「少女は、ケン・ソゴルに逢えたのですね。」君の名は。 徹2001さんの映画レビュー(感想・評価)
少女は、ケン・ソゴルに逢えたのですね。
「君の名は。」を見ました。人それぞれ、感想を持ったと思います。私には、小さな頃のテレビで見たドラマ、その後、短編小説として読んだ本。その思い出が蘇ってきました。
高校生の女の子が、放課後の化学室で経験した不思議な体験。そこから始まる、自分では自由にならない時間を遡行する体験。そして、大切な人との出会い、そして分かれ。その途中に描かれる、クラスメイトへの、まだ経験したことのない、友情・・・?
それが、恋だと理解したのは、お別れの日でした。
まだ、小さかった私の中には、二人のあいだの、すれ違い、行き違いがもどかしくて、切なくて、そして、悲しくて。
その思い出は、その後、幾度となく私の胸を去来しました。思いだし、忘れて、また思いだし。そうやって、心の奥の奥底に、だんだんと埋もれて見えなくなっていったのでした。
けど、気がつくと、角川が映画化し、当時の人気女優さんが演じてているポスターが町をにぎわしました。
そして、時が経ち、世間から忘れ去られたころ、今度は、アニメーションとして帰ってきました。
そう、「時をかける少女」は、まるで心の神話のように、ときどき記憶の奥底から蘇ってきて、そして、また忘れ去られてきました。
「君の名は。」を見て、そこに「時をかける少女」の魂を感じました。そして、最近のSFでよく言われる、「ああ、これってパラレルワールドなんだ。」と強く思いました。
時間遡行は、時間を遡るのではなくて、この世で同時に進行している、別な世界「パラレルワールド」に移動することだという考え方があるよう。
そして、私は確信しました、「立花瀧」君は、あの「深町一夫=ケンソゴル」。「芳山和子」は「宮水三葉」なんだと。そして、あのとき再び会うことのなかった二人は、この「君の名は。」というパラレルワールドで出会うことが出来たんだと。