「戦後の傷と救い」母と暮せば じゅんさんの映画レビュー(感想・評価)
戦後の傷と救い
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母が観たいということでレンタルで借りてきて一緒に観たので、予備知識も何もなしなフラットな状態で視聴できた。
終始目に映ったのはキリスト教。
考えてみれば長崎にはたくさんのキリシタンがいて、アメリカはそこに原爆を落としたんだなぁと思った。
多くのキリスト教徒のいる彼らは、同じ神を信じる人達を殺すという事の愚かさに気づけなかったのだろうか…とかまんまと考えさせられたので、観てよかったと思う。
死んだはずの浩二が出てきた理由は明らかにはなっていないが、結果的には伸子の身辺整理をさせるために出てきた感じなので、「お迎え」なのかなと思った。
浩二が見えた時点で伸子は大分参ってしまっていたのだろう。
救いがない、という感想も散見したが、そもそも戦争とは勝敗にかかわらず救いのないものである。
地上での罪を赦し、天国で永遠の安息を与える…といったキリスト教的な最期を迎えられ、伸子は間違いなく救われているのだと思う。
その他、気になった所など。
演出が巧みで、随所に見られる場面転換のうまさは流石だと思った。
逆に「あの世とこの世」の混在のさせかたには苦労したのか、「兄が枕元に立った」というシーンや、最後らへんの浩二がブルーのライトで照らされて戻ってくるシーン(?)はシュールすぎてちょっと笑ってしまった。
しばらく離れていた伸子のところへ町子が婚約者を連れて来て、その相手を浩二の霊前に報告しようとしてできなかったシーンは泣けた。
別れ際の抱擁も良かった。
この辺は一番心動かされて、いつの間にか伸子に感情移入していたのは自分でも驚いた。
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