光(河瀬直美監督)のレビュー・感想・評価
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い〜映画を観たなあ
なんか、い〜映画を観たなあという感じ。
視覚障がい者と視覚障がい者のための映画音声ガイド作成者の話。
視覚障がい者の視界というわけではないのだが、顔のアップの多用により、全体を見通せない不自由さがつきまとう。それは、不快ではなく、かえって「目を瞑ってもいいかな」と感じさせるもの。特に、たびたび挟まる田舎のシーンでは、さまざまな音が聞こえてくるので、目を瞑って音を聞いていたいという気持ちになる。(実際に数回そうしました)
俳優みんな上手、観た人が考えてねというスタンスは、「マンチェスターバイザシー」と近いとも言えるが、ガイド作成がストーリーを構成しており、それに沿って主人公が視界障がい者を理解していくことが描かれ、最後のガイドをどう言おうというオチもあり、派手ではないが、「マンチェスター…」に比べるとだいぶわかりやすい。俺にはこのあたりが、「これを観ている俺って、映画通っぽくない?」と感じる上限くらいかな。
水崎綾女さんも、しっかり演技してたと思う。この映画では名優たちの仲間入りでした。
終盤で中森が駆け寄ろうとした尾崎に言うセリフ 「俺が行くから。そこで待っていて」これが、視覚障がい者が健常者に言いたいことなのかな。私には私の世界がありペースがある。ただ同情し手伝おうとするのではなく、私の世界を想像し受け止めてくれってことかな?
前作に続き
セリフが少なくても、伝わってきました!
うつくしい
やっぱりダメだった河瀬監督。拘り凄そう。でも私には響かなーい…。 ...
この映画のポスターが元凶。
河瀬監督の映画観を知ることができ、そして素敵な方だなと改めて思いました。
モニターの方々の意見交換の場面は、つくづく共感することができました。
予告編さえ見ないようにして、敢えてレビューも予習も一切触れないようにして期待して見に来た映画です。
それなのに、この映画のポスターの写真は、必要以上の情報を私に与えてしまいました。
ああ、二人はこうなるんだなという先入観が離れなかった。
なのでこのシーンに至るまでの前半はとてもよかったのですが、ここからの後半は肩透かしを食らった感じがして、急速に興味が失せてしまいました。
え?どうして二人がこうなるの??
そうならなくても、全然素晴らしい映画になっていたと思うのですが。
優しくしてあげたい、励ましたい、慰めたいイコールああやってキスし合う感情には繋がらないと思うのだけれど…。
カンヌで10分間に渡るスタンディングオベーションがあったというニュースを見て、自分がそこまでしたいと思う気持ちまで達せなかったことが、やや残念。
光
今まで見た映画とは違った感覚で見ることができる作品でした。
永瀬さんの演技にとても引き込まれます。
音声ガイドの内容を話し合っているシーンは演技っぽさが全くなく、本当に自然でした。
樹木さんの音声ガイドのシーンはついつい目を閉じて見てしまいました。
あん同様、自然の風景がとても印象的です。
木々のざわめき、夕日の美しさがとても良かったです。
寄り添う
困難な理想?
障害者でない人間が、障害者の気持ちなど、
本当に理解出来るのか?
「かわいそう」の言葉の複雑な意味。
単なる同情ではないはずだが。
半分は同情と、解っていてもうれしいのか?
障害者は、真の理解など、あきらめているのか?
健常者のそれは、永遠の愛情に変わりうるのか?
年老いた母の面倒をみながら、
盲目の男性と本当に一緒に暮らしていけるのか?
中森に、一瞬の光を見せて、その後もっと暗い闇を見せる事にならないか?
母の、「あなたが、幸せなら、幸せ」が、
切ない。
焼きそばのシーンが非常にいい
ドキュメンタリー手法と美的な絵づくりが見事に融合している印象で、決して高画質とは思えない映像でも、絵だけでかなり魅せられた。
複雑に絡み合う絵に、さらに追加されるイメージ映像など、個人的には非常に好みなのだが、台詞やストーリーについては手放しでは受け入れることができなかった。分かりやすさ重視と思われるような説明的な演出などは個人的には全く不要だと思ってしまうところ。極端な話、もっと絵だけで魅せてほしかった。内容が詳細な説明を要するだけに、逆に説明が入らないところはとことん不親切になってもよかったと思ってしまう。自由に何でも意のままにできると勝手に河瀬直美監督のことを思っているわけで、それ故のもどかしさのようなものを感じてしまった。
前半から中盤にかけてはただただ魅惑されながら見ていたけれど、後半は(最後の最後を抜かして)ほとんど受け入れがたい演出が続く。とくにカメラマン中森が現実を受け入れる場面などにおいては俳優永瀬正敏が可愛そうに思ってしまったほど。
でも最後の台詞は間違いなく素晴らしいもので、終わりかたも非常に格好良かったわけだから、まぁいらぬ批判は個人的な心にとどめておくとして、よかったところをもっと広めたい。
個人的には、中森と尾崎が中森の自宅で焼きそばを作って食べるシーンが非常に好き。虚実の映像がドキュメンタリー的映像を凌駕している瞬間として捉えることができたし、あくまでも虚構の世界をつくり上げるための手法として荒々しい映像をたくさん盛り込んでいるのだという明確な意図を感じとることができた瞬間だった。しかも説明的な台詞と映し出されている映像が見事に融合している部分だったので、作品のテーマとも非常にマッチしていて、秀逸なシーンだと感じた。できれば、こういった映像をもっともっと見たかったなーと思った故の不満たらたらでありました。
切り取られた光りの記憶
見える人には、思考の妨げになる言葉
も使い形によっては
見えない人にとっても邪魔になる。
状態を表現するときに
主観を混ぜるとうるさくなる。
日常的な会話でもたまに
感じることです。
それは、
あんたの考えでしょ、とか
心のなかで反芻するのを
思い出しました。
言葉のやり取りから始り、
傷付けあいながらも、肌を通して
お互いの存在を確認していく
綾女と雅哉の交流に
知らぬ間にひきこまれました。
視覚障害者の創造力はすごくて
スクリーンの中から映像に参加する
そうですが、見える観客も同じで
本当に同化する錯覚にとらわれる
作品が稀にあります。
永瀬さんは、本作撮影前にそれまでの
魂をおいてきて、
撮影に挑んだそうですが納得でした。
作品の世界で生きているようでした。
どのシーンも日常のひとこまをそのまま写したような現実感で心情がかぶさってきます。
本作は、差し込む光りもこだわって
撮影されたようで
映像は観客の人生と繋がって、
目に焼き付いているものが甦る
ようでした。
美しい、夕焼けの黄昏や昼間の
太陽光のプリズムは、観る人それぞれの
場面を呼び覚ましてくれます。
私は小学校の夏休みの日射しや
大切な人と過ごした夕暮れと
重ねていました。
琴線に触れる出来事が最近ないなーと
思っている人に是非体験してほしいです。なにかを考え直す機会になると
思います。
おすすめ。
題材も良かった、役者さんの演技も素晴らしかった。でも...
音と映像の透明感。
事前に予告編を観ない方が良いと思います!
全体的にはよい映画であることは間違いない。
ただ、消えいくものの美しさ、別れに向き合うというのをテーマにしながら、結局は向き合いきるというよりは、新しく分かりやすく魅力的なものの登場によって乗り越えたという印象を受けてしまって、それが映画の深みを損なわせていると感じた。
具体的には、美佐子の中森への喪失体験への共感が恋愛感情につながってしまったこと。
せめて、河瀬直美の処女作「萌の朱雀」のように、直接的な恋愛表現がない形で想像させてほしかった。
受容というよりはより性的な意味をもつキスをいきなりするとか、ポスターがそのシーンであるとかに、劇中で「映画の音声ガイド」に求めている深さにたいしてこの浅さは…と感じてしまった。
あと、事前に予告編を観なくてよかったと心から思った。
文脈から切り離されたくない重要なシーンや台詞が入りすぎている。
いつものように映像は綺麗だし、着眼した素材も素晴らしかっただけに、残念度合いも大きかった。
河瀬直美の唯一性がどんどん薄まって来ている気がする。
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