ラストレシピ 麒麟の舌の記憶のレビュー・感想・評価
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伝説のフルコース「大日本帝国食菜全席
映画「ラストレシピ 麒麟の舌の記憶」(滝田洋二郎監督)から。
主人公は、依頼人の「人生最後に食べたい料理」を再現して
高額の報酬を得る「最後の料理人」。
実は、その設定に「?」が付いてしまったから、
あまり真剣にストーリーを楽しめなかったかもしれない。
料理とは、本当に正確にレシピどおりに作ったとしても、
本人の体調、その時の天候や温度といった自然環境、
もちろん、その土地独自の風土や、誰と一緒に食べたか等、
いろいろな要素が加味され、美味しかった、と思うはず。
だから冒頭の「料理を再現する」という設定に疑問符をつけた。
物語の軸となっている、1930年代に、満州という地で作られたとされる、
伝説のフルコース「大日本帝国食菜全席」も、
現代、日本の地で食べて美味しいかどうか、それさえわからない。
一度食べればどんな味でも再現できる絶対味覚「麒麟の舌」って、
私もそんな舌が欲しい、と思わなかったからかな、
あまり夢中になれなかった気がする。
テーマは何だったのか、周りを囲む人たちの温かさだけが
妙に引っかかった作品だったなぁ。
主人公が羨ましくさえ思える作品
映画なので、主人公の設定や過去との繋がりは何かしらあるだろうな?と前半勘付いてしまうだろうけど、最期まで観てから判断してもらいたいなぁと思う作品になってます。
二宮演じる「一度食べたものは必ず同じモノを作る事が出来る」料理人が、ある時中国人に幻のレシピを探す依頼を受け奔走する物語。
1930年代 満州の物語がメインなので、現代まで生きている老人達に年齢が少し足りないかな?と思いつつも、大日本帝国当時を振り返る映画作品としてはギリギリの制作公開時期だと思ったし、内容でもあったと思う。
満州の物語が淡々と進む中、徐々に明らかになって行く過去。
そして結末。
ラストは「良い話だな」と言うよりも、主人公が羨ましくさえ思えた。
だって主人公の苦労や孤独も分かるが、それを見守る周りの人々が暖かいんだもの。世代を超えて。
そして、こんな宝物誰だって貰える訳じゃない。
ラストを詳細しきるとネタバレ感満載なのでこれにて。
あっそうそう、評価マイナス点は全席料理にて美味しそうに見えなかった料理があった事。モチを包んだロールキャベツとか、枝豆ごはんとか。
あと作品タイトルどうにかならんものだったのか、、。
時間がある時に自宅で家族とゆっくり観て頂きたい作品です。
そのレシピの味(思い)があなたを満たす
昨秋、劇場で観ようと思いつつも、時間やお金の都合で断念した本作。
観た人の評判の高さは聞いていたが、なるほど、納得。
滝田洋二郎が手堅く手掛けたヒューマン・ドラマの佳作であった。
一度口にした味を忘れない“絶対味覚”を持つ料理人・佐々木充。
才ありながらある理由から、多額の報酬で依頼された料理を作る孤高の身を送っていた。
そんな彼に、奇妙な依頼が舞い込む。
中国料理界の重鎮から、ある料理のレシピを再現して欲しいというものだった。
それは…
実現していたら世界の料理史に刻まれていただろう“大日本帝国食菜全席”。
考案したのは、30年代、満州に渡り、充と同じく“絶対味覚”を持つ天才料理人、山形直太朗。
しかしそれは、幻に消えた。
その謎、レシピを再現する為直太朗の足跡を辿っていく内に、充は…。
現代と30年代が交錯して展開。
幻のレシピの謎を巡るミステリー的要素、直太朗の悲劇。
やがて充が知る真実とある思い…。
なかなか構成も巧みに練られ、伏線も張られ、引き込まれた。
充と直太朗、似ているのだ。
“絶対味覚”を持っているだけじゃなく、その天才気質。
ドライな性格で、料理に一切の妥協を許さない充。それ故、失ったものは多い。
直太朗は基本は温和な性格ではあるが、ひと度没頭すると周囲が見えなくなる。
最高の料理を作る為なら犠牲も厭わない二人。
プロでもあるが、何か欠けたものも感じる。
天才というのはいつの世も…。
それに、二人が“似ている”のは…。
物語の進行上、充視点で語られるが、主役は完全に直太朗であった。
満州に招かれ、依頼された世界最高峰の料理のレシピ作り。
世界を一つにするレシピを作る。
理想的でもあるが、彼がその思いやレシピにかける情熱は命以上のもの。
妻、日本から一緒に来た弟子、地元の手伝いの満州人と共に、理想のレシピを求めて…
直太朗のレシピ作りは苦難と悲劇が交互に。
レシピ作りに行き詰まる。
そんな時、支えになってくれた妻。
やがて妻は娘を出産し、命を引き取る。
最高の料理とは、レシピとは…?
直太朗は変わる。
そして遂にレシピが完成した時、軍から依頼されたこのレシピ作りの本当の理由が…。
それはあまりにも残酷。
妻や仲間と共に作り上げたこのレシピ、この年月は何だったのか…。
苦悩、ある人物を守る為にしたある仕打ち…。
直太朗の悲劇には胸締め付けられる。
歴史のうねりに翻弄され、埋もれたレシピは今、何処に…?
その存在に一歩ずつ近付いていくと共に、何故充にこのレシピ作りが依頼されたかも明かされていく。
先に述べた通り、それは巧みで意外性あったが(人によっては先読み出来るかも)、巧く纏め過ぎてちとセンチメンタルにも感じた。
でも、それに込められた思いは充分に…。
そのレシピは呪われたレシピでもある。
直太朗を始め何人を翻弄してきた事か。ある人物の命さえ…。
しかし、それ以上に、直太朗たちどれほどの人々の思いが込められたレシピであるか。
そのレシピ=思いが、今、充へ。
彼に届けられるべき、彼の為のレシピ。
充がその思いを知った時、見てるこっちも、胸もお腹も満たされる。
二宮和也はどちらかと言うと、受け身の役回り。
西島秀俊の好演光る。
現代パートで充の友人役の綾野剛も実は、支え人であった。
宮崎あおいは鉄板の良妻役だが、ちょっとお飾りの気が…。
本作の主役の一つ、数々の料理。
その美味しそうな事、美味しそうな事!
食べられる演者が羨ましい!
特にどれが食べたい?…なんて言われても、一つに選び切れません!
よく料理は愛情と言う。
それを一蹴する充。
しかしそれは間違っていないと思う。
精魂思いを込めた料理が美味しくない筈がない。
作る側が美味しさ、喜び、幸せを込めなければ、幾ら最高級でもそんな料理を食べても何の味もしない。
素晴らしい料理(作品)と味(思い)を堪能出来た。
昔の想いが今に伝わった
一度食べた物の味を忘れない佐々木。
昔作られたレシピの味を再現しようとして、レシピを作った人のことを調べていきます。
そのレシピに関わった人達と関わりを持ち、佐々木本人のことが分かってくるという内容だった。
料理の話がメインかと思っていましたが違いました。
しかし、これはこれでいいなと思いました。
料理を作る人の努力や情熱がよく描かれていました。
物を作る人はすごいと思います。自分が作った物が残れば、それを後世に伝えることができ、その人の想いも一緒に伝わっていくんだなと思いました。
話の中で、戦争中の夫婦が出てくるのですが、妻はすごいなと思いました。
夫のために尽くし、しっかりと見守っている様子がとてもいいなと思いました。
お料理で生きている
西島さんという素晴らしいシェフを表現し、宮崎さんという素晴らしい奥さんがあって作品に感情移入できました。
素晴らしい他の俳優さんが様々な色を添えた、フルコースのような作品。
「お料理とは、人を幸せにするもの」と再考し
そういうお料理をお出ししたいと、ミッションを思い出させました。
悩んでいた時期、生きている実感がわかなくて「美味しいものを食べれば、生きていると実感するかな?」と考え、高級店で食事しましたが、舌が味を感じなかった。
本当に美味しいお料理は、自分が頑張らなくてはいけなくなる位
悔しく美味しい。
ただ、今本当に美味しいお料理は「無農薬」で「無肥料」に自然のうまみが凝縮した旬の食材。
映画のようにデコラティブなお料理よりも「肥料をやらずに育てた」奇跡の農産物は、旨味がぎゅーと詰まってとても甘く美味しい
など、色々考えさせられました。
この映画を見るためだけに往復で4時間の映画館へ行きました。
皆さんも、ぜひ見て頂きたい!
家族・夫婦・友・絆 など、色々と深いです。
PS 日本軍人が悪いように描かれているのが、中国の方の演出ではないかと納得いかない。
レシピ"なんだ
前半と後半のストーリーの進み方がアンバランス。ラスト20分に「料理人・充」と「レシピ」との関係が一気に明らかになる。それまではなぜ「料理人・充」なのかと気になり、ありがちなストーリーに辟易。レシピにまつわる過去の思い入れも馴染めなかった。ただ、綾野剛の演技はさすが。ストーリーを唯一現実に戻してくれる。監督は「おくりびと」などの滝田洋二郎
うーむ
ちょっと寝てしまいました。
なんて回りくどいことをする話なんだと思ったり、家火事を見た子役の声がワザとらしい過ぎたり。。。(まぁ、仕方が無といえば仕方が無いか。。。)
宮崎あおいちゃんの、温かい妻像が良かったです。
あと、炒飯が食べたくなりました。
おもしろいただ、
これは二宮和也が主演ということになっていますが、ほとんど西島秀俊さんの作品と言えるような形となっています。西島秀俊さん演じる過去パートが主軸ととなり、物語が進んでしまうためどうしても現代パートを上手く描けなかったのかなと感じました。現代パートはあいつのところへ行けの連続で言われて動く宝探しを見てる気分でした。
綾野炒飯食べたい。
小説を全く知らなかったので、あの時代にこんなことがあった
かも知れないよなぁ…なんて思いながら観ていた。ラスト登場
する双方の料理は必見モノ!であそこだけでも泣ける。主人公
はニノが演じる現代版の方になるが、断然西島パートの過去版
が中心で、役者の演技も料理も分かり易く観やすく感情移入も
できる大河ドラマのよう。絶対味覚というものを持った才能は
凄いけれど職人肌の料理人ともなればああいう性格の人は多い。
支えた奥方のあっけなさには涙が出たが、炒飯を作る綾野剛の
腕のアップにどれだけ震えがきたことか!食べさせてその炒飯!
タイトルに納得、サブタイトルにう〜ん
※完全なるネタバレ。
※全く軽度でないネタバレ。
あ、これ、某公共放送でいうところの「ファミリーヒストリー」だ。
泣ける。
last recipe…。ラストには、最後、ともう一つの意味がある…。そういうことか。
鎌田君もつらいよなぁ…。
軍服を纏っているときの己の殺し具合がなんとも…。コック服のほうが似合うよ…!
自身を投げうって人を救えるような聖人じゃないし、自分が助かればいいと思えるほど馬鹿でも非情でもない。
自分を責めてほしい人にはそうしてもらえず、自責の念と共に生き続ける、料理し続ける、そうしなければいけないというのも、ある意味呪いだ。
2017劇場映画トップ3に入れる映画!
原作を読んでからの観劇。
一言で言えばとても暖かい話だった。
もちろん原作、脚本も元々とてもいいが、
滝田監督の腕もすごかったと!
原作と比べたらかなりシンブル化されたストーリーだが、
その工夫した加減がちょうどよかった。
小説のいい映画化って、多分小説を遥かに超えるものが成功だというより、人が小説読んだ時に想像したものを具現化しつつ、人に映像自体で視覚的に作品の面白さをさらに魅了させるというものの方が成功かも。
だからこの映画は、凝った内容とスタイルで、作品の添え物でありながら、作品の素晴らしさ、暖かさをきちんと伝えてきたものだと高評価できるかも!
俳優さんはかなりのハマリ役で、とてもよかった。
ニノの料理もちょんとできた上での演技は、説得力も上げた。
カメラワークも意味深かった。
気づいたところ、好きなところ三つある。
①山形直太朗がメニューに火をつけたシーン。
1回目の鑑賞で散々泣いた!
その前に料理にも火を付けたが!。
ちなみに幸さんもお店の火事で亡くなった。
わざと「火」を表象するってのは、
やっぱり火は、料理を作り、人を幸せにするものでもあって、一瞬で全てを毀すものでもあるという両面性を持っているだろう。
山形の理想も、火のメタファーのように、幸せを生み出すものであるようなはずだが、予想もせぬ瞬時に灰になる。
山形さんは料理人として、結局自分でレシピを燃やすという行動に、観客も悲しくかんじるのでは。
②幸さんが火に飛んで行ったその瞬間、幼年の充と青年の充の顔が揺れのカメラでクロースアップされ、しかもオーバーラッピングされる。
この加工で誰でも何があったか分かるだろう。
とてもカメラの力を見せたところだった。
3回目の鑑賞でかなり充に感情移入し、後半ニノの演技の繊細さに心うたれた。
③最後に充がレシピをめくるシーン。
最初に彼の視線は千鶴の写真に止まったが、次に山形の写真を充のpovショットで何回も繰り返しで提示した。このpovショットの繰り返しはかなり深意のあるところだろう。
充は初めて山形を、今まで自分がたくさん話聞いた人を、目にした。彼は、もはや山形の話から大きくインパクトを受けた、今までの考えも変わった。だから、彼は山形を見つめていた。
麒麟の舌を持つ二人の男が、初めて何十年も経て、対話できたような気がした。
美しい料理も含め、監督のカメラも、美しくて、そして力強かった。
最後に、歴史の捉え方にも、私の賛成できる方でもある。やっぱり満洲ってのは、理想であって、また不切実の理想だからこそ、陰謀、謀略も潜在していた。
もしかしたら、全てを導いていくのは、とある必然なのかもしれない。
帝国日本の侵略戦争をも、色々考えさせられる映画だろうなー
唯一残念なところは、満州国のランドスケープに色彩が強すぎるじゃない???
これまでずっと古い映画にあるモノクロの「満洲」を見てきたのになあ〜
そんなに鮮やかな満洲表象は、どう考えても不自然で、個人としては不慣れしかない。
山形と千鶴の生活、現代に近い??
ミザンセンにもうちょっと考えを?!
テレ朝の変化球!!
出だしからテンポが良くて観易く、前半の料理や所作の雰囲気に良いね!!と見とれてマスコミお得意の日本人は凄かった番組かと思っていると、悪い日本軍のせいでレシピは失われた!!という話にいつの間にか誘導されるというテレ朝らしい映画でした。企画が秋元康、原作本が見城徹の幻冬舎と内閣ごっこ写真で有名な見事な安倍トモ映画で、「サイレントマジョリティー」のPVのバックの看板に「プロビデンスの目」が終始映っていて気持ち悪かったのも記憶に新しいですが、本作にはわざわざユダヤの六芒星がバッチリ映っており、安倍一味の忠誠心を示していると同時に満州国はユダヤが建国したという事を示す単なるプロパガンダ映画でした。特にストーリーのない前半が心地良いだけに、映画が正体を現した後半が気持ち悪く悪質に感じました。前半を観ている時は今日くらいは贅沢をするかと思いましたが、すっかり気が変わりました。庶民は内容量が減って小さくなった添加物入りの食材を、今年もぼったくり価格で買い続けるだけです。2017年にもなって、わざわざ創作してまで日本軍を悪者にする必要はないと思います。ドイツ国民が新作のナチス悪者映画をまたかよと観せられるのと一緒で、こういったものはもううんざりです。
味覚とは…
映画を通して味覚とは何かを考えてみました。幼少期に美味しいと繰り返して口にしたものは、いつまでも忘れずに覚えてるものなんだなと思います。いわゆる「お袋の味」ってやつですかね。インスタントラーメンなんかも今だに小さいころ食べたものが懐かしく感じます。
素材の旨味を引き出すのが料理人であるとすれば、初めてでも「美味しい」と言わせるものを作る人達なんでしょうね。
何を言ってるかわからなくなりましたが、料理は大事なことなんだと思います。
なんとも回りくどい物語
とてつもなく回りくどい物語に付き合わされました。良く出来ていると思いますが、二宮君というより西島君のお話なんだというのが、実際に観るまでわかりませんでした。
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