トマホーク ガンマンvs食人族のレビュー・感想・評価
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内容はタイトルの通りだが、テイストは激渋
序盤から中盤がタルいという人もいるようだが、自分にとってはとても豊かな時間だった。
さらわれた妻を助けなくてはならないのに、遅々として進まないうんざりするような4人の行軍。誰よりも焦っているのに一番のお荷物になってしまうアーサー(パトリック・ウィルソン)、経験に裏打ちされたブルーダー(マシュー・フォックス)の自信、現実主義で浮つくことのない保安官(カート・ラッセル)、そして場の空気を弛ませる老保安官補(リチャード・ジェンキンス)のお喋り。チームとしてはガタガタだが、目的に対してひとりもブレることがなく、いつしかそれぞれへのリスペクトも芽生えていく。
そして終盤のバイオレンスが唐突に炸裂する衝撃! しかし転調するのではない。あくまでも地味シブを貫いてきたこの作品ならではのストイックさで、恐怖を煽るようなMEやSEも一切使わないからこそ、底冷えするような戦慄がある。無造作にゴロリと投げ出される死。放り出された伏線。戸惑いとともに、強い説得力に感じ入る。傑作。
隠れた傑作。本作は予告編など事前情報無しでの鑑賞をお勧めします。
風変わりなオフビート西部劇というべきか。とにかく本作はジャンル分けがしづらい作品だし、意図的にそのように作られている。だからこそストーリーは先が読めない展開で鑑賞中存分に楽しめた。
ただ、この監督の独特な語り口にはまらない人には退屈に感じるかも。
邦題の副題はネタバレでホントにひどいが、それでも作品全体の落ち着いたトーンから鑑賞中どんな展開になるのか全く想像できず、その分クライマックスの怒涛の展開がより盛り上がった。
誰でも警告なしに撃ちまくる危ない気取ったやつとか、意味があるのかないのかわからない間の抜けた会話を続ける保安官助手など癖のある登場人物たち。そして邦題からは想像もできない落ち着いた作品全体のトーン。それらが合わさって観る者を想像がつかないところにまで連れて行ってくれる。これこそが映画を見る醍醐味。
正直、配信で何気なくB級映画でも気軽に見るかというノリで見始めたらとんでもない映画だった。なぜこんな作品が今までまったく話題になってなかったのかわからない。しかしそのおかげで嬉しいサプライズの映画体験ができた。
たまにこういう作品に出くわすから映画鑑賞はやめられない。前にキャスティングは無駄に豪華な「カウボーイ&エイリアン」という駄作があったけど本作はあの作品の十倍は面白い。
劇中とりとめもない会話劇が繰り広げられる辺りはタランティーノの影響だろうか。入浴しながらどうやって読書をするかとか、自分達が捕らえられて死の淵に立たされてるのに蚤のサーカスの話をしたりと、どこか間が抜けていておかしい、と同時にスリリングな足の切断手術やリアルなゴア描写があったりと、その落差にはずいぶん驚かされた。
原住民の描写ももはやあれはギャグでしかないから差別的と騒がれるようなものではないだろう。というかあれはどう見てもプレデター。
ただネイティブアメリカンの中には敵部族の人間を食べる風習は実際にあったらしい。後、劇中の食人族集落の女性の描写は確かにやばい。あれは女性を繫殖のための物としか見ていない。実際にあったことなのだろうか。あのシーンが本作で一番衝撃的だったかも。
食人族系の中でもグロさ1番かな
最近の食人族では【グリーンインフェルノ】が1番かな~と思いましたがそれ超えてきた!
人間真っ二つは【テリファー】以外久々に観ました。
そもそも墓荒らしの当の本人に罰与えれば良かったのに巻き添えに遭って災難でした。
夫人誘拐されないでニックだけだったら助けに行ったかな(・・;)
これは😎ハードボイルドだど!
クライマックス直前まで続く、登場人物たちの淡々とした会話が、実はもの凄くハードボイルドなのだな
粋なセリフや気の利いた会話は皆無。
登場人物たちが泣き言を言わない、温情を安く語らないことが徐々に心地良くなり始め、クライマックス直前のノミのサーカス🎪のくだりではついにニンマリしてしまった。
彼等は西部開拓者、フロンティアスピリッツの体現者、これは時代劇なんだと今更ながら思い当たり、へこたれず闘い抜く彼等への監督のリスペクツの意味に気付いた気分です♪
この監督の新作「ブルータル・ジャスティス」も観たくなった
描かれる男達の姿が渋い
プライム・ビデオ鑑賞
クレイグ・ザラーの初監督作品。リバイバルを劇場に観に行こうとしてたら終わってまして、この度プライムで観ることができました。
邦題からしてB級ど真ん中なヤツかと思っていたら、想像以上にきっちり作られた作品。
何というか、男達の命をかけたロードムービーでした。
キャストですがカート・ラッセルやマシュー・フォックスにパトリック・ウィルソンにリチャード・ジェンキンス、並べると実に盤石な感じですね。
作品自体はタイトルそのまんまな内容ですが、2/3位はずっと旅してたんじゃないでしょうか?本当長かったです。
しかしその旅の中で描かれる男達の姿が渋い。実に男臭いです。
BGMはほぼ自然音ですし、夜になると本当暗いし、荒野で景色もほぼ変わらないのですが、男達の会話ややり取りに何だか見入ってました。
そしてやっとの原住民との戦ですが、何かもう人というよりプレデターとかの人外と戦っているかのようでした。後控えめではあるものの、それなりにグロいです。
終わってみると「あぁそうなのか…」って感じでしたが、そこに至るまでの時間がとても濃く描かれているんですね。
何だかんだと楽しめた作品でしたよ。
カート・ラッセルとパトリック・ウィルソンが好きで(笑)
ほとんど音楽もなく突然始まる残酷描写・・不気味でしたね~。 残酷描写は「好きな人には少し物足りなく、嫌いな人にはもちろん無理」ていう感じですかね、声を大にしてオススメしたりはしませんが、時々観たくなります(笑) ああいう民族が近くに住んでなくてよかった・・
米国。銃社会、差別社会生成の根深さ。
今の時代にこれを撮る勇気を評す。
延々緩慢な9割と激辛の1割の構成とした勇気を評す。
米国の建国がこれ程にエグかったのかもと想う時、銃社会、差別社会生成の根深さを知り戦慄する。
ただ綺麗に反対しても治まる筈もなし。
必見、と言おう。
とにかく渋い!
この手の映画ではお決まりの“テンポ良く進んで、とにかく殺してグロ描写!”みたいなのを期待してると裏切られます。
ながーい移動としぶーいおっさん&おじいさんのしぶーい会話がこの映画の見どころです。
食人族との対決はどーでもいいから、この熱き男たちの生き様を見てくれ!と言った感じに物語が進行していく。長い移動で会話で盛り上げるのかと思ったら、あんま喋らない!渋い!渋すぎる!好き!
ちょっとご都合主義なところもあるけど、とにかく最近の映画としては風変わりなテイストで楽しめました。
個人的には人が超グロい死に方でバンバン死ぬより、少ない登場人物がちょい(?)グロで死ぬ方が精神的に来ました(´・ω・`)
やめてあげて〜(´;ω;`)‼︎ってなりました(笑)
あとダイナマイトオオオオオオ(笑)‼︎
閑かな狂気
音声のほとんどが自然音、生活音に限られていることもあって全体的にはとても閑かなトーンで話は進んで行くが、殺戮シーンはかなりエグい。この監督はサディストに違いない。しかし、作る側のスタッフは監督はもちろんのこと、相当楽しんで作り上げた作品だと思う。特殊造形、特殊メイクが全くもって素晴らしい。ガンマンと食人族とは往年のイタリア大衆娯楽映画へのオマージュもふんだんに盛り込み、タランティーノへの愛も保安官補佐の無駄話に溢れていた。2015年の映画だが、完全に見逃していた。今回、レイトショー公開をしてくれた池袋の新文芸座には心から感謝の辞を述べたい。こういう映画を現代に撮ってしまうS・クレイグ・ザラーの作品は今後も要チェックである。妙なテンポと妙なストーリーと妙なキャラクター設定と幾つもの「珍妙さ」がこの映画を作り上げ、妙な新しさを感じることが出来た。この作品に鳴り止まない拍手を贈ろう。
スローペース
カート・ラッセルが「ヘイトフル・エイト」に続いて変わらない風貌の西部劇を、邦題もフザけ過ぎと本作の存在を知りながらスルーし続けてきたが、薄っすらとS・クレイグ・ザラーの名が気になり始め「ブルータル・ジャスティス」でハマってしまった!
観ている側ですらウザったく邪魔に感じてしまう脚の骨折、道中での怪我ならいざ知らず序盤からな訳で、連れて行くなよ!と思ったり、でもそんな彼の痛々しさがリアルに激痛を感じてしまう。
何かが起こりそうで起こらないハラハラ感、そんな感じが長過ぎる程に続いて一息付いた瞬間に超ド級なバイオレンスが唐突に起こり始める。
意味が無いような場面から、そんな会話など、無駄に思える時間の使い方、そんな序盤から中盤に面白味があるような、テンポが悪そうで急激にテンポ良く進んで行く展開に驚愕してしまう。
正当派暴力映画
「またこんな邦題つけて……」と呆れつつ鑑賞したら、タイトルそのまんまな映画だったw
内容は西部劇というより「エイリアン」とか「プレデター」に近いんだけど、インパクト狙いのB級“見世物映画”かというとそうではなく、「ドライヴ」や「ブロンソン」などのいわゆる「正統派暴力映画」の最前線に位置する作品なのだと思う。
(普通なら一番見せたいであろう)アクションシーンは省略するクセに、そこはジックリ見せてくるんかい! というヘンテコな映画で、省略の仕方やオフビートな笑いは北野映画に近いものがあるかも。
ただ、好き嫌いがかなり分かれるのは間違いないし、かなりグロいので注意。
平たいテンション。
ビックリするほど平たいテンションが続く。
最近の映像作品にありがちな時間的距離的跳躍がいかに現実離れしているか思い知らされた。とにかく、馬や徒歩での移動って大変だよね。鑑賞時間の大半は、4人の男たちの移動シーンだもんね。リアルに描くんだな、と思いきや、食人族はなんだか急に方向変わる。ジュラシックパーク3のラプトルばりに吠えるし、人をケツから真っ二つに割るし、なんだか急に濃くなる。それでもテンションのアップダウンはないという、ホント謎な作品。意外な程、ゴア描写には気を使ってるところは◎とは言え、正直深夜に観てるので、寝落ちしかけたのはご愛敬。
振り切れ方が足りない、、
個人評価:3.6
保安官の漢気にはココロ打たれながらも、長いなぁと感じるのは否めない。
タランティーノなら、この間延びは感じさせないだろうが、会話劇に特にセンスも無いので、ただただ、メインの展開に備えて、2時間待たされたと感じた。
白人と原住民の超えてはならない境界線も、テーマにはあるかもしれないが、特にグロくもなく、ウェスタンでもなく、どこにも振り切れていない。カート・ラッセルだから成立した作品だろう。
敵が強くて楽しめた!!
スローテンポですが、絶望的な状況をどう覆していくかという展開は観ていて楽しかったです。道中は長いですが最後はあっさりし過ぎでした。「賢い男は結婚しない」、「命懸けで助けに行くのだから、少しくらいからかわせてくれ」、「騎兵隊が向かっている」、「必ず皆殺しにしてみせます」等の台詞も熱くて好みでした。西部劇なのに美術設定も物足りず見るからに低予算ですが、役者の存在感や演技で引き込まれた良い映画だと思います。
続編のダイナマイトの伏線回収に期待です!
率直に言うと、、、"shit!!" 肩透かしを食らっちまった! て感じなんです!
レンタルショップでそのパッケージを観て「これはきっとマカロニをヒルズハブアイズでいい感じに味付けした素晴らしい食人映画に違いない!」と即決でいそいそと家に帰って観ました。
そして開始から大好物首筋カットシーンからスタート!錆びた切れ味の悪いナイフのザクザクという音が響く中、共犯の男が現れる、シド・ヘイグじゃねえか!!これは!間違いねえ!きっとすごいものが始まったに違いないと思ったのも束の間、シド退場、、アレ??ここからガックシ、、、
足を怪我した動けない主人公(パトリック・ウィルソン)保安官(カート・ラッセル)達の後半と言うかほぼ終わりまで続く鈍重な移動、移動、移動。ま、瞼が重くなる!その間に奥さんがどんな風な扱いを受けて男の数を知ったのかとか(まぁあれしかありませんよね)浮浪者がどうやって喰われたとか、一切描かない!その後の最終決戦も「あー怪我した俺死ぬわ」「捕まったーアヘンでどうにかなるかな」とかおい!緊張感ねぇよ!極め付けは匍匐前進の怪我人に殺られ続ける食人族。なんなんだよ!
きっとアレなんですよね!次回作があって、次は食人族が復讐に来て残虐の限りを尽くして、血で割ったアヘンのレッドアイを飲むっての考えてるんですよね!?使わなかったダイナマイトも伏線として残してるんでしょ!?
と言うことで、続編のダイナマイトの伏線回収に期待です!ドカァーーン!!!
食人族と言うより
人型の別の種族?
咆哮としか思えない声とか、なんだろう?
黒人食べないのは同型の種族がいるからとか想像してしまう。
中盤まで、歩きと野宿シーンが続き怪我人との掛け合いが何回もありイラッとしてしまった。
穴居人は体を白い粉で塗っているだけに見えたから、恐いと言う感じはないが、惨殺シーンはちゃんと用意されており、苦手な人にはキツイかも?
保安官に助手のじいさん、伊達男、拐われた妻を救うつもりの旦那(怪我人)の四人が何とも頼りない。
ラストにあの展開だと、どうも腑に落ちない。
奥さん生きてて良かったけど、ハッピーな気はしない。
血の子午線
S・クレイグ・ザラー初監督作。
カート・ラッセル、パトリック・ウィルソン、マシュー・フォックス、リチャード・ジェンキンス出演の西部劇。
撮影日数21日、製作費1.8百万ドルの低予算映画(ちなみにカート・ラッセル主演の西部劇ヘイトフルエイトは製作費44百万ドル)ながら、その佇まいが素晴らしい。
『ガンマンvs食人族』というタイトルに一応偽りはないが、その撮り方が非常に冷静。さめている。思っていたのと違う。
アクションやスプラッター映画に付き物の「煽り」が皆無。焦らすわけでも急き立てるわけでもなく淡々と一定のテンポで刻まれるカット。ごく普通のドラマみたいな撮り方。ちょっと渋めのロードムービーといった趣き。
普通の撮り方、普通のテンションのまま、ザクっといくから、えっ何これ?となる。ザクっといくシーン自体は少ないが、思い切りが良い。食人系『グリーン・インフェルノ』が、お子ちゃまレベルに思える。
監督曰く、カサヴェテスや北野武に影響受けたらしいけど、確かに初期北野の「えっ、突然ここで撃つの?」的なドキっと感がある。気づいた時には全て終わってるみたいな。
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個人的には現代版『ワイルド・アパッチ』であり「ブラッド・メリディアン」だなあと。今時『ワイルド・アパッチ』やって、カッコ良く決まるというのは凄いことだなあとも思う。
『ワイルド・アパッチ』は騎兵隊のラッパが命取りになるが、本作では喉笛で救われる。その対比が素晴らしい。
(葉巻のあたりも『ワイルド・アパッチ』だなあと思う。)
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キャスト全員が、奇跡的に良い。
『LOST』以外は全てダサいが定説のマシュー・フォックスがカッコ良くて驚く。
リチャード・ジェンキンスのオジさん臭い喋りのトーンが映画に上手くハマっている。
カート・ラッセル、個人的には『ヘイトフル〜』より本作の方がイイ。
コイツ役に立つのか?と思わせておいてのパトリック・ウィルソンが素晴らしい。
この人の色気みたいなもんが、話の牽引になっており、冷めた撮り方に熱さを加えていて、とても良かった。
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追:S・クレイグ・ザラー、小説家・音楽家としても活動中。彼の小説「Wraiths Of The Broken Land」はリドリー・スコット監督が映画化を狙ってるらしい。「ブラッド・メリディアン」好きなリドリー監督、なるほどの組合せだなと思う。
エンドクレジットの歌はS・クレイグ・ザラー作らしいが、「四人の男が国境を越えていくよー」ってマジメなのかフザけてるのか、良く判らない歌で、その得体の知れなさが面白い。
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