夜は短し歩けよ乙女のレビュー・感想・評価
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かっこ悪いのがかっこいい。
同時期の公開とあって、比較されるのは仕方がない「夜明け告げるルーのうた」
どちらが良いとか悪いとか言うつもりはないし、好みといっても、どっちも良くてこれまた難しい。
「四畳半神話大系」ファン待望のこの「夜は短し歩けよ乙女」は、どう見えただろうか。
主人公である先輩を見ていて思ったのは、アホだなーとかださいなーとか、、、ただ、男なら分かる。愚直に恋をした経験のある男なら、きっと分かる。
なるべくクールに振り向いてもらおうと、あれやこれやと好きな人へアプローチをかけるのだが、空回りしたり、何をやっても上手くいかなかったりする。そして、自分はできる限りのことはやったのだからと納得させる。何度も心が折れかけながら、それでも、止められない想いと付き合っていくしかない。
特に終盤の、空想のシーン?男は頭でいろんなことを考える。どうしたらいいか、どんなことを話そうか、クールぶりながら、、、でも、妄想は止まらない。何人もの自分が、あーでもない、こーでもないと議論を進める。一方で、女の人はそんなことは知らんぷりでけろっとしている。
あの妄想シーン、何人もの自分が登場するシーンは、深く自分にも投影してしまった。そして、それをあんな壮大なアニメーションで表現した湯浅監督恐るべし。そして、男の愚直なまでの一途な想いは届かないもの。そうやって男は強くなる。ダサさ、かっこ悪さ、どこまでも真っ直ぐな故に、突き抜けすぎて届かず通り過ぎてしまう。
ルーとは真逆の恋愛観を見せてもらった。やっぱ、男はダサくてなんぼ!たとえ、願いは叶わなくとも。
森見登美彦X湯浅政明再び
これはなかなかの良作。
見終わった後、スカッと爽快な気分を感じた。それも胸の中がポーッと温まるような、それでも爽やかなような。
この映画を見る前に原作小説を読んではいたが、原作を読んだから映画が面白いのか、映画自体が面白いのか。少し悩んだが、やはり後者であろう。細かなところは変えながらも原作を主体とした大胆な演出、アニメーションは原作を殺してはおらず、むしろ生き生きとさせるものだったと思う。
乙女に対する先輩の一途な思いが度々空回り、その中に挟まったユーモア。笑わされる箇所はいくつもあって、最初から終わりまで、観る側を飽きさせない映画だった。
ただ、(記憶が正しければ)原作は一年、それも春夏秋冬を通してストーリーは進むが、あれを一夜のできごとにおさめるには少しむりがあったとも感じた。ファンタジーなのだから、ツッコミをいれてはいけないのかもしれないが。
客受け目的かどうかは知らないが、声優は豪華な人たちがそろっていた。なおかつ、登場人物たちにしっかりと個性を与えるようなフィット感があった。つまり、キャスティングは素晴らしいものだったと、自分は思う。
乙女が歩く
繋がる話
とても気楽にほんわかと観れる作品に思える。
嫌悪感を抱く人は多いだろう。
かくゆう俺もその1人。
作画もそうだし、色彩も「?」
語られる物語もなんだか有象無象だし。
物語の終盤に至るまで「なんじゃこりゃ?」との疑念を払拭する事はできなかった。
ただ…見終えた感想として、表題のような事を感じた。
文学作品然とした作風でありながらも、実に現代にマッチするネタであり、人の社会とそれに関わる人々を軽くしなやかに表現していたように思えた。
劇場公開作品としては、暴挙ともいえなくはないが…1800円の価値を見出せるかどうかは人それぞれであろう。
あれこれ感想を述べ合うのにとても適した素材がふんだんに投入されていて、勝手な妄想を掻き立ててくれる。
例えば京都という舞台を考えてみても、古都というイメージが付きまとい、作品の語る夜の懐の深さだったり、不可思議な登場人物たちへの説得力が付加されてたりする。
古本の祭りが大々的に開催される事への違和感の緩和だったりと、そこはかとなく必然性を感じたりするわけだ。
古めかしい街並みにカラフルな人物たちが存在する違和感が、不思議な調和を奏でだしてくれるのも「京都」のおかげとも思える。
妖怪のような街の実力者がいたりするのも。
あ、「鎌倉」もありかもね。
大学生たちの無駄に上手い歌唱力に、若さ故の才能と情熱の無駄使いを感じてみたり、溢れるエネルギーの暴走を感じてみたり。
様々な題材的な裏側とその必然性を妄想する楽しみがあった。
なかなかに深く良い話が詰まってた。
らしさ全開突き進め湯浅
『夜明け告げるルーのうた』と共にほぼ同時期に公開された湯浅政明監督作。
レンタルで先に見たのはあちらだが、公開はこちらが先。
あちらも独特の湯浅ワールドだったが、こちらはもっともっとらしさ全開!
黒髪乙女の後輩を振り向かせようとする主人公“先輩”の恋愛奮闘劇で、一見ラブコメ的だが、湯浅監督の手にかかれば、
クセが強いんじゃ!
たまたま奇遇を装って、(な)なるべく(か)彼女の(め)目に留まる。
「黒髪の乙女振り向かせ作戦も子供っぽいですから、“なかめ作戦”としましょう」「では、なかめ作戦を開始する!」(某映画より)
…でも、先輩、やってる事ほぼストーカー。
奇遇を装って黒髪乙女の前に現れるのは勿論、彼女を振り向かせる為なら、激辛鍋を食べ、黒髪乙女が幼少時好きだった本を手に入れ、黒髪乙女がピンチヒッターで出る事になった劇の相手役に文字通り“飛び入り”参加する。股間にソフトクリーム付けられたり、フル○ンで黒髪乙女の前に…。
でもでも全ては黒髪乙女の為。
恋路は遠し走れよ先輩!
で、先輩ゾッコンの黒髪乙女。
純情そうな可愛らしい娘ではあるが、彼女またなかなか不思議ちゃんなクセモノ。
魅惑の大人の世界に憧れ、酒は強いわ、ヘンテコな詭弁踊りするわ、代わりに劇のヒロインやるわ、風邪ひいた皆を見舞うわ…。パンチも強い。
本作、この二人以上に一癖も二癖も三癖もある強烈個性キャラのオンパレード。
女装趣味のある学園祭事務局長、パンツを履き替えた事の無いパンツ総番長、エロい日本画収集のオヤジ、古本市の神、妖怪みたいなジジイ…。
ファンタジーでもあり、時々ミュージカル。
酒くらべ、古本市、学園祭…これら全て、一夜の出来事!
独特の作風、作画、演出。シュールで奇想天外な世界観。
正直、意味不明なシーンも多々。
でも、一本の作品の話としては『夜明け告げるルーのうた』の方が筋が通ってるかもしれないが、この不思議なノリ、テンポ、雰囲気はこちらの方が好きかも。
それでいて最後は先輩と黒髪乙女のラブストーリーとして終着。
天晴れ!
好きになったら、これ、ハマる。
しかしこのアニメの夜は長い
いきなりアニメなのにお酒の話になったのには面を喰らいました。
冒頭から「つまらない」と思った方、少しお待ちを。
全部観てから判断して欲しい。(大人目線として)それだけの価値はこの映画にはある。
お酒あり、古本あり、演劇あり、etc....お下品あり。
小説をアニメ化し、現実的な様で非現実な表現。
監督の表現したい事をありったけアニメ化した様な情熱や新機軸は伝わって来るが、万人に受けるかはまた別。映画館で観る様なモノかと言われれば私的に別。
(例えば、過去短編小説アニメ「銀河鉄道の夜」が面白くなかった人ははっきり言って面白くない。小説なら小説のままでいいんじゃない?的感じ。)
私は文学アニメとして見れば面白みがありました。
原作を読んでからだとより面白い!
ポップでキュートで面妖な京都ファンタジー
四畳半神話体系
スピード感そして言葉の力
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