残像

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解説

「灰とダイヤモンド」などの抵抗3部作で知られるポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督の遺作で、社会主義政権による圧政に不屈の精神で立ち向かった実在の前衛画家ブワディスワフ・ストゥシェミンスキの生涯を描いた伝記ドラマ。第2次世界大戦後、ソビエト連邦の影響下にあるポーランド。全体主義による圧政が敷かれる中、画家のストゥシェミンスキはカンディンスキーやシャガールらと交流を持ちながら、創作活動と美術教育に情熱を注いでいた。しかし、芸術を政治に利用しようとする政府に反発したために迫害され、名声も尊厳も踏みにじられていく。それでも彼は芸術に対する希望を失わず、自らの信念を貫き通そうとするが……。主演は「パン・タデウシュ物語」のボグスワフ・リンダ。

2016年製作/99分/G/ポーランド
原題または英題:Powidoki
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2017年6月10日

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映画レビュー

3.0苦難のポーランドを描き続けたワイダ監督の最終章に…

2023年10月10日
スマートフォンから投稿

キネマ旬報では3名の選考委員の1位評価の
結果、第11位に選出された
アンジェイ・ワイダ監督の遺作と知り、
初鑑賞した。

この作品では、芸術の分野にまで
あからさまに踏み込み人間の尊厳を否定する
社会主義体制の暗黒面を見せられて、
最後の最後まで、主人公の
沈鬱で辛い人生描写が重苦しく綴られ、
戦後のポーランドが
国民のためにあるのではなく、
ソ連支配下での共産党政権のための国家で
あったことがヒシヒシと伝わってきた。

それだけに、本編ではないエンドロールの
色彩豊かな映像には、主人公が生きたのが
民主的な自由な社会であったならとの
希望の映像として心を打った。

それにしても、主人公を必要以上に
悲惨な状況に追い詰める面々の、
人間としての心情は、
人によっては苦渋の行動でも
あったろうと信じたいが、
実際はどうであったのだろうか。

苦難のポーランドを描き続けたワイダ監督
だが、検閲部署との闘いで
妥協せざるを得なかった話も伝わる中、
あのソ連支配の中で、
「灰とダイヤモンド」等で
巧妙に反体制的内容を含み入れた
卓越した能力と努力に対しては
頭の下がる思いだ。

この作品については「灰とダイヤモンド」や
「コルチャック先生」と比較すると、
ストレート過ぎて重層さに欠ける印象だが、
ソ連支配のたがが外れた後のワイダ監督の
創造への喜びは如何ほどであっただろうとの
思いも頭をよぎった。

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KENZO一級建築士事務所

4.0全体主義の狂気

2019年1月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

知的

難しい

この映画を、社会主義の失敗の糾弾と捉えるべきではない。芸術の弾圧と歪曲は、反共産主義を掲げたナチスや大日本帝国でも見られた現象だからだ。行き過ぎた全体主義、ひいては他者の見解を頑なに認めようとしない人間の本質的な部分の過剰な発現に警鐘を鳴らしている作品と見るべきだ。
私自身、この高度資本主義経済社会において、生まれながらの格差を見せつけられることが多く、その理不尽さを体感してきた人間である。だからこそ、労働者の結束と富の平等な分配という理念には心踊るところがあると感じる。
しかし一方で、私は芸術のジャンルとして、わけのわからないもの、不気味なもの、説明のつかないものを好む。例えば、佐々木マキ氏の漫画などがその例だ。佐々木マキ氏は、漫画の神様に狂人呼ばわりされたことがあるそうだが、私は漫画の神様のことも好きなので、この話には複雑な気持ちになる。しかし、漫画の神様は他者の芸術家の自由に干渉し過ぎたのではないかと思う。
どんなに偉大な人物でも、権威者になると他の考えを討伐したくなるものらしい。それはいけないことだ、と反論できる環境を確保しておくことが重要だろう。

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a0064

2.5ぽかーんとしながら見た

2018年10月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

この人や芸術について知識がない、ことを前提だと入っていけない内容、かな。もちろん、思想の弾圧に苦悩する芸術家の姿はドラマとして見れるわけだが、制作者の思い入れを汲み取るところまではいかない。
なので、見る人を選ぶ映画でしょう。(レビューの温度差が出やすいジャンル)
あ、もちろん、ぽかーんとしながら見たくちです。トータル普通ってことで。

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okaoka0820

4.0遺作

2018年9月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

怖い

ポーランドの巨匠、アンジェイ・ワイダの遺作で、実在した画家の話。
主人公は第一次世界大戦で片足を失っていた。
第二次世界大戦終戦後、ソ連の強い影響力のもと、ポーランド共産党から目を付けられ迫害される。
主人公は反骨、というよりも淡々としたヒューマニストというイメージで、それほど反政府でもない人物を抑圧した全体主義に虫唾が走る。

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いやよセブン