ブルーに生まれついて

劇場公開日:

ブルーに生まれついて

解説・あらすじ

イーサン・ホークが1950年代のジャズ界で活躍したトランペット奏者でボーカリストとしても活躍したチェット・ベイカーに扮し、その半生を描いた伝記映画。黒人ミュージシャンが主流だった50年代のモダンジャズ界で、甘いマスクとソフトな歌声で女性を魅了し、一世を風靡したチェット・ベイカーだったが、やがて麻薬に溺れ、どん底の日々を送ることとなる。しかし、1人の女性との出会いにより、ベイカーは再生の道へと踏み出していく。イーサン・ホークは本作出演のため半年におよぶトランペットの集中トレーニングを受け、劇中ではベイカーの代表曲「マイ・ファニー・バレンタイン」など歌声も披露している。2015年・第28回東京国際映画祭コンペティション部門出品。

2015年製作/97分/R15+/アメリカ・カナダ・イギリス合作
原題または英題:Born to Be Blue
配給:ポニーキャニオン
劇場公開日:2016年11月26日

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(C)2015 BTB Blue Productions Ltd / BTBB Productions SPV Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

映画レビュー

4.0チェット・ベイカー

2025年1月28日
Androidアプリから投稿

ジャズを知らない私でも耳にしたことがある「チェット・ベイカー」
白人名トランペッター。

タイトルのとおり、彼のブルーから抜け出せない人生の一時期を描いた作品。
伝記ものというには生い立ちや晩年を駆け足で紹介するのみで、絶望的と思われた大怪我からの奇跡の復帰にいたる数年間を描く。
イーサン・ホークがジャンキーで気弱、依存体質な主人公を「ダメ男なのに魅力的」というイーサンの得意技で魅せる。ホントにこの人は落ちぶれたミュージシャンとかやらせたらハマるひとだわ。
実際のチェットベイカーの写真や動画を観てもハンサムというよりキュートな印象。イーサンはチェットベイカーの人柄を彼の瞳で表現していた。甘えた子犬の瞳、怯えた子犬の瞳、自分の才能を自分が一番信じていない瞳。
自分を信じられないから、愛した人も信じられない。彼の思いに応えてくれるのはトランペットだけ。短い人生を終えるまで彼に寄り添ってくれたのはトランペットだけ。
サウンドトラックが素晴らしい!ジャズ聞いてみようかなと思った!

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イズボペ

4.0イーサン・ホークの歌声の危うい絶妙さ。

2016年12月7日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

幸せ

リンクレイターとチェット・ベイカーの伝記映画の企画を練っていたこともあるイーサン・ホークが念願のベイカー役を手にした。アイドル的な美青年から退廃を皺に刻むように老いていったベイカー役は、今のホークにこそ合っている気がする。

いい年して子供のようなわがままを言う本作のベイカー像は数多く作られてきたミュージシャン系の映画と大きくは違わない。しかし音楽に魅入られた者の業ややるせなさはホークの演技からも画面そのものからも匂い立つように伝わってくる。

いくら念願だったとしてもベイカー役は非常にリスキーだったはず。独特のか弱いヘタウマ歌唱は似せれば似せるほどモノマネ合戦に陥ってしまう可能性が高い。しかしホークは、ゆらゆら揺れる感情をそのまま音譜に乗せるように、自分の肉声で勝負してみせた。

カラオケ採点機では測れないであろう滋味にあふれた歌唱だけでも、一聴の価値が、一見の価値があると感じた。

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村山章

0.5吹かないなら歌うな!

2025年5月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

単純

 ウエストコースト・ジャズの伝説的トランペッター、チェット・ベイカーの半生を映像化した作品。

 チェットを演じたのは、当時45歳だったイーサン・ホーク。

 彼の演奏シーンは吹いているように全然見えない。
 さすがにディジー・ガレスピー役の俳優に「本人になり切って演奏しろよ」とは要求しにくいけど(特殊メイクかCGいるよね)、イーサンにはもちっと気い入れて吹けと言いたくなる。

 映画に描かれる30代後半のチェットを演じるイーサンの役作りには正直不満を感じるし、実際はどうだったにせよ、中年の親父みたいに下っ腹の出たチェットに違和感を感じた彼の女性ファンは少なくなかった筈。

 同じくジャズ・ミュージシャンを扱った『バード』(1988)で迫真の演技を見せたフォレスト・ウィテカーや、映画初主演にも関わらずオスカーにノミネートされた『ラウンド・ミッドナイト』(1986)のデクスター・ゴードンらの表現力や存在感と較べると大きな落差を感じてしまう。

 本作のイーサンは演奏の場面には身が入っていないのに、歌だけはちゃんと歌う。
 チェット・ベイカーが帝王マイルズ・デイヴィスと当時人気を二分出来た要因の一つは、中性的でアンニュイな唯一無比のボーカルの魅力による。
 作中のジェーンはうっとりと聴きいっているが、チェットのファンの何割がイーサンの歌声に魅力を感じただろうか。

 作品に登場するマイルズは、自身の人気や実績を鼻に掛けた、やな奴として描かれれ(実際そうだったんだけど)、チェットの人気やトランペッターとしての資質を認めようとせずに彼を見下す。

 当時のマスコミからライバルとして煽られたマイルズの、両耳を塞いでいても右脳に突き抜けてくるかのような奏法と、日焼け跡に心地よい海風のようなチェットのサウンドは確かに相容れにくいと思う。でも、念のために調べたら、マイルズはチェットの音楽性を認めていたそうだし、二人は仲良かったとも書いてあったぞ!!

 本作の前年に製作された『ストックホルムでワルツを』でも、白人ピアニストのビル・エヴァンスが主人公から神のごとく崇拝される反面、黒人歌手のエラ・フィッツジェラルドはまるで意地悪婆さんみたいに描かれている(キャスティングの段階で悪意を感じる。ファーストレディ・オブ・ジャズなのに…)。

 奴隷だったアフリカ系のパッションとヨーロッパ系のマイノリティの音楽性が融合した結果生まれたジャズは多様性の象徴。
 本作も含め人種対立の構図を持ち込むのは間違っていると思うし、事実を元にしているのなら尚更のこと。

 同時代のジャズ・ミュージシャンの多くが一度はドラッグに手を染め挫折を経験するが、そのほとんどが誘惑を克服して再起するなか、例外的に薬物と手を切れなかったチェット・ベイカーは正真正銘のジャンキー。「自分が稼いだ金でクスリをやって何が悪い」と公言したこともあるほど。

 薬物濫用の結果、デビュー当時は「ジャズ界のジェームズ・ディーン」ともてはやされた瑞々しい美貌も、最晩年は百年以上生きた先住民の古老のように変貌する。
 まるで違法薬物の弊害の見本みたいな人生なのに、本作では悲劇の音楽家として美化されすぎているように感じる。

 エンディングで「1988年にアムステルダムで逝去」なんてキレイにまとめているが、実際は演奏旅行中にホテルの窓から謎の転落死を遂げている(この時のことを題材にしたのが2018年の映画『マイ・フーリッシュ・ハート』)。

 美化せずに、もっと反面教師的に彼の生き様を描くべきだったと自分は思う。

『ブルーに生まれついて』という邦題にもセンスを感じない。『ボーン・トゥ・ビ・ブルー』でよかったのに。

 どうせなら、『レッツ・ゲット・ロスト』(1988)を見たかった。家にLDあるけど、再生機が故障して見られないんです。
 半永久的に楽しめるメディアなんて宣伝してたくせに。

 BS松竹東急にて昨年拝見。

 放送終了する前に『レッツ・ゲット・ロスト』も放送して。いや、いっそ放送終了考え直して!!

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TRINITY:The Righthanded Devil

3.5ブルーノート

2024年8月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ジャズに詳しくないので、チェット・ベイカーの名前は知っていても、どんなプレイヤーかまでは知らない。ヤク中であごを砕かれ、一度はトランペットを吹けない程だったとは。血を吹きながら練習する姿が痛々しかった。ちゃんと支えてくれる彼女もいて、元通りの演奏ではなくても、味のある音が出せるようになったのに、またヘロイン…。げに恐ろしきクスリかな。

イーサン・ホークって、歌える人だったんだ。声高くして、ふわんとした歌い方は、きっと本家を研究したんだね。チェット・ベイカーの動画を検索してみよう。

BS松竹東急の放送を録画で鑑賞。

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ぷにゃぷにゃ

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