団地

劇場公開日:2016年6月4日

団地

解説・あらすじ

阪本順治監督が日本アカデミー賞最優秀監督賞など数々の映画賞を受賞した「顔」の藤山直美と15年ぶりにタッグを組み、団地に越して来た夫婦にまつわる噂が引き起こす一大騒動を描く。三代続いた漢方薬の店を売り払い、団地へ越してきた清治とヒナ子夫妻。昼間から散歩ばかりの清治に団地の住人たちはあれこれと噂をしているようだが、ヒナ子はそんなことも気にせずパートに出かける毎日を送っていた。清治が散歩に出なくなり、ヒナ子の家にスーツ姿の若い男が出入りするようになると、離婚、清治の蒸発、さらには殺人か、などと好き勝手なことを噂される始末。ヒナ子夫妻にまつわる噂はさらに拡大し、警察やマスコミまでをも巻き込む事態へと発展するのだが……。ヒナ子、清治夫妻に藤山直美、岸辺一徳。団地の自治会長夫妻に石橋蓮司、大楠道代。謎の男には初の阪本組参加となる斎藤工。

2016年製作/103分/G/日本
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2016年6月4日

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(C)2016「団地」製作委員会

映画レビュー

3.5 【阪本順治監督って、こんな面白、へんてこSF映画を作っていたんだ、ビックリ!。団地に住む人たちの噂話映画と思ったら、予想の斜め上を行く展開に驚いた作品。】

2025年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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■大阪近郊にある古い昭和に建てられた団地が舞台。
 ここで山下ヒナ子(藤山直美)と夫の清治(岸部一徳)は一人息子のバイク事故死をきっかけに薬局を締めて、引っ越して来て暮らしていた。
 謎の多い2人の雰囲気に、団地の住民たちの勝手な噂話は広がって行く。
 さらに団地の会長選挙で行徳正三(石橋蓮司)に大差で敗れたことでへそを曲げた清治が床下に隠れてしまうと、ヒナ子が清治を殺したという噂が団地に広がり始める。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・冒頭から格好良い斎藤工さんが、へんてこりんな言葉を使いながら山下夫婦を訪れ、大量の薬を買って帰る。なんだなんだと思っていると、
 ヤッパリ、団地の主婦たちの噂話映画かあ、という方向に進んで行く。

・だーが、そこからの展開がヘンテコリンだがゆるーく面白いのである。

■阪本順治監督と言えば、邦画の巨匠の一人であり、今作前に公開された「北のカナリアたち」や「人類資金」は大作であり、メディアにも可なり紹介され、劇場で鑑賞したモノである。だが、今作は存在すら知らなかった。公開館が少なかったのなあ。
 自作の「エルネスト」以降もの作品も全部劇場で観ているのだが・・。オカシイナア。
 けれども、今作はヘンテコリンな設定が秀逸で、しかも阪本順治監督のオリジナルである。(というか、阪本順治監督は、基本的にオリジナル脚本で勝負する貴重な監督の一人である。)

・話がドンドン、左斜め上の方向に進んで行って、斎藤工演じるしんじょうさんが、宇宙人で仲間のために、山下夫婦から5000万円で薬を買う事になり、夫婦がせっせと団地の一室で薬を作るシーンは、面白かったぞ!

<そして、ナント、ラストには団地の上空に巨大UFOが飛来するのである。いやあ、ビックリの展開でしたが、オモシロSFでございました。
 イロイロと、ビックリ連続作品で、しかも何故かほっこりする人情モノにもなっている作品であります。>

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NOBU

4.5 団地が向かう地平

2024年9月6日
iPhoneアプリから投稿

団地という空間はどこへ向かうのか?その一つの終着地点を示したのが本作なのではないかと思う。

高度経済成長と米国至上主義の発露として各都市に出現した団地という集住空間は、日本経済の凋落やアメリカ幻想の消失とともにその輝きを失っていった。無味恬淡なコンクリートの豆腐と化してしまった団地は孤独のイメージと結びつき、今や「あの団地、出るんだって」というような恐怖譚の温床と化している。

そのことは映画史的にも明らかだといえる。川島雄三『しとやかな獣』が喝破した団地の孤独性は森田芳光『家族ゲーム』、高橋伴明『DOOR』を経て中田秀夫『クロユリ団地』へと順々に流れていった。

孤独の結果としてもたらされるホラー。それは団地という空間が辿り着くべき妥当な終着点なのだろうと思う。しかしここにおいて団地映画という系譜は限界を迎えてしまったともいえる。今やホラー以外に団地を取り扱うことのできる文法は存在しないだろう。

かといって『仄暗い水の底から』『クロユリ団地』を超えるようなホラー文法の団地映画が後続しているかというとそんなことはなく、『N号棟』などは最低最悪の出来だったといえる。『N号棟』は団地の寂しげな表層的印象を安易に拝借し、出来合いのホラートピックとごった混ぜただけの粗雑な代物だった。

他方、本作は団地の孤独性を周到に踏まえている。画一的な住居、故郷と生活背景の相違、互いに見通すことのできない内部の生活、噂の一人歩き、高齢化。

漢方薬店を畳み、団地へ越してきた山下清治(岸辺一徳)とヒナ子(藤山直美)は、団地特有の薄っぺらく嘘臭い人間関係に辟易していた。夫の清治は紆余曲折を経て自宅の地下に「引きこもる」ことを決意するが、それによって団地中に「清治さんは死んだ」という根も葉もない噂を立てられる。

噂は団地の外側で徐々に肥大化していき、遂には「ヒナ子さんが清治さんを殺した」というナラティブが出来上がる。いよいよ警察沙汰になりかけたところで、物語のもう一つのラインが動き出す。

漢方薬店を畳んだ清治だったが、彼のもとには依然として顧客がついていた。それが真城(斎藤工)という不思議な男。「自分の同郷人たちのぶんの漢方も作ってくれ」という彼の依頼を受け、山下夫妻は大量の漢方を精製する。

近隣住民すべてに疑いの目を向けられているまさにその渦中、真城率いる「同郷人」たちが姿を現す。住民たちが空を見上げると巨大な未確認飛行物体が浮かんでいた。そう、真城たちの正体は宇宙人だったのだ。

真城は「息子さんに会えるから」といって山下夫妻に自分たちと同行するよう促す。夫妻は過去に息子を事故で喪っていたのだ。どういう原理から息子に会えるのかは不明だが、とにかく真城の言う通りにすればいいらしい。

山下夫妻が宇宙船に乗って地球を去る際、夫妻とそこそこ仲の良かった団地内の別の夫婦が彼らを見送りにやってくる。しかしそこで交わされるのはセンチメンタルな人情劇などではなく、あっけらかんとした別れの挨拶だけだ。

ここには団地という空間の相互不干渉性が表れている。仲良くはするが、内部には踏み込めない。『男はつらいよ』のタコ社長のように「とらや」一家の悶着にズケズケと入り込んでくることは決してない。ゆえに別れの儀式も淡白なのだ。

また真城の宇宙船には山下夫妻の他に、向かいの棟の少年も同乗する。彼は父親からDVを受けていた。山下夫妻も少年も、決して内部を見通せないという団地の根本的性質の犠牲者であるといえる。

そうした団地の息苦しさを知りながらも、かといってどこにも逃げるあてのない人々。彼らを救い出すことのできる術があるとすれば、それは「宇宙船で別の世界に行く」などといった荒唐無稽なサイエンス・フィクションしかない。

『仄暗い水の底から』や『クロユリ団地』は団地という空間の終着地点を「誰もいない場所(=人ならざるものが跋扈する場所)」として設定した。他方本作は、団地の息苦しさを打破できる唯一無二のソリューションとして荒唐無稽なサイエンス・フィクションを展開した。

いずれにも共通するのは「団地は相互不干渉的な空間である」「団地は居住空間として限界がある」という認識だ。

団地は今やタワーマンションにその地位を完全に奪われたわけだが、タワーマンションとてその性質は団地と大差がない。タワマンを舞台にした一連のTwitter文学作品(俗に言うタワマン文学)においてもホラーやSFといった題材は多くみられる。

かといって旧来の長屋的生活様式に戻るわけにもいかない我々は、多かれ少なかれ団地的な生活をこれからも続けていかなければいけないわけだが、その先行きはどうにも暗澹としている。

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因果

1.0 薬事法は?

2023年12月29日
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マサシ

2.0 なぜ、そうなってしまうんだろう??

2023年12月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

笑えるのは笑えるのです。
そりゃ、もう、主演の2人が喋ってるだけで
十分面白いから当然笑えます。

でもいつもの藤山直美の舞台風人情喜劇を期待して行くと
思いっきり裏切られます。

観た事ない藤山直美を撮る!と言うのが
監督の狙いだそうだから〜〜

でもだからって、なんで床下に潜ってしまうのか〜
不自然過ぎて、そこで引いてしまった。
もうちょっとやり方があったのでは??

もったいない〜〜

それと、映画の冒頭、一定の年齢以上の
関西人には身体に染み付いてるある有名人の声で始まります。
その有名人の動員力のせいか
映画観賞には不慣れっぽい層のお客さんが多くて
上映に遅れて来たり、
持ち込んだお菓子の袋がシャカシャカうるさかったり
なんだかな〜〜事がいっぱいあるので
覚悟して行って下さいね〜〜

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星のナターシャnova