RAW 少女のめざめ

劇場公開日:

RAW 少女のめざめ

解説

2016年・第69回カンヌ国際映画祭で批評家連盟賞を受賞した、フランス人女性監督ジュリア・デュクルノーの長編デビュー作品。厳格なベジタリアンの獣医一家に育った16歳のジュスティーヌは、両親と姉も通った獣医学校に進学する。見知らぬ土地での寮生活に不安な日々を送る中、ジュスティーヌは上級生からの新入生通過儀礼として、生肉を食べることを強要される。学校になじみたいという思いから家族のルールを破り、人生で初めて肉を口にしたジュスティーヌ。その行為により本性があらわになった彼女は次第に変貌を遂げていく。主人公ジュスティーヌ役をデュクルノー監督の短編「Junior」でデビューしたガランス・マリリエールが演じる。

2016年製作/98分/R15+/フランス・ベルギー合作
原題または英題:Grave
配給:パルコ
劇場公開日:2018年2月2日

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映画レビュー

4.0ダークなホラーテイストに仕込まれたユーモアが秀逸

2018年7月31日
PCから投稿

笑える

怖い

知的

青春時代とは誰もがとっちらかったことをしでかすし、それが大学寮のような若者の共同生活の場になると、もはや集団発狂の様相を呈する。そんな「青春」が持つ一側面が、残忍なユーモアをもって描かれている。

ヒロインは飛び級で年上ばかりの大学に入り、まだ心の準備もできていないままに大学のワイルドライフに放り込まれる。彼女にとっては、その悪ふざけの度が過ぎているからこそ、その反動でよりおかしな方向へとひた走ってしまう。それが本作ではカニバリズムであり、あからさまに性のめざめと呼応している。

とはいえ、それは誰もが通る道で、決して特別なことではない。そのありふれた性と青春の戸惑いを、よくもまあこんなにもブッ飛んだ映画に仕上げたものである。優れた青春映画であり、繊細な少女映画であり、イカレたコメディであり、戦慄のホラーでもある。ひとつのモチーフからこれだけ多面的なジャンル映画を造り上げた監督にひれ伏したい。

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村山章

3.0そこらへんのホラーよりグロい

2024年11月7日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

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nayuta

4.0「チタン」よりいい。

2024年5月13日
Androidアプリから投稿

同監督の「チタン」が支離滅裂すぎて、でもハリウッド映画や邦画にはない印象が後を引き、今作も鑑賞。
 少女の成長とともに見る側の驚きもエスカレートしていく。終盤ではマイノリティや〇〇当事者の葛藤や悲哀も染み入ってきた。
 ラストにもサプライズがあり、作品の完成度はこちらのほうが上で大満足。欧州映画、漁ってみようかな。

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maku1

4.0カニバリズムに取り憑かれただけで無い

2024年1月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

カニバリズムを主とし、家族愛やその運命を描いた作品。
とは思えないような、青春映画のような幕開け。
入学した獣医学生の伝統的なノリが独特すぎて、変なしきたりも何だか酷い。
それにゲイだからって、男女同室とかおかしいでしょ。
そんな学生生活の中で、中で段々と滲み出る肉への欲求。
そして遂にカニバに目覚めた瞬間。その描い方は音楽も相まって凄まじいシーンでした。
一度始まった衝動は止まる事なく、ルームメイトさえも食の対象に見てしまう。
そんなルームメイトとの初体験は完全に食事の様相。
エキセントリックな姉がすごいけど、何だかんだ一番の理解者であったようにも見えました。喧嘩も絶えないけどすぐ仲直りする、二人の距離感が良いんですよね。
が、それもまた目覚めの一環で、姉が示した現実が衝撃的。
それは受け継がれていた、強烈な幕引きでした。

ただ家族や姉妹愛、そして少女の成長物語がしっかりと詰まっていた作品でもあったと思います。
特に姉のアレックスは欲望に負けてしまったのではなく、その身をもって妹ジュスティーヌに成長を促しているように見えました。
自身の指を食べられ「目覚めてしまったのか」と流す涙。
どうしても衝動を抑えられない時は、事故を起こす事で得る捕食の仕方。冒頭の映像と繋がるのもうまいですね。
自分をしっかりと維持しないと、獣そのものの姿になってしまう事を教えた映像。
そして最後は、衝動をコントロールできないと悲しい事になると身をもって教えていたようでした。
実際アレックスが殺した事にしたのかも知れません。
そして娘に託す父の言葉。
決してカニバリズムに取り憑かれた少女というだけで無い、実に面白い作品でした。

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白波