僕と世界の方程式のレビュー・感想・評価
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【自閉症スペクトラムの少年が、父を亡くした哀しみを抱えつつ国際数学オリンピックに出場する様を描いた物語。初めての恋に戸惑いながら、好きな女の子を追いかける姿は、沁みます。】
■大好きな父マイケルを事故で亡くした少年、ネイサン・エリス(エイサ・バターフィールド)は、自閉症スペクトラムの特徴である、他者とのコミュニケーションが苦手な反面、飛び抜けた数学の才能を持っていた。 国際数学オリンピックのイギリス代表チームに選ばれたネイサンは、ライバルの中国チームの少女、チャン・メイと出会い、今まで経験のない気持ちに驚いて行く。 ◆感想<Caution!内容に触れています。> ・私は、バリバリの文系だが、何故か数学が好きである。今作でも台詞で出るが、二次方程式や因数分解の式は美しいと思うし、結構難しい問題が、上手く解けた時なんかは気持ちが良いからね。 ・今作では、ネイサン・エリスを始め、国際数学オリンピックに出場する少年少女がドンドン出て来るから、言葉だけは知っているフィボナッチ数列を、一発で見抜くシーンなんか、感動しちゃうんだよね。 ・ネイサンが、母(サリー・ホーキンス)と数学を教えてくれた自身も難病を抱えるハンフリーズ先生(レイフ・スポール)との間に芽生えた微かな恋心に敏感に気づき、反抗的な態度をとっても、母もハンフリーズ先生も、彼の事を考えてとても優しいんだよね。 この辺りは、名優の二人がとても自然に演じていて、素敵なんだよね。 ・で、ネイサンが台湾での合宿で出会った、強豪中国のコーチの娘チャン・メイと、徐々に親しくなっていく様も良かったな。 それまで、経験した事のない気持ちに、自閉症スペクトラム故に、上手く対応できないんだけれども、そんな姿も何だか愛おしいんだよね。 <そして、二人はギコチナイキスをするのだが、チャン・メイは父に見つかって、レギュラーを外されてしまうんだよね。 けれども、ネイサンは会場を飛び出して、優しい母と話してから自分の気持ちを伝えるために、母の車でチャン・メイを追うんだよなあ。 そして、二人は列車の中で仲良く会話するんだよね。 今作は、自閉症スペクトラムの少年が、父を亡くした哀しみを抱えつつ国際数学オリンピックに出場する過程の中で、出会った女の子と恋するとても気持ちの良いラストが見れる逸品なんだよね。>
邦題からは想像できない繊細さ
ピントをぼかした映像、ガラスについた水滴ににじんだ信号機や町の原色系の光。 Keaton Hensonの楽曲。 ネイサン役のエイサ・バターフィールド、母親ジェリー役のサリー・ホーキンス。 そして脚本。 すべてが繊細な物語に、欠かすことができないものばかり。 自分のために書かれたような小説、という誉め言葉があるが、 これは、まさにその映画版。 自分のために作られた映画だと感じる人にとって、 かけがえのない映画になることは、間違いのないことだろう。 この映画に出会えたことを、幸せに思う。
インターステラの上位映画
テーマとしてはこれはもう間違いなく🎦インターステラの上位概念を実現可視化した作品である。しかも抽象概念や難解な科学知識で映画を見るのではなく、そう言った要素は散りばめながらもあくまでも一人の少年のビルドゥングスロマン。設定だけ言うと🎦グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち、と似た系譜になり感動系の王道ではあるが。本作品の方が内容が深い。なによりもチャイニーズ少女のジョー・ヤンがめっちゃ可愛くてそれだけでもう★5(笑)
僕と世界の方程式
いい話。 中国人の女の子がかわいい。 自閉症の人は外国語を話す人のよう。相手を理解しようとすることが大切。 多くの公式・方程式があるけれど、恋や家族の絆など、公式に当てはまらないことが世界にはいっぱいある。
癒されるお母さん
個人評価:3.5 母役のサリー・ホーキンスの優しい声と、眼差しにとても癒される。 自閉症の数学の天才児が、教科書には載っていない生きる事、愛する事の方程式を少しづつ身につけ成長していく。 とても穏やかに丁寧に演出しているが、相手役の中国人の少女の内面の掘り下げが無い為、物語にリアリティが薄くなってしまったのが残念。
とても良かったんだけど…
ルークの事が気にかかり過ぎて胸が痛んだ… 最後のエビの話もきっと彼なりのジョークのつもりだったんだけど、空気の読めない傲慢なステレオタイプな自閉症に救いが無かったのはキツイなあ…… 落とされたのも点数の差ではなく協調性を見込んでなのでは?と考えてしまいました。 主人公より酷い奴もいるんだ、君はマシな方と言われてるような気がしてトーンダウンしてしまいました。
文系な私でも、この式なら導けるかも。
まずこの撮影場所って、「奇蹟がくれた数式」(デヴ・パテル)と同じケンブリッジ大学ですね。うひょー。あの映画もよかったなあ。 この作品は一人の青年が、数学によってであった人々を通して成長していく様が、瑞々しく描かれてます。 それまでは自分の殻の中で、数式を解いているだけの少年が。 母・数学教師やオリンピック合宿中に仲良くなった少女によって、その殻が少しずつ破られて行くのがとてもいい。 話は数学のサクセスストーリーではなく、悩みぶつかりくじけている少年なのが見ごたえあります。 数学は落第点だった母親が、少年に「愛の方程式」を説く。少年よ、紙の上では解けない問題もあるのですよ。 原題は「X+Y」ふーん、邦題の方がいい味出てますね。 Σの文字が出てきたときは、さすがに「げ」って高校時代を思い出しちゃったけどね。
答えのない問題
ネイサンとお母さんのやり取りが初めは見ていられないくらい切なかった。 数学の才能があっても、ピアノをすぐ弾けるようになっても、人に溶け込む能力がなければダメなんだと、世界は言っている。 その中で無意識に苦しんでるネイサンやルークの表情だったり言葉がすごく胸に刺さった。 その中で自然体で突っ込んできたチャン・メイが1番ネイサンの気持ちを動かしたんだな。 整理のつかない気持ちを、お父さんの死を受け入れながらネイサンに説明するお母さんには泣かされた。 ネイサンだけじゃなくてお母さんも、先生もチャン・メイもこの話の中で殻を破ったんだな。 最後の終わり方も、これが青春なんだと思えて私はすっきりした。
自閉症と診断された天才的な数学センスを持つ主人公が、数学オリンピッ...
自閉症と診断された天才的な数学センスを持つ主人公が、数学オリンピックに挑戦する中で、方程式だけでは説明できない、父の死や中国人少女への想い、母の愛情を受け入れていく姿を描く。決まった方程式があれば人生は容易いものになるのか?そんなことはないよなぁ。
すごくいい、でも最後は・・
ひさしぶりに映画に引き込まれた。 これはいい兆候だ。 それに「自然数」と「素数」の話って、ワケわかんないけどどこか神秘的で神の数式みたい。だから、平凡なぼくはどこかで愛を見失っているのかもしれない。 それって悲しいけど、ある人と話をしていて気づいたことがある。彼は、いちどリセットする人生でその時にすべてを失った。財産も家も奥さんも、そしてこどもも。それから彼は地道に生きて、最後は急激に成功する人生なんだ。その予言めいた話をしたのはぼくだ。彼は、なにかに生かされていると思う。ひとの力は限られているけど彼のちからは周りのひとが与えてくれる。ひとは、自分の力は小さいのだ。あらゆるものが自分の力では小さいのだ。 だから、ひとの力がいる。そうした素質を彼はもっている。そうぼくは思っている。 ちなみに、ぼくはちがうタイプだ。自分のチカラでやるタイプで、平凡なのだ。 パソコンを立ち上げたときのタクスマネージャーのグラフみたいな急激な上下が彼で、安定した後のグラフがぼくに近い。それに、ぼくはとても閉鎖的でひとが嫌いだ。技術的な思考の稚拙さにいらいらしすぎる。彼にはそこがない。でも、不思議だけどぼくらはウマが合うみたいだ。 話をもどそう。 すごくいい映画だと思う。 きっと、また観たいと思う。 残念ながら、最後は単なるラブストーリーにしてしまった。 こうした納め方ってちがうと思う。
ジン
人間の温かみに溢れた画と音。 主演キャラは勿論、それ以外の役者も良い仕事をしていた。 技能を失い残る価値。 ネイサンの選択はオウムを蘇らせるだろう。 だが、母親への感謝ははっきり描写すべきだ。 大事なものは、欲しいものより先に来た。 振り返らず走る彼の美しい姿を追う。
青い瞳に引き込まれ
主人公の青い瞳に引き込まれてしまいそうになりました。 演技力抜群。セリフが少なくても充分伝わりました。 全体的には何が足りない。最初は夢の世界に引き込まれて行ったのに、ラストは現実にかえってしまうからかな。
性の目覚めと人生の肯定
人間の精神面の発達障害については、いまだ解明途上である。発達障害のさまざまな特長に関する呼称は沢山ある。しかしなぜ障害が起きるのか、どのような過程で起きるのかなどは、よくわかっていない。そもそも生きている人間の脳内の話である。解明が困難であることだけはよくわかる。 自閉症の中にはコミュニケーション能力等の発達障害と同時に、特定の優れた能力を得る場合があるのは誰もが知っているところだ。サヴァン症候群などがその典型だろう。 本作は数学に抜きんでた才能を持つ自閉症の子供ネイサンの話であるが、テーマは数学でも数学オリンピックでもない。テーマを読み解くキーワードはいくつかの台詞として現われている。 一つ目は、子供の頃、落書きのように描いている図形や数式について尋ねた母親に向って「頭が悪いから理解できない」と言う。それはつまり、子供ながらに自分の数学の才能を自覚しているということだ。そして数学の才能があることだけが自分のレーゾンデートルであることも理解している。 二つ目のキーワードは数学オリンピックの合宿に向かう飛行機の中で同行の女の子に言われた、数学について地元でどれだけ優れていても、ここではただの人だという言葉。自分の唯一の取柄であった筈の数学の才能が、レベルの高い世界では決して抜きんでたものではないと認識させられる。その結果、生きていることが不安になる。 三つ目のキーワードはチャン・メイと交わす会話だ。こだわりをチャン・メイにいとも簡単に相対化され、シュリンプ・ボールと綽名までつけられる。 四つ目のキーワードは、合宿の引率者が帰国間近にネイサンに言う、きみの数学はとても美しいという言葉だ。哲学では真善美という概念がある。真は善であり美であるという考え方だ。ネイサンの数学が美しいのなら、ネイサンの数学は真実であり善である。引率者の言葉は、ネイサンの数学の将来は決して暗いものではないことを示している。 そして五つ目のキーワードが、チャン・メイといると心も体も変な感じになると、母に告白するネイサンの台詞である。性欲を感じ、恋をしたことで、母親に自分のことを伝えられるコミュニケーション能力を獲得したことがわかる。ネイサンは少し大人になったのだ。 救われるのはネイサンだけではない。夫を亡くした不幸な母親にも、数学の才能に恵まれながら世を僻んで不自由な生き方をしている足の悪い教師にも、それぞれの救いを与える。 つまりこの映画のテーマは、ネイサンが思春期の初恋をきっかけに人とのかかわりに喜びを見いだしていく話を軸にした、人生の全面的な肯定なのだ。 数学の難解な問題もところどころで登場する。20枚のカードを裏表にするゲームが必ず偶数回で終了することを証明する課題がある。指名されたネイサンは、二進法の論理を用いて見事に証明してみせる。実に胸のすく場面である。
胃にやさしい
「お腹は空いているけれど胃腸に負担をかけたくない……おかゆ食べよう」のおかゆのような映画であった。刺激はないけれど胃にやさしく、ある程度食べた気になる。 数学のことをがっつり中心に話が進んでいくのかと思いきや、あらまぁ青春のボーイミーツガール、家族愛を添えて。 ほっこり涙したい、という方にオススメ。
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