劇場公開日 2016年6月18日

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「とにかく重い作品、というのを覚悟して観に行ったのですが、予想以上に...」葛城事件 HammondJ3さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0とにかく重い作品、というのを覚悟して観に行ったのですが、予想以上に...

2016年8月11日
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鑑賞方法:映画館

とにかく重い作品、というのを覚悟して観に行ったのですが、予想以上に辛かったです。

ただ観ていて驚いたのが、アパートで起こったある一件の前と後で、自分の中でも感情の動きがあったことです。それは、父親という存在は元来、孤独なのだなと気づかされたことです。
劇中では、稔も保もアパートで母親 伸子と共に居た時のみ、少しですが安らかな表情を見せていました。
保の家庭でも、子ども2人はいつも母親につきっきりでした。
よく、父親の背中を見て育つ、と言いますが葛城家においても、保も稔も父親の性格から言動まで受け継いでいるものの、心底では母親と繋がっていたのかもしれません。しかも、伸子は清のことを昔から嫌っていたというのだから、なおさらです。
アパートのシーンでは、その父親の孤独というのが垣間見えたようにも思えたのです。

とはいうものの、父 清はもちろん、母 伸子、そして2人の兄弟の言動には同情しづらいものがあります。
以前ラジオでちらっと聴きましたが、性格というのは遺伝よりも、生育中の環境の影響の方がよっぽど大きいそうです。
家族には愛が大事とかそんなこと言うつもりないですが、一つの家という箱の中で、みんなが笑っていられるような思いやりが、この家庭には無かったのだと思います。
観ている途中で何度も自分の家のことを思い返してしまい、帰ったら両親に孝行しようか、なんて思ってしまいました。

家族の在り方、人と人との在り方を、思いっきり反面教師として描くことで、考え気づかせてくれた今作に、とても好きにはなれませんが、称賛の意を表したいと思います。

HammondJ3