海よりもまだ深くのレビュー・感想・評価
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「こんなはずじゃなかった・・・」迷える大人達が織り成す、家族の愛情物語。
【賛否両論チェック】 賛:自堕落で過去に未練たっぷりな主人公が、元妻や息子との時間を通して、少しずつお互いに未来を見て歩み出そうとして行く姿が印象的。静かなストーリーの中で紡がれていく、様々な形の“愛情物語”にも、深く考えさせられる。 否:特に大きな事件が起きるわけではなく、かなり淡々とした展開なので、興味がないと眠くなりそう。 幼い頃に描いた理想とは違い、不本意な人生を送りながら、 「こんなはずじゃなかった・・・」 と嘆く主人公達。そんな彼らが、久しぶりの邂逅に想いを馳せながら、少しずつ新しい一歩へ考えが変わっていく様子が、淡々とした雰囲気の中で描かれていきます。 展開は極めて静かですが、そこでは決して絶えることのない「親子の愛」や、壊れてしまってもどこかで残っている「夫婦の愛」、そして形を変えて繋がっていく「家族の愛」と、様々な“愛”がしっかりと息づいています。中村ゆりさん演じる興信所のナツミが語る、 「女の恋愛は、水彩画ではなくて油絵みたいなもの。上塗りするから下の絵は見えなくなるけど、ちゃんと残っている。」 という言葉や、真木よう子さん演じる響子が語る、 「愛だけじゃ生きられないの、大人は。」 といった言葉に、その端々が感じられるようです。そして息子の真悟の、 「宝くじが当たったら、また一緒に暮らせるかな・・・?」 というセリフは、健気すぎて泣けてしまいます(笑)。 思わずクスッと笑ってしまうような軽快なやり取りも満載です。ちょっと道に迷った大人の皆様に、是非オススメの作品です。
性善説映画
全員良いこと言わせようとしすぎじゃないですかね。 のっけからずっと穏やかに進んでいく感じはもう是枝作品といった感じで期待を裏切りません。 その上で、樹木希林さんの素晴らしい演技により クスッと笑えるポイントが点在しています。 これにより、緩やかな(もとい退屈になりかねない)日常会話での会話劇にメリハリがうまれ 楽しく観続けられるようになっていました。 しかし、全員が正論なんですよ… もうね、こんなこと言う人いるの?っていう なんならちょっと台風以降の展開とか、気持ち悪いくらい優等生 樹木希林さんの、本作中でも1番の名言であろうかのシーンは 前後のやり取りが長すぎて割と飽きます。 台風の中、親子3人で走り回るシーン そして翌朝の、駅まで一緒にいくシーン 離婚した夫婦がそんなに一夜で打ち解けるんでしょうか… 俳優陣の演技に助けられてなんとか自然に観れますが 監督の主張が前面に出ているなというのが、観終わったあとの感想でした。
とてもよかった
カルピス薄めたアイス(固すぎて食べれない)、ペットボトル再利用ジョウロ、雑なお茶の入れ方、汚ったないお風呂、布団を取り込むのが大変な家の構造、あまりにも日常的風景なのに、なんでこんなにグッと来るのか? 「そして父になる」の時も思ったけど、是枝監督の描く庶民がとても好き。 お金は一応あるけど裕福とは言えない、みたいな庶民。 裕福で小綺麗な家で生まれ育った人って、この映画見てどう思うのだろう? あー汚い狭い家だな、くらいにしか感じないのかな?もしそうだとしたら、面白さあまり感じなそう。 阿部寛のダメっぷりが最高だった。樹木希林が真木よう子と話してて泣いちゃうとこも辛かった、、。
あまり楽しめなかった
是枝監督作品が好きなので観たけれどあんまり楽しめなかった。観なくてもよかったなあ。とおもってしまった。人生のままならなさがあまり真摯には伝わってこなかった。人物の、憎めないとか、愛すべき、という表現にも違和感あった。真木よう子が演じた役の人がいかにストレスかんじてるかにだけ思いを馳せた。
良かった
樹木希林さんのおばあちゃん感がすごく良かったです。私のおばあちゃんに似てるのでそれだけで何度か泣きそうになりました。 子供のある台詞で希林さんが涙するシーンがあるのですがそこはほんとにこちらも胸がぎゅっとなる こんなはずじゃなかったのに…って誰にでもあることだと思うのですが見たあと何日かこの映画のことや自分のことを考えてしまいました
期待が大きすぎたかな
映画『海よりもまだ深く』を見てきました。『海街diary』の是枝裕和監督の作品なだけに、気になっていました。ただ、少し期待外れでしたね。樹木希林をはじめに、役者さんたちはみんな上手いとは思います。誰もがなりたかった大人になれるわけではない、というテーマですが、『海街diary』ほどストレートに伝わってきませんでした。評価は⭐︎⭐︎⭐︎です。
頑張って生きなきゃ!
日々、可能性を潰しながら生きていると思っている。 劇中の「なりたかった大人になれた?」という、問いかけは全ての人、どんなに成功を手に入れた人にも突きつけられる問いかけでは? そして、多くの人は、思い描いた様には生きていけない。だけど、だからこそ、目の前の現実と葛藤しながらも、頑張って生きているんだ。 頑張って生きよう! 久しぶりに良い映画でした。
愛すべきダメ男の日常とその先
ほんとに何も起きないと言ったら起きない。台風という一つの気象がほんの少しだけ、主人公と家族を吹き抜けて何かが変わりそうな予感だけして、日常に収斂していく…だけの映画。でもそれが良いのだと思う。
観に行った日はご年配のカップルが多く、団地や家族の中のあるあるエピソードで笑いがたえず、キャストの自然な演技に終始くつろいだ雰囲気に満ちていた。
オープニングのモチーフが後半で出てきたり、物語の組み立ては気持ちよく進む。サイドで進む一件関係なさそうなエピソードも、他の場面に活かされていく。きちんと物語として成り立っている。かと言ってあざとさはなく、味わいはあくまで一筆書きのよう。
そういった意味でも、海街diaryとセットで語られるべき作品、という印象だが、あちらは初の漫画原作、本作は是枝監督オリジナル。監督はこういう私小説的な作品が今の気分なのだろうか。(実のところ海街より先の撮影だったという噂も聞く)
最後に、全体をこれまたさりげなく包み込むハナレグミの音楽、主題歌も沁みます(^^)
優しい映画
海街に比べて話題になってない気がしたんですが、配給が東宝+ギャガからギャガだけになったからでしょうか。
個人的には、刺さった!って感じではなかったですが、海街よりも楽しめました。
昔、地元の小さな映画祭で、ゴザを敷いた公民館で小津安二郎を観た時に、地元のおじちゃんおばちゃんが声を出して笑って観てて、小津映画ってこんなに笑えるんだ!とびっくりしたことがあったんですが、この映画も年配の方が多く、みなさん声を出して笑って観てらして、その時の小津映画の雰囲気を思い出しました。
メインの家族の話もよかったですが、池松壮亮がなぜあそこまでダメな阿部ちゃんに優しいのか、どんな借りがあるのかとか、一瞬だけ出てきた橋爪功の娘とか、物語のはしばしに別の物語が想像できて、もっと見ていたくなりました。
みんな、それぞれに思惑や後悔はあっても、それぞれを大切に思っている、優しい映画だと感じました。
それにしても、別れた夫婦での人生ゲーム、気まずいだろうなあ……(笑)
人間臭い
ダメな大人がたくさん出てくる人間臭い映画。 駅前や団地の雰囲気、生活感しかない家の中や阿部寛のくたびれた汚い姿を見てるとなぜか心地よい。自分が憧れるものと正反対なのに安心するのはなぜ? 無くしてあとで気付く、後悔、でもこれからを生きていくしかない。足掻いてる姿はカッコ悪いけどカッコいい。途中少しだけ泣いてしまいました。 役者さんはみなさん演技が上手。 阿部寛の汚いオッサン感。笑 樹木希林さんの演技は初めて見たかもしれない。凄い。 なぜかわからないけどもう一回みたい。 人生に疲れたときに見ると良い。 色んなものが詰まっている映画。
こんな大人だけど。
ローマ人にも山男にもダメ男にもなれる阿部ちゃんの^^; 良多シリーズ第3弾は更にいっそうダメ男になっている。 別れた妻子に未練タラタラの割に息子の養育費も払わず、 妻の男に嫉妬、有金ギャンブル、困ると老母の懐を弄る、 一体お前は幾つなんだ!?とほざきたくもなるロクデナシ の団地サイズに納まりきれない阿部ちゃんがそこにいる。 この台所で凍ったカルピスアイスを差し出してラジオを 抱える母親がピッタリ寄り添い、どんなロクデナシでも 私には可愛くてたまらない息子なのよと訴えかけてくる。 高度成長期にガンガン建ち並んだ公団も今では独居老人 の住処扱いになり、シャッター通り商店街もお馴染みだ。 なりたい大人になれないし住みたい住まいにも住めない。 母親の嘆きがホンワカした嫌味にしか聞こえず、その夫 がまるで同じような性格だったことを踏まえ血筋という 言葉が脳を支配する。歩いても歩いても夢は叶わず、海 よりもまだ深く愛したところで手放したものは戻らない。 そんなこと分かっちゃいるのに改めようとしない人間の 可笑しさと情けなさは子供の目から見ても明らかなのだ。 それでも今作の真の主人公である少年のあの成長ぶりに 言ってはナンだがこの子も大人になって父親に似るのは なんとなく目に見えている。こんな大人たちに囲まれて 十歩も百歩も成長を余儀なくされている少年の不憫から そろそろ学びなさいよと私たちに訴えかけてくるようだ。 だけど嬉しいのは、ロクデナシに向ける温かい師弟愛や 誰だって人間には失敗談があるだろう?と、先生と名の つく老人の悲哀をチラリ見せるあたりの心憎さが、監督 の人間愛を描いているところ。リアルな対人模様は健在。 (老母の描き方が完璧。息子、娘、嫁、孫へのあの接し方)
いい気分に
樹木希林さんのひとつひとつの言葉がしみました。夢やプライドをなかなか捨てきれない良多の気持ちに共感しました。女は現実的、男は夢を大事に、男女の生き方をうまく表現してるのではないかなーと思います。宝くじのところ好きなシーンです。 家庭をもって母になったらもう一度見てみたい映画です。
良かった
探偵の設定はプログラムピクチャー的な感じだが 小説家、島尾敏雄というキーワードは私小説的要素を感じさせる 魅力のある俳優たちがそれぞれの生活を巡って互いに関係しあうのを一定の時間の持続において眺め続ける という映画の持つ根本的な楽しみに触れさせてくれる作品
『こんなはずじゃなかった』大人に
『こんなはずじゃなかった』大人がホントにささやかな一歩を踏み出す物語。 良いんだけど、良多のダメっぷりが身につまされすぎて、ちょっとツラい… 是枝監督はこんな風に、われわれ世代の山田洋次みたいになっていくのかな…?それはそれでつまらない… そして、樹木希林の演技はやはりスゴい…
20代で家庭もない自分が観るにはまだ早かったのかもしれません。ただ...
20代で家庭もない自分が観るにはまだ早かったのかもしれません。ただ、家族はやっぱり切れない何かがあるんだな、と。樹木希林さんと子役の男の子がとても良い味わいでした。
何と言うか、アレですよね、そこまで絶賛したくなるような話でもない感じなのに何故か見入っちゃうみたいな
全面的に共感できる話ではなかったのですが、どこか分かると言うか何と言うか、世知辛い世の中の厳しさや現実を知ってしまうと、妙に共感できるところもあったりで、ついつい見入ってしまった映画でした。 阿部寛が演じた主人公の篠田良多は、間違いなくダメ人間です。 ああ言う人間にだけはなりたくない典型的な男です。 人間のダメな部分を極端な形で表したら彼になるのでしょう。 でも、残念ながらどこか人間は彼的要素が一つはあったりするもので、彼を全否定はできない、どころか自分のダメな部分を重ね合わせたりしてしっかりしろよと諭してあげたくなるんですよねぇ。 まだ世の中に出ていない若者には本作の本質的な部分は分からないかもしれません、でも、私も含めて思い描いたような人生を歩んでいない者にとっては、間違いなく心に届く作品に仕上がっていましたね。 思い通りにいかない人生も含めてそれも人生と思うことが出来れば、もっと前を向いて歩んでいけそうだなと、この映画を見てふとそんな風に思わされましたから。 とは言え、今を愛し、今を大切に生きると言う境地に達するのは、そう簡単なことではないですけどね・・・。 しかしさすがは是枝監督、ダメ人間なのに何だかんだで皆良多の良さを分かっているよう描く辺りの匙加減は、ホント絶妙でしたね。 母だけでなく、元嫁、息子、姉、職場の同僚、そして亡き父、皆の良多への接し方がとにかく奥深くて、会話の一つ一つに聞き入ってしまいました。 姉役の小林聡美なんか本当に絶妙、樹木希林と親娘設定にするなんて、見事過ぎますよキャスティングが! 何気ない日常のシーンも、本当に描き方が上手い、他人の家を覗き見したようなあるある感に、思わずニヤリとさせられました。 ニヤリとさせられる最強アイテム、ラスボスはやはり何と言っても樹木希林でしょう。 全ての台詞、佇まいにとにかく魅せられた。 ダメな息子ほど可愛いとはよく言いますが、この方の演技を見ているとまさしく・・・と思わされますね。 そして親はいつになっても親、子はいつになっても子なんだなと、改めて・・・。 それと冷凍庫の自家製カルピスアイスが個人的にはツボでした、冷蔵庫臭いんですよね、ああやって置いておくと(笑) 台風一過の眩しさも良かったですねぇ、台風のおかげで、良多も少しは成長できたのかな・・・。
親になって
父親で、息子。 小説家、探偵だめな方の。 ありのままに、まんま描かれる。 かっこつけない、悲観しない、むやみに頑張らない… わからないことばかり。 戸惑ったり、不安になったり。 それでいいのだ。 親になって、また見てたいです。
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