散歩する侵略者のレビュー・感想・評価
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ミカンなんだな。
地球を侵略しに来た宇宙人達が、偵察のために人間のなかから「概念」を収集していくという設定が面白い。
彼らが人間から奪っていく「概念」とは、辞書にのっている「定義」のような普遍的なものではなく、奪い取った元の個人それぞれによって違うものである気がする。教会で子供たちに「愛とは何か」を尋ねたときに、それぞれの答えが返ってきたように。
最後に宇宙人が鳴海からもらった「愛」の概念は、鳴海から真治に向けた愛なのであり、愛情を手に入れた宇宙人が廃人となってしまった鳴海にかける「ずっとそばにいるからね」という言葉も、突然おかしくなってしまった夫に翻弄されながらも一緒に歩きつづけた彼女のなかにあった気持ちだったのだと思うと、切なくてグッときてしまった。
冷め切った夫婦関係から鳴海が愛情を取り戻した相手が、真治本人ではなく真治とは食べ物の好みも違う宇宙人だというのは皮肉な気もするけれど。
無機質で殺伐とした病室のなかで鳴海に差し出されたミカンの美しさだけでもう、この映画観てよかったな〜という気持ちです。
派手なアクションシーンよりも、宇宙人が散歩しながら概念を奪っていく様子や夫婦のシーンをもっと見たかったかも。
ちょっと散歩してくる
今回もしっかり黒沢清監督印ついてた。
ありえない・馬鹿馬鹿しい設定を大まじめに撮り、そこから滲み出してくる恐怖やら愛を問うてくる。キャストが豪華でも銃撃戦があってもキモは変わらず。
宇宙人がよく似合う龍平、そこはかとなくエロい人妻長澤、トリガー外れた演技最高のハセヒロ、と独自の見所は多数。あと宇宙人役の高杉真宙君もよかったねぇ。
どこかクラッシック感を漂わす恋愛シーンと、笑っていいのかわからぬ謎の設定&演出が混合した、見る人を選ぶ映画です。
侵略の目的
ん〰️。
宇宙人には仲間意識があっても
愛の概念がなかった。
その概念を知ることで、
侵略の愚かさに気付き、
やめた?
侵略による植民地化をしないと
宇宙人は生きていけないのでは
ないのか。
やめていいのか?
侵略にきた目的が不明のまま
もやっと終わってしまう。
人類を視察にきた3つの宇宙人は
人間の思想を、我々が物事を認識する
概念の集まりとして研究することで
人間とはどういうものなのかを
仲間に伝えようとしている。
盛り上がるストーリー性は
無いのだけれど、退席するほど
退屈でもない。
見所はどこなんだろう。
長澤まさみさんの包容力、母性愛は、
ファンでなくても、安心感あるし
役者さんの宇宙人演技と
長谷川博己さんの爆弾による被爆姿の
演技かなぁ。
素直な感想としては、
愛着があれば、宇宙人でも
愛せる人がいてそうだなと。
なんか、
自主映画のような自由なノリでした。
概念
難しかったです
なんでも大きくすればいい訳ではない
今回もちょっと。
「CURE」が好きでそこから黒沢監督作品を観るようになったのですが、いつも当たり、外れのどちらかに大きくわかれるような作品が多い気がします。
黒沢監督が書いた原作ものではなく、他の方が原作を書いたものを映画化すると外れが多い気がします。
今回もちょっとうーん。といったところです。
人間の「概念」を奪い、人間とはどういうものかを知った上で最終的には侵略をしていくという話。
侵略者とタイトルにありますが、そんなに大それた描写はなく、淡々と話しが進む感じ。
それといつの間にそうなっていたの?というシーンが多かったような気がします。
(例えば、後半の病院のシーンでの混乱。
いつの間にそんなに概念を奪っていたのかなと疑問。)
松田龍平さん、長澤まさみさんは、良かったと思います。
「愛」という概念を失った鳴海、傍にい続けようと決めた真治の今後が気になりました。
愛は地球を救う? 愛って何?
どこだかわからない、日本の地方都市。
イラストレーターの加瀬鳴海(長澤まさみ)の夫・真治(松田龍平)が保護された。
記憶も覚束なく、物事が判然としないような状態で。
彼が言うことには「ぼくは宇宙からの侵略者で、人間のことを知るため、ガイドをしてほしい・・・」。
一方、別の場所では、一家惨殺事件が起きる。
ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は、事件の生き残り・立花あきら(恒松祐里)を行方を追おうとしたが、現場からほど近い場所で天野と名乗る高校生ぐらいの少年(高杉真宙)と出あう。
彼が言うことには「立花あきらを一緒に探してほしい。彼女もぼくも宇宙からの侵略者で・・・」。
というところから始まる物語で、侵略ものSF。
ユニークなのは、彼ら侵略者が人間を知るためにしていること。
それは、「概念」を盗むこと。
おぉぉ、大学時代を思い出したぞ。
記号論でいうところの、シニフィアンとシニフィエ。
「言葉」を例にとると、言葉の表層(音や文字など)と、その言葉がもつ本質的な事柄(ここでいう概念)だ。
これはコワイ。
概念がなくなれば、その概念が指すもの自体がなくなってしまう。
真治の姿をした侵略者は、鳴海の妹(前田敦子)から「家族」を、引きこもりの青年(満島真之介)からは「所有」を、鳴海の上司(光石研)から「仕事」を、刑事(児嶋一哉)から「自分」と「他人」の概念を奪ってしまう。
特に、最後の「自分」と「他人」の概念を奪われると、どうなっちゃうのだろう。
コワイ、コワイ。
だけど、そのほかの三人は、なんだが意外と楽しそう。
そして、「愛」の概念を奪おうとして教会を訪れたものの、牧師(東出昌大)の心の中に明確な「愛」が浮かばず、奪えない、そんなエピソードもある。
これは伏線。
最後の最後、遂に侵略者たちが押し寄せるのだが・・・
へへへ、「愛」が地球を救うのね。
そして、「愛」を奪われたひとは、当初、「全然、以前と変わらない」と言いつつ、結局はもぬけの殻になってしまう。
愛って何? っていう落としどころの異色のSF映画。
愉しみました!
主演の2人は上手
昨日おもしろい夢見たよ!っていう感じ
ちょっと怖い。R12とかじゃないの?っていう残酷なシーンもある。
それでいてちょいちょい笑えたり、なにこれ泣けちゃうじゃんってところもある。
宇宙人の女の子のアクションのキレが気持ちいい。男の子の方は、浮世離れしてる感じがぴったり。
松田龍平はあのままの感じでちょうど合ってるし、長澤まさみは1番普通の人に近い感じでわかりやすい。演技がうまいなと思った。
長谷川博己はシュっとしてカッコいいのになぜか笑っちゃう感じがこの映画に合ってておもしろかった。叫んでるところとか、起き上がるところとか…いっぱい。
いろいろなシーンがあって、いろいろな感情が湧いてきて、てんこ盛りの夢をみたようなおもしろい映画だった。
劇作家の前川知大による劇団イキウメの舞台を実写化。冷めた関係にある...
劇作家の前川知大による劇団イキウメの舞台を実写化。冷めた関係にある真治と鳴海の夫婦。ある日、夫・真治の様子が突然変わり、"僕は地球を侵略しにきた宇宙人だ"と告白される。同じく町では一家惨殺事件が起き、それを取材していたジャーナリストの桜井も、謎の少年に"ガイドになってほしい"と頼まれる。
散歩によって地球人の生活を調査し、"ヒトの概念を集める"という宇宙人の設定は、コミカルで知的なオチがあり、まるで星 新一のショートショートみたいだ。地球外生命体という第三者の眼を通して、"人類とは何か"、"地球とは何か"、そして"愛とは何か"にたどり着いていく。
主演は長澤まさみと松田龍平、そして長谷川博己。ある意味で3人ともイメージ通りのキャラクターだ。松田龍平はいつも飄々とした雰囲気で、宇宙人に身体を乗っ取られた真治を演じる。長澤まさみも安定した賢い演技で、シリアスにボケるのがうまい。長谷川博己は「シン・ゴジラ」(2016)や「進撃の巨人」(2015)、「ラブ&ピース」(2015)で見慣れた様子、突然のパニック環境に対峙する常識人である。
黒澤清作品は良くも悪くもオカルトばかりだが、ほぼ交互に"大衆モード"→"映画祭出品モード"である。本作は順番からいうと、なりわいのための稼業になってしまうが、一応カンヌの"ある視点"に救われている。
長澤まさみが東宝以外(本作は松竹・日活作品)の映画に主演するのも珍しく、このキャスティングも黒澤清監督も為せる業だが、さらに小泉今日子や光石研、笹野高史、前田敦子、満島真之介など大衆的な顔ぶれが揃う。このキャスティングがなければ場末の映画だ。
キャッチ―なタイトルとピリリと効いたアイデアは、黒澤監督によってより具体表現を得られているが、どうひっくり返しても"演劇的なアタマで考えたプロット"の域を出られていない。小劇団にありがちな"青臭い主張"がまとわりついて、どうもメジャー映画化する必然性を感じられない。テレビの「世にも奇妙な物語」でもいいくらい。
(2017/9/9 /TOHOシネマズ錦糸町/シネスコ)
愛についての映画
愛という概念
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