扱った作品
理解と思い込み
理解しあっていると言う思い込み。その結果自分の事すら見誤る。影響し合うことは他者の影響だけでなく、自分自身にも影響を与えるのだな。
4月から響け!ユーフォニアム3が始まるのに合わせて初視聴。明日は特別編集版上映イベント、その前に誓いのフィナーレと連続して視聴した。
既存のシリーズと違った絵柄が新鮮だった。誓いのフィナーレで物足りなかった点が語られて、残された余白を少し埋めてくれた。連続して観るとその辺り面白かった。
のぞみとみぞれの心のヒダ。触れることが怖かったり、思わず触れたり、後悔したり。音楽は答えに近づく良いきっかけになった。そこから埋まる距離。その結果は誓いのフィナーレで描かれる。2本で1組と考えて良い作品だと思う。
この作品を受けてテレビシリーズ3期が始まる。楽しみでならない。
「響け!ユーフォニアム」のスピンオフだし観とこ、位のノリだったんだけど、すごい良かった!
「響け!ユーフォニアム」のスピンオフだし観とこ、位のノリだったんだけど、すごい良かったです
ユーフォ本編にも、部内オーディション課題曲だった リズと青い鳥 の、原作物語にも二人の関係がクロスオーバーして・・・と思ってたら、だんだん「あ、これって!」と思い出す自分がいた
響け!ユーフォニアム本編観てなくても大丈夫、
だけど、逆にもう一回見直したくなるくらい、切ない物語でした
3回は観たと思う…
1度、何となく見て。いいな、と思って。
クライマックスのシーンは、表現や内容、よくわからず。
改めて見直して。
いい歳して、涙してしまいました。
これは、すごい。
もう5年以上前の作品ですが、テレビで何となく見て。
久しぶりに心に触れる作品に会いました。
これほど過小評価されている作品は少ないのでは。
あまり多くの人に見られていない理由は恐らく「響け!ユーフォニアム」のスピンオフ作品で、主人公格の久美子や麗奈が脇役に回り、代わって、 みぞれと希美に焦点が当たっているからだと思う。だから、「響け!ユーフォニアム」のファンでないと観ようという気にならないし、ファンである私も、作風が違うことと久美子が脇役であるという理由から長らく放置していた。
しかし、観賞してみてビックリした。アニメ全体でとは言わないが、このジャンルのアニメ映画の中でこれほどまでに、人間の内面、心理を映像で表現できた作品は皆無であろう。さすが京都アニメーション、というよりも監督の山田尚子がすごいのだと思う。
正直、私が男だからなのか、二人の友情関係と心理状態の推移を完全に理解することができたとは言えないが、それでも、観てよかったと本当に思える。
オーボエとフルートの可憐な輪舞
響け!ユーフォニアムのサイドストーリー。
監督はテレビシリーズ演出の山田尚子。
久美子たちの一つ上の上級生たちの親密な関係と、その葛藤が描かれます。
【ストーリー】
吹奏楽部のオーボエ担当の鎧塚みぞれと、フルートの傘木希美の二人は親友。
一度心が離れた経験から、孤立しがちなみぞれは希美に依存気味になる。
そんな中、劇中曲『リズと青い鳥』がコンクール演奏曲として選ばれる。
高い技術を持ちながら引っ込み思案なみぞれは、楽曲の中心となるソロパートを任されながら、どうしても自分を前面に出した印象的な演奏ができない。
みぞれの心配をする希美だが、「リズと青い鳥」のストーリーをたどるうちに、思い切れない彼女の繊細さに安心しているのは自分だと気づく。
みぞれと希美の関係を、劇中劇「リズと青い鳥」と重ねて見せることで、彼女たち自身に未来を選ばせる展開は見事。
京都アニメらしい繊細な日常描写と、山田尚子監督ならではの演技とカメラワークで、二人の少女の思春期の終わりを、鮮明に照らします。
多感な高校生活の陰りと輝きを鮮烈に描くユーフォシリーズでも、一風繊細な空気をはらむ今作。
完成度が高く、単体の映画としても楽しめるようになっています。
鑑賞後、二人と同じ気持ちになれたあなたには……ハッピーアイスクリーム!
ジョイント
当時見れなかったんで、5年後の再上映にてスクリーンへ。
当時ね、春日太一さんとサンキュータツオさんがラジオコンテンツで、熱くもクソオタクっぽく、リズと青い鳥語ってんのが楽しそうで楽しそうで超羨ましかったんすよ。
さーて、俺もようやくスクリーンで見たぞ!なるほど、絵作りや、音、セリフと芝居に余白が多く色々想像して考えて語りたくなる訳だ。
やっぱ山田尚子監督は見る側を信じ、大人扱いしてくれてるな、コレ見て百合ですね、とか青春描いてますねとかで終わらせらんないでしょ。
孤独、成長、理解、自我、音楽、全部描いてたな。
さて、俺も今から余韻に浸るかー。
ずっとずっと、一緒だと思っていた。
2023年1月7日
映画 #リズと青い鳥 (2018年)鑑賞
この作品が #響けユーフォニアム のスピンオフとは知らなかったが、全体のトーンがかなり異なっている。
同じ #京都アニメーション 作品でも脚本が #吉田玲子 さんで、監督が #山田尚子 さんとなればここまで違ってくるのかなと感じた
主人公と劇中童話と曲名の3重奏
これだけでもとてもよくできた作品。
秀逸なのはスタートから20分ぐらい。主人公2人のぎごちない関係がそれとなく伝わる。それからの展開も伏線的にヒントも交え伝わる。リズと青い鳥の関係を二人の主人公に替え、重奏も関係性が伝わる。音楽という材料を使って見事に表現していると思う。
TV版アニメの北宇治高校吹奏楽部がなつかしくもあり、文句なしの出来栄えでした。
学生時代、音楽系だったから余計に思い入れが。
上位カースト系ののぞみが実力世界で挫折、嫉妬した話。 主人公はのぞ...
上位カースト系ののぞみが実力世界で挫折、嫉妬した話。
主人公はのぞみであろう。
なんかジブリを意識した客に考えさせようとする企みがプンプン。
おとぎ話パートは下手なしゃべりが耳障りで邪魔なので早送り。
なにも説明しない日常譚はカタルシスはなく、映画の感想は、「ふーん」。
限定空間での繰り広げられる想いと束縛。
数ある京都アニメーション作品としても、映画としてもとても好きな一編。
テレビアニメ『響けユーフォニアム』の番外編的位置付けのほぼ独立した作品だが、個人に京都アニメーションの若手山田尚子監督が有能なスタッフたちと特に感性と才能を最大限発揮した作品。
絵本の世界感から現実世界に移る冒頭の登校場面から、ただ歩いて友人を待つだけなのに、惚れ惚れする様な描写と音楽で奏でられる心地良い進行で、タイトルが出るまでで主役である鎧塚みぞれと傘木希美の関係性と性格を観客に伝える巧みな導入部に魅入られてしまう。
物語は、みぞれと希美の片想いの愛情にも近い関係をベースに、演奏科目である「リズと青い鳥」の絵本世界を交差させてゆく。
正直な話し、2期目のテレビシリーズにも登場している本作二人のキャラクターだが、実はあまり印象がなく映画に感心してから、2期を見直して確認した次第だが、物語の視点が変わるとこれほど良い意味で違いが出るのかと改めて思う。
アニメーションの人物表現は、俳優が演じる実写と違い、演出と作画と声の演技が融合してゆくものなので、細かくて微妙なニュアンス的な表情や動作を見せるのには、不利な面が多々有るが、逆にどんな描写も制約のない絵で表情することが、可能で作り手のイマジネーション次第の側面もあり、この作品はとてもタイトだか美しく豊潤である。
アニメキャラの記号的表現の一つに、照れると顔か赤くなる描写があるが、この作品でも最初の僅かなカットにみぞれが頬を染める場面が、控えめにあり、恋愛感情の様なミスリードを誘っている。
キャラクターデザインについて
テレビシリーズの『響けユーフォニアム』でのキャラクターデザインを担当した池田晶子に代わり、「聲の形』で山田監督と組んだ西屋太志が担当したこの映画用のキャラクターデザインは、いわゆる肉感的で可愛いらしい今時女子高生なデザインの池田晶子より、少女漫画的繊細さと制服の丈の長さや、一部カットにある特徴的な伸びた首筋など、ニーム感もありテレビ版とは違うの独特の雰囲気や表現を際立たせている。
背景や彩色について
季節は夏に限定されているが、主な舞台である学校の場面は、青い鳥や夏服の色である青で彩色設定が統一されており、季節に関わらずクール印象で作品全体の落ち着いたトーンを作品に与えている。
声の演技について
最初に鑑賞した時に、主役二人の声の演技も通常のアニメ作品より抑揚を抑えており、静かな作品世界に合わせてトーンを変えていると感じる。
2期目のテレビシリーズにも登場しているキャラクターだが、実はあまり印象がなく映画の後に見直しで確認した次第だが、希美役の東山奈央は、多くのアニメ作品で、演じている明るいトーンでの活発な女性キャラなどの延長線にある役だか、多くの近しい友人で、同格だと思っていたみぞれの才能に複雑な感情や焦りを抱く希美を、巧みに表現している。
個人的に発見だったのは、人見知りで無口だが、徐々変わってゆく主人公みぞれ役を種崎敦美が、静かで抑制をきかせた演技で見事に演じていて、普段のややハスキーな声から分からない声質に変えていて驚く。
2014年のテレビアニメ『大図書館の羊飼い』でのハスキーボイスで小悪魔的な立ち振る舞いが印象的だった小太刀凪の声の人と配役を見てから気付いたくらいだった。
専業の声優の演技の多くは、正確な発音を台詞に沿って演技することが、多くの場合に求められると思うが、そこにある種の媚びやあざとさを持ち込んで、ウンザリする作品もあるが、この映画に関しては、抑えられており、それが音響監督の指示だとしても、多くの作品にある分かりやすい萌や媚び演技は、そろそろ一考した方がいいのではと思う。(それ求める一定のアニメファンいるのも判るが個人的見解です)
童話の世界について
劇中の童話「リズと青い鳥」の描写や世界観は、絵本を思い起こすカラフルな美しさだが、抑えられており本編の淡い色と統一されており、主な舞台である学校の場面と並べても違和感なく観れる。
そして動きの少ない学校本編とは、違い欧州を連想するの街の様子や月夜の静けさと一転した嵐の夜の風と木が荒れ狂う描写とリズと青い鳥の娘が、生活描写の中に動きを取り入れてあり、特に小さな丘の斜面で戯れる浮遊感に満ちて描写などは、ジブリなどに見られるものに近く京都アニメーション陣の技術と演出の確かさが判るところだと思う。
キャラクターの配置と物語について
テレビシリーズから一新されたキャラクターがありの本編とは違い鎧塚みぞれの視線で描かれる部分が多くて、本編でお馴染みの葉月や緑輝達がみぞれ視点だと関心が薄くて見切れていたりするのは、苦笑だが、彼女の心境を炙り出している演出だと思う。
その辺はみぞれの親友との想いとは裏腹の無意識無関心な距離感がある希望の心境とも重なる。
暗い話にややもするとなりそうなだか、希望とみぞれと同じ三年生で吹奏楽部の部長と副部長コンビであるデカリボンの吉川 優子と中川 夏紀のやり取りや、みぞれを慕う同じオーボエの一年生剣崎 梨々花のちょっとまったりとした雰囲気がみぞれに心境の変化を与えて和ませてくれるので、全編を通して明るい。
本編の主役である二人の久美子や麗奈も完全に脇に廻っているが、所々に重要ポイントや影響を与えているストーリーラインと脚本は、近年の質的な充実が驚異的でもある吉田玲子。
初期はテレビアニメ界がメインで活躍していた人だが、テレビ出身の脚本家が映画を担当すると、今一つな作品が多い中、良作を多数手掛けており、実写作品『のぼる小野寺さん』は、まだ未見だが信頼できる見巧者達からの評価が高いので楽しみにしている。
余談だがテレビと映画には、視聴環境や制作方針フォーマットの違い以外に個人的に思うのだか、テレビの名脚本家が中々映画で結果を出せないのには、何か特有のものがあるのか?
監督の山田尚子は、これまで3本の劇場用映画を監督していて、どの作品も明らかに高い出来栄えの水準で、標準的な出来の映画『けいおん』以外では、テレビシリーズの扱いが中途半端で報われない少年モチゾーに焦点を当てて作品世界を完結させた良作『たまこラブストーリー』と個人的に引っかかるところあるが傑作『聲の形』と女性としては、多くの良作アニメーション映画を監督している。
女性らしい繊細な演出と書くと近年では問題あるかもしれないですが、特徴的な画面演出で足元をアップにして各キャラクターの性格を見せる描写は、多くの作品に共通する特徴で、作品順に鑑賞すると変化や思考錯誤が分かり今作では、音楽の融合も良くて最も洗練されたカタチで使われている。
アメリカの名匠ジョージ・スティーヴンス監督は、第二次世界大戦で陸軍映画班として多くの戦場や強制収容施設を映像に記録してから作風が変化したとの指摘もあり、悲しい出来事を受けてからの山田監督の変化については、次作品を期待していると同時に、受けてしまった影響に言葉が上手く出ません。
願わくば、悲しい出来事で亡くなったスタッフの方々への想いも含めて語り継ぎ、まだ書込みたい部分もある本作なので、思いついたら追加していきたいと思うほどにお気に入りです。
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