カランダールの雪
解説
2015年・第28回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、最優秀監督賞およびWOWOW賞を受賞。
2015年製作/139分/トルコ・ハンガリー合作
原題または英題:Kalandar Sogugu
スタッフ・キャスト
- 監督
- ムスタファ・カラ
- 製作
- ネルミン・アイテキン
- 脚本
- ムスタファ・カラ
- ビラル・セルト
- 撮影
- ジェバヒル・シャヒン
- キュルシャット・ウレシン
- 編集
- ムスタファ・カラ
- ウムット・サアウルオウル
2015年・第28回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、最優秀監督賞およびWOWOW賞を受賞。
2015年製作/139分/トルコ・ハンガリー合作
原題または英題:Kalandar Sogugu
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2015年9月29日自国トルコではなくて、異国の地・日本で初上映された映画。それだけの自信作、野心作、そして紛れもなく大作でした。
冒頭部分が暗すぎて、見ること自体が苦痛だったけれど、それも最初だけで、しかもその閉塞感も意図的な演出であったわけで、そこさえ耐え抜けば、至高の映画であること間違いなしです。
ドキュメンタリー監督が初の劇映画挑戦。その経験が遺憾なく発揮されていたように思います。
監督は、自然の美しさとか社会的な問題をあぶり出すとか、そういった明確なメッセージを込めた映画ではなく、トルコにおける人々の日常を丹念に捉えたかったのだ、と語っていた。その描写があまりにも自然であるがために、あたかも何かメッセージ性なども感じてしまうのだが、そう感じるのは見ている側の勝手な解釈であり、映画は単に丹念に生活を描写しているにすぎないわけです。そのリアルな表現を自らの心に投影させてしまうがために、おそらく色々な解釈が生まれてくるのではないでしょうか。
この映画は、悲劇でもある、喜劇でもあり、ハッピーエンドでもあり同時にそうでもない。あるいはある瞬間には人の醜悪さを感じてしまうのだが次に瞬間には人の温かさというものを感じている。要するに、単純に展開されていくエンターテイメントとは違った、複雑怪奇な我々の日常生活がそこには存在しているのである。
ことしトルコ映画を見たのはこれで3本目。雪の轍、シーヴァス、そしてカランダールの雪─。少しだけトルコの人々の生活がわかったような気がする。