ボーダーライン(2015)のレビュー・感想・評価
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重く,暗く,難しい
続編の鑑賞前に予備知識が必要だろうと思い,本作を初めて鑑賞したのですが,あまりにも深い闇,希望の見えない重苦しさを感じて,今となっては続編を鑑賞しようか正直迷っています。
冒頭から凄惨なシーンが描かれ,その後も緊張感と重い雰囲気が漂う中,次々とショッキングな映像が流れていきます。そして,そのほとんどが意味不明で,早々に置いてきぼりを食らった感じでした。
これは,エミリー・ブラント演じる,FBI捜査官ケイトも同じで,わけのわからないまま麻薬組織撲滅計画に組み込まれます。そして,しだいにその捜査手法や計画の実態が明らかになっていく中で,これまで貫いてきた正義や信念が揺さぶられていくという展開です。
最後まで考えさせられることが多く,見る者一人一人の正義や倫理を問われる,骨太の作品だと思います。ただ,そこに至るまでが難しく,それゆえ長く感じてしまいました…続きを読む
アクションが売りではない
どちらかというと演技や映像で魅せるタイプの映画でした。
どっしりと腰を落ち着けて観れる安心感があります。ハラハラドキドキというよりは、淡々と残酷にストーリーが進む感じでした。
突入の前の夕陽のシーンは、とても現実とは思えないほど美しいと思いました。
地に足がついた恐怖
個人評価:4.0
凍りつくような緊張感がたまらない。
メキシコの秩序のない現実を描くこの作品は、他のどの映画にも無い、地に足がついたリアルな恐怖を感じる。
主人公であるエイミー・ブラントを完全にくっているベ二チオ・デル・トロが凄まじい迫力の演技。
あまりにも凄腕で冷酷な彼は、きっとジェイソン・ボーンでも倒せないとさえ感じる強さ。
最後にはエイミー・ブラント同様に腰から崩れ落ちるような感覚に陥る。
彼こそ本当の狼だ。
ベニチオデルトロ最高だったなー
が、S系年上男子に振り回されつつもドキドキが止まらない!みたいなティーンズコミックの匂いがするのは何故なんだ。
レジーは干物女(堅物)に説教垂れるゲイバーのマスター。
「あんたまゆげボサボサじゃない!」
その善悪にボーダーはありません
ヨハン・ヨハンソンの音楽とロジャー・ディーキンスの画で、始終緊張を強いられる。鼻の下の毛を抜きながらでないと観られない緊張感。
後半はベニシオ・デル・トロの独断場。
公開時のポスターに“その善悪に ボーダーはあるのか”と書かれているし、ニーチェの『善悪の彼岸』を観るような感じかと思っていたけれど、個人的には全くそうではなかった。
善と悪についてというより、原題のとおり、シカリオ(スペイン語で”暗殺者”)の話で、暴力は何も生まないという話だ。
善と悪の境界線について今さら問うのは古い。境界線はない。善と悪は、人間の中で、いつも対等で、いつでも交換可能な本性だと思うから。
あと「そうそう、ドゥニ・ヴィルヌーヴってSFの人になる前はこんな感じだったよね」と懐かしくなった。好きです。
シカリオ
ボーダーラインってタイトルを付けた奴はこの映画との相性が悪かったんだろう。
緊張の糸が張りっぱなし、そして鑑賞する我々の後頭部をアレハンドロに見られているような、ジットリと嫌な汗が出てくる展開が続く。
いつ誰が死んでもおかしくない状況に放り込まれて、心臓がしんどかった。
答えは自分の中に
何気ない自然等の映像や音楽にやたら恐怖感を感じました。
音楽はわかるんですが、何気ない自然の風景にもそれを感じるというのは凄いです。
監督として独自の世界をはっきりと持っている、そのことが大事なことなんだということを教えてくれます。
復讐の為に新たに人が死んでいく。 なんか無限地獄みたいな…。
どこに希望を見いだしたらいいの?
そんな内容でした。
答えは自分の中に。
『トラフィック』にもデル・トロ出てたなあ
この邦題はよい邦題。国境麻薬戦争物だと『トラフィック』も面白かったが、これはより暗部に切り込んだ物に思えた。
こちらが麻痺してしまったのか、途中で何度か、「今彼女は何に対して怒っているのかな?」と思ってしまった。
と書いていたら続編が全米公開されヒット中とか。おおっ。
リアリティを追求するならば
淡々と進んでいくストーリー。
法律無視で無茶苦茶な警察やFBIだけど、それくらいしないと問題を解決できないという説明にも説得力がある。
そんな超法規的な作戦中、ありがちな正義感を振りかざす主人公が若干ウザい。
エンターテイメント的な映画ではないので、緊張感や恐怖感に如何にリアリティを持たせるかが重要で、そこが評価ポイント。
全体的には非常に良い!
だけど細部が甘い。
マネーロンダリングで札束を留めていたゴムと同じゴムを持っていたというだけで即攻撃してしまう主人公。
銃弾飛び交うトンネルでヘルメットを脱いでしまう主人公。
ラストシーンで銃口を無抵抗な人間に向けてしまう法律万歳なはずの主人公。
とにかく主人公が残念。
ヘルメットは無い方が絵的に良いからきっと制作側の都合なんだろうけど、あからさまなのは嫌…続きを読む
つかめない麻薬社会の闇
・国防省の特別部隊の対メキシコ麻薬カルテル殲滅作戦に同行することになったFBI捜査官のケイト
・時々挿入されるメキシコ警官の日常シーン
・ラストに表示される原題は「シカリオ」暗殺者の意
・効果音が不穏な空気を増幅させる
・空撮や遠景ショットで物事の背景がわからなくなる様子が表れてる
・ベニチオデルトロが暗い過去を背負う寡黙な暗殺者役でベストアクト
こんな
世界が同じ地球上に有るなんて信じられないが、これも現実なんだと思うと本当に今の現実は実は脆い物なんだと実感した。
普通の神経では直ぐに持たなくなる世界に突然行くことになった主人公の心が崩壊しそうな感じが観ていて痛々しかった。
ゼロダークサーティより好き
この映画の好きなところ
・ありがちな主人公の成長物語ではない
・不穏な予感をさせる演出(音楽最高)
・ラストの主人公視点からの変換
・ジョシュブローリンの下衆感
・エミリーブラント
メキシコ麻薬カルテルものはハズレが少ない。トラフィックとならぶ傑作。
期待していたことと違う。
主人公が麻薬戦争の現状を知り、
ボロボロになって善悪の境界線の間で揺れる。
そんな映画だと思ってレンタルしました。
しかし違いました。主人公はずっと蚊帳の外で途中で選手交代させられストーリーが復讐劇にシフトしてしまうというものでした。
私が勝手に期待していたものと違ったのでそんなに好きになれませんでした。しかし、空気感とか緊張感がとても良く描けてました。
緊迫感
もちろん本物は見たことないけど、リアル感がハンパない。
特に国境での銃撃戦に至るくだりなんか、ひりつくような緊迫感。
全体をとおして無慈悲というか、
善と悪ってなんなんだ?という問いを力いっぱいぶつけられる。
画づくりも面白くて、キャストにも華がある。
それにしても、ベニチオ・デル・トロは陰のある男がハマり役。
謎の説得力というか、観てると本物のような気がしてくる不思議。
力無き正義と圧倒的な暴力 278-12
正義感あふれる主人公は己の正義を貫こうとするも、圧倒的な権力と己の無力さ故、想像を絶する現実に対し何もぇきない。どういう事なのか説明を求めて喚き散らすのみ。任務に連れてこられた理由も、彼女が必要だった訳ではない。
法規的な正しさだけで何とかできるほど甘い環境じゃなかったのだ。力なき正義は無意味なのだ。目的を達成するには彼のような、何を犠牲にしても、どんなことをしてでもやり遂げるという漆黒の意思が必要だったのだ。
善悪のボーダーラインとは目的、環境、個人の意思によって左右されるもので、己の正義を貫きたければ力をつけねばならない、そんな映画でした。
(映像3 脚本4 演出5 音楽3 配役5 )×4=80
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