劇場公開日 2015年12月12日

「ワンパターンな教材映画」母と暮せば とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

ワンパターンな教材映画

2018年11月19日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

単純

寝られる

奥底に秘めた怒りを、甘い砂糖菓子でコーティングしたような映画。

広島の原爆を題材にした戯曲『父と暮らせば』を書かれた井上ひさし氏に捧げた作品。松竹120周年記念映画。

だからかな?
USAでの賞を意識しているのか?
 『硫黄島からの手紙』で好評だった二宮氏。
 ベルリン国際映画祭銀熊賞の黒木さん。
 USAでも活躍している浅野氏を端役(『父と暮らせば』と対になる役)ながらも起用。
 そしてキリシタンの人々・西洋的な文化。

舞台を意識した?というような脚本、演出。舞台で上演されている様子を想像しちゃう(劇脚本としては高校生作品のよう)。

原爆投下3年後の世。
 思いもかけない形で逝かされてしまった者、
 残された者の想いが綴られていく。
 原爆投下のシーン、長男戦死のシーンは見事。怖かった。
 さりげなく画面に登場する負傷者も、生活の一場面に溶け込んで、だからこそ、印象的。
 さすが、山田監督と唸ってしまう。
 反面、橋爪氏という芸達者を起用しているのに、その最期は台詞で語られる。 原爆症で亡くなられた方についても。
 舞台でなら致し方ないのだろうが、せっかく映画なのに、と歯がゆい。(母の日々を丁寧に追っていくだけでも表現できたと思うのだが、それをせずに終盤急展開)

映画版『父と暮らせば』に比べると、目の前で展開される話の迫力はない。どこかで聞いたようなエピソード。それをとっぷり見せてくる演技・演出でもない。戦争のむごたらしい場面を入れろと言っているのではない。
人間の業が美化されているように、私には感じられた。それって…。

人の死の美化。それって、戦前の戦争高揚映画や、国民学校にのっていた『皇軍ラッパ』と同じ発想…。なんだそれ。

それでも、終盤は静かに涙が流れ…と感動で終わるのかと思えば、あのラスト。
頂いたチラシには「監督初のファンタジー」とな。だとしたら、ファンタジーをなめていないか。

これだけの大監督でいらっしゃるのにも関わらず、挑戦する気持ちにはひれ伏しますが、
これだけの良い題材、良い役者を揃えたのだから、普通に撮っていただきたかったです。
(この監督の過去の作品には名作が数々あるけれど、最近迷走気味?)

(原爆・戦争反対を考えさせてくれる映画ならほかにもっといいのあるよ。皆さん、もっとたくさん映画を観ましょう)

とみいじょん
マサシさんのコメント
2023年8月24日

おはようございます。大変に失礼なレビューしてしまってすみませんでした。僕のレビューは思い込みと偏見が多いといつも反省しています。  しかし、話せば長くなるので、結論だけ申しますが、元々僕は山田監督が苦手だと言う事です。なぜ苦手かは男はつらいよと学校のレビューを読んで頂ければご理解頂けると思います。
また、プラン75に拘るのはやはり、この映画を見たからで、映像が始まる前に分かってしまい、山田監督と関連付けているのは、プラン75を山田監督が大推薦していたからです。そして、そう考えると、何とか賞にこだわってばかりいる日本の映画産業とそれを見て、感動している日本国の国民性に憐れみを感じだした次第です。
ご不快を与えたようでしたら、ご勘弁下さい。早朝に申し訳ございません。只今、就活中ゆえ、映画三昧の毎日です。
すみませんでした。

マサシ
マサシさんのコメント
2023年8月21日

だから『PLAN75』なんて考える後継者しかあらわれないんでしょうね。
ファンタジーは反則するためにあるんですよ。本当は違うのに。
世界のクロサワが最後に描いたのも『夢』ですからね。

マサシ