オーバー・フェンスのレビュー・感想・評価
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微温的な絶望感
再スタート
元嫁が壊れた原因が自分にあると気づいていない、気づきたくない主人公。
ほとんど皆何かしら抱えている職業技術訓練校で出会った仲間に紹介され、自称壊れている女と出会い自身と向き合い再スタートを切る決心をする様子が切なく痛く暖かい。
みんな何かしら普通じゃないし、普通って何だろう…焼肉屋の件が本質への始まりかな。
僕の中の原作の世界とは違うものでした。
原作の尺では映画一本にするには短い。だから、ストーリーにも各キャラにも肉付けをする必要がある。それは、本作が収まっている短編集「黄金の服」の中の他作から得るだろうと思っていた。
はたして、サトシの精神疾患の部分は「黄金の服」のアキだった。僕はがっかりした。そもそも原作のサトシは、あんなぶっ壊れた危ない女ではないのだ。だいたい、付け加えるとするのならアキでなく文子のほうじゃないか。過去がありながらも分別は持ち得ている文子こそ、サトシのキャラに近いものがあるのに。サトシはあんなオーバーアクションの鳥の求愛の真似なんてしない。おまけに、地に足をつけようと花屋で働くのが似合うサトシには水商売はイメージ外だ。
舞台が職業訓練校だけに大工の道具でノミがでてくるが、あれを芝居でつかったのも失敗だ。他の映画ならノミ自体がもめごとのフラグとして成り立つが、佐藤泰志の話の場合は違うのだよ。喧嘩の小道具ではなくて、心のキズの象徴なのだよ。だから、あるのだけどつかっちゃいけないのだ。(そう思うのは自分だけ?)
ついでに言えば、代島も間違っている。思いがけずこんなところ(訓練校)で出会えた、気の知れた同世代の仲間であるはず。演じた松田翔太本人が悪いわけではないが、儲け話を持ち掛けたりはしないよ。代島には、「黄金の服」の道雄を肉付けすべきだったろうと思うのだが。
オダジョーはよかった。枯れたなかにも艶があり、瞬時に見せる狂気もある。さすがに上手い。だけど、あの役にはちょっと歳が行き過ぎているのが不満だ。
たとえば、「そこのみにて光り輝く」のなにがよかったかって、綾野も菅田も高橋もよかったけど、あの千夏を体現した池脇の存在こそがまさに作品の完成度を上げたのだ。その千夏というキャラには、閉塞した地方都市に住む、希望の見えない若者が、わずかながらでもようやく見える希望をそっと、それでいてしっかりと捕まえておこうとする健気さがあった。この原作のサトシにもその健気さが見えている。そのキャラを膨らませてくれるのものだとばかり思いながら鑑賞したのだ。がっかりした。
鑑賞後、舞台挨拶。
マックス、キャラ自重気味ながら随所に弾けまくり。
キューバで撮影中のオダジョーには会えず。残念。
「ぶっ壊す」「ぶっ壊れる」男女関係の危うさを描いた作品だったのかなぁ?
映画の序盤、義男が聡の鳥の求愛ポーズを見ている場面で、この作品は駄目だと思った。
まず、「同伴」を依頼するのにあんな鳥の求愛のポーズする女の神経が判らん。
義男と聡の行為の後、いきなりの口喧嘩。うーんどうだろうか。常に精神が不安定な役をやらせれば、
蒼井さんお得意の芝居だし、今回は彼女の演技に意外性がまったくなし。監督の要望をはるかに超える
演技をするオダジョーと蒼井。山下監督作品を拝見するのは初めてだが、演者の演技に魅了された
映画である。山下監督作品を拝見するのは初めてである。
精神という支えに必要なボルトの1つ2つ抜け落ちてしまった聡。彼女の育った環境がどうであった
のか。いつから聡が、精神的に不安定になったのかが描かれていない。
どうして????インサートされていないのだろう。義男の指輪は何となく判ったが。
若いが故に、精神的に不安定なもので、孤独感、喪失感と向き合わざる負えない状態の中で生き、
「ぶっ壊す」人間を前にすると、見事に人として「ぶっ壊れて」しまうのだろうか。っていうことが言い
たかった作品だったのだろうか
蒼井優!
日本映画のいいとこどり
ある意味でスタッフ&キャストも日本映画のいいとこ取り。特にオダギリジョー、蒼井優、他、このくらいの俳優がしっかり芝居のできる映画を定期的に用意していただきたい、という感じ。その中で、松田翔太の意外な存在感がかなり新鮮味があった。
音楽が素晴らしく、ラスト、本当に気持ちい。
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