シン・ゴジラのレビュー・感想・評価
全398件中、41~60件目を表示
現実 対 虚構の真意。
この映画、日本映画にしてはハイクオリティな映画だった。
例えば政府。
ゴジラ上陸時の緊急有識者会議、閣僚会議、形式的な会議などの描写。
これは、民主主義の負の面をリアルに写しているシーンだ。被害が拡大する中、閣僚会議をしない限りは水際の対策、また記者会見すら開けないというのは現実世界で実際に起きた際もこうなるのではないかと思う。
また、なんと言っても自衛隊の描き方。これも実にリアルだ。
ゴジラを自然災害として有害鳥獣駆除の名目で自衛隊を派遣するか。国、または国に準ずる組織として、防衛出動を出すのか。
現実では自然災害と捉えるのが妥当だろうが、劇中の微妙な駆け引きに私はリアリティを感じた。
あと、B-5作戦(タバ作戦)の描写。
綿密な計画を練り、10式戦車、対戦車ヘリコプター(Apache)、F-2等を主力とし、完璧な順序で作戦を進行。結果的に失敗したが、自衛隊の作戦成功への精度の高さに改めて感心した。
しかし、私が一番感激したのはゴジラの描き方だ。
人類の知識を凌駕する体内構造。人類への物理学的な可能性を示唆する福音。体内新元素。環境に適合するための進化。第8形態まで形が変わる様(さま)。
もはや神話の領域だ。1954年にはこんな映画は描けないだろう。また、庵野秀明監督にしか出来ないであろう。
また、ゴジラと政府対応の描写は3.11を彷彿とするシーンだと認識している。
ゴジラを3.11、政府を当時の民主党政権と考えれば分かるだろう。あの描き方は7年前と全く同じだった。さすがとしか言えない。
しかし、知識が無い人がこの映画を見たら初見殺しも甚だしいだろうw
ゴジラの体内冷却システムの強制停止の仕組み、元素変換能力、それを阻害する極限環境微生物の分子式などのシーンは専門的な用語が沢山出てきてわからない人も多かっただろう。私は、幸いその知識をかじってたので理解は出来たが、知識がない人は大変だっただろう。
しかし、あえてこのような描写を入れることによってこの映画がよりリアリティになったのは違いないのでそこら辺も高く評価したいと思う。
あとはなんと言ってもヤシオリ作戦のシーン。
無人在来線爆弾。無人新幹線爆弾。イージス艦ヒューイからのハープーン攻撃。誘導爆破、定置爆破。特殊建機第一~第三小隊。
どの描写をとっても文句のつけようがないシーンだったと言える。また、バックで流れてる伊福部マーチと相まってとても興奮し、好奇心が擽られたシーンだった。
ゴジラ ニッポン
現実 対 虚構
「日本は今後、ゴジラと共存していくしかない。」
「私は好きにした。君らも好きにしろ。」
これらはとても考えさせられる副題、台詞だったと思う。
シンゴジラ
日本の代表的なキャラクターゴジラを表現するときにいろいろ言いたいのですが、「怪獣映画は子供の頃に見ないとだめ」なのです。ゴジラは世界のブランドです。世界のブランド...フムフム宮崎駿...。「〇〇」内の言葉が大事なのです。なぜでしょうか。子供の頃母親とゴジラ映画を見に行くその日に父親は「そんな子供だましの映画を見にいくなんて」とぼやいたものです。わくわく感に満たされた子供にとってこれほど水を差す言葉はありませんでした。大人と子供にはこれほど温度差があるのです。そして世界の子供の心に残ったからこそゴジラは世界のブランドとなったのです。そのころの大人の見たゴジラではないのです。製作したのは大人ですが。また世界に認められたゴジラ映画は初作の昭和29年からおよそ10年間の作品だと思います。初作ゴジラを見た人の感想に「正しく空襲の記憶だ」と言われた方がいます。絵画の巨匠ゴヤの絵に巨人の描かれた絵画がありますがナポレオンを象徴していると言われています。そう考えるとゴジラはそもそもはアメリカ軍の空襲の恐怖に端を発しているのかもしれません。キングコングは子供の時に見た映画を温めた監督が現代において制作しその連鎖が続いてきたのだとわかります。そして美女を愛する可愛らしい側面があります。ゴジラにもこのキャラクターを持たせることは出来ます。南極に彼を埋め込んだETの母星にいた数百年から数千年も生きる女性との地球上での再会とか、私のシナリオではもともとゴジラは宇宙戦争において放射能に耐えうる兵士を遺伝子操作で開発中に起きた事故により巨大化してしまった兵士怪獣なのであり恐竜ではないのです。新ゴジラにはそうしたリアリティーが抜けています。ジュラシックパークの誕生には琥珀の中に閉じ込められた蚊の吸った恐竜の血液中の遺伝子からクローンを作るというリアリティーがあります。ゴジラのシナリオは日本人とは限らず60代、70代、初作から10年間のゴジラを子どもの時に見た世代でないと作れません。もう手遅れですかね。
日本ならではのゴジラ
ゴジラ作品は好きで、昭和の一部を除いて全て観てます。好きな作品は
ゴジラ(1954)、
ゴジラvsビオランテ、
ゴジラvsデストロイア、
ゴジラ2000、
ゴジラ(2014)、
アニゴジ3部作、
そして人生ではじめて劇場で2回以上観た、本作です。初代に次いで2番目に好きなゴジラ作品となりました。父は「モスラ対ゴジラ」が一番らしく、ときどき議論するのが好きだったりします。けっきょく好きな特撮作品は「サンダ対ガイラ」でいつも決着を迎える他愛もない議論なんですが。
余談はさておき、本作をレビューしますが、難しい小言は他の方がいいレビューをされてるので、ここは無視して、そっちを参考にしてみてください。僕が熱中した部分と、日本人らしく他の方の否定的意見に対して少しだけ小さな異議を唱えようと思います。
まずは演技っぽい演技をする邦画自体が大嫌いで、なおかつ映画館は料金高いから映画館視聴が嫌いな自分を3回も劇場に駆り立て、1万超えの設定資料を買わせた罪深い邦画、本作の個人的な魅力を頭悪そうに書きます。
・演技を廃したスピード感ある描写
冒頭で述べた通り、邦画は演技っぽい演技をまじめにこなしてるのが滑稽で、どんな作品もコメディに見えてきます。余談挟みますが好きな日本の俳優は山田孝之です。何やっても面白いので大好きです。だから邦画と相性良くて好きなんでしょうね。
しかし、本作では異常ともいえるセリフ量で、役者の無駄な演技をそぎ落としました。そこがホントに良かった。棒読みと捉えてる人は普段、ミュージカルな日常を送ってるんでしょう。それか知人が全員カヨコ・アン・パタースンのどっちかです。言い過ぎました。忘れてください。
とにかく邦画らしい演技っぽい演技がほぼないことがリアリティに繋がってます。
・頭良さそうに見える字幕
マジで気に食わなくも斬新な字幕でした。画面埋めたのは笑いました。最高にクールな評価点です。
・不定形なゴジラ
今作のゴジラは進化します。こんなに形を変えてそれぞれの形態で役割を変えて楽しませてくれる作品、過去にあったでしょうか?
第1形態は、未知、という恐怖を与えてくれました。ゴジラと思わせないようなデザインと演出でよく表現してます。
第2形態は、初見の時第1形態から進化してないと思ってたので、第1形態の姿が見えた事で未知という恐怖から解かれた安堵と、その異常な形相からくる意味のわからない恐怖に襲われ鳥肌でした。女友達がかわいいと言ってたのには驚きましたが、それ聞いた後の2度目の視聴の時かわいいと思っちゃいました。蒲田くん。先入観の大切さを知りました。
余談なんで忘れてください。
第3形態は、初めて未知のそいつをゴジラだ、と認識させました。そこからくる高揚感と、これからどんな絶望を感じさせてくれるんだろうという不安が織りなすカオスが心拍数を上げて、僕の脳はそれを恐怖と捉えました。
第4形態。最初の感想は、ゴジラだ、です。ポスターとPVで見たあいつが、官邸内の景色から一転、スクリーンに突然映されました。第2形態も総理の会見会場から突然だったので、その時と似た恐怖を感じました。そのワンカットからとにかくゴジラの情報を得ようと、スクリーン上の鎌倉に上陸せんとするゴジラに目を走らせたことを記憶してます。見れば見るほどおぞましい見た目。見下したうつろな目、ケロイド状に爛れた皮膚、タバ作戦のときの顔のアップでさらに不揃いの歯が認識でき、より恐怖が強まりました。ただ歩くだけのゴジラにまた、未知、という恐怖が加わり、徐々に感情が高まります。
そして自分が本作で2番目に大好きなシーン。内閣総辞職ビーム。だんだん総理含む内閣のキャラが好きになってきたタイミングでのあのシーン。あそこのながれは完璧です。ゴジラが地殻貫通爆弾?を受けて苦しみ、大量の煙を吐き出し、え、なになになに、と不安になりました。煙は徐々に炎となり、収束して熱線となるあの流れ。音響と映像が最高でした。化学反応とはこういうことを言うんだと実感しました。さらに劇伴の悲しげな雰囲気。Who will know…、と歌われる壮大で悲しくも美しい一連のカットは本当に胸に来ました。初見のときは開いた口が閉まらなかったことを覚えてます。
・死の表現
すごい、と思った新しい死の表現が本作にはありました。コピー機とパソコンに張り紙を貼る。ただそれだけで、初見の時はもったいない、と思いましたが2回目の視聴でそれは使用者の死を表してると理解して、やられた、と思いました。使用者しか知らないパスワードが使用者とともに消えれば、もうそれは張り紙貼って処分するしか無いんでしょう。
・ドタバタ人間ドラマ「ヤシオリ作戦」
シリアスパートから一転してコメディパートです。ゴジラ対ニッポンの消耗戦。皮肉の効いた描写が詰まってて、自分が本作で一番好きなシーンです。
ヤシオリ作戦前の矢口の演説、噛み砕けば国のために死んでこい、という内容です。ここだけ日本らしくないと感じました。皮肉です。
そしてゴジラが熱線を枯渇させるという今までにない弱さを見せ、今まで初代から続くゴジラ作品で壊されるだけの対象だった、ビルや電車の猛攻撃が滑稽にも激アツな描写で描かれます。数多の通勤電車と職場がここで殉職。まだ学生なんでサラリーマンの気持ちはわかりませんが、なんかスカッとしました。
そしてクライマックス。
https://dic.nicovideo.jp/t/a/薬は注射より飲むのに限るぜ、ゴジラさん%21
評価の分かれる第5形態以降ですが、個人的にはゴジラ絡みの悲劇で終わらせて欲しくなかったです。あれは凍結後に始まった進化だと思いますし。あそこから悲劇は続くんでしょう。
第5への進化は凍結前に止められて、スクラップアンドビルドでのし上がる日本の明るい未来で終わって欲しかった。だから☆4.5。
でもこの映画の製作陣によくこんな映画を日本で作りきってくれたなということで、賛辞の意を込めて最終評価は☆5です。
最後に小さく、酷評に異議あり。あと余談。
酷評してる方、映画は楽しんで観てほしいです。アラを探して罵詈雑言とともに書き連ねるのはスカッとして楽しいかもしれません。周りは高評価だけど俺つまんねえと思った、マイノリティな自分は素敵。などなど。
そういった価値観やレビューを否定することはできません。レビューとは作品を観た後の率直な感想のことですし。自分も中立的なレビューを心がけてるので。
しかし酷評してる人のレビューに共通するのは数字が書かれていること。寝ている人がどうこう。売り上げがどうこう。字幕の文字数やセリフ数がどうこう。他の客や売れ行きの観察って楽しいですか?レビューって周りの人や結果の数字がどうだったって伝えるものじゃ無いと思います。大好きなアーティストの詩を借りれば、
「無意識にまたネイビーブルーを手に取り無難を求めちまうぜ、世間の目ばかり気にしちまうぜ」です。
作品じゃなくその作品にくっついてくるもので評価をしているみたいで、はっきり言って悪意を感じました。
でも、悪意を笑い話にしてみましょうよ。友達と笑い話ができれば、それは間違いなくいい映画だと自分は思います。できない映画はダメな映画と評価すればいい。
本作における長ったらしい字幕だって、読み終えてなんか意味ありました?憲法の内容なんて既知の内容でしょう?あれは個人的にはジョークだと思いました。笑ってください。あれこそ政府から国民を守る日本国憲法です。長ったらしい役職の字幕も、こんな役職あんのかよと草生やしてください。
ヤシオリ作戦にリアリティが無い、という人。ヤシオリ作戦絡みのコメディパート全体が現代日本が再現できそうで実現できない"虚構"である、と理解してください。
知識でガッチガチの作品と、嘘で紐解いた作品、どっちがとっつきやすいですか?どっちが楽しいでしょうか?僕は後者の方が楽しいです。今作における嘘は「ヤシオリ作戦」です。ゴジラだろ、と言いたいかもしれませんが、"ゴジラ=災害"を"倒す=避ける"ために展開する、最適な"ヤシオリ作戦=災害対策法案"こそ本作の嘘です。
価値観の押し付けはしませんが、その映画が何を事実と語って、どんな嘘で柔らかくしたかを理解して観てほしいなと個人的に思います。映画を楽しみましょう。
以下余談です。
同時期に上映してた「君の名は。」と本作は災害映画という共通点があり、前者は災害自体を無かったことにして希望のある未来を得た。後者は災害を受け止め危機と隣り合わせでも希望のある未来を得た。僕はこの点で本作の方が優れてると判断し、「君の名は。」ではなくこちらに熱中しました。
あのゴジラに熱中して実家の父と過去作見返した数ヶ月が幸せでした。映画を語れる知人の存在って大事ですよね。家族や友人、映画を観るたびに大切にしたいと痛感します。ゴジラ作品のような長期シリーズには、年齢の垣根を超えた関係を築いてくれるという魅力がありますしね。本作は劇場BDアマゾンプライム合わせて1人で3回、知人と何回か、覚えてないです、それくらい観ました。ホントにいい映画です。
長文で拙い文章、すみません。やるせなくて感情論を混ぜてしまいました。
はっきり言って、ゴジラじゃない!
これは、ゴジラを語る歩く大量破壊兵器、核兵器の話です。
昔のゴジラは、言ってしまえば歩く原子炉だったけど、シンゴジラは歩く核兵器です。
行動する度に放射能撒き散らすとか、火炎吐くのに頭割れるとか生物じゃないじゃん!
昔のゴジラは親しみやすい姿で強いのに攻撃手段が火炎以外肉弾戦でどこか地味だけどコミカルで、憎めない感じが魅力だったのに、これじゃ怖いばっかりで、子供からも人気でないよ。
また、無駄に政府の描写細かすぎ、外交官役変!あれは盛りすぎやり過ぎあんな外交官居ないから!
SFと現代が上手く調和してたのが子供心をくすぐってたのに、ただの現代兵器博覧会?みたいな感じが面白くなかった。あれをやるなら、もっとやりようあったように思う。例えば、上陸前に叩くとか、イージス艦からのミサイル攻撃とか、派手にしてたらまだ、面白かった。
変にリアルさ追求しすぎて単調で起伏に乏しく終始残念感が漂う内容だった。
心震わせる映画
初レビューです。
賛否両論溢れかえっている映画ですが、私的にはとてもよい映画だったと思います。
長いので読みたい方だけ読んで頂ければと思います。
まずなぜこの映画に対し、低評価をつける人がいるのか気になりました。
過去のゴジラ映画など自分は見たことありませんが、低評価の方を見てみると、
・特撮のクオリティが低い
・官僚の話がつまらない、会議シーンが長い
・専門用語がたくさん出てきて視聴者を置き去りにしている
・期待していたゴジラ像と違う
・官僚ドラマを見たかったわけではない
・石原さとみの役柄に違和感
などなど期待値と違うことから見て損した、絶賛されてる理由がわからないというレビューしてる方が多数いるのがわかりました。
これらに対しては理解出来ます。見たい内容・期待するゴジラ像が予め決まっており、本作はゴジラを使った官僚ドラマを描いた映画だったため、その期待値とのズレが低評価に繋がったのだと思いました。
そのため、特撮映画を見たい、従来のゴジラ映画の延長線上を見たい、英語は達者なので聞きたくない、と言った方は見るだけ時間の無駄かもしれません。
自分が本作に対し良いと思った点は以下です。
・普段知らない政府・官僚・自衛隊の頑張りを描き、日本国民のために努力してる様を見せて頂いた。
・主人公演じる長谷川さんをはじめ、脇を固める方々の演技も素晴らしかった。
・ゴジラが初めて登場し被害が出たとき、初動が完璧でなく悔やむ箇所や、ゴジラのレーザーによる多大な被害が出たときの憤るシーンなどは、日本を支えたいという思いが根底にあらからこそ表面化した感情だと思いますし、胸を打たれたシーンでもありました。
・理想を追求する長谷部さんと現実的な解を選択する竹野内さんの対比も本作の魅力のひとつだと思います。
どちらの言い分も間違ってはないため、自分だったらどうするか、何を最優先事項とし行動するのかなど考えながら鑑賞しました。
・自分も理系畑だからかわかりませんが、科学に携わるものとして、現象解析してわからないことがわかったときの喜び、またそれが日本を救うことに繋がるとしたらこの喜びに勝るものはないのでしょうか。
この辺りがとても面白い・共感できた・感動したと思った理由です。仕事したくなる映画でした。
以上です。
ドキュメント風ゴジラ映画
庵野秀明監督作品、ゴジラ映画をドキュメンタリ風に仕上げた映画。鎌倉から東京都心までを舞台とした設定は、この世界観を表現するには最適な設定。想定外の惨事に対する日本政府の不甲斐なさや海外の冷たい対応などの展開も良かったと思う。自衛隊の協力のもと迫力ある戦闘シーンも邦画の域を超えている。意味深なラストがとても気になる。
ゴジラなのか?
ゴジラと言ったら町を壊したりのイメージだったが、国や政府の動き方などリアリティのあるシステム的な話だったので、かなり新鮮だった。
こんな映画の楽しみ方もあるのだと驚いた。
緻密な防衛出動の設定が大人向け
総合80点 ( ストーリー:80点|キャスト:70点|演出:75点|ビジュアル:80点|音楽:70点 )
自衛隊の出動と攻撃に関する法律の諸問題に外交などの政治的な側面をよく調査していて、さらに自衛隊全面協力の具体的な兵器と戦術の描写が非常に緻密で驚いた。ハリウッド作品でもここまで詳細にそのような事情を取り入れているものはないのではないか。ただ怪獣が暴れて軍隊が攻撃をするだけの映画が、格段に質感が上がって大人な事情の映画になっていた。だから都市が破壊され国家が崩壊しかねない絶望が感じられたし、国を救うための重圧を背負う政治家・官僚・自衛官の覚悟も理解できるようになっていた。
あれだけの破壊が行われたわりに人の死傷の場面が直接的に描かれていないのは演出の甘さがあるのは不満がある。結末はあんなことになって、ずっとゴジラの実物大の姿を見ながら都市の再建をするのかと思うと大変そうだ。
とにかく早口なのがどうも変?
多分この映画を見た人が思うはずの台詞の早口。最初はまだ何とかなりますが2回3回と見ると段々うざくなっていく感じ。自衛隊がこんな事をするかというのは疑問として戦力の使い方を間違っている気が?あくまでもゴジラが強いということを印象させる前提があるようで自衛隊が弱い設定になってる。実際こんなもんじゃないはずなのに・・・(^_^;)
良くも悪くもゴジラの映画でこんな台詞回しをする演出の意味がわからない。放射能の部分も私にしたらリアルなのでこんな感じで使ってほしくはない。東京を舞台にしたのはいいと思う。地方ばかりいじめる設定はやめて欲しいから。これ見る人によっては感情を逆なでするのでそのへんもわきまえて欲しい映画。
戦争、核、官僚制、様々な日本や世界の現代の問題を反映していた。特に...
戦争、核、官僚制、様々な日本や世界の現代の問題を反映していた。特に総力戦の描写や一度壊さないとまともな政府が出来上がらないというセリフにメッセージ性を感じた。前半、2人の救助を考え攻撃できず、被害がズルズルと拡大する様子も、後半、総理が死んでからのほうがスムーズに進むところも、海外との絡みも、鼻つまみ者の集まりの作戦が最後の最後に持ち出され、結局それが一番成功するあたりにも、日本や世界へのある種の風刺を感じる。現代社会について考えさせられる良作だった。
待望の日本製ゴジラ…シンの傑作誕生!
ゴジラ・シリーズ第29作。
シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバースの一編。
第40回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作。
TOHO CINEMAS EXTRA LARGE SCREENで鑑賞。
子供の頃からゴジラが大好きです。物心ついた時には、親に買ってもらったゴジラのソフビ人形を握り締めていました。
ミレニアムシリーズはリアルタイムで映画館で観ることが出来、その後12年のブランクを考えると幸運だったな、と…
それはさておき、公開初日に胸踊らせながら映画館に行きました。製作発表の時は、飛び上がるほど歓喜したものです。
待望の日本製―東宝オリジナルですし、監督が庵野秀明と樋口真嗣のタッグと来れば期待しか無いではありませんか!
キャスト陣もゴジラ映画史上最大級の豪華さ。
東宝さんありがとうと云う気持ちでいっぱいでした。
やがて上映が始まり、冒頭から1作目のオマージュだと思ったのも束の間、水蒸気爆発、アクアライン崩落、政府の対応、尻尾の登場…と畳み掛けるような怒濤の展開と専門用語の応酬に、画面に食い入るように観入ってしまいました。
ゴジラ出現と云う未曾有の国難に対応する政府の姿に焦点を置き、徹底した取材に基づいて構築された描写は、上質なポリティカル・サスペンスを観ているように迫って来ました。
家族の絆だとか、登場人物の恋愛模様と云った要素を徹頭徹尾排除することで、中途半端にならない物語をつくり出せているんだなと思いました。キャラクターは単なる記号なのだ。
情感溢れるドラマを描こうとするとゴジラが蔑ろになってしまい、何がメインなのか途端に分からなくなってしまう。
そこのバランスを上手く取ろうとするものだから、様々な齟齬が生じ、中途半端でどっちつかずな浅いものになる。
ならば排除してしまおう、と云う潔さが良かった!
特撮では、スピーディーなカット割りや縦横無尽なカメラワーク、精巧なミニチュア、大迫力のVFXに息を呑みました。リアルなCGでハリウッドにも負けていないなと思いました。メイキングを観ましたが、倒れるビルから滑り落ちる家具などもミニチュアだったことにとても驚きました。
ハリウッドに比べたらべらぼうに安い予算でも、情熱と工夫と抜群に面白いアイデアが結集すれば、これほどまでに高いレベルの映画をつくることが出来る。日本映画の底力が示されたようで興奮しました。特撮映画の枠を飛び越えた!
それを裏付けるように、SNSでも大変な賑わいを見せ、応援上映も開催されると云う熱狂ぶり。最終興行収入が82億円超えの国民的ヒットを記録。日本アカデミー賞でも最優秀作品賞を受賞すると云うシリーズ初の快挙を達成し、キネマ旬報ベストテンでも第2位。何度嬉し涙を流したか。
新の傑作、真の傑作、神の傑作…シンの傑作誕生!
[余談]
ゴジラのモーション・アクターを野村萬斎が努めていると知り、「なるほど!」と膝を打ちました。確かにゴジラの動きには狂言や能と云った伝統芸能に通ずるものがあるなと納得しました。ミスター・ゴジラ、中島春雄氏もゴジラの動きを表現する際の参考にしていると語っていましたし…
[追記(2019/08/01)]
「シン・ウルトラマン」製作の大ニュースが飛び込んで来ました。企画・脚本:庵野秀明。監督:樋口真嗣。出演:斎藤工・長澤まさみ・西島秀俊。これは期待しか無い。
本作のように小出しに情報が解禁されていくのでしょう。今回も撮影中は日本から役者が消えたと言わしめるような豪華キャストなのか。2021年が楽しみです。
[以降の鑑賞記録]
2016/08/06:MOVIXあまがさき
2017/03/22:Blu-ray
2017/03/23:Blu-ray
2017/11/03:TOHOシネマズ新宿(アニゴジ公開記念!イッキミオールナイト上映)
2017/11/12:日曜プライム
2018/09/17:Ultra HD Blu-ray
2018/12/16:日曜プライム
2019/04/10:Amazon Prime Video
2019/05/28:Blu-ray
2019/10/22:Ultra HD Blu-ray
2020/04/04:Ultra HD Blu-ray
2020/05/02:WOWOWシネマ
2020/11/03:Netflix
2021/02/11:Ultra HD Blu-ray
2021/05/18:Ultra HD Blu-ray
2022/06/22:Hulu
※リライト(2021/02/11)
※修正(2024/05/21)
ゴジラだけど
普通に面白かった!
まずツッコミ処は置いといて…
官僚たちの話し合いや責任問題、管轄やら許可やら承認やら会議して…など現実問題としてゴジラを扱い、政治的な描写を描いているのは面白かった。
多分、日本ってこういう面倒なやり取りしてんのかもなぁと思ったし、危機感ある場面で気の抜けた事を言っているのもリアルかもと思う。
政治的、軍事的、社会的な部分の描写が多くありそういった面も良いとは思った。
ゴジラも恐ろしく描かれていて、初めて火を吹いて破壊する姿は迫力もあり良かった。
とりあえずハッピーエンド?で終わったし
普通にエンタテインメントとしても面白かったと思った。
ではツッコミを…
ゴジラの登場、まさかの未完成
ゴジラは生物なので進化していくのだという描写が欲しかったのかもしれないし、対応が遅れたからああなったという描写なのかも知れないが、あの姿は観たくなかった。
ゴジラはあの姿でこそゴジラであると思ってるから。
あとはCG。もう少しなんとかならんかったか?どうにもツッコミを入れざるをえないシーンがあってあぁ…と思ってしまった。
ミニチュアが破壊されているようなシーンもあったが、昭和のゴジラを意識するならどっちかハッキリして欲しかった。
あとは俳優たちのちょっとした出演があって、そこに目と感心を奪われるところがあるのは別にいらない…
ちょっと出てくるのならともかくちょいちょい出てくるので話から少し集中が切れる。
あとはゴジラ
背中や尻尾からも熱線だせるって!
口の開き方もグロテスクだし
グロテスク感があり恐怖の対象としてはとてもおどろおどろしい感じはあるが、あれはゴジラじゃないよなぁ…と思った(ミレニアムから観てる平成ッ子としては)
あと中盤、いきなり出してきたメッセージ性(あそこで入れなかったらそれはそれで問題だが)
まあ色々ツッコミ処は多々ありますが、エンタテインメントとして楽しめたのは事実であり、ハラハラドキドキしたので良かったのではないかと思った
他の人のレビューを観て書きたくなった
「今回のゴジラを核兵器や原発3.11のメタファーとして描いている。」その面も確かにあるのだとは思うし、本来のゴジラ(昭和初代ゴジラ)もそういう面があるのだということは知っている。しかし、個人的に怪獣王として一種のキャラクター化したゴジラとして「ゴジラ」をミレニアムあたりから観てきた一個人としては今回のゴジラはどこかゴジラではない感じがしてしまうのである。今回の作品で本来の形である恐怖の象徴のような、あるいは核のメタファーであるゴジラを蘇らせてエンタテインメントとしても成立させようとしたのかもしれない。でも、どうしても個人的にはあれはゴジラとしてどこか受け入れられない部分があるのではないかと気づいた。
今回の一作品として面白くなかった訳ではないし(ツッコミ処はあったけど)他の人が評価する面もあるのだろう。
それでもやはりどこかで怪獣王ゴジラを望んでいる自分がいたのだろうなぁ
そのメタファー的要素、つまり原発や3.11や核兵器の存在を想起させるような“ゴジラ”としての側面をあまり感じることが出来なかった。(20代の経験の浅い自分には感じることが出来なかっただけなのかもしれないですが)
“原点回帰したゴジラ”として成立させるのはここまで“ゴジラ”という存在が色んな方向に大きくなった今では難しさもあったのかもしれないなぁなんて思ってみたり。
まあ、石原さとみの英語は確かにね笑
やはり、本家日本のゴジラだ!
ハリウッド版ゴジラが好評だったが、焼き直し。
その点、シン・ゴジラは何度見ても良い。ゴジラの進化、決定がなかなかできない日本政府に対して、日本の中核となる人々が限られた時間の中でベストの方法を見出し、挑戦する姿、そして無情な熱核兵器投下という国連決議を撥ね退け、ゴジラを抑え込んだラスト。
出演者の演技、編集、ゴジラの造形、破壊される日本などの3DCDも見ごたえあり。
庵野監督はエヴァンもあり、ボロボロのようだが、もう1本ゴジラ(モスラ、ラドン、キンギギドラとの対決)をやった方が良い。
これが日本人の戦い方!
「ゴジラって子供向けでしょ」って思ってたけど、全然そんなことない。
"ゴジラ=災害や敵としたとき日本の国はどう対処するのか"が、すごくリアルに作られていた。
戦い方も日本らしくて良かった。
アメリカだったらダイナマイトで爆破ところを内側から凍らす日本!繊細さのある作戦が胸熱です!
最後の作戦に向かう戦士たちに向けたスピーチに感動した。
平和だからこそ、国や政治に関心が薄かったりするけど、日本人は本来愛国心の強い国民なのかも…と思ったり。
面白くて考えされる。誰と見ても楽しめる映画です。
何回も見ちゃう
やっぱり日本のゴジラはわかりやすくて好き
途中難しいとこはわからなかったけど東京にゴジラがくるっていうのは興奮する ちょっとイヤミも含めたりそこが庵野さんぽいのかな ちょこちょこ遊び心(音)も含めの面白い伏線にときめく
何回見たかわかんないけどあの東京のど真ん中であれは・・
見たらやっぱり体が固まるよね
災害マニュアルはいつも役に立たないじゃないか
映画「シン・ゴジラ」(庵野秀明総監督)から。
観賞後、この映画のストーリーから考えると、
「巨大不明生物」は「ゴジラ」でなくてもよかったのでは?
という単純な疑問が残ってしまった。
誰もがイメージしやすい巨大生物だから「ゴジラ」なのか、
「核の落とし子」として、共通認識を持ちたかったのか、
タイトルに「シン」が付いた意味も理解出来なかった。
テンポが良いと言うべきか、早口と言うべきか、
主人公の「ゴジラ」より、会議シーンが多くて驚いた。
その中に、内閣官房副長官(政務担当)のこんな台詞がある。
「速やかに巨大不明生物の情報を収集し、駆除、捕獲、排除と、
各ケース別の対処方法についての検討を開始してください」。
日本の場合、こうした怪獣に対しての対応は
「駆除・捕獲・排除」の選択肢が用意されているようだが、
駆除と排除の違いが、よくわからなかったのは私だけだろうか。
駆除とは「害虫などを追い払ったり、殺したりして除くこと」
排除とは「おしのけてそこから除くこと」
そんなに違いがあるとは思えないが、もしケース別の対処方法が
本気で検討されたなら、是非、見てみたい、と感じた。(汗)
でも・・こんな台詞もメモに残っていた。
「災害マニュアルはいつも役に立たないじゃないか」
う~ん、どう評価していいのか、わからなくなってしまったな。
思ったより面白かった
登場人物がみんな早口で何を言っているのかついていけないところも多々あったけど敢えてそうしていたらしい。最初に登場したゴジラ、「え、これゴジラ??」って感じも敢えてそうだったらしい??しかし、ネットで読んだ、敢えてこの映画にアンチな人の意見に同意。ゴジラを作り出してしまったのは人間だった、という初期のゴジラ作品にあった、ゴジラに対する申し訳無さは全然なく、あくまでも「駆除」することに一生懸命になっている人間たちをひたすら描いている点に確かに違和感を感じた。また、総理たち政府要人が犠牲になり、首都圏が壊滅状態になったはずなのにまったくその他のインフラは正常で、困ったときの国際協力を仰ぐのに支障なくフランスなどの協力をサラっと得ることができて日本の力だけで解決!ってまぁ、時間のない映画だからそんなことに手間取ってはいけないのだろうが、そんなに簡単にいくのかいな、って。あと、石原さとみの時々英語、上手なんだけど、無理に入れる必要あるの??まぁ、国際的な部分を出したかったのはわかるけど、よくあるわざとらしい演出にゾワゾワしてしまった。
ゴジラはどこへ行きたかったのか
要素が似ているという某アニメは全く知りません。
本作を鑑賞してみて、ゴジラの根強い人気、レビューの多さとロングランに納得しました。
ゴジラさん、餌を求めて陸に上がったのかと思いましたが、進化の過程で日光浴?ついでに軽めの有酸素運動。
大地震、津波が首都を襲ったら。
富士山が大噴火したら。
「前例のない」「想定外」の事態を前に、あたふたして連携のとれない官僚閣僚達の混乱は現実味があって良かったです。やたら長〜い肩書きと会議名、ややこしい早口の応酬を理解出来ずに、やむなくもう一度劇場に足を運んだ人もいたのではないかしら。
常日頃より頭を下げ続けてきた外交、日本が誇る頑丈な高層ビル、正確な列車を駆使する対処法は、とても日本らしくて良く考えたなぁと思いました。
凝固剤注入は、ゴジラの虫歯治療に見えました(^^;)。
主役級の役者さん達が、脇役で大勢出演しているため、「俳優で顚末の予想がつく」ということはなかったですね。あくまでも国内向け、日本人のための国産ゴジラですが、ハリウッド版Godzillaより面白かったと思います。
可愛い珍獣が初上陸した時は、ゴジラが倒してくれる敵の怪獣かと思ってました…(^^;)。
怪獣の昭和な外観については、歴史もあるのでともかく、石原さとみさんの非現実的な役柄で、一気にB級感が増してしまいました。どうみても、米大統領の椅子からは最も遠い存在でしょう。見慣れた街並みや国内事情はリアリティがあっただけに残念。
災害と人々のリアクションを描いた、エンターテイメント
突如ゴジラが襲来。想定外の事態を前にした、組織や人々を描いた映画。
3.11の震災の記憶が残る、2016年の公開。
しかし、この映画は災害の怖さや政府の欠点や外交関係の危うさを指摘する、問題提起の映画ではない、と私は思う。むしろ、災害を観て楽しんだり、慌てる人を見て面白がったり、ゴジラとの闘いを観戦して内心熱狂するための映画である。
そう考えると、最後のゴジラの尻尾の謎も分かり易い。夢のない見解ではあるが、あの尻尾についているヒト型の何かは、特に意味のない、バズ要素である。
意味ありげで謎な要素を足しておくと、話題になるし、おもしろがれる。2001年宇宙の旅みたいなもの。
ヒト型というのは、意味を感じさせやすく、かつゾッとしやすい適切な選択だと思う。そして狙い通り、見た人は皆それぞれの考察を深めており、筋の通る複数の解釈が出て来ている。とても良いバランスの謎だ。後から、こういう意図だったと説明することもできるので、無いかもしれないが、続編も作れる。
そういう謎要素を入れようという気持ちは共感できる気がしている。私は大好きである。
ところで、この映画が3.11などの災害を意識して作られているからといって、破壊シーンを楽しむことを不謹慎だというのは見当違いだ。
人はスクリーンを通して見るものなら、悲しい光景であれ恐ろしい光景であれ、エンターテイメントとして楽しむことができる。その感性を無視するのは素直ではない。
実際の津波の動画を見て「こわくて最高!」と言ったらさすがにひどいが、現実でタブーな楽しみを堂々と享受できることが、映画の一つの価値ではないか。
(後日加筆)
全398件中、41~60件目を表示