ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐのレビュー・感想・評価
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暗い時代にこそ物語ることが大切!!
人気作家とその作品の背後には、自我の強い作家たちを根気よく説き伏せ、より高い完成度を目指してリライトのペンを取らせた編集者がいたことを再認識させるビハインド・ストーリーには、大恐慌時代から現代にまで繫がる強いメッセージが託されている。それは、名編集者と謳われたマックス・パーキンズと作家のトマス・ウルフが肩を組み、共に誓い合う、「暗い時代にこそ何かを物語ることに意味がある」という、小説ばかりか、芸術、エンタメ、全般に通じるミッションのようなもの。勿論、その中には我等の映画も含まれている。
【”天使よ故郷を見よ”1929年、辣腕編集者が無名作家の文章を校閲し、ベストセラーを生み出す様とその後の二人の関係性の変遷を描いた作品。】
ー 冒頭にテロップで流れるが、ほぼ実話である。-
■1929年、ニューヨーク。
チャールズ・スクリズナーズ・サンズ社の辣腕編集者マックス・パーキンズ(コリン・ファース)は無名作家トマス・ウルフ(ジュード・ロウ)の才能を見抜き、激論を重ねながらの編集作業の末にウルフの処女作「天使よ故郷を見よ」をベストセラーに導く。
以降もふたりは私生活を犠牲にして新作に没頭するが、ある悪評からその関係に暗雲が起こり、二人は疎遠になる。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・劇中でも描かれているが、トマス・ウルフは独自の感性を持ちながらも、修飾語が多く長文を書いてしまう癖があった。
それを、マックス・パーキンズが余分な部分を削ぎ落し、構成も見直しベストセラー”天使よ故郷を見よ”を生み出したのである。
・今作の魅力は、編集者パーキンズを演じるコリン・ファースに尽きると思う。トマス・ウルフを演じたジュード・ロウも魅力だが。
・今作で嬉しいのは、トマス・ウルフのパトロン兼パートナーだったアリーン・バーンスタインをニコール・キッドマンが、F・スコット・フィッツジェラルドをガイ・ピアースが、アーネスト・ヘミングウェイをドミニク・ウェストが、ゼルダ・フィッツジェラルドを、まだ若きヴァネッサ・カービーが、演じている点であろう。
大きな起伏はないが、英国俳優を愛でる映画である。(除く、ニコール・キッドマン)
<現在では、編集者が作家と共に作品を生み出すのは、文芸ではなく漫画の方が多い気がするが、ベストセラーの陰に名編集者あり、という時代を描いた作品である。>
もうすこし社会性を…
実話もの。編集者と作家。 言葉を生み出す苦悩、言葉があふれ出る天才...
ラストのコリンにジーンとくる
タイトルなし
ヘミングウェイとカジキ
処女作の編集作業はとんとん拍子に進み、あっという間にベストセラー。いつしか、師弟関係、友情を越えた間柄になったマックス(ファース)とトマス(ロウ)。マックスの妻(ローラ・リニー)やトマスの恋人アリーン(キッドマンも嫉妬するほどだった。小説家にしてはやたらと喋るし、大声だし、ちょっと風変わりな物書きといったイメージ。スコット・フィッツジェラルド(ガイ・ピアース)やその妻に対しても不遜な態度を取ったり、女優アリーンはどうせ演技だからと軽く見てしまう男でもあった。そのトマスが突然脳に結核ができたとかで早逝してしまう。
ヘミングウェイとカジキを釣った写真を撮るなど、文学作者を知らないと楽しめないかも・・・
友情でも愛情でもない何か
個人評価:3.9
編集者と作家が二人三脚で、1つの作品を作り上げる。その行為はお互いが家族以上の存在となり、2人の子供を産みだすような作業なのだろう。
そしてそれは両方の妻が嫉妬するような間柄に、、。その嫉妬は正しく、家族と過ごす時間だけでなく、気持ちや魂までも奪われたと錯覚させる程に。
コリン・ファース演じる編集者が、ジュード・ロウ(作家)に久しぶりに再会した場面。コリン・ファースの瞳は編集者としてのそれではなく、友情でも愛情でもない何かを感じさせた。
その何かこそ監督が描きたかった部分だと感じる。作家と編集者のお互いに流れた信頼と親密さ。
もちろんLGBTを描いた作品ではないが、性別に関係なく、お互いを人間としてありのままを愛した2人だったんだと感じる。
彼が帽子を取った、理由。
素晴らしい編集者
静謐
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