劇場公開日 2017年9月9日

  • 予告編を見る

「なぜ「三度目」なのか?」三度目の殺人 DEPO LABOさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5なぜ「三度目」なのか?

2020年6月2日
iPhoneアプリから投稿

・他人ごとじゃない法廷ドラマ
・日常のなかで「君って◯◯だよね」って言われて、一理あるけどちょっとずれてるなと違和感を感じるときがある
・それは人が自分のことを正確に見れていないじゃんって感じるから
・要するに人は、それぞれなりの視点で他人を推測している。
・ときにはこうあってほしいという願望もある。
・それでいておのおのは自分のことをあけっぴろげに話すことはない。よっぽどじゃないと答えを出さない。
・だから誰も他人の本当の姿を捉えることはできない。
・できないがこれが一番近いであろう答えを出すだけ。
・人間関係にはそういうあやふやさが大前提としてある
(親子であっても、踏み入れられない領域がある)
・司法の場ではそれでも白黒つけたり数値化して結論を出そうとするから、妙なことになる。
・かえって人間の捉えきれなさがあらわになる。
・他人に対する疑いを晴らすためには、
自分の価値観や時間やすべてを投げうって相手に寄り添って相手を知らないといけない。
・実際はそれぞれ自分の生活もあるし、損得感情もあるし、相手の本当の姿を知り尽くすことは現実的には不可能。
・それでもなぜ人は他人が気がかりなのだろう。
・被告人のキャラクターは、空っぽの器と表現された
・被告は自分の主体性よりも、相手の意向を優先した生き方。
・そして、理不尽に反抗し続けた人生だったのではないか。
・自分が法律的に死刑を免れ生き残ることが、彼にとってはそれもまた理不尽だったのではないか
・つまり、理不尽に反抗するために自分を殺したのではないか?
・それでも自分は生まれてきてよかったと思いたかったのではないか?
・そこが強烈な動機だと思う。
・殺人が誰かの役に立つ状況がある。「あの人の役に立ちたい。」だから、彼にとって殺さないではいられない状況になる。
・被告は純粋に「誰かの役に立ちたい」と思ってただけかも。
そして「役に立たないとだめだ」とも思っていた。
・自分の無価値観に苛まれると人は、自分を肯定するために、どんなことでもしてしまう。それがたとえ殺人でも。
・それは誰にでも起こりうる。
・これでもかというほど、人の心を見つめた映画。
・答えがないことが答えのような映画。
・とにかく観終わったら、ほかの観た人と話がしたくなる良作。

DEPO LABO