劇場公開日 2015年5月1日

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イタリアは呼んでいる : 映画評論・批評

2015年4月21日更新

2015年5月1日よりBunkamuraル・シネマほかにてロードショー

英国の中年コメディアン2人が本人役で繰り広げる至極のバディ・ムービー

男2人のバディ・ムービーに駄作はあるが、嫌いな作品に出会ったことがない。まず間違いなく野郎どもがガキっぽくて微笑ましくなってしまうし、ストーリーがくだらなくても2人の生み出す化学反応に特別な旨みが感じられるからだ。2人が普段から仲のいい相棒ならなおのこと。となれば、英国を代表するコメディアンで50手前の同い年、尊敬し合い競い合うスティーブ・クーガンロブ・ブライドンなら楽しくないわけがない。しかも演じているのは虚構の“本人”で、ミニクーパーで走る舞台はイタリア。グルメがテーマのロードムービーだからおいしい景色や料理まで楽しめるのだ。

ただし、この作品は少々クセモノ。もともとは、クーガンとブライドンがイギリス湖水地方をグルメ旅行するTVシリーズに始まり、それを劇映画にまとめたのが「スティーブとロブのグルメトリップ」。そして本作は、マイケル・ウィンターボトム監督が初めて手がけた“続編”だ。設定や流れだけを監督が決め、あとは俳優2人の即興。この際限なく続く(しつこい!)かけ合いと映画スターのモノマネが非常に英国的で、マニアックなのだ。こんなかけ合いのできる相手がいるなんて幸せだと思うが、日本人がこれを100%楽しむのは難しいかもしれない。たとえば、2人はバイロン卿のミドルネーム、“ゴードン”を「ダサい」と笑うのだが、クーガンが英国で長年演じている人気のダサキャラ、アラン・パートリッジのミドルネームが同じだと知っていればニヤッとできるはずだ。

とはいえモノマネのネタは「バットマン」のマイケル・ケインや「ゴッドファーザー」のアル・パチーノ、「フランケンシュタイン」のロバート・デ・ニーロなどなど、映画ファンならピンとくるものがほとんど。本気のモノマネ合戦や毒の効いたポップ・カルチャー談義で笑わせながら、そこに2人のキャラや人生の陰影がしっかり浮かび上がってくるあたりは、やはりウィンターボトム。ただのボンクラ映画にはない滋味があり、セレブな2人がふとした拍子に見せる相棒への嫉妬や不安、しょーもなさがたまらなく愛しく思える仕上がりになっている。バディ・ムービーはこうでなくちゃ。愉快なオッサン2人の愛と友情を、ボナペティート!

若林ゆり

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