オーバー・フェンスのレビュー・感想・評価
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この映画のキモは?
最後のホームランででそれぞれの顔を一瞬クローズアップするシーンがとても良かった
あっこれで終りなんだ?!というあっけなさも少し感じた
今までの函館二部作がずしりと重たいものを胸に残す映画だったからだろうか
職業訓練校だけど本気では何者にもなろうとしてない人々の屈曲を抱えながら淡々とおくる学校生活なるものーそれがこの映画のきもかな?
オダギリジョーは上手い
物言いに惚れ惚れするのは声の質感からくるだけのものではないだろう
40歳過ぎてもオッケイと喚び出された時の若い女への静かなキレ方も絶妙
埠頭での号泣のあと聡と会った時の表情も胸に染みる
蒼井 優も痛々しさがぐっとくる
3部作の最後がこのオーバーフェンスで良かった
聡がヤバすぎる
とにかく、聡のインパクトが強かった!痛々しくて悲しくて気持ち悪い。
執拗な鳥のモノマネや幸福の絶頂から一気に絶望と憤怒の色に豹変する眼差しとか、聡の強烈な行動を見ていると、
「なんという孤独で寄る辺のない、愛を求めても決して得られない世界に聡は生きているのだろうか」
という彼女の生き辛さに思いを馳せます。
しかし、同時に、
「マジでこんなボーダー女に関わったら一巻の終わりだわ、クワバラクワバラ」
って気持ちが沸きました。
人として付き合うには、聡は百害あって一利なしの最悪なタイプです。
動物園の柵を開けまくる聡が逃げないハクトウワシを見て、「なんで逃げないの!」と叫ぶシーンは特に悲しかった。聡には柵の外の世界なんて実はないし、その無情な現実を象徴しているようにも思えて苦しかった。
その夜に白岩が見た家にやってきたハクトウワシは彼の幻だろう。ハクトウワシははばたくことはない。この作品で聡は永遠に無間地獄を彷徨い続け、成長できないのだから。
ラストも意外としんどかった。爽やかに終わったけど、あの後はどうせ白岩と聡はなんかのきっかけですぐ修羅場を迎えてグチャグチャになるのは明らか。一見ハッピーエンド風だがなんも変わらず堂々巡りだよなぁ、なんて感じました。
もうちょい聡の背景を描いてくれたら、とか思いましたが、離れに住んでるとはいえガラスが割れて男と怒鳴りあっても、家族が誰ひとり介入してこない家に育ったんだな、ってことは解りました。離れのキッチンで行水するところを見ると母屋には一切近づいていないんだろうな。家族の断絶を感じます。
聡もつらいけど、森くんもキツかった!数少ないセリフで精神的に母親の支配下にあることがわかる森くん。訓練校を辞めさせられたあと、一瞬母親と買い物をしているシーンが映ったが、胸が抉られました。正直、この1秒くらいの場面が本作品中で一番印象に残っています。彼も自分の人生を生きられないんだよね。
白岩はしょうもないヤツだな、という感想です。元妻を追い詰めたとか言って自己憐憫に酔っているだけ。あの調子では仕事も自分と向かい合うのが怖くて多忙に逃げてたクチだな、って想像できます。
まぁ元妻の前で泣けたのは良かったね。この時、元妻との関係に区切りをつけ、成長して前に進めるかと思いきや!相手が聡じゃ消耗するだけ。なにせ直後に聡が車でストーキングしているホラーシーンが入ってくる訳だから。
登場人物がぜんぜん成長しない作品であります。
その意味では好みの物語ではなかったのですが、登場人物を長々と考察できる、とっても観応えのある映画でした!
演者はみな最高。蒼井優は天才ですな。
★追記 (10/9)
どうやら原作では、聡はあんな境界例ではないようだ。
白岩の成長を描くことに焦点を当てたのであれば、キャラ改変は失敗だったと言わざるを得ないが、映画を刺激的にしたかったのであれば改変は成功だったと思う。
この映画を楽しむことの喜び
予想通り淡々と現代社会を反映した人間劇でした。素晴らしい俳優陣が実力通りの力を見せつけ、それを素直にとらえて、素直に繋いだ作品です。
自分が住んでいる世界が何度も目の前に広がり、よくあるどーでもいい会話や怒りや涙が展開されるだけなんですが、それら一つ一つにことごとく反応してしまう自分がいました。
特徴的な音楽も非常に効果的だったように思います。
かなり気合いの入った作品であることは間違いないのですが、そんな力感などまるで感じることがないくらいの緩さがとてつもなく心地良かったり──。
函館の雰囲気も、押しつけがましいことなく、それでいてしっかりと出ていて(言葉など含め)とってもいい映画だなと心から思えました。出ている役者が個人的に皆好きな部類だったので、余計に好感を持てたのかもしれません。
いたって普通
オダギリジョーの役、いたって普通の人間?
ただ、その後に自分を捨ててしまうと言うか、過去にすがっていると言うか、自分を見失っている。
何もかも壊してしまう最悪の人間? ??
ただ、色々な人たちの中で時が流れていく。
どうなるかが予想される中で、過ぎていくのが案外心地よいのです。
オダギリジョー
佐藤泰志原作のオーバーフェンス。原作は読んでいません。映画化された佐藤さんの作品『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』に続く「函館3部作」の最終章と話題に。海炭市叙景は当時、映画館で観ていて、オーバーフェンスを観に行く前に、そこのみにて光輝くを観ました。「そこのみにて」がとにかく素晴らしく…というのは置いておきまして。 過去の2作品を見て、三部作と言われてしまっただけに比べてしまった所があり、あ〜これは事前の情報を得るべきではなかったと後悔。過去の2作品の生っぽさというか、不気味さが凄く好きで、そんな映画を見たいと思ってしまったから、物足りなく感じてしまった。なんかカット割というのでしょうか。そうゆう感じの物が、あまり好みではなく、やっぱりもっと生っぽく撮ってほしかった。出ているキャストの方はみなさん、素晴らしく、魅力的だっただけに少し残念に。
そして、もう言ってしまうと、 とにかくオダギリジョーさんが好き過ぎる自分にとって、どんな映画だろうとオダギリさんを観れただけで、プライスレスとなってしまうので、余りにも参考にはならない。
普通という無意識の加害者。
自分はそうじゃないと言い切るのは難しい。ぶっ壊れている他人を見て、見下したり、憐れんだり、無関係だと思ったり、わかった風に優しくしてみたりする。けれども、そういう自分はただ普通なわけではなく、他人にストレスを転嫁してぶっ壊す側の人間なのかもしれない。それも徹底して無自覚に。そういう怖さに気付かされる。
白岩がまだ本当には当事者意識を持てていないと感じた聡が、動物園の檻を解放して回る。聡の願いも虚しく檻から出ようとしなかった白頭鷲は「死んだように生きる」ことしかできない自分自身、あるいは、自分の檻から出ようとしない白岩でもある。であれば、窓辺に現れた白頭鷲の幻は聡の未来を暗示しているとも、白岩の心の変化の表れであるとも取れる。
タイトルはラストそのままだけれど、このフェンスは動物園の檻や、白岩が普通という言葉で無意識に引いてきた境界線や、聡が周囲との間に感じてきた壁のことでもあるだろう。あのとき聡を見つけた白岩が放ったホームランは、そのままふたりの未来の暗示だろう。函館3部作の中ではいちばんストレートに希望が描かれていて、個人的にはいちばんグッときた。
爽やか!
函館の街の景色と、カラカラと音をたてながら自転車を漕ぐオダギリジョーの風のような軽やかさが印象的。
しかし一見軽やかで飄々として見えても、じっとりとした絶望や諦めが、軽く肉のついた背中や二の腕からにじみ出るようで、「オダジョもおじさんになったな〜」と思いつつ、そんな中年の哀愁がすごく良い。
ポスタービジュアルにもなっている夜中の自転車二人乗りのシーン、そして蒼井優に引っ張られてお店でふたりで踊りだすシーンが、とにかく美しかった・・・
初夏の函館の空気を吸い込んだような、さびしさと爽やかさが余韻に残る良い映画でした。
適材適所が光る蒼井優。
出来は良好ながら胸に迫るものがない、「函館三部作」に並べるのはハテナな一本。
山下監督のポップさが上手く出ており、作品としては本当に良かった。
オーバードーズが毎度不安定な蒼井優氏も、上手い役柄に納められ問題クリア。
メンツ的に派手な出演陣も、抑えめの良い仕事だった。
ただ…
いくら監督が違うとはいえ。
あの「佐藤泰志作品の『息苦しいけれど愛しい日常』」は、かなり希釈されて骨抜きになっている感じが、最後までどうしても拭えなかった。
「綺麗事じゃあ生きられない、でも日々は過ぎていく」と言う原作のテーマを。
今の時代の感覚で噛み砕いたような作品。
と言って監督は自分の1つ年下なんだな…
役者が素晴らしい
オダギリジョーの、不器用で自分の感情をさらけ出すのが下手な役。蒼井優のブッとんだ役。すごく上手でした。職業訓練校の周りの人。特に満島真之介の闇のある感じが良かったです。
函館の街並みも綺麗でなんとも言えない空の色が本当に印象的。
現代にありそうな、リアルな物語です。
原作も読んでないので、どう終わるのか分からないままエンディングまで進みましたが、いい終わり方でした。
もう少し蒼井優の役を深く掘り下げてほしかったかな、ということで、星-1。
とにかく言えることは、家ではなく絶対に映画館で観るべき映画だと思います。
函館三部作オーラスになります
佐藤泰志の函館三部作を大阪芸大出身の円熟期に差しかかった三人の監督(熊切、呉、山下)が映像化していています。オーラスにあたるオーバーフェンスを山下敦弘監督がどう料理するか楽しみでした。前の二作より私見ですが劣りますね。原作を読んでるわけではないので一概に言えないけど、相変わらず何も起きない山下ワールド全開でした。精神的に不安定な聡役を蒼井優はハマリ役だが、こんなヤバイ女にはまるかなぁと普通に思ってしまいました。たわいのないことで大暴れするし、キャバクラでもあまりにトリッキーな動き。挙げ句の果てに動物園の動物を野に放つなんて。
原作ありきだが、前二作と比べあまりに題材として不利を被ってるかも。蒼井優ではなく脱げる女優をキャスティングしもうちょい官能的な構成にした方が佐藤作品は映えたのではないかというような気がする。北村有起哉が脇役ながらも流石の存在感。
予備知識とか全く無い見方…
勝手な事を言っちゃうが、キャスティングも踏まえた上での,観る作品を決める人間の意見。 内容としては,至って普通だと思う。 その“普通”をあの2人がやった,さり気無く見せてくれたその“普通さ”加減が、好かった?良かった?善かった? と何れに当て嵌るのかが分からん所。
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