ブルーに生まれついてのレビュー・感想・評価
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チェット・ベイカー
ジャズを知らない私でも耳にしたことがある「チェット・ベイカー」
白人名トランペッター。
タイトルのとおり、彼のブルーから抜け出せない人生の一時期を描いた作品。
伝記ものというには生い立ちや晩年を駆け足で紹介するのみで、絶望的と思われた大怪我からの奇跡の復帰にいたる数年間を描く。
イーサン・ホークがジャンキーで気弱、依存体質な主人公を「ダメ男なのに魅力的」というイーサンの得意技で魅せる。ホントにこの人は落ちぶれたミュージシャンとかやらせたらハマるひとだわ。
実際のチェットベイカーの写真や動画を観てもハンサムというよりキュートな印象。イーサンはチェットベイカーの人柄を彼の瞳で表現していた。甘えた子犬の瞳、怯えた子犬の瞳、自分の才能を自分が一番信じていない瞳。
自分を信じられないから、愛した人も信じられない。彼の思いに応えてくれるのはトランペットだけ。短い人生を終えるまで彼に寄り添ってくれたのはトランペットだけ。
サウンドトラックが素晴らしい!ジャズ聞いてみようかなと思った!
イーサン・ホークの歌声の危うい絶妙さ。
リンクレイターとチェット・ベイカーの伝記映画の企画を練っていたこともあるイーサン・ホークが念願のベイカー役を手にした。アイドル的な美青年から退廃を皺に刻むように老いていったベイカー役は、今のホークにこそ合っている気がする。
いい年して子供のようなわがままを言う本作のベイカー像は数多く作られてきたミュージシャン系の映画と大きくは違わない。しかし音楽に魅入られた者の業ややるせなさはホークの演技からも画面そのものからも匂い立つように伝わってくる。
いくら念願だったとしてもベイカー役は非常にリスキーだったはず。独特のか弱いヘタウマ歌唱は似せれば似せるほどモノマネ合戦に陥ってしまう可能性が高い。しかしホークは、ゆらゆら揺れる感情をそのまま音譜に乗せるように、自分の肉声で勝負してみせた。
カラオケ採点機では測れないであろう滋味にあふれた歌唱だけでも、一聴の価値が、一見の価値があると感じた。
吹かないなら歌うな!
ウエストコースト・ジャズの伝説的トランペッター、チェット・ベイカーの半生を映像化した作品。
チェットを演じたのは、当時45歳だったイーサン・ホーク。
彼の演奏シーンは吹いているように全然見えない。
さすがにディジー・ガレスピー役の俳優に「本人になり切って演奏しろよ」とは要求しにくいけど(特殊メイクかCGいるよね)、イーサンにはもちっと気い入れて吹けと言いたくなる。
映画に描かれる30代後半のチェットを演じるイーサンの役作りには正直不満を感じるし、実際はどうだったにせよ、中年の親父みたいに下っ腹の出たチェットに違和感を感じた彼の女性ファンは少なくなかった筈。
同じくジャズ・ミュージシャンを扱った『バード』(1988)で迫真の演技を見せたフォレスト・ウィテカーや、映画初主演にも関わらずオスカーにノミネートされた『ラウンド・ミッドナイト』(1986)のデクスター・ゴードンらの表現力や存在感と較べると大きな落差を感じてしまう。
本作のイーサンは演奏の場面には身が入っていないのに、歌だけはちゃんと歌う。
チェット・ベイカーが帝王マイルズ・デイヴィスと当時人気を二分出来た要因の一つは、中性的でアンニュイな唯一無比のボーカルの魅力による。
作中のジェーンはうっとりと聴きいっているが、チェットのファンの何割がイーサンの歌声に魅力を感じただろうか。
作品に登場するマイルズは、自身の人気や実績を鼻に掛けた、やな奴として描かれれ(実際そうだったんだけど)、チェットの人気やトランペッターとしての資質を認めようとせずに彼を見下す。
当時のマスコミからライバルとして煽られたマイルズの、両耳を塞いでいても右脳に突き抜けてくるかのような奏法と、日焼け跡に心地よい海風のようなチェットのサウンドは確かに相容れにくいと思う。でも、念のために調べたら、マイルズはチェットの音楽性を認めていたそうだし、二人は仲良かったとも書いてあったぞ!!
本作の前年に製作された『ストックホルムでワルツを』でも、白人ピアニストのビル・エヴァンスが主人公から神のごとく崇拝される反面、黒人歌手のエラ・フィッツジェラルドはまるで意地悪婆さんみたいに描かれている(キャスティングの段階で悪意を感じる。ファーストレディ・オブ・ジャズなのに…)。
奴隷だったアフリカ系のパッションとヨーロッパ系のマイノリティの音楽性が融合した結果生まれたジャズは多様性の象徴。
本作も含め人種対立の構図を持ち込むのは間違っていると思うし、事実を元にしているのなら尚更のこと。
同時代のジャズ・ミュージシャンの多くが一度はドラッグに手を染め挫折を経験するが、そのほとんどが誘惑を克服して再起するなか、例外的に薬物と手を切れなかったチェット・ベイカーは正真正銘のジャンキー。「自分が稼いだ金でクスリをやって何が悪い」と公言したこともあるほど。
薬物濫用の結果、デビュー当時は「ジャズ界のジェームズ・ディーン」ともてはやされた瑞々しい美貌も、最晩年は百年以上生きた先住民の古老のように変貌する。
まるで違法薬物の弊害の見本みたいな人生なのに、本作では悲劇の音楽家として美化されすぎているように感じる。
エンディングで「1988年にアムステルダムで逝去」なんてキレイにまとめているが、実際は演奏旅行中にホテルの窓から謎の転落死を遂げている(この時のことを題材にしたのが2018年の映画『マイ・フーリッシュ・ハート』)。
美化せずに、もっと反面教師的に彼の生き様を描くべきだったと自分は思う。
『ブルーに生まれついて』という邦題にもセンスを感じない。『ボーン・トゥ・ビ・ブルー』でよかったのに。
どうせなら、『レッツ・ゲット・ロスト』(1988)を見たかった。家にLDあるけど、再生機が故障して見られないんです。
半永久的に楽しめるメディアなんて宣伝してたくせに。
BS松竹東急にて昨年拝見。
放送終了する前に『レッツ・ゲット・ロスト』も放送して。いや、いっそ放送終了考え直して!!
ブルーノート
退廃的ジャズマンの代表選手
ウエストコーストジャズの先駆けの一人として、当時のジャズ界に華々しく登場。その後ドラッグに溺れ、ドラッグで音楽生命を絶たれ、音楽界から忘れられドン底へ。復活後はジャズマンとしての第二の人生をヨーロッパで歩む。まるでジェダコースターのようなジャズマン、チェットベーカー。
1970年の暴行事件から復帰までの過程にフォーカスする本作は、葛藤を抱えながら静かな幸せをメランコリックに、そしてクロードルルーシュの「男と女」のようなトンマなで描く。
ただし、その先を知る者や映画文脈的にも収束していく、その一点に向かう過程が、どこかもどかしく思えてくる。
音の潮流が激しいアメリカにおいては彼のサウンドは、どこか懐古的過ぎた分ヨーロッパを選択したのは、結果的に良かったようにも思う。
紆余曲折経て哀愁醸し出す
レンタルさっさと引き揚げてしまったので見損ねていた作品 火災から見事復館した小倉昭和館さんにて上映と知ってすかさず鑑賞 ジャズ繋がりでこの作品とBLUE GIANT2本立てとは流石樋口館長、何とも良いセンス。
やはりドラッグ、女性遍歴とスターの御多分に漏れない ルックスと甘い声でとても人気だったらしい 老婆心ながら歯をどうにかするのが先決だよと思ったけど、個性はそのおかげだったのかもかなとも 元の木阿彌にはガックリきたけど、マイルス前にして緊張していたのかな イーサン・ホークの渋い演技に音楽とても良かった トランペットのジャズも良いものだな、脇の俳優陣も渋い 深堀されなかったけどおとんも元ミュージシャンだったのだろうか
ロイ・ハーグローヴの時にキノシネマさんで音楽流してくれていたのだけど、ジャズがバックに流れるとても小洒落た雰囲気になる不思議
男の弱さを演じさせたら彼の右に出るものはいないだろうに・・・
チェット・ベイカーを聴き続けた夜があった。遠い昔の話だけれどね・・・
この時代にはたいそう女にはもてただろう。現役のジャスミュージシャンでそんな奴は殆どいなかったんじゃないだろうか?死後、名前を馳せるミュージシャンばかりじゃないかな?ジャズは・・・・。あまりに短い人生しか送れないようなのは、ドラッグの所為だし音にこだわるには神経が繊細でなくては紡ぎだせないのだ。それに、自分の中に粉雪のように積ってしまっている哀しみを吐き出すにはジャズが必要なんだ。あるがままになすがままに事のままに自分自身を曝け出すにはそれなりの勇気が必要であるにも関わらず、意気地のない男がジャズという音楽に魅入られてしまう。どこに出したって恥さらしな男にしか見えない。自己顕示欲ばかり強くて嫉妬深い。女々しさは天下一品。そしてその光は暗闇に包まれたジャズクラブの隅々まで照らし出してしまう。チェット・ベイカーの哀しみは父親に見捨てられた恨みの裏返しのようだ。屈折した邪悪で純真な表情をイーサン・フォークは恥ずかしげもなく作れてしまう稀な俳優なのだ。嫌だ厭だも好きのうち。他人の不幸は蜜の味。ジャズの哀しみの叫びは僕の心を癒すのだ。
まったく、厭な映画だぜ・・・・・。
幻想の「青春」と現実の「憂鬱」… あまりにも「ブルー」に生まれついてしまった者たちの哀歌。
ジャズ界の伝説的プレイヤー、チェット・ベイカーの生涯のうち、絶望的な状況に追いやられていた60〜70年代に着目して描かれた伝記映画。
麻薬と暴力により破滅寸前だったチェットだが、愛する恋人の支えを受け、プレイヤーとしての再起を図る。
主人公チェット・ベイカーを演じるのは、『ビフォア』三部作や『ガタカ』のイーサン・ホーク。
何故憂鬱な気分のことを「ブルー」というのか。
一説によると奴隷として使役されていた黒人が、雨だと休めるが青空だと強制労働させられるため、憂鬱な気分のことを「ブルー」と表現するようになったとか…。
なかなか興味深く、信憑性がありますねぇ。
本作で印象的だったジャズマンの生年を調べると、主人公チェット・ベイカーは1929年生まれ。
チェットを一蹴した帝王マイルス・デイヴィスは1926年代生まれ。三歳年上なので、チェットからしたら怖い先輩みたいな感じ。
チェットが尊敬する"バード"ことチャーリー・パーカーは1920年生まれ。年齢が9歳離れているので、チェットの青年時代のアイドルといった感じか。1955年に死去しているため、映画中では既に故人。
チェットのために「バードランド」での演奏をセットしてくれたディジー・ガレスピーは1917年生まれ。実は一番年長者。チェットにしてみれば先輩というより兄さんといった感じかな。生年は誰よりも早いが、没年は4人の中で一番遅い。75〜6歳まで生きており、破滅的な生活で早死が多いジャズプレイヤーの中ではかなりの長寿。この人は結構真面目な生活を送っていたのかも。
ニューヨークにある「バードランド」というお店。この「バード」はもちろんチャーリー・パーカーの愛称からとっている。
現在でも超有名クラブとして経営しているが、店舗の場所は移動しており、経営も60〜70年代とは様変わりしているらしい。なんとなく残念。
本作の主人公チェット・ベイカー。
元々ジャズ喫茶のオーナーだったほどのジャズ通、村上春樹はチェットの音楽を「紛れもない青春の匂いがする」と評している。以下引用。
ベイカーの作り出す音楽には、この人の音色とフレーズでなくては伝えることのできない胸の疼きがあり、心象風景があった。彼はそれをごく自然に空気として吸い込み、息吹として外に吐き出していくことができた。そこには人為的に工まれたものはほとんどなかった。あえて工むまでもなく、彼自身がそのまま「何か特別なもの」だったのだ。ー『ポートレイト・イン・ジャズ』ー
また村上春樹は、チェットが「特別なもの」を維持できた期間は決して長いものではなかったとも述べている。
彼が瑞々しい輝きを放っていたのは麻薬によりキャリアが潰れるまでの間であり、復帰後にはその青春の輝きは褪せてしまっていたのである。
顎を砕かれ、歯を根こそぎ折られてしまっては以前のような演奏はもう出来ない。彼の「青春」は永遠の幻想と化した。
しかし、その幻想を追い求め文字通り血の滲むような努力を積み重ねることで彼は別の武器を手に入れる。
地獄のような現実に生きる人間の「憂鬱」を表現することができるようになったのである。
しかし、新たに身につけた武器により再び手に入れた栄光は、本当に彼が必要としていたもの、唯一残された「青春」を奪い取ってしまう。
何かを得るためには何かを捨てなくてはならない。そんなリアルを痛烈に突きつけるラストシーンは涙無くしては見られない…😢
クールな映像、クールな劇伴、クールな演技…
何から何まで嫌みなくらいハマっている。
前半〜中盤までは退屈に感じていたが、終盤の盛り上がりは本当に見事だった。
本作のイーサン・ホークは本当に素晴らしい。
クライマックス、「バードランド」の控え室でのシーン。
ここでホークがみせた光と闇の間にいる人間の恐れと迷いの演技。ここはちょっと凄すぎる…
歌声がチェット・ベイカーに全然似てない!という批判もあるようです。
確かに聴き比べるとホークの声は低い。チェット・ベイカーの方が繊細で甘〜い感じがする。
とはいえ、ホークに歌うフリだけさせてその上に似ている声を被せるとか、そんなことされても興醒めなのでこれはこれでアリではないでしょうか!
ホークの歌声は素晴らしかったですし!!
ブルーに生まれついてしまったチェット。
しかし、彼の恋人ジェーンもまたブルーに生まれついてしまった人間である。
タイトルの元ネタであるメル・トーメ&ロバート・ウェルズの一曲『Born To Be Blue』を村上春樹が訳しているが、その歌詞を以下引用。
あなたに出会ったとき、世界は輝いていた。
あなたが去ったとき、帳が降りてしまった。
(略)
それでも、私はまだ幸運な方なのだろうか。
あなたを愛する喜びを味わえたのだから。
たとえそれだけでも、私には
身にあまることなのかもしれない。
だって私はブルーに生まれついたのだから。
この歌詞はチェットの心境というよりは、ジェーンの心境を表しているのだと思う。
結局は愛する恋人よりも音楽を優先させてしまったチェット。彼の裏切りが、2人の間に帳を降してしまったのである。
『Born To Be Blue』というタイトルは、チェットにもジェーンにもかかっている、実に秀逸なものなのだ!!
一応伝記映画のテイはとっているが、実はかなり脚色されているらしい。
ジェーンって架空の人物なんだとか…
まぁ、別に脚色するのは問題ないんだけど、現実のチェット・ベイカーは16年間もどん底のキャリアで踏ん張ってきた人らしいので、ラヴ・ストーリー重視でもいいからその辺りをもっと描いて欲しかったかも。
とまぁ色々書きましたが、予想を裏切ってくれるクライマックスは衝撃的だしかなり泣いた😭
期待を上回る良作でした!!
ファンでなければ耐えられない
ファンでなければ耐えられないでしょう。すんげー退屈。
なので、そもそも彼が好きでもない人間の感想。映画としては駄作ですね。で、もう一回言っとくと、好きな人は見どころを探して見るでしょう。で、見どころなんてどこにもねーだろ、つまらん映画だなあ、ていうのが一般フラットな人間の感想。
起伏がなくエネルギーが感じられないシナリオなので、ただ垂れ流しにされているような印象。序盤でマイルスが辛辣にこき下ろすが、あれピークだろ。よく言った、てなもんです。
もう一回、いっておくが、ファン心理ゼロの感想です。映画として評価した。音楽をこき下ろしてるわけではない。以上。
【イーサン・ホークが掠れた声で囁くように歌う、”マイ・ファニー・バレンタイン”に痺れる。俳優、イーサン・ホークの魅力を改めて認識した作品。】
イーサン・ホークが1950年代のジャズ界で活躍したトランペット奏者でボーカリストとしても活躍したチェット・ベイカーに扮し、その半生を描いた伝記映画。
・・とあるが、役作りも含めて、イーサン・ホークの魅力全開作品である。
イーサン・ホークが、掠れた中性的な声で繊細に歌う”マイ・ファニー・バレンタイン”には痺れた。
というか、”チェット・ベイカーそのものではないか!”と思ってしまった作品。
映画タイトルでもある「BORN TO BE BLUE」もチェット・ベイカーの生き様を端的に表した言葉として、哀しいが、恰好良すぎる。
ー イーサン・ホークは、若き頃の「ホワイト・ファング」から見ているが、個人的には、役への入れ込み方(麻薬中毒から抜けきれない情けない姿・・)が尋常ではない位のレベルである、と思った作品。-
<2017年11月11日 劇場にて鑑賞。
地元で毎年開催されるジャズ祭に合わせて、近くのシネコン劇場で期間限定で公開してくれ、嬉々として観に行った作品>
ジャズプレーヤーはヤク中ばっかり・・・
最盛期のチェットは描かれていない。ボロボロになってヤク中から抜け出そうとしていたころからだ。
俳優として映画撮影にも取り組むが、顎を砕かれ病院送りになり、映画は未完成。そこで女優のジェーン(イジョゴ)と知り合い、ヘロインを止める覚悟を決めるチェット・ベイカー(ホーク)であった。
マイルス・デイヴィスやディジー・ガレスビーといった大物ジャズメンも登場するが、黒人の目から見た白人ジャズプレイヤーはちょっと冷ややか。プロデューサーのディック(レニー)の献身的な態度もあって、立ち直りつつあったのだが・・・
ニューヨークで一夜限りのライブ。マイルスやディジーが客席にいること。そしてヤク断ちの薬メタドンが切れたこともあって、またしてもヤクに手を出してしまうチェットであった。ヤク中の虚しさも伝わってくるが、その後も名演奏を残したとあっては、人生を感じる作品だ・・・
レビュー
カネや女のために吹くやつは信用しない
映画「ブルーに生まれついて」(ロバート・バドロー監督)から。
1950年代のジャズ界で活躍したトランペット奏者
「チェット・ベイカー」その半生を描いた伝記映画、という紹介と、
「ブルーに生まれついて」というタイトルが気になり鑑賞した。
もちろん、演奏曲の1つ「Born to be blue.」は理解できたが、
何か意味があるのだろう・・と、メモ帳片手に字幕を追った。
曲ではなく台詞的には「今夜はブルーでいさせて」
「ブルーはいやだ」「青い部屋に引っ越そう」程度で、
あまり意味がなさそうだった。
鑑賞した方々の感想にも
「ブルーな世界からぬけだせない哀しみ」とか
「もがき苦しみながら奏でたブルーな響き」などの表現が、
あったけれど、やはりピンとこなかった。
今回は、ジャズ界の帝王「マイルス・デイビス」が、
若かりし「チェット・ベイカー」に厳しく呟やいた台詞、
「カネや女のために吹くやつは信用しない」を、
残しておこうと思う。
どんなことがあろうとも、麻薬に溺れてしまった彼を、
私は正当に評価できないな、と思ったから・・。
厳しい表現かも知れないが、それが私の本音である。
マイファニーヴァレンタイン
モダンジャズ界を黒人アーティスト達が席巻する中、一世を風靡した白人アーティスト、チェットベイカーの物語。
成功者が薬物に手を出し破滅な人生となり、ある女性との出逢いで再出発をする。
怪我をして更に演奏に深みがでて、チャンスをモノにできると思ったが、心がプレッシャーに負けてしまい、また薬物に手を出してしまう。
そして愛する人は去って行った。
素晴らしい歌と音色の裏にある誰にも理解してもらえない孤独を薬物で紛らわせる。
アーティスト=薬物が定着しすぎている。
イーサンホークの目で訴えかける演技がとても良かったし、彼が猛特訓したというトランペットと美声は息を呑むほど。いま注目を集める存在で俳優としての地位を確立する作品だと思った。
沢山の名曲がストーリーにマッチして、最後は切なく悲しい終わり方でした。
奏でられていない音
クスリがつきものなんて
ジャズトランぺッターでボーカルも人気だったチェット・ベイカー(イーサン・ホーク)のクスリからの立ち直りを描いている。
マネージャーや音楽プロデューサーからも見放されるが、一人の女性(カルメン・イジョゴ)が支えてくれる。
しかし、ミュージシャンには薬がつきものなのは何故だろう。
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