「思考したくなる喋りたくなる映画」検察側の罪人 ppポッケさんの映画レビュー(感想・評価)
思考したくなる喋りたくなる映画
2回鑑賞。原作、パンフレットは未読。
気になったのは二点。
ストーリーのメッセージ性と衣装の色。
まずはストーリーのメッセージ性。
各々の正義のために各々が都合良いストーリーを構築して当てはめていく怖さ。
それに絡めての現政府批判。このままでは危ないよーという警鐘。
ただ、この監督のメッセージをどストレートに受け取るだけでは勿体ない気が。
この映画は監督の考える正義(メッセージ)のために都合よくストーリーを構築されたものとも言えるのでは。
ラブホ前のチンピラの会話とか。こんなところまでこんな内容かぁ。。と。
また映画は権力側の怖さを描いていたが、逆に、一見権力を持たない弱き立場のモノの考える正義のための強引なストーリー構築の怖さもあるはず。弱き立場というのは大きな武器にもなり得る。今は特にSNSなどで声援や賛同を得られやすい面があるので。
そんな事をグルグルと思考させられ、したくなる。そして自分はどの立ち位置なんだろうか、物事をどういう風に見ていけば良いか、、と改めて考え見つめ直すきっかけになった。
二つめは衣装の色。
(私の記憶違いがあるかもしれないが)
*白色
踊り子の衣装。
諏訪部の服。
丹野と電話で会話時の奥様のスーツ。
祝賀パーティーに出席時の橘のスーツ。
*白×黒
橘を盗撮する運び屋の女のワンピ。
衣装じゃないけど丹野の死を聞いた最上にかかる白黒のブラインドの影
*モスグリーン?
最後、最上と再会する沖野のスーツ。
まずは白色。
踊り子の衣装は丹野や松倉の死を暗示する天使や彼らの身の潔白を意味もあるのではないか。
丹野の時は対岸に踊り子がいる。身の潔白を手に入れるには向こう側へ、でも行くことは死をも意味する。
松倉は下へ降りると踊り子がいる。身の潔白は手にしたがやはり死んでしまった。
諏訪部の白は
ダークな仕事を覆い隠す
白骨街道の白
本人曰く時折、神様的役割
次に白×黒
当初、橘は白とも黒とも言えないし、どちらでもある立ち位置だからか。
最上はあの後一線を越える決意をするので、その前段階としての心模様。
最後にモスグリーン。
これが一番ひっかかった色。
白骨街道を歩く兵士の軍服の色と重ねてるのかなと思った。
最後、軍服色のスーツを着た沖野が(白骨が埋まっているかもしれない道を)歩き行くのをハーモニカを手にして見送る最上。
最上が見た夢のデジャブ。夢では最上は白骨街道を歩く兵士だったのが、祖父の立場に。
これからの最上と沖野は白骨街道の呪縛からは逃れられないのかな。
情報量が多いので、(監督のメッセージに共感できなくとも)あれはここでこれと繋がるのか!とか、こうとも読み取れるなぁ、など何度見ても色々な発見がある面白味のある映画とも思った。