ルームのレビュー・感想・評価
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非常に複雑
非常に複雑である。なにが、って全部が。
どこから整理したら良いのだろう。まず言えることは、これ元設定からして完全な救いは存在しない。
だから、自由や未来を語ろうとしても、考えていくと必ずつまづくことになる。
はっきりとは描いていないが、実の父親が食事を立つシーン。彼は、ジャックの顔を見ることができない、という。娘を奪った犯罪者の血が流れているから、と解釈できる。これって、なかなか残酷。だからか流してる。あと、どう考えても主人公が奪われ負った傷は取り戻しようがない。それも、気丈な姿で打ち消してはいるが。地獄でしょう。
て、考えれば考えるほど、悲しいだけなので、スルーして前向きなメッセージも受け取りましょう。
そういった両極を含め良い映画。
子役が素晴らしい
世界は広い
初めての'世界'に触れる時
・5年間を「へや」と呼ばれる納屋で暮らした息子ジャックが触れる初めての壁の外の暮らし
・カーペットから覗いた焦点が合わない外の光、閉じられた空間から初めて遮るものがない外界の空間に放り出されたときに平衡感覚を失ってうまく歩けなくなる
・飼い犬シェイマスと対峙したジャックに涙、その他なにかにつけて涙が溢れる
・母の虫歯と息子の切った髪で繋がる親子の絆
・時がたって改めて戻った「へや」の驚くほどの狭さ=今までいた世界の狭さ、懐かしさはあるけど戻りたくはない
・子供よりも母親の方が外へ出たあと精神をやられてる描写があったのがよりずしっと重く刺さった
・暗く永遠かと思う日々にもいつか終わりが来て、そのあと新しい人生が始まる
大まかなあらすじだけ知っていて、脱出までの物語でエンドかと思い込ん...
大まかなあらすじだけ知っていて、脱出までの物語でエンドかと思い込んでいたので、思わぬ展開にドキドキしながら見届けた。
実際にあったある凶悪監禁事件を元に作られたこの映画は、外の世界を全く知らず育てられた子供の心の揺れ動き、母親の苦渋の判断が胸に突き刺さってくる。
何よりもジャックを演じた子役のジェイコブ・トレンブレイくんの天性の演技がすごい。
表情、感情の機微、目つき、どれを取っても自然であり目を見張るものがあった。吹き替えでなく字幕をお勧めしたい。
監禁生活に適応するしかなかった子が外の世界へ出て、そしてどう変化していくのか、かつて娘を失った家族の懸命のサポートの過程も含めて是非見て欲しい。
母親役も素晴らしかったのですがネタバレになるので割愛します。
ルームの中 外の世界
誘拐され7年間部屋の中に監禁された母(ジョイ)と、その中で生まれた息子(ジャック)の物語。
最初はレイプ犯の納屋の狭い部屋(ルーム)に閉じ込められて母と息子の2人で生活をしている。母は脱出をするために5歳になった息子に死んだフリをさせて部屋の外に出し、無事に母と息子は警察に保護されて7年間の監禁生活から解放される。
普通の映画ならここで終わりだが、この映画の肝は、外の世界に復帰してからということにあった。
生まれて初めて部屋の外に出たジャックは新しい世界に心を踊らせつつも、不安でジョイ以外に心を開こうとはしない。
ジョイは念願の元の生活に戻れたはずが、子育て、家族、また自分がなぜこんな目に遭わなければならなかったのかという苦しみ………そんな葛藤の中息子や家族に酷く当たってしまう。
またテレビ局の記者の言葉はあまりにも酷かった。
ジョイの家族は、愛する娘の息子のはずなのに、憎いレイプ犯の血を引いてることに対しても葛藤する。
特にジョイの母の
「自分だけが人生を壊されたと思ってるの?」
という言葉には、涙してしまった。
彼らは元の世界に戻るべきだったのか考えてしまう。
ジャックが何度も部屋に戻りたいという気持ちが痛いほど伝わる、彼にとって部屋は全てのはじまりだったから。
1人の人生を壊すということは周りの様々な人達にも大きな影響を与えてしまう。
自由になれたとしても本当の意味で元通りというのはあまりにも難しいし不可能なことなのだと思う。
決して非現実的なストーリーではないからこそ、現実味があり、同じ女性として怖くもあったし、考えてしまう部分が多かった。
序盤から重いテーマだったが、ジャックの初めての世界に心踊らせる姿にはすごくほっこりもして、彼等のこれからの人生が幸せであってほしいなあと思った……。
監禁部屋からの脱出を試みます。 脱出までの過程と努力で1つの映画と...
終わりから始まる希望
公開当時『埼玉少女誘拐事件』と時期が重なって考えさせられた映画。
普通の映画なら監禁に絞って、脱出したらハッピーエンドでエンドロールなのに、その後を描くとそれはもう見ていて苦しくなる。
母親の「同じ歳の少女はたくさんいるのになぜ私が?」と恨みたくないのに同級生を恨む心。
大事な娘が戻ったものの、その隣には憎い犯人の血を引く孫。
同情してる風で厭らしい質問をするマスコミには嘔吐が出た。
それでも無菌室の様な地獄から出た息子は、ドキドキしながら葉っぱは本当にあったんだと、TVと小窓で見ていた物を触れるのと一緒に世界も広がる。
歩幅も増えれば接する人も増える。
楽しいことも危険なことも増えるけど、それは部屋の中では経験できない大事なこと。
これからも親子、家族は好奇の目に晒されるだろう。
そんな中にも幸せはあると信じたい。
退屈だった
主役は、精神が不安定な母親と、新しい環境にすぐに適応していく男の子。
母親を男児が勇気付けていく話。母親に感情移入したなら、母親を見守る我が子に女性は心温められるだろう。
だが私は、母親が男の子に当り散らす場面が多く、子供が可哀想に見えてしまい、母親には感情移入できなかった。作中でも母親は祖母に「もっとわが子に優しくしなさい」と注意される。
監禁を題材としてるが・・・・わが子を愛してるにも関わらず、言うことを聞かない子供にイラつき、当り散らしてしまう普遍的な母親心理が裏テーマとなってる。
誰に感情移入するかで、この作品の評価は全く異なると思う。
女性は母親に感情移入(共感)することが多いと思うので、主に女性向けの映画だろう。
あと、ストーリー的には祖父が男の子を拒絶したままその後が語られておらず、ハッピーエンドとは解釈できない。かといってバッドエンドともいえない。中途半端な良くわからない終わり方。なので、娯楽性は低い。
かといって、ドキュメンタリー的に見るにしても、色々とリアリティにも欠ける。例えば、住宅地の物置の中に閉じ込められてる。男が外出したときに、大声で助けを求めれば、周辺住民に助けてもらえる状況。周辺住民の声も普段から漏れ聞こえないとおかしい状況。だが、7年間も監禁された後、わざわざ手の込んだ方法で脱出を試みる。
まあこの母親に感情移入できるであろう女性なら楽しめそうです。自分は視聴対象層ではない上、突っ込みどころが満載で、暗く地味で、ただ退屈でした。言うことを聞かない子供をただ怒鳴るのではなく、子供を諭す優しい母親が見たかった。
今の生活の有難さ
アカデミー主演女優賞を受賞したしたブリー・ラーソンはもちろん、その息子を演じたジェイコブ・ トレンブレイも素晴らしかった。
二人とも難しい役柄だった。
最近「ある奴隷少女に起こった出来事」という本を読んだ。1800年代、アメリカ南部で奴隷として扱われてきた少女の実話だ。奴隷制度から逃れるため、祖母の家の中の立つことすらできない狭いスペースに7年もの間隠れており、冬は凍傷に、雨が降ったら全身がずぶ濡れになるような過酷な環境で生き延びた。
こうした特殊な環境に置かれた経験は癒えない傷を残すだろう。
普通に生まれ、普通に生活していること。愛すべき人々に囲まれていること。これがいかに有り難いことか。
こうした作品に触れると、改めてそう思う。
被害者のその後に焦点を絞ったのは素晴らしい
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