ボーダーライン(2015)のレビュー・感想・評価
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容赦なし
「トラフィック」で、もさっとした気の良いおっちゃんを演じていた、ベニチオ・デル・トロが本作では、スタイリッシュなドくず野郎を演じています。いやはやその凄みに圧倒されました。 緊張を膨らませる演出が凄まじく、撮影がロジャー・ディーキンスだけあって、切れそうなほどスリリングで美しい映像は必見です。そして、その絵が美しいほどに待ち受ける惨劇の予感がとてもヒリヒリしていて、ある意味心臓に悪い映画でした。 シンプル性を保ちながら徐々に闇の深さがわかってくるような、同時にどんどん主人公は絶望の淵に迫られていくストーリーラインが、とても容赦なく、メキシコの麻薬戦争の現状とフィクションが上手く相まっていて、あっという間の2時間に感じられました。 あと、尋問のシーンをあえて見せなかったり(不気味な呻き声だけ聞こえる)、花火を見せてやるよと言って、国境の向こうの現実を銃声のみで伝えるなどの、隠し方が却って印象に残ってしまうところも上手かったです。 今作では、人がなぜ悪事から抜け出せなくなるのか、どこまでが人として正しい行いなのか、何を守って生きていくべきなのかを考えさせられました。 ジョシュ・ブローリンが前作で出演した「エベレスト」には、デス・ゾーンという言葉が出てきます。人間が順応できない高度を超えた先、いわゆる死の地帯と言われていますが、今作ではエミリー・ブラント演じるケリーが、倫理観における"デス・ゾーン"に踏み入り、観客もその息苦しさを体験することになるわけです。 原題も邦題もずばりこの作品の中枢を突いていて、観終わったあと頷かされました。 現実に米墨の国境で起きていることもあって、迫真性がとても強い良作でした。 追記: フアレスに入って、陸橋の下にぶら下げられた死体のシーンのすぐ後、銃声がして車列が停まる場面で、アレハンドロの後ろにある掲示板には、若い女性の写真が何枚も貼られています。 きっと、カルテルに誘拐された女性たちでしょうね。 「悪の法則」でも終盤に、誘拐された娘の写真を掲げた親たちがデモするシーンがありましたが、はっきり言って、ぶら下がった死体よりゾッとしました。
現実は、もっと怖いんだろうな
アメリカとメキシコの国境付近における麻薬戦争を描いた作品。 激烈ですねぇ。日本でこの様な事が話題になることはないので、衝撃的です。単に、警察に寄る取り締まりではなく、リアルに“戦争“だと思います。 描かれている内容が圧倒的すぎて、何とも言えません。映画なので、多少の誇張は有るんでしょうが、これに近いことが行われているとすれば怖いです。 非常にトリッキーなのが、アレハンドロのポジション。ああいうことをすると、10年後とかにブーメランで自分自身に返ってくるんですよねぇ。アフガニスタンでの出来事のように。 邦題の『ボーダーライン』は、舞台となっている国境という意味の他、善悪のボーダーラインと言う二つの意味を掛けたんでしょうかね、やっぱり。洋画の邦題はトンデモナイことが多いんですが、そう言う意味では、この邦題はまだ許せますね。
2度と俺に銃を向けるな
悪を討つためには殺してOKという考えに苦悩するFBI捜査官の話で、アクションというよりドラマをみる映画。 善と悪とのボーダーライン…自身が命の危機に何度も遭遇しいる状況だし、主人公が甘くも感じる。 冒頭の突入からの件りは激しさと不穏さにハラハラドキドキしたけど、その後は溜めすぎてテンポが悪いシーンが多く感じた。
刺激的で重苦しい素材を丁寧に
刺激的で重苦しい素材を丁寧に描いて、ちゃんと面白くなるようにしている。 予告で公開されていた冒頭場面からストーリーは一本道だが、主人公がなにも知らない状況から徐々に真相が分かってくるのを観客も目撃する形式になっており、引き込まれる。 過酷な現実をかなり衝撃的なビジュアルで見せられるのでキビしい人はいるかも。 しかしこの映画は、ベニチオ・デルトロに尽きますね。格好いい! (シカリオ、ってなるほどそういうことか…)
エミリー・ブラント。 じゅうぶん女性的な人だが個人的にはお色気は感じない。出演は「とらわれて夏」のジョシュ・ブローリン。 ベニチオ・デル・トロがけっこういい役者だなと思った
Movix堺で映画「ボーダーライン」(Sicario)を見た。 劇場公開日:2016年4月9日 2015年製作/121分/R15+/アメリカ 原題:Sicario 配給:KADOKAWA エミリー・ブラント ジョシュ・ブローリン ベニチオ・デル・トロ 午前中なのでMovix堺の駐車場はすいている。 公開初日の第1回目上映だが観客は20人くらいだろうか。 主演は「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のエミリー・ブラント。 じゅうぶん女性的な人だが個人的にはお色気は感じない。 出演は「とらわれて夏」のジョシュ・ブローリン。 ベニチオ・デル・トロがけっこういい役者だなと思った アメリカとメキシコの国境で起こる麻薬戦争をリアルに描いた犯罪アクション。 巨大なメキシコの麻薬組織を殲滅するため、米国防総省の特別部隊にリクルートされたエリートFBI捜査官エミリー・ブラントは、謎のコロンビア人・ベニチオ・デル・トロとともにアメリカとメキシコの国境を拠点とする麻薬組織撲滅の極秘作戦に参加する。 命の危険が頻繁に起こる。 殺された人の死体の映像が数十体。 警察官が爆弾で2人殉死。 そういう映像が冒頭からずっと続くことになる。 そういうことなので映倫区分はR15+である。 上映時間は121分。 長さは感じない。 満足度は5点満点で4点☆☆☆☆です。
絶妙な暗さが素晴らしい!
『ボーダーライン』を観る。4月9日公開の作品を試写会にて。おもしろい‼︎麻薬カルテルとの国境での戦いが、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の手によってとんでもない作品に仕上がった。助演にはベニチオ・デル・トロを添える。主演を超える存在感を発揮するところは、さすがの一言。この監督の“暗さ”を撮る技術は完璧。人の闇の部分の暗さを表面に出す演出力。さらに画面が暗く何を映し出しているのかわからないまま、音だけで表現する。その両方の“暗さ”が重なり合って、下手なホラー以上の怖さが存在する。この暗闇の先には何があるのか、怖いもの見たさを煽る。冒頭の突撃、護送車とパトカーが走る、トンネルを捜索する…印象に残るシーンがたくさんあり、そこには太鼓(?)の音が常に響いている。それが印象的すぎる。そこに息や銃声、エンジン音や物音が重なり合い素晴らしい映像が出来上がっている。アカデミー賞の撮影、作曲、音響にノミネート。
原題の意味が最後に活きてくる、ラテン風味剥き出しの骨太なドラマ
メキシコの麻薬カルテル摘発に躍起になるFBI捜査官ケイトは国防総省にヘッドハンティングされて全容が明かされない秘密の作戦に参加することになり、得体の知れぬ笑みを浮かべる掴みどころのない上官と眼光鋭く寡黙な謎のコロンビア人とともに国境地帯へ赴く。肝心なことは何も知らされず右往左往するケイトは合法と非合法の狭間で作戦の真相に近づいていく。 『オール・ユー・ニード・イズ・キル』では無敵の英雄に扮したエミリー・グラントが本作では理不尽な現実に振り回される主人公を好演。監督はドゥニ・ヴィルヌーブ、過剰に内省的で難解だった『複製された男』とは全く異なるヴァイオレントで骨太な作風に驚きましたが、あちこちに無造作に放置される死屍累々にラテンエッセンスが剥き出しでニヤリとさせられました。 冒頭に語られる原題タイトル”Sicario”という単語の意味が最後に突如活きてくるので、この凡庸で印象に残らない邦題はちょっと残念。
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