ネタバレ! クリックして本文を読む
17歳。若くして妊娠し、結婚したデスとミラ。
授かった息子、アルム。
仲睦まじい家族だが、アルムは両親が出会った17歳を前にして死を迎えようとしている。
身体や機能が通常の人より早く老いていく“早老症”であった…。
稀にある奇病。劇中では3千万人に一人とも。実例でもTV番組なんかで聞いた事ある。
難病×家族愛のお涙頂戴ド定番。
悲しい最後は想像付くが、ユーモアやハートフル交え、非常に見易い作品になっている。
本当にこの家族の仲睦まじさと言ったら。見ていて笑みがこぼれ、ほっこり温かくなるほど。
父、デス。学生時代はテコンドー選手。ついカッとなる性格で、間違って校長先生に回し蹴りを食らわしちゃった事も…。良くも悪くも子供みたいな性格は変わらないパパ。
母、ミラ。学生時代はアイドルに憧れていた。4人の兄の影響で、性格は勝ち気。早い結婚に猛反対する両親に堂々言い返す。付いたあだ名は“毒舌姫”。頼りない夫の尻を叩き、息子に全身全霊の愛を。強くて優しいママ。
息子、アルム。16歳で80歳の身体。病気のせいで学校には通ってないが、頭はとてもいい。性格も落ち着いている。家族の中では一番大人。両親の言う事をよく聞く孝行息子でもある。こんな病気じゃなかったら将来バラ色だったろうに…。
回し蹴り王子と毒舌姫と80歳の子供。
カン・ドンウォン、ソン・ヘギョ、チョ・ソンモク。家族を演じた3人の好演。
病気を除けば幸せではある。
でも、辛い事や悲しい事、悩みもいっぱい。
その最たるは、やはり病気。子供なのに皺がある見た目に周囲はジロジロ。不良どもは“化け物”と…。
そう。化け物とは醜いものを言う。見た目だけで相手を侮蔑する醜い心の持ち主を…。
自分の見た目に引け目を感じるアルム。ミラは強い言葉を掛ける。
そんなミラも17歳で妊娠した時、思い悩んだ事があった。それは行動にも出、身重でありながら激しい運動をし、流産をしようと…。今はとても後悔している。アルムが難病になったのも私のあの時のせい…。
デスは17歳の結婚で父親と大喧嘩。以来縁を切り、帰郷も父親とも会っていない…。
若さ故の苦労…。
アルムの難病は治療法は無い。が、進行を遅らせる事は出来る。週に一度は病院通い。
とにかくお金が掛かる。デスは仕事を増やす。
TVに出て募金を。これが反響を呼ぶ。
アルムにとって思わぬ出会いが…。
周りの善意。
時々厳しい事も言うが向き合ってくれる担当医。
隣のおじさんはナイスキャラ。アルムとは歳の離れた友達。時々寅さんばりにいい事も言う。
多額の募金。終盤に誰か判明。長年の確執が解けた瞬間。
TVに出た事でSNSを通じてコンタクト。同じく難病を患う同世代の女の子。
彼女とのメールのやり取りが何よりの楽しみとなり、想いを抱くように。両親とほぼ同じ歳に初恋。
ところが…。
騙されていた事を知る。デスはTV局のツテで相手を突き止める。最初は怒りだったが、息子がどんなに素晴らしいか力説する。
そんな息子の命が消えかけようとしている。
この事を知ってショックを受け、アルムは元気を亡くし、身体も弱り始める…。
でなくとも、いつ急変してもおかしくない身なのだ。
入院。突っ掛かるようになったアルムは担当医に余命を聞く。一ヶ月か2ヶ月。年は越せないかもしれない…。
頼み込んで外出。海。満天の星空。
その美しさを目に焼き付けた所で、アルムは視力を失ってしまう…。
除夜の鐘を聞きたい。来年の春は…。
微かな希望は持ち続けている。
でも、覚悟もしている。
病院で最期を迎えるなら、せめて。家族と一緒に。除夜の鐘を聞こう。
アルムは物語を書いていた。ボクのパパとママの出会い。書いた物語をミラが読む。アルムは文章が上手い。ユーモラスでありつつ、二人は思い出に浸る…。
ある時デスが聞く。将来何になりたい? アルムは答える。パパになりたい。パパになって、パパがどれほどボクを愛してくれたか知りたい。
もう一つ。お兄ちゃんが頭を撫でた事を教えてあげて。
ミラのお腹に新しい生命が宿っていた。
息子が難病で苦しんでいる時に…と、ここは賛否分かれそうだが、別に新しい生命を宿す事は悪い事じゃない。
新しい子供の存在が悲しみと喪失を癒してくれるのだ。
そして教えてあげるのだ。素敵なお兄ちゃんがいた事を。
遂にその時がやって来た…。
悲しくもあるが、温かく包まれる。
回し蹴り王子と毒舌姫と80歳の子供。
パパとママと時々ボク。その物語を記す。
世界で一番いとしい我が子へ。
世界で一番いとしい両親へ。