劇場公開日 2018年5月4日

ラプラスの魔女 : インタビュー

2018年5月1日更新
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筋トレ、講義、猛吹雪――櫻井翔&広瀬すず&福士蒼汰が語る「ラプラスの魔女」のキーワード

「嵐」の櫻井翔が主演し、広瀬すず福士蒼汰の豪華共演で東野圭吾氏の小説を映画化した「ラプラスの魔女」が、5月4日に全国公開を迎える。櫻井は地球化学の研究者・青江修介、広瀬は魔女のように未来を予知する女性・羽原円華、福士は円華が追う失踪した男性・甘粕謙人に扮し、鬼才・三池崇史監督とのタッグに臨んだ。撮影現場のキーワードは、「筋トレ」「講義」「猛吹雪」――。(取材・文/編集部)

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2つの不審死が連続して発生した。それぞれの現場は遠く離れているにもかかわらず、死因はどちらも“自然現象下での硫化水素中毒死”、しかも死亡した2人は知人同士だった。調査を依頼された地球化学者・青江(櫻井)は、「ありえない」と事件性そのものを否定するが、現場で“直後に発生する自然現象”を言い当ててみせた謎の女性・円華(広瀬)と出会う。失踪した男性・謙人(福士)を探す円華と行動をともにするうちに、青江は新たに起きた第三の事件へと巻き込まれていく。

三池監督とのタッグは、櫻井が「約10年ぶり」、広瀬が「初めて」、福士が「3作立て続け」。2008年に撮影された「ヤッターマン」以来となった櫻井は「前回はド派手なエンタメ作で、今回は毛色も違う。監督の雰囲気も変わると思っていました。でも、行ってみるとまったく同じ雰囲気。とにかく監督が楽しそうだから、現場も楽しくなる。ああ懐かしい、ということの連続でしたね」と目を細め、「後半に、木が倒れてきて、僕がダイブして避けるシーンがあります。監督とプロデューサーとCGチームが『ヤッターマン』と同じ方々なんですけど、ダイブした後に顔を上げたら、ふとみんなと目が合って。『これ、ヤッターマンでも撮ったね』と、言葉ではなくアイコンタクトで会話していました。そのことが楽しかったし、嬉しかったですね」と振り返る。

写真/サイトウムネヒロ
写真/サイトウムネヒロ

神さまの言うとおり」「無限の住人」、そして今作と続いた福士は、「監督のイメージも、演出の仕方も一貫しています。本当にワクワクさせられますし、みんなで良いものをつくろうという士気が、演じている側にも伝わってくるんです」と、かけがえのない現場であることを強調する。念願の三池組初参加を果たした広瀬は、これまではかるたやチアダンスなどの特訓を積んでクランクインすることが多かったが、「今回は何もせずに現場に入りました。作品=練習するものがある、というイメージなので(笑)、ずっとフワフワしていました。出ずっぱりでもなかったですし、CGを使う作品にもあまり出てこなかったので、完成を見て『こんな風になるんだ、すごい!』。自分が出た映画を見る、という感覚ともちょっと違っていました」と新鮮な収穫があったようだ。

また3人は、撮影の合間には筋力トレーニングに励んでいた。きっかけは「後半の崖でのシーン」で、櫻井は「現場からトイレが、すごく遠かったんです。僕は面倒くさくて『トイレに行かない』と言っていたら、すずちゃんが『行きましょう。走っていきましょう』。僕がトイレに行くとき、横で広瀬すずが並走してくれた(笑)」と明かす。

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それから、体力づくりを目的としたトレーニングが始まった。広瀬が“トレーナー”となり、櫻井と福士が“プレイヤー”となる、その名も「広瀬ズ・ブートキャンプ」。櫻井は「私も2時間とか3時間、コンサートをやっているわけですよ。福士くんも武術をやっているわけですよ。でも、それをはるかに凌駕する広瀬すずの体力。もう魔女ですよ。なんなんだ」と目を見開き、そのハードさには「僕なんか汗だくになっちゃって」と苦笑を浮かべる。

続けて「クライマックスシーンの合間にもトレーニングしていたら、僕の汗が引かなくなっちゃって、30半ばにして、汗を現場に待たれるという、スタッフからしたら地獄のような時間を過ごしました(笑)」と櫻井。「私のミスです」(広瀬)、「先生は大丈夫です。僕の手違いでした」(櫻井)とフォローしあう様子に、ほどほどに参加していたという福士は「良い関係性ですよね。このプレイヤーは伸びる、良いコーチついたから、と思っていました(笑)」と愉快そうに話した。

写真/サイトウムネヒロ
写真/サイトウムネヒロ

初共演ながらも、和気あいあいと撮影を進めた3人。お互いに、どんな印象を持ったのだろうか。広瀬は「櫻井さんは、毎日現場で新聞を読まれていたんです。私が『この事件、どういうことですか』と聞いたら、ブワーッと答えてくれて。『NEWS ZERO』を見ている気になりました」と振り返り、一同を笑わせる。福士は「櫻井さんの講義シーンは、やはり説得力が違いました。ご自身の言葉で話されていると、すごく感じていました」と最敬礼。櫻井演じる青江が、地球化学の難解な理論を学生たちに講義するシーンだ。

櫻井「あ、本当に? 僕、セリフの意味、全然わかってなかったよ。ひたすら頭にセリフを叩き込んで、どういう意味だろう、と思っていた」

福士&広瀬「そんなこと、聞きたくないです(笑)!」

櫻井「2人の印象で言うと、カメラの前に立った時、ハッとさせられる瞬間が数多くありました。大人っぽかったり、悲哀を感じたり、“ぽくない表情”をたくさん見た。また映画冒頭の、僕とすずちゃんの登場シーンが、まさにクランクインの日だったんです。つまり僕とすずちゃんが、リアルに会った日なんです。本人はフワフワしていた、と言っていましたが、円華の登場はピリッとした緊張感があり、空気が変わりました」

筋トレ始まりの地である“ガケのシーン”
筋トレ始まりの地である“ガケのシーン”

さらに冒頭の雪山のシーンでは、櫻井が猛吹雪を呼ぶという“魔力”を発揮させた。撮影が中断したそうで、櫻井は「『嵐にしやがれ』という番組でも、僕がロケに行く度に猛吹雪で、ホワイトアウト状態になるんです。スタッフには『エルサ櫻井』とあだ名を付けられ、いじられています」と前置きし、「今作のクランクイン2、3日目。すずちゃんと2人で、ロケバスで待機していました。降っていた雪が止んだら声をかけてもらい、現場に向かうんですが、『お願いします』と言われて行くと、またブワーッと雪が降り始めた(笑)。もう1回車に戻り、また呼ばれて行くと、また雪が降り出した。あの日は本当に、心が痛かったですよ」と肩を落とした。

「大事な日に雨ということがほぼない。むしろ、雨のシーンで雨が降ったりする」という広瀬だが、櫻井の魔力には太刀打ちできなかったようだ。「カットされましたが、セリフでは私が『このあと、雪が止むから大丈夫』と言うんです。でも、屋根を作ってもダメなくらい降って……。皆、翔さんをチラチラ見ていました」と目を向けると、さすがの櫻井も「当然、科学的根拠はなにもないので、僕のせいではないです。これは強く言います!」と断固たる態度を示していた。

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