葛城事件のレビュー・感想・評価
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家族を守ろうとして壊してしまった父
強引な例えかもしれんけど『ゴッドファーザー PART Ⅱ』『PART Ⅲ』やな。三浦友和=マイケル・コルレオーネが家族を守ろうとした結果自ら家族を壊してしまう物語。とはいえ完全なフィクションとして受容することは許されない。「自分ならどうだ?」と自問しながら観るしかない重い重い秀作。しんどい…
どうしてここまで来ちゃったんだろう
どうしたら良かったのかは答えは出てる。
でも、その原因を改善したところで防げたのかは正直分からない。
悲劇の始まりは、この父。
映画を観ながら、フライヤーの「俺が一体、何をした。」の文言が頭をよぎり、ふざけんなと思う。
でも、こういうお父さんって案外多い気がしてならない。
口調だったり、とある発言は、誰でも当てはまりそうなことばかり。
家族、取り巻く環境がいかに大事かを感じさせられる映画。
役者がとにかく凄かった。かなり凄かった。
南果歩演じるお母さんは特に凄かった。
南果歩を舐めていたと思うほど度肝を抜かれた。
誰にも共感は出来ないけど、そうなってしまった理由や背景は理解できる。
ただ獄中結婚した死刑反対派の田中麗奈演じる星野順子には全く共感が出来なかった。
--以下ネタバレ--
ラストのシーン。
息子の成長を願って植えたみかんの樹。
父は死のうとしたものの枝が折れ、死に損なう。
そしてリビングに戻りコンビニの蕎麦をまたすする。
死ぬ覚悟すらない腰抜けにも見えれば、
皮肉にも息子に助けられた父にも見えた。
我が家の玄関は、金木犀でした。
葛城父が私の父親と同じタイプの人間で、映画を観ている間ずっと傷口をほじくり返される苦痛に見舞われた。
怒鳴るスイッチが何処にあるか分からず、四六時中怯えて過ごしていた。
常に理不尽に怒鳴りつけ、自分の理想の家族像を押し付ける父親。
マイホームを建てて、玄関に金木犀を植えていた。
私が物心付いた頃には既に母はアル中。
母は、末期癌で死んでいった。
今でも悔やむ事は、母を自由にしてあげたかった。
母は、なんで、あんな屑野郎と結婚したんだろうと…。母に聞こうとしたって無理な訳だが…。
幼少期の記憶に蓋をしていたのに、蓋がずれてきて涙が止まらなかった。
ああいう人間が一家の主だと、自然と家族は壊れていくものだ。葛城家に限らず…。
とにかく重い作品、というのを覚悟して観に行ったのですが、予想以上に...
とにかく重い作品、というのを覚悟して観に行ったのですが、予想以上に辛かったです。
ただ観ていて驚いたのが、アパートで起こったある一件の前と後で、自分の中でも感情の動きがあったことです。それは、父親という存在は元来、孤独なのだなと気づかされたことです。
劇中では、稔も保もアパートで母親 伸子と共に居た時のみ、少しですが安らかな表情を見せていました。
保の家庭でも、子ども2人はいつも母親につきっきりでした。
よく、父親の背中を見て育つ、と言いますが葛城家においても、保も稔も父親の性格から言動まで受け継いでいるものの、心底では母親と繋がっていたのかもしれません。しかも、伸子は清のことを昔から嫌っていたというのだから、なおさらです。
アパートのシーンでは、その父親の孤独というのが垣間見えたようにも思えたのです。
とはいうものの、父 清はもちろん、母 伸子、そして2人の兄弟の言動には同情しづらいものがあります。
以前ラジオでちらっと聴きましたが、性格というのは遺伝よりも、生育中の環境の影響の方がよっぽど大きいそうです。
家族には愛が大事とかそんなこと言うつもりないですが、一つの家という箱の中で、みんなが笑っていられるような思いやりが、この家庭には無かったのだと思います。
観ている途中で何度も自分の家のことを思い返してしまい、帰ったら両親に孝行しようか、なんて思ってしまいました。
家族の在り方、人と人との在り方を、思いっきり反面教師として描くことで、考え気づかせてくれた今作に、とても好きにはなれませんが、称賛の意を表したいと思います。
映画とは関係ないのですが……
とにかくずっしりと重い
上映館がどんどん少なくなる中、やっと観てきました。
とにかく重い内容にすっかり気が滅入りました…でも観て良かった。
この作品はとにかく登場人物にまともな人がいないのが印象的。
屈折した愛情?で家族を地獄に引きずり込む父親(三浦友和)が、とにかく人間のクズにしか見えなかった。
息子達が小さい頃は辛うじて繋がっていた家族の絆が、ある時プッツリ切れて、それぞれが皆んなおかしくなっていく。
息子達が成長した頃には、まともそうに見える長男までも、とにかく狂ってる。。。
その長男(新井浩文)が飛び降り自殺してしまい、葬式の時に母親(南果歩)が「カナブンの話」でケラケラ笑っている時なんて、身震いするほど怖かった。。。
1番理解できなかったのは、通り魔殺人を犯した獄中の次男(若葉竜也)と獄中結婚した女(田中麗奈)。
彼女もとにかくおかしいと思う。
何を考えているのか全く理解できませんでした。
人って環境でこんなに壊れてしまうんでしょうか?
凶悪殺人犯って、やっぱり環境が生み出してしまうんでしょうか?
そんな事を思わずにはいられないくらい……重い作品。
三浦友和さん、クズっぷりが素晴らしかった。
か弱きものに押しつぶされた者たち
清から逃れた妻である伸子が稔(彼が父である清の性格を受け継いでいる)とアパートでインスタント麺を食べるのがこの映画で唯一、ホッとするシーンだ。
それで「父性」こそが、“この元凶の中心”である事は分かる。何故ならその後に清がやってきて元に戻るのだから。
それではその父性は強いものなのか?
それが最後に願掛けで植えた蜜柑の木が首吊りで折れたときに分かる。“実は対して強いモノではなかった”と。
彼らを縛っていたモノはか弱く、取るに足りない存在だったことに気がつくとき“この元凶”が特殊なケースではなく、実は誰にでも起こりえることに観ている者には気がつく。この映画の奥深さはここにあるといってもよい。
ときおりある“空間の狭さ”が葛城家の“狭さ”でもあり、それは我々の狭さかもしれないのだ。
個人的には、主演の三浦友和は甘いマスクも相まって器用貧乏な俳優と思われがちだが、実はこんな「激しい」役が一番の得意なのだと再確認した映画でもあった。
ことごとくすれ違う、善意と愛。
重い
重いことのメリットはない
よかった
三浦友和の一挙手一投足が全て居たたまれない気分にさせる。あんな性格でよくそこまで家族が持ったものだとむしろ不思議になるし、結婚すら普通無理なのではないだろうか。実際は寂しがり屋で優しい側面もあるだろうし、そういったところも少し描いて欲しかった。
実際にあんなお父さんはいるだけでパワハラだし、児童虐待だ。でも、今時珍しい頑固オヤジでもあり、居たたまれない気分が心地いいような安心感が逆にあるような変な気分もある。洗脳なのかもしれない。
田中麗奈にキスをせがむ場面は見ていてつらかったが、死刑囚と結婚するような変な女ならもしかしたらと思わなくもないので、三浦友和を一方的に否定できない。
普通の家族の異常な家庭
、
新井さんの舞台挨拶に行きました。一家の家族の物語、破滅に向かっていくんだけど、誰が悪いのか分からない、正義と悪が混沌としている感じがした。たまたまひとりひとりの悪い所がぶつかってこうなったのかなって思った。新井さん演じる保はサラリーマンだったけどある時に職を失い、転落していく人生。最終的に自殺をしたんだけど、面白い話を新井さんに聞いた。【①保の子供を演じる子役は保に似たような子を抜擢した②子役に上手く演技させることが出来ず監督が子供にち○こを触らせてた(笑)③新井さんは自殺の時日本刀で首を切るというシーンを入れたかった④煙草を踏み消すシーンは2パターン撮って、ひとつは映画のカスを拾いに戻るもの、そして拾わないで立ち去るという設定も考えられていた(ちなみに新井さんだったら消した煙草をそのままポッケに突っ込むな、と言っていた)】人によって違う解釈をしてもらって構わないとの事です。重い内容ではあったがその他の要素も多く非常に楽しめる映画だと思う。演技を演技と思わせない彼らの演技力に圧倒されました。
疲労感に襲われる
最後のシーンが圧巻
見るべき作品
無差別通り魔事件
犯人が悪い
父親が悪い
母親が悪い
兄が悪い
誰が悪いかわからなくなる
皆が皆、少しずつ狂っていく
亭主関白(自己中心的)な父親
何も言えない母親
優等生から転落していく兄
劣等感を抱える弟
見事なまでに人間が少しずつおかしくなっていく様子が描かれていて、じわじわ怖いと思った
とてもリアルでどこにでもありそうな家庭
父親は過激だが
すごく嫌な父親だが、見栄やプライドを持っているのが透けて見えたり、実は誰かいないと壊れてしまったり、昔の写真を眺める所に、何故か切なくて涙がでる
そして蜜柑の木でまた涙
もう一度見たい作品
出ている俳優陣が本当によかった
違和感を一度も感じなかった
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