バケモノの子のレビュー・感想・評価
全433件中、41~60件目を表示
男の子を一人前に育てる
龍とそばかすの姫を観てあまりにモヤモヤしたので、バケモノの子をもう一度観てみた。
やはりバケモノの子は良い。
血が繋がっていようがいまいが、人間だろうがバケモノだろうが、男の子を一人前の男に育て上げる姿は胸を打つものがある。
ストレートに伝わってくるものがちゃんとそこにある。
熊徹の白い歯と笑顔も好きだ。
うん。
もう細田守作品なんて観るもんかといっしゅん思ったけど、やっぱりおおかみこどもの雨と雪とバケモノの子はいいな。
ちょっと遠くからこれからも細田守作品を観ていこうと思い直した。
【習うこと、学ぶこと、考えること、教えること、離れること、感謝すること、助け合うこと、受け継ぐこと、成長すること】
勉強も、習い事も、スポーツも、仕事も、案外重要な心構えは同じなんだと思う。
大人になって当たり前のことが、子供の時分は、かなり難しいことだったりする。
そこから習ったりしながら、いろんなことを覚えていくけれども、改めて他の人に教えてみて、自分が理解出来ていなかったところを確認したり、自分の正しさを再認識したりして、知識や経験の幅を広げたり、深めていくのだ。
大学の教養課程の体育で、個別競技を専攻した時に、講師の空手の先生が、守破離について説明していた。
これは、僕が習っていた書道でも重要な考え方で、初めは師に従い習っていても、ゆくゆくは自分らしさを加え、更に、師とは異なる自分のものにしていくという道程を表したものだ。
この「バケモノの子」は、こうした考え方を示すと同時に、師に感謝し、時には助け合い、更に、成長することが出来るという可能性も示しているのだと思う。
空手とか書道とか東洋的なものを例にとったけれど、これは万国共通なんじゃないのか。
熊徹の心は、九太に宿ったのだ。
己の闇とどう向き合うか
バケモノの世界に迷い込んだ少年がそこで出会ったバケモノ熊徹と師弟関係を結び、互いに反発し合いながらも修行に励み、成長していく物語。
‘師弟愛’‘ 親子とは?’‘強さとは?’‘学びや成長’‘心の闇’‘自己受容’等々様々な事について考えさせられました。詰め込みすぎ・薄味等のご意見も拝見しましたが、確かにそれもわかるような気もします(メッセージが多かった分、私もこのレビューをどうまとめようか迷いました)が、単純なせいか私はそれ以上に大きな感動を味わいました。特に、九太と熊徹の不器用な二人が互いに心をぶつけ合い、絆を深めていく姿には涙しました。
九太と熊徹は似たもの同士。強がりで意地っ張りだけど本当は寂しがり屋。互いに孤独と闘っている。似たもの同士だから、顔を合わせれば反発ばかりだけど、徐々に相手の中に自分を重ね、心を通わせていく。鏡のような関係とも言えるかもしれない。共に過ごすうちに、自分を見つめ、自分を知る事ができた。そして修行生活の中で、九太も熊徹も、自分の弱い部分や足りない部分を認め受け止める事ができたのだろう。
九太と一郎彦も似ている。というか一郎彦はもう一人の九太だ。二人ともあの世界では異質な存在であり、共に闇を抱えている。九太も一郎彦と同じ道を辿っていたかもしれないが、熊徹との出会いが彼を変えた。独りで苦労しながら強靱な身体能力を身に付けた熊徹は、同じく孤独であった九太にとって希望の光だったに違いない。
闇に呑み込まれた一郎彦。自分はなぜ父親のように牙が無いのか?鼻が伸びないのか?バケモノにも人間にもなりきれず、自分の居場所が見出せない。ありのままの自分が受け入れられなかった一郎彦。闇は知らぬ間に彼の中で大きくなっていった。
闇は誰の中にも存在する。不安や悲しみ、怒りや憎しみ等、様々な形や大きさで。強がってそれに打ち勝とうとするか、気付かぬ振りをするか、静かに向き合うか。
自分の中の闇に気付き、それを受け入れる事が出来れば、人は一段と強くなれるし、より奥深くもなれると思う。物事は自分の受け止め方次第で、光にも闇にもなる。(スターウォーズでは無いけれど)光と闇のバランスを整え、‘心の剣’を鍛えたい。
劇団四季に期待!
そんなに細田作品は見てない。テレビ放送でもあまり…。が、劇団四季がミュージカルにすると聞いて、興味がわいた。
父と子の絆を描いたというのはわかった。ただ、九太の本当の父も出てくるし、実の父よりも熊徹と強い結びつきがある感じはしなかったなー。それなら一郎彦が猪王山を慕う方が、よほど説得力があった。
絵もきれいだし、声の演技はみなさん素晴らしいので、やはり脚本が難ありなのかな。あと、製作するにあたってお金は必要なので、スポンサーは必須だけど、金も出すが口も出してたのではと想像する。この俳優を押さえたから、もっとこの役を出せとか、エピソードを追加しろとかの無茶振り。劇団四季に作品化の権利を与えたのなら、ミュージカルにする時に独自の改変は許して欲しい。ぜひ、物語を整理して、シンプルに九太と熊徹にフォーカスした作品になるとよいと思う。
人間の闇
独立してからの細田監督。若者向けに作られた『時をかける少女』と『サマーウォーズ』は好きだけど、その他は好きになれない。誰のために作られたかと考えると、やはり対象年齢が下がってきているとしか思えない。
バケモノの世界と人間世界。人間を見下していたり、“闇”を宿して混乱を招くといった渋天街の常識を宗師ならば変えられるという設定は面白いのに、終わってみると単なる親子愛という平凡なメッセージに変化していたように思う。蓮という名前を持ちながら、熊徹につけられた「九太」という名前を甘んじて受ける。小学生とはいえ、彼のアイデンティティは一体どこへ・・・
渋谷のモブシーンは丁寧な作りでダイナミクスを感じるし、9歳の少年にして喪失感や高みを目指す反抗心には胸打たれたのだが、バケモノたちが可愛いためだろうか、異世界の恐怖も全くない。あ、やっぱり子供向け。ただ、そこから西遊記みたいなメンバーでの修行の旅で多くの賢者たちに会ったり、ジャッキー・チェンを思わせるような修行の日々がまた良かったりする。人間世界の描き方が素晴らしかったため、可愛いバケモノとのギャップが残念でならない。
関係ない話ですが、金沢市には富山県南砺市との県境に医王山(いおうぜん、標高939m)という山があります。細田監督も富山出身なので知ってるはずで、熊徹のライバルとなる猪王山(いおうぜん)の名前もここからなんだろうな~。
少し詰め込み過ぎ
母親の死がきっかけで家出をした少年が、異世界でバケモノの弟子となり修業に励み、成長する物語。
「少年の成長譚」、「青春の苦悩」、「親子と師弟愛」、「恋愛」、そして「人間の性」。そんなことを描いた作品だと受け止めましたが、少々詰め込み過ぎに感じ、何を見せらているのか分からなくなりました。
また、人間社会に戻ってからの展開がご都合主義に感じられ、戸惑いを覚えます。
声優については、序盤は良かったのですが、後半の染谷将太と広瀬すずが出てくると拙さが感じられ、興を削がれます。
ビジュアルは美しく丁寧で、動きも迫力があるものでしたが、映画として観た場合には評価し難い作品に感じられ、評価はやや厳しめです。
うーーむ、これは微妙。。
たくさんの愛に溢れた作品
前作「おおかみこども」から三年でしょうか?偶然なのか今回もケモノがテーマの作品となりました。
予告で観た限り不安というか微妙なところはミスチルだけだったので、これまた楽しい足取りで劇場に向かいました。
作品は冒頭から力の入りようが伺え、とても豪華な絵面。
目まぐるしい主人公の目線は細かく描かれていて、特に狭く低い子供の視点は見事でした。
大人の足元をかいくぐるカメラワークなどは、スコセッシの「ヒューゴ」を彷彿とさせます。 また色彩も豊かでそんな処もわくわくさせられるんでしょう。
細田監督はキャスティングも上手く、役者起用の作品の中でもあまり違和感を感じません。
役所広司は素晴らしいですし、大泉洋も安定です。 そんな中リリーフランキーが少し不安だったのですが、これがまた想像以上にうまく、なんと味わい深い演技をするのだろうと関心しきりでした。
実写での彼の演技の幅は知っていたのですが、新たな一面を知るきっかけとなりました。
さてこの作品、前半こそファンタジーテイストの話なのですが、後半から大きく転調します。
何しろ話のペースが緩やかな前半と比べ一気に変わるのですから、観ていて戸惑う人もいたと思います。
もともと作中に小さな伏線をいくつも差し込んでくる監督でしたが、この後半パートではかなりの物量が詰め込まれていたと思います。
そんな物語はどんどんスピードを増していくのですが、ふとぽろっと出てくるセリフにも結構重要なキーがあったりと、観ていて緊張感があります。
そうして最後の対決シーンでその速度はついにピークを迎えます。
この後半から徐々に上り詰める感じが、本当にうまくできていたと思いますね。
ただ、この後半パートあまりに要素を詰め込んだような感じは残り、脚本が少し粗く見えちゃった感じではありました。
また個人的にですが、今回の作品は随所に「ポスト宮崎駿」のプレッシャーのような物も感じ取れました。
そういった演出が結構目立っていた気がしたんですよね。
とはいえ、これだけ壮大なエンターテイメント大作を作り上げたのだから凄いものです。
そんな転換期をも思わせるこの作品、次作で監督がどう化けるかとても楽しみになりました。 少し寂しかったり、少しうれしかったり、そんなたくさんの愛に溢れた作品でしたよ。
【人間界”渋谷”とバケモノ界”渋天街”のパラレルワールドが魅力的に描かれる。九太が熊徹との交流を通じて成長する姿も眩しい作品。】
この世で、バケモノ熊徹(声:役所広司)と偶然出会った少年(声:宮崎あおい)が強さを求め、異界へ旅立つ決意をし熊徹の弟子、九太として成長していく。
いがみ合っていた二人が、お互いに不思議な絆を感じ始め・・。
成長した九太(声:染谷将太)は、この世で高校生少女楓(声:広瀬すず)に出会い、新しい価値観を学んでいく・・。
世界観が独創的であり、実に魅力的。
尚且つストーリーの根幹は少年の成長物語であり、(ちょっと風変わりな)親子の絆を描いている王道テーマの作品。
異界で登場する
・百秋坊(声:リリー・フランキー 見た目もリリーさんに似ていると思ったのは私だけかな?)
・多々良(声:大泉洋 このキャラクターも大泉さんとマッチ)
・チコ(声:諸星すみれ)
・宗師(声:津川正彦)
・一郎彦、二郎彦兄弟と父、猪王山
も実に魅力的である。
そして、猪王山と熊徹との手に汗握る決戦。
近年の邦画アニメーションの中でも秀作の部類に入る作品であると思う。
<2015年7月11日 劇場にて鑑賞>
薄口な映画
人の成長物語は結構好きな方なのになぜこの映画はしっくりこないのだろうかと考えた。
放映時間の問題との結論に至った。
朝ドラや、渡鬼、NARUTO、キャプ翼 等は、
長い時間をかけて成長を見守れるから感情移入できるのであって、
2時間の映画でそれを見せられても、
時の流れに観る側がついていけなくてグッと来ないのは当然なのだろうと思った。
数秒で子供から大人になられても「がんばったね~大きくなったね~」とはならないですよね。
この物語が2クールくらいの連続アニメならもっと感動できたのかも。
ただ、ほんの数日を描いた「時をかける少女」や「サマーウォーズ」を生み出した細田さんなら、
そんなことくらいわかってるはずで、
これは「おおかみこどもの雨と雪」に続く挑戦だったのかな?
と思うと、そのチャレンジ精神には感服いたします。
ただそれでも、脚本が好みでなかった。
急すぎる展開、悪役の軽い扱い、潔くない物語進行
「時をかける少女」のような儚さや、
「サマーウォーズ」のような温かさが好きな私にとっては、
あれもこれも欲張って拾って結果全部薄口だけど皆ハッピー的な展開は少し残念でした。
外さない細田作品
前半は少年漫画の格闘系な感じで、
「ジャンプ」にでも掲載されてそうなファンタジー。
正直ノレなかった。
後半(蓮が17歳になってから)は、
蓮が再び人間界に戻ったり、
(この行き来の自由さも若干違和感残る)
楓や実父との交流で、
人間界での「空白」を埋めていくところは青春そのもの。
育ての親(熊徹)と実の親で葛藤する蓮が、
実の親にぶつける言葉と、
その後熊徹を応援する蓮が泣かせます。
この前後半で全く味付けの違う作品に出来る
「細田クオリティ」は流石だ。
ラストの戦いも、その映像美がすごい。
(あのクジラ見て、「ライフオブパイ」を想い出した!)
良い映画だとは思うし、前作・過去作とも味付けは違う。
過去作もファンタジー要素は多く、
それでも心を震わす話に持っていってはくれる、
実はみんな抱えている心の一端だと気づかせてくれる細田作品。
でも比較すると前作の方が好み。
最終的に蓮は全部手に入れちゃうし。
声優は、相変わらずの宮崎あおいの天才ぶりと、
津川雅彦の本職顔負けな堂々感、
役所広司のそのまんま感。ここまでは良い。
あとは少しノイズだな。
染谷・広瀬は働きすぎ。
全433件中、41~60件目を表示












