リリーのすべてのレビュー・感想・評価
全264件中、21~40件目を表示
私ならゲルダになれるだろうか
りゅうちぇるの一件を見て、この映画を見ようと思った。
一生の愛を誓った人から「女性として生きていきたい」とカミングアウトされたら。しかも目覚めのきっかけを作ったのが自分だったとしたら。
昨日まで心も体も互いに愛し合っていた夫アイナーとは別の人格、リリー。何とか元の夫に戻るようにゲルダは手を尽くすが、一度芽生えたリリーの女性になりたい気持ちは強さを増していく。
「なぜ私と結婚したのか」、「私の為に男として生きる努力はできないのか」。私ならそう思うだろう。しかしゲルダは、愛したアイナーの死を受け入れ、危険な手術を経てでも女性としての生き方を得ようとするリリーに献身する。
どうしてもゲルダに肩入れせずには見られなかったが、トランスジェンダーを自分事として考えるには良い映画だった。
評価も高い、興味を惹く内容
いざ見てみると、リリーよりもゲルダに感情移入しすぎて、途中リリーに対して嫌悪感を抱いてしまった。
トランスジェンダーを否定する気はない。
ただ疑問点が出てきてしまう。
今までゲルダに対して性的な欲はあったはずなのに、
女装きっかけで今まで眠っていた女性としての目覚めで本物の女に?
ゲルダが不憫でならない。
正直リリーとして生きていくのならさっさと別れてほしいっていう感情。
女として生きていきたいといっても、元々夫婦として生活していたのにそんな扱い?リリーの性格の悪さに嫌悪感。
トランスジェンダーが挟むから、性の葛藤や当時の時代背景である性転換の大変さとかでリリーの嫌らしさがモヤモヤにされているけど、
はっきり言ってリリーになってからの自由奔放さやゲルダに対して気配りゼロの態度
女として、男として置いといて、人として
うわー嫌なやつって印象でいっぱいになってしまった
当時の性転換手術なんてバカ高い金額なのでは?
その手術費用だってゲルダが出したのでは??
現実的なこともつい考えちゃった
映像美や俳優さん達の演技力には脱帽でしたが、
モヤモヤしてしまいました。
全体的には映像も絵画も美しく、
演者の方々も美しく
素敵です。
内容に文句だけです。
香水の下をくぐる
切なすぎる…こんな切なさは初めてだ
愛と受容
トランスジェンダーの男性(女性)とその妻。
二人の複雑な感情が絡み合い変化していく様子が伝わってきました。
リリーの苦しみ、妻ゲルダの苦しみ。両者それぞれの視点から考えさせられました。
性同一性障害という言葉すら無かった当時のリリーの苦しみ。医者にすら理解されず、否定されたり拒絶されたり…その孤独や絶望感は計り知れませんが、彼女のそばにゲルダのような妻がいてくれてよかった。LGBTの認識のない当時を生きるリリーにとってゲルダのような存在がどれだけ大きな救いだったろう。
妻ゲルダの感情も複雑。愛する夫アイナーの中にいるリリーの存在を受け入れるという事は、彼とのこれまでの関係を否定する事でもある。自分を置いてどんどん“リリーになっていく”夫に対し、もう勝手にして!って突き放す事もできたかもしれませんが、孤独や哀しみに満ちた心に蓋をして最後まで寄り添ってあげていました。
世界初の性適合手術に臨み道を切り開いたリリーの覚悟も大変なものですが、そんなリリーを理解し受け入れたゲルダの深い愛情や葛藤にも心を打たれました。
苦悩
本来リリーの苦悩を思う所だけど
ある意味身近な人たちには理解
してもらえて女性になることが
できた悲しい結果になって
しまったけど…しあわせだったと思う
…妻のゲルタの苦悩は
大変なものだったと思った
夫が女装を始めて理解はできていたけど
男性とキスしていた時はショック
だったろうし
ましては身体まで…
男性と暮らしたいがために
それでも母親のように
寄り添って
彼を支え守ってきた
彼のことが嫌いになれなかった
精神的に彼のことが今も好き
最後に彼のマフラーが風に飛ばされて
空高く舞い上がった時
…これからは自由に生きて
と言っている様だった
アイナーに会いたい
自身の心に従って生きようと苦悩する風景画家アイナー / リリー( エディ・レッドメイン )の姿が痛々しくも美しい。華奢な身体のライン、透き通るような白い肌、はにかむような美しい微笑みに目を奪われた。
妻として愛される事を願いながら、リリーとして生きる人生を選んだ夫アイナーを受け入れ、尽くす妻ゲルダ( アリシア・ビカンダー )の姿が切ない。
旧友ハンスを演じたマティアス・スーナールツの醸し出す男の色気に魅せられた。
フジTVを録画にて鑑賞 (字幕版)
オランダ娘
色んな意味で「開拓者」
段々と
女性らしい所作に変化していくリリー。エディレッドメインに脱帽。
ゲルダの美しさにも脱帽…
最後のシーン
ゲルダがリリーにあげたスカーフが、故郷の空に舞う…
手を伸ばし、スカーフをなんとか捕まえようとするリリーの幼馴染ハンスに、ひと言
飛ばせてあげて…
トランスジェンダーへの理解など、ありもしない時代に生まれたリリーが、人生の最後に、自分らしさを取り戻した そして、旅立った。
幸せな第二の人生を天国で送ってほしいとのゲルダの想いが伝わった。
SDGsの進展で、ダイバーシティ意識も世界的に高揚しているなか、意義深いテーマ。
愛の沼地に入り込む映画
リリーとゲルダのすべて
まずエディ・レッドメインの演技が素晴らし過ぎる。
リリーがどんどん姿を表して来る様や所作は圧巻だった。
リリーの踏み出したこの第一歩は月に人間が行くのと等しい
勇気だと思うけど、
僕的にはゲルダの苦悩がしっかり描かれてて、
感情移入出来た。
今でこそLGBTQも一般的に知られ、
それなりに知識もあるけれど、
当時同性愛だとか性同一性障害とか言われても、
信じ難かったと思う。
本編のセリフのように何か趣味の悪いゲームに付き合わせれてるんじゃないかと思って仕方がないと思う。
それを、もしかしたら自分のせいでと言う罪の意識からか、
愛する人の本当の希だからか、最後まで側にいてあげた
ゲルダもまたスゴい人であったと思います。
しかも、この手術の成功は、
愛した人の望みを叶える事ではあるけれど、
自分の愛した人はいなくなると同じ意味を持つと言うところ
が泣けました。
とても良い映画だったと思います。
美しくも悲しい映画
ノンバイナリーの悲鳴
オリンピック2020東京大会での最大のトピックは、複数の「LGBTQ+選手」のカムアウト参加だった。
それについてはSNS上では盛んに意見が戦わせられた。
・場違いな自己主張で五輪を利用するな、キモい
・元男性が女子競技で勝つ=体格の優位性の悪用
・性別種目の崩壊
・LGBTQ+用のクラス新設が必要
・いっそ全種目をバリヤフリーの混合にしては?
等々。
そしてそれら紛糾する投稿の中で、ノンバイナリーの支援者の立場から寄せられたオーサーコメントには、僕は唸ってしまったものだ
すなわち
― 戸籍上の性別変更を日本政府は形式の上では認めているが、そこには“臓器摘出の強要“という欧米では考えられないような野蛮な条件がつけられている ―
と。
・・・・・・・・・・・・
【僕はどう捉えるか?】
リリーのように、
摘出・切除を望む当該者の気持ちを、僕はどう受け止めるべきなのか、まだ分からずにいる。
①自分を今の姿でありのままに受け入れることと、
②自分をありのままに受け入れるために自分を改造することと・・
このふたつのどちらに、正解があるのだろうか。
肉体と精神の不整合という「違和感」を訴える本人の気持ちに対して、(改造せずに今のままの肉体であり続けること=)それをも受容してみる=そのようなもうひとつの新しい決断はあなた自身と他者の両者共に、更なる多様性を認め合う、次世代の生き方と言えないか?
また、“改造”は自己実現ではなく、自己否定なのではないか?
と、
僕は問うてはいけないのだろうか。
ゲルダの問いかけには一切の返答をせずにリリーは微笑むだけで。リリーは自分の道を進み、ゲルダは孤独に取り残されるのだが。
・・・・・・・・・・・・
「彼氏」だと思っていたのに「彼女」だったというパターンは「わたしはロランス」に重なる。本人は夢を叶えて目をキラキラさせている。
しかし映画の主題は「置き去りにされるパートナーの混乱と苦渋」だ。
本作品「リリーのすべて」でも主演はリリーではなく、エンドロールでキャストの筆頭に挙げられたゲルダだと思うのだ。
⇒男女逆パターンのシナリオの映画があったら、ご同好の皆さん教えて下さい。
ちなみに
男性の夫と結婚している妻だけど、(=いわゆるノーマルな外見上多数派の男女の結婚だけれど)、
本当のところは実は彼女の心は男性で、夫には知られずに男性同士の同性愛として結婚をしている
という人を知っているので。
小説にも同じケースのものがありますね。
性的指向や性自認のノンバイナリーは、そのケースは人の数だけ存在するのだろう。
・・・・・・・・・・・・
美術学校でクラスメートだったというリリーとゲルダ。
違うタイプの絵を描く二人だったけれど、
今一度リリーの生まれた土地ヴァイレに戻って、リリーの存在の源流を眺めるゲルダと親友。
「リリー」とは何だったのだろう。
思いを巡らす素晴らしいエンディングでした。
風景はあくまでも美しく、
人物個々は被写界深度の浅いカメラでその人の心象まで写し、
そして二人のシーンでは背景はあっさりとミニマムに撮る。
くすんだ青い服、青い壁、青いシーツ、青い空。
リリーが、心身が訣別していく過程は、シンメトリーな画面と色彩の補色=黄色が効果的。
問題提起をば様々な手法をもって、揺れる心と決断までを、スクリーンの構図と色彩で映像化する、
まったく見事な映画芸術でした。
ちなみに我が弟はカミングアウトしていて、本も出しています。
世界で初めて性適合手術を受けたひと
1882年から1931年まで生き、1930年から1931年にかけて5回の性適合手術(男性から女性)を受けた夫と、母国デンマークで同性愛は犯罪であった時代に、夫の性転換を理解し支援した妻の、愛の物語だった。
主演のエディ・レッドメインさんがとても美しくてびっくりした。そして、ある日を境に普通の男性が女性になっていく過程や、妻と好きになった男性への愛情の間で葛藤する様子をとてもリアルに表現していた。
全264件中、21~40件目を表示