「もしかしてギャグでやってる?」BLEACH といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
もしかしてギャグでやってる?
原作は15巻くらいまでは読んだことがある程度の事前知識で鑑賞しました。
今回映画化された部分は原作で言うと7~8巻くらいまでの内容ですので、原作と比較しながらの鑑賞となります。
結論から言えば、正直酷かったと思います。グランドフィッシャー戦までで終わらせておけばある程度綺麗にまとまった話になっていたと思いますが、続編を匂わせるためなのか、朽木白哉や阿散井恋次を出して蛇足のような戦いを繰り広げてしまったのは個人的にはマイナスポイントです。
何故ここまで絶賛のレビューが多いのか、不思議でなりません。
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幽霊が視える高校生・黒崎一護。彼の前にある日死神を名乗る女・朽木ルキアが現れる。人を襲う悪霊である虚(ホロウ)を追っていたルキアは「ホロウは一護の類稀なる霊力を狙っている」と告げ、一護とその家族をホロウから守るために戦い、瀕死の重傷を負ってしまう。ホロウを倒すために、ルキアは死神の力を分け与えることで一護を死神化させ、何とかホロウを撃退することができた。その日から、一護は高校生兼死神代行として、ホロウとの戦いに巻き込まれてゆくのであった。
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ストーリーとしては大筋は原作通りなのですが、随所に改変が見られます。
登場するホロウは、序盤で黒崎家を襲撃した「フィッシュボーン」と、一護の母親を殺した「グランドフィッシャー」の2体のみ。原作ではストーリーに絡んでくる重要なホロウが5体くらい登場するのですが、上記の2体以外はバッサリカットされています。映画化するにあたっての改変は妥当だと思いますが、カットされたホロウは映画にも登場した一護のクラスメイト、茶渡泰虎(チャド)と井上織姫に関わる重要なホロウだったため、せっかく登場させたクラスメイトのキャラクターが掘り下げ不足で物足りなく感じました。また、死神と敵対するクインシーであるクラスメイト石田雨竜も、十分なキャラ描写が無く、こちらもまた掘り下げ不足に感じました。
十分な掘り下げをしないのにわざわざ登場させたのは、原作において「死神代行編」に続いて展開される、「尸魂界(ソウルソサエティ)編」にもチャド・織姫・雨竜の3人が登場するからだと思います。この映画単体で成立させる気が感じられない続編ありきの展開で、せっかく「母親の仇敵、グランドフィッシャーを倒す」という、映画の綺麗な着地点を通り過ぎてずっこけた感じです。
多くのレビュアーさんが絶賛している戦闘シーンの殺陣も、私には微妙に感じられました。
原作の設定で「一護は莫大な霊力を持っているため、斬魄刀も大きい」というのがあり、実際に殺陣のシーンで福士さんが使用している刀は非常に大きなものです。大きくて重くて取り回しが難しいためか、斬って斬られてというチャンバラ的なアクションシーンが作中にはほとんどありません。全編通してキャラクターの動きがあまり無いアクションシーンが多く、ワンパターンな戦闘が続きます。映画中盤で、鬱陶しいくらい描写されていた特訓のシーンが活かされているような戦闘シーンも皆無でした。
特に私が気になったのは最後の朽木白哉との戦闘。「一護斬られて倒れる→勝ちを確信した白哉が刀を納める→一護が立ち上がる→白哉が再度斬る→一護倒れる」というシーンが3度ほど繰り返されます。くどい。めちゃくちゃくどい。あのシーンは原作にもありますが、原作はあんなに何度も繰り返さないです。
色々と不満点の多い作品でした。
続編を匂わせるような作品でしたが、「死神代行編」に続く「ソウルソサエティ編」は登場人物も多いですし、なにより非常に長いストーリーです。「死神代行編」がこの体たらくなら、「ソウルソサエティ編」を制作したところで失敗するのは目に見えてます。絶対に続編は作らない方がいいと思います。