「キャラと設定がぶれぶれ」デスノート Light up the NEW world 悠さんの映画レビュー(感想・評価)
キャラと設定がぶれぶれ
観客を驚かせるトリックや展開を重視した結果,キャラや設定がぶれぶれで違和感ばかりでした。
疑問に思った点を以下にあげます。
・人間が死んで,死神大王が喜ぶから,人間界に6冊のノートが降り立った。…という設定ですが,人間同士で殺し合っても,死神の寿命は延びないはずです。むしろ殺す人間が減って,死神界としては困るはず。6冊のノートが人間界に降り立つ理由付けとして,このような設定になったと考えられます。
・竜崎は世界的名探偵Lの後継者ですが,天才的な描写が一切ありません。むしろ顔を不用意に晒す,死神に感情移入するなど,本当にLの後継者なのか疑います。
・上にも書きましたが,キラ事件を追う以上,顔と名前をバラすのが危険というのは周知の事実のはずです。なのに登場人物はあっさり顔を晒し,結果どんどん殺されていきます。
・紫苑はキラの意思を継ぐ,つまり犯罪者をなくし,平和な世界を作ることを目指すはずなのに,犯罪者でない松田をあっさり殺します。観客を驚かせようとした結果,無駄に殺された松田が今回の1番の被害者な気がします。
・紫苑が竜崎にノートを渡せと取引したとき,ノートが本物か確かめるために,ノートの切れ端を触り合います。しかし切れ端は本物でも,持っていくノートが本物かどうかは分かりません。むしろ竜崎は本物を持っていく必要がありません。そして紫苑が一方的にノートを持ってこいと言う話なので,紫苑は切れ端を触らせる必要もありません。訳の分からない取引です。映画版はノートで人をかなり自由に操れる設定なので,本人が行く必要もありませんし。
・三島が竜崎をノートに書いたとき,死亡時刻をかなり後に設定したのもイマイチ理解できませんでした。(これは私の理解不足な可能性があります。)
・捜査員の七瀬が,急に性格が変わったように銃を向けてくる。しかも死神が助けてくれる。この場面は展開が急すぎて観客が置いてかれます。
・自分に酔っていた夜神月が,自分がいなくなった後のことを考えて後継者を残すことは考えにくい。スタッフロール後の「計画通り」も意味が分からない。
…などなど,多すぎて書き切れません。
トリックも,原作で使われていたものばかりで真新しさもありませんでした。
・デスノートに対抗できるのは,三島がキラの情報をまとめた普通の大学ノート。
・いくらデスノートでも,銃には勝てない。
…この2点は面白いと思いました。
続編を作れそうな終わり方でしたが,今回で登場人物の大半が死んでしまったので,どうなるんでしょう。スピンオフ,Lチェンのラストでニアと名付けられた男の子はなかったことになったのでしょうか。
批判の多いレビューですみません。
原作が1番面白いですが,前作,前後編は良く出来てると思います。