雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのレビュー・感想・評価
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レビュー
邦題が違うよね〜
他の方が書いているように邦題が違う。
突然亡くなった妻を思い出して悲嘆にくれる話では無い。
数字ばかりを追い過ぎて妻の死を目の当たりにしても
何も感じなくなった男の少々手荒な再生の話。
先日観た「素晴らしきかな、人生」の対極のような話だな〜と思った。
あちらは愛娘の死に囚われ過ぎて、周囲を困惑させてしまう話。
こちらは妻の死にさえ反応できなくて周囲を困惑させてしまう話。
彼が破壊したものは、現代的で機械的なものが多くて
レトロなものはほとんどない。
そこはちょっとした文明批判にも見えたりする。
とにかく、ここまで無感動になった事がそもそも無いので
ちょっと私には分かり難かったです。
そりゃそうだよね、感動や共感や喜びを感じたくて
映画を観てる私にとって、何も感じ無い男の話には
共感できないわねえ〜(苦笑)
に、しても心の蓋が空いてない人が今、世の中に多いのかな〜
これまたジェイク・ギレンホークが好演
原題は「Demolition」解体。邦題は劇中に出てくるワードをそのまま引用したもので、すべて見終えてから振り返るとジワジワくる。
奥さんが亡くなって虚無感に苛まれている主人公がどのように再生していくかを描いている作品で、物理的な破壊をメタファーとして表現していて途中までは観ている側のメンタルも壊れてきてしまうような描写が多いのだが、終盤は伏線なども回収しつつ失って気づかされるものを印象的に描いていて心に残る一本だったと思う。
技術的に“フラッシュバック”のシーンなどの演出は素晴らしかったが、メリーゴーランドの件は観ているときにはピンと来なくてファンタジックに感じた。(あとで調べたら腑に落ちたのだが、説明も当然ないので読み取るのは容易ではないかも)
この作品はFワードがキーとして度々出てくるが、ラストシーンですべてを昇華させている点は秀逸で、モヤモヤしたものを一掃させてくれる気持ちの良い作品だった。
「静かなる狂気」を演じさせたら右に出る者はいないんじゃないかと思わせるジェイク・ギレンホールは、映画に出ればハズレのない役者のひとりで本作も圧巻のひとこと。
心を取り戻していく過程
悲しいことが起きたにもかかわらず、心の底から悲しめていない、もしくは他人事の様に客観的に周囲や悲しみを装う自分を分析しているもう一人の自分を感じる事がきっと誰にでも有るかと思う。
主人公はその感覚に分解して組み立てなおすという唯一つの方法で、本当の気持ちを取り戻していく。その過程をギレンホールの演技と言葉、そして彼の心象を象徴する映像で表現されている。本当にギレンホールの演技は印象的。
考えてみれば、妻を亡くした後に自動販売機の動作不良に対するクレームの手紙を出し続ける時点で、客観的にみて彼の心は相当な悲しみを負っている。だが数字を追うだけの仕事の中で麻痺している彼の心は自動販売機の様に動作不良中。身の回りの物を分解し破壊する度に少しずつ蘇る妻との記憶を追いながら、自分の心を修理していく。そしてある少年との交流が、酵素反応の様にその過程を加速させていく。主人公が様々なことを受け入れ、前に向かって走り出していくラストはとても心地よい。
この作品は2回観ました。1回目では、ギレンホールの演技がとても印象に残りましたが、ストーリー的にはおいて行かれた気がしていました。ただ、とても気になる作品だったので再度見に行き、漸く腑に落ちました。
愛の再確認
主人公はお金も綺麗な妻も持った成功者。そんな彼に突然の不幸が起こるところから物語は始まる。
前半は妻を失って明らかに情緒不安定になっているとはいえ、「妻を愛していなかった」、「死んでも何も感じない」といったセリフが多々ある。こういう部分で主人公に共感できない人は少なからずいるはずだ。
だが義父の言葉や、新たに出会った家族の存在が主人公自身も気付いていない、心の奥底にあるものを引き出してくる。その過程での家を破壊したりするシーンは主人公の感情が強く込められていた。
最後に車の中で見つけた妻の残したメモを見て、愛を再確認できたシーンはとても感動した。
「雨の日は会えない」→困難がたくさんあり、お互いが本当に愛し合っているのかさえも分からなくなってしまう。
「晴れた日は君を想う」→そんな困難がなくなり、離れ離れになった時に、困難がありながらも愛し合っていたと気付く。
ジェイク・ギレンホールの演じる情緒不安定っぷりには驚いたw
ナオミ・ワッツのワイルドの演じる母もキャラがしっかりたっていて良かった。
人がいなくなって、より一層考える
近しい人が自分の人生からいなくなると
その人のことはもちろん、
その人との関係や
自分自身のことを見つめなおすことになる。
「一緒にいる時だけがその人のつながりではない」ということを再認識させてくれる映画。
人間関係は上手くいっていても、
いっていなくても
何らかの問題はあるもので
中々立ち止まって見つめなおすということはしないまま
日々を過ごしてしまうけど
人がいなくなると
そのことを立ち止まって考えずにはいられなくなる。
考えずにそのまま過ごしてしまう人もいるのだろうけど、
立ち止まる時間ができることはある意味幸運なのかもしれない。
すべてがメタファーに思えるという主人公のセリフにはとても共感しました。
儚くも美しいギレンホールの演技
いろんなもの壊したくなる
この邦題は?
ちゃんと笑ってちゃんと泣こう
破壊&再生
今回の邦題、グッジョブだと思う。
雨の日に会えなくて、晴れの日にも会えていないんでしょ?
なんかおしゃれ、って言ってほしいような邦題に、こりゃまたつまんない邦題をつけやがったか?と懐疑的だった。
最後の最後に、この言葉が書かれた付箋がサンバイザーの裏から出てくる。バイザーを開いてはじめて気が付くように、生前の妻が仕込んだものだ。言葉の内容はなぞなぞ、答えはサンバイザー。冷蔵庫の水漏れとかに付箋を使っていたので、ここでの付箋の登場に違和感はない。
しかしこの付箋を見つけたデイビスは、それまで妻の死に鈍感であった(と思い込んでいたが実は相当に参っていたが)感情を、雪崩のように崩してしまう。そりゃそうだ、サンバイザーは、まるで妻のことなのだから。
気持ちを入れ替えて、妻の残した資産の使い方を考えるデイビス。それは、かつての思い出を守るような結論。幻想的にも思えるメリーゴーランドのシーンに涙。
だけど、「永い言い訳」に遠く及ばない。
カレンの息子とのふれあいはいいが、銃を撃たすのはどうか、と思う。
カレン自身、クスリに手を染めているのも同情できない。
自販機管理会社へのクレームがきっかけ、はいいが、何通もの手紙には違和感。それを読んでストーキングするのも違和感。
なにより、「まず分解してみる」ていうのはわかるにしても、家をそこまで壊すのはどうよ?
所詮、金持ちだから、そんな無駄金を使えるんだろうし、いつまでも凹んでいられるんだろう。貧乏人には、もう目の前に日々の生活が迫ってきていて、そんな感傷には浸っていらんないよな、って結局冷めたのが正直な感想。
愛の反対は無関心
雨の日も晴れた日も会えない?
印象に残る作品
見た直後の感想は「良い映画だと思うんだけどいまいち良くわからない、でもわかりたい、どちらかというと好みのタイプの作品」と、すっきり感のないもやもやした感じが漂っていました。そのためゆっくり振り返り徐々に紐解かなければならない。
印象的な逆再生シーンやメリーゴーランド、破壊、車のサンバイザー、冷蔵庫のメモなど端々に散りばめられたポイントとなるシーンがたくさんあります。これらのサインを見逃さず、じっくり考えるとこの映画の深みが明らかになってきます。とにかく考えれば考えるほど象徴的なシーンが多く、本当に深いストーリーになっていることに驚かされました。
コミュニケーションロスから破壊と再生への道筋と、主人公の思考(答えが出るまで)の長さをもって、それぞれのエピソードを描きつつ、その過程での周囲の関わりをも合わせ巧妙に綴られてゆきます。これらは作品全体の始めと終わりにも当てはまり、清々しいエンディングへと導いてくれます。
「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」は最後になって意味がわかり、その言葉の深さに唸るので、これを題名に持ってきたのは凄いなと。ただ、原題はDemolition(破壊)なので、題名からは作品のイメージがうまく伝わらないのが残念。
ジェイク・ギレンホールは今回もちょっと影を持つ役柄で、それは自然にハマり安定の演技。少年役の子も良い演技していました。義父役のクリス・クーパーは「遠い空の向こうに」でもギレンホールと親子役を演じていたので、懐かしい組み合わせと思いながら見ていました。
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