彼女がその名を知らない鳥たちのレビュー・感想・評価
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愛の形は人それぞれ
「登場人物、全員ゲス」
っていうからどんなものかと思ってたけど、非現実的ではまったくなく、今歩いているこの街にも居そうだし、もしかしたら自分の中にも要素がありそうだし、何なら色々あったあの彼もこの映画の住人かなって思ったくらいだった。
それぞれが、愛、欲望、淋しさ、プライド、そして今までの人生で埋めそびれた穴なんかをどうにか満たそうと必死で、人間だなぁ、と思った。
陣治。不潔で、食べ方も振る舞いも品がなくて、ずっと嫌な気持ちで観てたけど、ベンチで横並びに座っている最後のシーンで「もう生きて居たくない」と泣きながら吐露する十和子に、ベンチからバッと降りて正面から「そんなこと言うたらあかん。なんもかんも引き受けて、全部持ったまま生きてくんや」って力強く伝える陣治を見て、人生を感じました。生きていくことの覚悟みたいなもの、自分に足りないって日々思っている私には、すごく重い言葉だった。
「生きて、見てくれだけじゃない良い男に出会って、子供を産め。俺はお前の中に入る。女でも男でも、その赤ん坊は陣治やからな。忘れるなよ」と言い残して陣治は飛び降りる。生きる希望を無くしてる十和子に、未来と、守らざるを得ない約束を取り付けて、彼女の命を繋ぐために。常識で考えたらきっと歪んでるけど、愛も、その表現方法も、受け取り方も、ひとそれぞれだなぁって、当たり前のことだけど、思いました。
ニンフォマニアの妻と献身夫
蒼井優は「東京喰種トーキョーグール」で恐ろしい人食い女を演じて驚かせてくれたが、この作品で演じた役は、ある意味それよりもずっと恐ろしい。
主人公の十和子は所謂ニンフォマニア、色情狂である。好きなのは背の高い二枚目だ。竹野内豊や松坂桃李といった配役は十和子の願望に添ったものである。電車に乗ってきた男もそうだった。そういった男を見た瞬間に、性欲のスイッチが入り、付き合いはじめると同時に精神的にものめり込んでいく。
一方の陣治は十和子の夫で、年月を経ても十和子への献身的な情熱は衰えることがない。世間体よりも十和子が第一の異様な情熱である。鬱陶しくも有難いこの情熱を十和子は受け入れ、陣治という船に乗って漂っていく。
陣治が料理をして二人でそれを食べるシーンが何度となく出てくる。性欲と食欲。どうしようもなく煩悩に翻弄される人間のありようを、アップを多用したカメラワークがフラットに映し出す。
蒼井優は持って生まれた女らしいフォルムの肉体で、輝く演技をした。陣治の阿部サダヲもエキセントリックな役柄を振り切った演技で見事に表現していた。
脇役陣も、煩悩から一歩も抜け出せないどうしようもない人間たちになりきっていて、安上がりのテクニックを駆使する女たらしを演じた松坂桃李といい、虚栄心から抜け出せない弱い男を演じた竹野内豊といい、ぴったりと役柄に嵌まっていた。
エキセントリックであればこそ描ける人間の本質を上手く表現できた名作である。蒼井優、阿部サダヲの両俳優の代表作となるに違いない。
これを愛とは呼びたくないかも。
映画としてはとてもよく出来ているというか、結構すごいと思いました。
まあ、ミステリーには大変疎い素人だからそう思うのかもしれませんが。
大分最後まで陣治が黒崎を殺したと思っていましたものね。
まさか十和子やったん?ってもんです。
黒崎、水島のどちらもすっごいゲスで、そら見目麗しいけれどもそれだけじゃん。
行為を撮影する男とか気持ち悪くね?(その映像を盾に十和子は脅されるじゃん)
妻子もちの百貨店社員に沙漠への一人旅なんて優雅な余暇ありえなくね?(沙漠旅行は真っ赤なウソ、誌的な感想も本のマルパクリ)
っておもってたらさー。ほらいわんこっちゃないって感じやんか。
黒崎の暴力シーンはおぞましく、パトロン的じじいに十和子を差し出すとかもマジ無理って感じやし。
水島のバカさ加減(名簿紛失して陣治のせいにする、速攻で別の女と遊ぶ)もきもちわるいことこの上ない。
私は、ああいった男に愛されたくて愚かになってしまう女の気持ちにまったく共感できない派なので、
バカが見る~なんとかのケツ~的な感想しか持ちません。
性欲につきうごかされるって程度ならばまだわかるけど、十和子は本当に愛されたくて愛していたわけでしょ。
なぜそんなに視野が狭まるの?もともと視野が狭いから?
もう?マークを大量に噴出しながらの鑑賞でした。
が、それでも見られる、興味が尽きないという点でいい映画だと思います。
唯一切ないなと思ったのは、陣治ですかね。
十和子の罪を隠して隠して。あげく罪を被ったことにして死ぬ。
それで十和子が救われるかといえばそうではないと思います。
もっと知性があるならば、陣治の愛は私にもうらやましいと思える愛し方だったと思います。
でも彼は知性という側面の人間性が脆弱。なのでああいう事しか思いつかない。
十和子を愛するその方法が。
その不器用ながら差し出した人生は、たしかにちょっとぐっと来る。
ただあれを愛とは呼びたくないですよ私は。肯定する気にはならないよ。
陣治が死んだ後、十和子はどうなるんだろうとぼんやり考えました。
水島は警察にいく?本人が何ぼ行きたがらんくても(自分の様々な悪事が露呈したくないから)、
あの怪我じゃあ、周りが届けてしまうかもだし。だったらすぐ口割りそうだし。
そしたら十和子は傷害で逮捕?それとも芋づる式に黒崎の事もばれる?
まあなんでもいいか。思い出した時点で十和子はもう今までどおりでは生きられないだろうし。
役者はすごいなあ、という感想も持ちました。
蒼井優が持ち前のかわいらしさを完全に消して、怠惰で浅はかな女を見事に演じておりました。
理不尽なクレーマーやってる(多分)無職の人を何人か知ってますが、
皆こんなかんじで、うまく行かない人生の腹いせをしてんのかなっておもいました。
阿部サダヲもすごいです。画面はにおわないけどぜったいくさいやろってゆう造形、
食べ方の汚さとか(毎回あつってゆって一回吐き出すの面白かった)、いつものかわいい阿部ちゃんの片鱗なし。
竹野内豊も松坂桃李も嫌いになりそうなゲスを見事に演じておられ、すごいなあと思いました。
特に淀川沿いで口唇奉仕を強要するシーンが、今後の役者人生の汚点になりゃしないか心配になるほど、
にくったらしくて、ちょっとさがせばすぐに見つかる感じのTHEゲス野郎で、見事でした。
最高。
有楽町スバル座での最後の回でやっと鑑賞。 愛ってほんとやっかい。 ...
いろんなかたち
松坂桃李
蒼井優が伝説
キャスト、シナリオ、世界観、すべて素晴らしい。
「幸せとはなんなのか。」非常に、考えさせられる映画だった。
愛とは、付き合うこと?結婚すること?セックスすること?
人間が愛するという行動は様々な形があるが、正解はない。
その人が間と思えば、それは成り立つが一致することも少ない。
蒼井優演じる十和子、最近の蒼井優はこういう役ばっかりだけど、演じさせたら右に出る者はいない。
阿部サダヲ演じる陣治のキャスティングは、監督並に意外だったが、阿部サダヲの全身で感情を伝える演技が陣治ピッタリで、十和子への愛情があふれ出ていた。
自分の生活に結び付けて、愛情とは何なのか。考えるきっかけになると思います。
蒼井優ファンにとっては、濡れ場が多すぎて、ショックかも、、
====================以下、ネタバレ===========================
ストーリーを分解すると、
起:十和子と陣治の生活
承:黒崎への愛情、姉の言動による十和子の行動変化
転:水島への愛情
結:陣治への愛情
といった具合に展開されていく。
起
十和子と陣治は、薄汚いマンションに住み、ただただ飯を食らう。恋人通しであっても、十和子は陣治への愛情は薄く、奉公人として扱っている感じ。こういったシーンが映画にたびたび出てくるが、それが陣治と十和子の"生活"であり、それ以上でも以下でもなく、日々が過ぎていくことを印象付ける。
時折、黒崎との生活がフラッシュバックするものの、それは"DVD"としての"記録"であり、陣治との生活への不満が、クレームとして劇中に表現されている。
このシーン、原作ではここまで象徴的に表現されていない。
承
クレーム対応で親密になってしまった水島という男に感情を揺さぶられ、遊ぶようになると、十和子の姉が相手は黒崎ではないかと疑いをかける。
その疑いをきっかけに、黒崎への愛情を次第に思い出していくが、陣治はかたくなに黒崎ではないと言い張る。
このシーンがこの映画のポイントで、観客にどういった信じるがあるのかを考えさせるシーンだった。
それをきっかけに、十和子の黒崎への思いが再びわき始める。
転
しかし、黒崎は失踪したと警官から告げられる。黒崎の妻に会いに行くが、そこで衝撃の出会いをする。
それを機に、さらに十和子の気持ちは水島に向く。とともに、十和子を尾行していた陣治への嫌悪も抱く。
陣治の尾行に気づいた水島は、十和子と距離を置こうとするが、水島自身が面倒になったのだろう、十和子を断って違う女と遊んでいるのを十和子に見られてしまい、十和子の気持ちが一気に殺意へと変わる。
十和子は水島を殺そうとするが、尾行していた陣治に止められる。そこで、黒崎の失踪の真実について思い出す。
結
黒崎は十和子が殺したのであった。陣治はその真相を隠す意味もあり、十和子を愛し続けたのだ。
陣治は、十和子が真相を思い出したのを確認した後、十和子の目の前で自ら命を絶った。
陣治の大きな愛情に気づいた十和子の前には、陣治が生まれ変わったたくさんの鳥たちが飛び立っていく。
この映画のタイトルにもある、"鳥"は、十和子の愛を表している。
十和子は陣治の思いに気づくまで、本当の愛に気づけていなかった。
それを感じた映画のラスト、号泣してしまった。
印象的なシーンが多かった。
・部屋が崩れ、黒崎との思いでに遷移するシーン
・ラブホでの十和子の気持ちが水島に向く、砂を使用したシーン
・陣治が死ぬときになって、十和子が陣治との生活を振り返るシーン(一番泣けた)
クズはクズ。実際の世界だってそうじゃないか。
ただ、最後に気づけた十和子はクズじゃない。
不可解なシーンもあまりなかったし、陣治のまっすぐな(ゆがんだ)愛情に、素直に感動できる映画だった。
白石監督が愛の映画を描くと聞いた時、嘘だろと思ったが、白石監督ならではの、暗いラブストーリーに仕上がっている。
にしでも、松阪桃李のラブシーンは上手すぎる笑
ほんまスカタンや。
なんでしょう…この感じ。
あまり出会った事のない鑑賞後の余韻。
2時間、見応えはありました。
なかなか展開が読めないけれど、それだけに見入ってしまう。
最初と最後で登場人物に対する印象が逆転するパターン。
コメディー+ミステリー+ラブストーリー
最後まで展開が読めませんでした。
関西弁の二人のやりとりがテンポ良く、浪花の人情劇にみたいで面白かったです。
特に可愛くもない、どちらかといえば関わりたくない、なんか面倒くさそうなタイプの女性、十和子。
人は良さそうだけど、どちらかといえば生理的に近づきたくない小汚い男、陣冶。十和子と陣冶の物語。
陣冶がクセ者かと思いきや、実は十和子がクセ者だった。後半びっくり。
なぜ陣冶は最後あんな行動に出たのか。未だにわからない。
推測ですが、いずれ自分が捕まるだろう。十和子を守るため自分が死んで事件の真相をうやむやにしたかったのか。
それとも、また同じ過ちを繰り返した十和子にもう疲れた。もうついて行けない。でも本音は言えないから、「俺を産んでくれ」って訳の解らないことを口走ってとっさ的にあの行動をとったのか。
それとも、自分が死んで十和子の子供に生まれ変わって一緒に生きていきたい。と心の底から本当に願ったのか。未だにわからないです。
ただ一つ共感出来たのは、いつも機嫌の悪い十和子が陣冶のちょっとした言動でクスッと笑う瞬間。陣冶には笑った十和子がたまらなく可愛くて、飛び上がるほど嬉しくて幸せな瞬間。
ただその笑顔のためだけに生きているような陣冶の男の気持ちは、よくわかります。
しあわせ?かな??
世界観にハマり、バッと読んでしまった作家さんの作品だったので観てきました。
普段の私なら全く興味を示すことのないタイプの作品です。
全員ゲス野郎。共感度ゼロと豪語されていましたが、そんなことはないかなー?好きになるタイプと好かれるタイプは別な人なんて沢山いるし、不倫にハマる人だってごまんといる。あまりにも酷い役柄ではありますが、同じように一回り以上年上のタイプじゃない人に囲まれてる女なんて沢山いるような気もする…。
世界観やストーリーはすんなりと入って行きました。とはいえ、不潔なジンジ、かなり苦手なタイプで、十和子が思わず邪険にしてしまうのはなんとなくわかる。ベットシーン?ではかなり鳥肌が立ちました。
ただ、そこまでしてなぜ一緒に住んでいる??お金目当てにしても、もっとましな人いるのでは???とおもっていたら、最後の展開で、おーなるほど。ってなりました。
飽きさせない映画だ
飽きさせない映画だ。
蒼井優、阿部サダヲの「あ」行コンビの演技は絶妙。サスペンス仕立てということもあって、終始引き寄せられる。
引き寄せられる、と書いたのは、俺はこの映画が描いている世界観に近づきたいと必ずしも思ってはいないからだ。好ましい登場人物がいるわけでもなく、どちらかといえば避けたい人たちが集まって、目の離せない舞台を演じている。だから、「引き寄せられて」しまう。
引き寄せられ、最後まで観続ける事が、自分の幸せを増やしたとは必ずしも感じられない。
それなのに、やめられないところが、原作者 沼田まほかるのすごいところかもしれない。
「あなたが知っている世界とは違う世界が、この世の中にはあるよ」と見せてくれる。いや、強制的に見せられる体験。たまにはいいが、続いたら病気になりそう。たとえば、ユリゴコロとこれを続けてみたらダメージは大きすぎる。
主演ふたりのアカデミー女優賞、男優賞は十分ありそうだ。特に蒼井優は、東京喰種の怪演も記憶に新たなので、かなりありそう。松阪桃李は、ユリゴコロに続き、少し心が弱いというか、少しいかれた男の役が、すっかり板についてきた。
ラストのどんでん返しには参りました!凄い作品!
タイトルなし(ネタバレ)
純粋にいい所ばかりを見て恋してた十和子は、ボコボコにされても美しい思い出に浸り、昔の男を忘れられないでいる。
でも、さすがに3年ぶりの屈辱には耐えられなかったんでしょう。その日以来、十和子の心は壊れてしまい現在に至る。そんな十和子を放っておけない助けてあげたい陣治。最終的には救ってあげられたのかな〜。
殺すまでいかなくても、十和子のような女性は意外といる気がする…
役者がいいですね。
最近の蒼井優は面白い!
(関西弁だったからか、なぜか池脇千鶴を思い出したけど)
それ以上に良かったのは、松坂桃李。笑っちゃうほどゲスエロくて良かった。
本当の献身
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