ハッピーアワー

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ハッピーアワー

解説

演技経験のない4人の女性を主演に、ごく普通の30代後半の女性たちが抱える不安や悩みを、総時間317分の緊迫感あふれるドラマとして描いた。映画学校の生徒たちを起用した4時間を超える大作「親密さ」や、東北記録映画3部作(「なみのおと」「なみのこえ」「うたうひと」)など挑戦的な作品作りを続ける濱口竜介監督が手がけ、スイスの第68回ロカルノ国際映画祭で、主演4人が最優秀女優賞を受賞した。30代も後半を迎えた、あかり、桜子、芙美、純の4人は、なんでも話せる親友同士だと思っていた。しかし、純が1年にわたる離婚協議を隠していたことが発覚。そのことで動揺した4人は、つかの間の慰めにと有馬温泉へ旅行にでかけ、楽しい時間を過ごすが……。

2015年製作/317分/日本
配給:神戸ワークショップシネマプロジェクト
劇場公開日:2015年12月12日

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(C)2015 神戸ワークショップシネマプロジェクト

映画レビュー

5.0これしかあり得ない、絶妙なタイトル

2016年3月25日
iPhoneアプリから投稿

夫婦間のすれ違い、子育ての戸惑い、仕事の重圧、計りかねる他者との距離感…。次々にあぶり出される、切実で身近すぎるあれこれ。観ている時は、「ハッピーアワー」とは何て真逆なタイトルだろうと思った。けれども、観終えてみると、これ以外のタイトルはあり得ないという気持ちに満たされた。噂に違わぬ、至福の5時間17分だった。
この作品で特筆すべきは、とにもかくにも「時間」だ。そこに流れているのは、めったに味わうことのできない、混じりない映画の時間。映画が終わったら何を食べようとか、何をしようとか、あれはどうなっているだろうとか、そういったものが入り込む余地が全くない。かといって、遊園地のアトラクションのように、別世界に引き込む訳でもない。4人のヒロインをはじめとする映画の登場人物と、観る者の時間がすっと重なる。彼らと共にそこに居合わせているような、そもそも昔から知って知るような、そしてこれからも何処かでふっと出会うような。そんな印象を、確実に残してくれた。
印象と言えば、画面いっぱいに顔(表情)が捉えられ、二者を交互に切り返しながら会話が描かれるシーンも忘れ難い。(往年の映画手法だが、最近はなかなかお目にかかれない。近作なら、黒沢清監督の「岸辺の旅」。また、濱口監督の共同ドキュメンタリー作品「なみのこえ」三部作でも、この手法が効果的に使われている。)臆面もなく、という言葉が思い浮かぶくらい真正面。それに耐えられる俳優さんたち(とはいえ、本作はワークショップから始まったであり、主役4人をはじめ多くは「新人」「素人」だが…。)も、スタッフの技も素晴らしいと感じた。また、人物の身体を逆光から捉え、漆黒のシルエットで描き出すシーンの数々も、凛として美しい。表情を押し隠したその影を、まばたきを惜しんで凝視せずにいられなかった。改めて、人をしっかり見る、言葉をきちんと聴くという、一見ありふれた行為の難しさや大切さに気付かされ、そんな行為を最近自分は怠っていたな、という自戒もわいた。
前半で身体ワークショップ、後半で朗読会のシーンがじっくりと映し出されることからも、「身体と言葉」が、本作で重要なテーマとなっていることは明白だ。その中で、桜子の義母の振る舞いは、一つの答えであるように思った。出番は少ないながら、彼女は主役4人に負けず劣らず魅力的で、軽やかな印象を残す。彼女の言葉や仕草はゆっくりとしていて、よくよく考えられ、選ばれたものであることが多い。息子宅の居候でもあり、周囲を気遣い、常に間合いを取りながら振舞っているように見えた。けれども、そのさじ加減が絶妙で、わざとらしさは全くない。ちょっと芝居がかったセリフや仕草までも、すとんと腑に落ちる。閉塞した状況に、ちいさいけれど絶妙な風穴をあける彼女。自分も、歳をきちんと重ねて、いずれはそんな振る舞いをできるようになりたいと思った。
今回は、5時間余を三部に分け、休憩を2度挟んだ上映形式で鑑賞したが、休憩というより中断に感じられた。休憩時間に外に出て空を眺めながら、様々な想いや引っかかりを反芻し味わえたとはいえ、この後、ちゃんと彼女たちに再会できるのだろうかと心配で堪らなかった。インターバルなしの濃密な上映も、ぜひ体験してみたい。

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cma

5.0世俗な社会の切れ目に垣間見える聖性のようなもの

2022年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

徹底して世俗なものにカメラを向けながら、ふとした瞬間に聖性が訪れる。そういう瞬間は5時間の間に何回もある恐るべき作品だった。ワークショップで、怪しげな鵜飼という男が、ナナメに椅子を立ててみせる。あの不思議な、何か世界に法則に切れ目が入ったような瞬間を捉え、それを境に4人の女性が生まれ変わったように変容していく。後に4人の女性の一人が鵜飼にクラブに連れていかれる。そこで彼女は、キリストのように両手を広げて、フロアの客たちにあおむけに運ばれる。世俗の中に異様な聖性のイメージ。低予算のワークショップだから、ロケ場所もよく見かけるありふれた場所だが、そんな場所で私たちが気が付けない異様なものをカメラが捉えている。実は、私たちの生きる社会でも目を凝らすと、そういう聖性が漏れているのだ。
奇蹟のような出会いや再会が何度も描かれるが、それがご都合主義ではなく必然に見えてしまうのは、そういう風に漏れだす聖性ゆえだろうか。
5時間しゃべりっぱなしの映画でもある。濱口映画は声に力がある。映画にとって声は何か、私たちは充分に考えてこなかったのかもしれないと思った。

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杉本穂高

2.5飽きなかったけど

2023年12月3日
iPhoneアプリから投稿

怖い

ずっと夢中です見ていたわけではないが、長い時間飽きもせず見終わった。途中まで好意的に見ていたが、終盤の展開には辟易とした。

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おのもん

4.0胃の腑の声を聞く

2022年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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琥珀糖