ノクターナル・アニマルズのレビュー・感想・評価
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怖い
スーザン(エイミー・アダムス)はアートギャラリーのオーナー。夫ハットン(アーミー・ハマー)とともに経済的には恵まれながらも心は満たされない生活を送っていた。ある週末、20年前に離婚した元夫のエドワード(ジェイク・ギレンホール)から、彼が書いた小説「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が送られてくる。
夜のハイウェイの運転中に、レイ(アーロン・テイラー=ジョンソン)らに襲われるトニー(ジェイク・ギレンホール二役)とその妻(アイラ・フィッシャー)と娘(エリー・バンバー)。家族を見失ったトニーはボビー・アンディーズ警部補(マイケル・シャノン)と共に行方を探すのだが、妻子は殺害されていた。トニーはアンディーズ警部補の協力を得て復讐を果たすのだが絶望のあまり自殺してしまうという内容だった。
彼女に捧げられたその小説は暴力的で衝撃的な内容だった。精神的弱さを軽蔑していたはずの元夫の送ってきた小説の中に、それまで触れたことのない非凡な才能を読み取り、再会を望むようになるスーザン。彼はなぜ小説を送ってきたのか。それはまだ残る愛なのか、それとも復讐なのか――。スーザンはエドワードと再開の約束をし、待ち合わせ場所のレストランの向かいが、彼は現れず。
この結末は様々な解釈ができて見る人一人一人で感じるものが違ってくはず。
一秒も目が離せない!
映像の力強さに、心ごと持っていかれます。
観ている最中はもちろん、観終わった後も全身に鳥肌が立つような感覚が止まらず、なかなか現実に戻れませんでした。
ヴェネチア国際映画祭には、人間の業を描く作品が選ばれるイメージを持っているので、審査員賞にも納得。
まさに女の業、人間の業が描かれていました。(*´∇`*)
小説の中の物語と現在と過去。
三つのパートが絡み合いながら進むのですが、それぞれのパートで色調や曲が異なり、
特に小説パートの暖色と現在の寒色のコントラストが素晴らしく、細部にまでこだわりが詰まっていました。
一流のバレエダンサーは、ポーズから次のポーズまでの間(ムーブ)も絵になると言いますが、まさにそんな映画です。
小説パートは、かなりの緊張感を強いられるので、主人公が本を閉じて現実に戻る度にホッとしますが、徐々に物語と現実が対となりリンクしていくので、彼女がどれだけ小説の世界にのめり込んでいったのかがうかがえます。
そして、観客も映画にのめり込まされて、抜け出せなくなるというww
一筋縄ではいかない魅力と、語りかけてくるような映像を、ぜひ劇場の大きなスクリーンで堪能していただきたい!
◼︎追記(プチネタバレ注意)
オープニングロールから圧巻で、『さすらいの女神たち』に出てきたようなニュー・バーレスクのダンサー達は、猥雑でグロテスク、チャーミングでユーモラス、威圧的なまでの自信が美しい。
続くファーストシーンは、平面の動と立体の静とか?虚構の生とリアルな死とか?
もう、一気にいろんなイメージがグチャグチャと押し寄せてきて、初っ端から大興奮でした。
彼女は過去の罪悪感から、いつか元旦那に復讐されるのではないかと、心のどこかでずっと怯えていたのではないでしょうか?
ラストシーンは、完璧すぎる復讐に対する喜びと安堵もあったように思いました。
お気に入りは、口紅を拭き取るシーン。(トークゲストのミッツさんも熱く語ってらっしゃいましたが)
彼女がとてもいじらしくて、てっきり服も着替えるのかと思ったのですが…そこはそれ、結局彼女はステータスを捨てられない。
母親の予言通りの女だったということですが、強かさも女のチャームポイントよね♪
圧倒的な映像美
どぎつい、悪辣、繊細、豪奢、女性への業、凶暴、優美、狂気、復讐・・・一つの作品からの連想にしてはまとまりのない羅列ですが、初見で感じた印象です。
そして悪夢のような世界を描く、圧倒的な映像の美しさにただただ圧巻です。
2つの現実と、限りなく近くて遠い虚構・妄想。
映像の美しさもあって、薄い紗越し、もしくはガラス玉越しに世界を見ているような気分でした。
繊細でもろくていびつで、純粋で暴力的な吸引力。
見るたび、年齢や性別・人によって印象が変わる作品だと思いますが、カルト的熱狂はらむ作品だと思いました。
アートディーラーとして成功したものの現夫の関係に不安を抱えているス...
アートディーラーとして成功したものの現夫の関係に不安を抱えているスーザンの元に前夫で作家志望のエドワードから原稿が送られてくる。それは”スーザンに捧ぐ”と冠された『夜行性動物』というタイトルの小説で、そこに描かれたバイオレントな世界を読み進めるうちに現実の過去と現在が混沌とし始める。
残念ながら今一つピンとこない作品。現実世界の過去と未来の隙間に小説に描かれた世界が挿入されるという描写に滲む既視感を突き抜けるものが何もなく、映像も凡庸で印象に残らない感じ。ファッション・デザイナーである監督の感性が唯一際立っていたのがオープニングタイトル。あまり見たくないしそもそも見たこともないものがたっぷり観られるので、その映像のインパクトをその後の話が超えられなかった大変惜しい映画でした。
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