バケモノの子のレビュー・感想・評価
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キャラクターデザインの線は好き
個人評価:2.7
夏休みに見たくなる監督、細田守。
残念ながらその夏休み感、またテーマ性、どちらにも振り切れていないので、どちらかというと短編に向いた物語。
キャラクターの線はとても綺麗で好きだが、やはり主人公が少女の方が、細田作品は活き活きするなと思う。
見応えはあったけど・・・
マーケティングの結果で世界観構築して、チーム分けして作業して、繋げたらこうなった、みたいな・・・。
この監督特有の作家性みたいなものが見えてこない作品で、エンターテインメントとしては色々見応えあったけど、映画を観たぞ、っていう手応えは全くないという、何ともいえないもやもや感が残った。
観る人の人生経験による
何に関してもそうだけど
共感できるかどうかは
人生経験による。
自殺レベルの孤独を
感じたことがある人は
この映画に共感できると思うし
そんな孤独を知らない人は
ただのアニメとしてしか観ないから
つまらないと思うんだろう。
自分と全く同じ人生を生きる人は
絶対に存在しないから人は皆孤独。
そのなかで少しでも
他人と分かち合えるものがあれば
支え合って生きていける。
それがこの映画のテーマだと感じた。
私はこの映画が好き。
後半からの展開がイライラ
前半の修行から九太と熊徹との師弟関係を構築していくところはとてもワクワクしながら観ていたのですが、九太が人間界に戻っていったところからとても、観ていられなくなりました。
ヒロインの楓の登場からクライマックスにかけての強情さというか、空気の読めなさにとてもイライラして、最後は渋天街の宴にまで顔を出す始末、、。面の皮が厚いというか、サマーウォーズとおおかみこどもの時から思ってたのですが、ヒロインがマジで感情移入出来ないです。
そして、九太以外の熊徹の弟子だったり、最初に出てくる大人達だったり、楓をいじめるチャラい同級生だったり脇役がしっかり脇役で記号的にしか描かれていないところもなんか、「こうゆうの出しとけばこう観れるっしょ」みたいな細田監督の表現の薄っぺらさが随所に見られてとても不快でした。
プロフェッショナル仕事の流儀で最後のセリフのディレクションがとても抽象的なところを観ると、細田監督はそのぐらいのビジョンでしか脚本を書いてないのかと思い。子どもを育てている身としては、これが父と子の成長物語として打ち出している事にとても遺憾でした。
男の子を一人前に育てる
龍とそばかすの姫を観てあまりにモヤモヤしたので、バケモノの子をもう一度観てみた。
やはりバケモノの子は良い。
血が繋がっていようがいまいが、人間だろうがバケモノだろうが、男の子を一人前の男に育て上げる姿は胸を打つものがある。
ストレートに伝わってくるものがちゃんとそこにある。
熊徹の白い歯と笑顔も好きだ。
うん。
もう細田守作品なんて観るもんかといっしゅん思ったけど、やっぱりおおかみこどもの雨と雪とバケモノの子はいいな。
ちょっと遠くからこれからも細田守作品を観ていこうと思い直した。
心の闇を制する「胸の中の剣」というのは、周りの人が自分に注いでくれ...
心の闇を制する「胸の中の剣」というのは、周りの人が自分に注いでくれた愛情という事なのかなと思った。シンプルで力強いメッセージで、良い作品だなと思いました。
【習うこと、学ぶこと、考えること、教えること、離れること、感謝すること、助け合うこと、受け継ぐこと、成長すること】
勉強も、習い事も、スポーツも、仕事も、案外重要な心構えは同じなんだと思う。
大人になって当たり前のことが、子供の時分は、かなり難しいことだったりする。
そこから習ったりしながら、いろんなことを覚えていくけれども、改めて他の人に教えてみて、自分が理解出来ていなかったところを確認したり、自分の正しさを再認識したりして、知識や経験の幅を広げたり、深めていくのだ。
大学の教養課程の体育で、個別競技を専攻した時に、講師の空手の先生が、守破離について説明していた。
これは、僕が習っていた書道でも重要な考え方で、初めは師に従い習っていても、ゆくゆくは自分らしさを加え、更に、師とは異なる自分のものにしていくという道程を表したものだ。
この「バケモノの子」は、こうした考え方を示すと同時に、師に感謝し、時には助け合い、更に、成長することが出来るという可能性も示しているのだと思う。
空手とか書道とか東洋的なものを例にとったけれど、これは万国共通なんじゃないのか。
熊徹の心は、九太に宿ったのだ。
己の闇とどう向き合うか
バケモノの世界に迷い込んだ少年がそこで出会ったバケモノ熊徹と師弟関係を結び、互いに反発し合いながらも修行に励み、成長していく物語。
‘師弟愛’‘ 親子とは?’‘強さとは?’‘学びや成長’‘心の闇’‘自己受容’等々様々な事について考えさせられました。詰め込みすぎ・薄味等のご意見も拝見しましたが、確かにそれもわかるような気もします(メッセージが多かった分、私もこのレビューをどうまとめようか迷いました)が、単純なせいか私はそれ以上に大きな感動を味わいました。特に、九太と熊徹の不器用な二人が互いに心をぶつけ合い、絆を深めていく姿には涙しました。
九太と熊徹は似たもの同士。強がりで意地っ張りだけど本当は寂しがり屋。互いに孤独と闘っている。似たもの同士だから、顔を合わせれば反発ばかりだけど、徐々に相手の中に自分を重ね、心を通わせていく。鏡のような関係とも言えるかもしれない。共に過ごすうちに、自分を見つめ、自分を知る事ができた。そして修行生活の中で、九太も熊徹も、自分の弱い部分や足りない部分を認め受け止める事ができたのだろう。
九太と一郎彦も似ている。というか一郎彦はもう一人の九太だ。二人ともあの世界では異質な存在であり、共に闇を抱えている。九太も一郎彦と同じ道を辿っていたかもしれないが、熊徹との出会いが彼を変えた。独りで苦労しながら強靱な身体能力を身に付けた熊徹は、同じく孤独であった九太にとって希望の光だったに違いない。
闇に呑み込まれた一郎彦。自分はなぜ父親のように牙が無いのか?鼻が伸びないのか?バケモノにも人間にもなりきれず、自分の居場所が見出せない。ありのままの自分が受け入れられなかった一郎彦。闇は知らぬ間に彼の中で大きくなっていった。
闇は誰の中にも存在する。不安や悲しみ、怒りや憎しみ等、様々な形や大きさで。強がってそれに打ち勝とうとするか、気付かぬ振りをするか、静かに向き合うか。
自分の中の闇に気付き、それを受け入れる事が出来れば、人は一段と強くなれるし、より奥深くもなれると思う。物事は自分の受け止め方次第で、光にも闇にもなる。(スターウォーズでは無いけれど)光と闇のバランスを整え、‘心の剣’を鍛えたい。
劇団四季に期待!
そんなに細田作品は見てない。テレビ放送でもあまり…。が、劇団四季がミュージカルにすると聞いて、興味がわいた。
父と子の絆を描いたというのはわかった。ただ、九太の本当の父も出てくるし、実の父よりも熊徹と強い結びつきがある感じはしなかったなー。それなら一郎彦が猪王山を慕う方が、よほど説得力があった。
絵もきれいだし、声の演技はみなさん素晴らしいので、やはり脚本が難ありなのかな。あと、製作するにあたってお金は必要なので、スポンサーは必須だけど、金も出すが口も出してたのではと想像する。この俳優を押さえたから、もっとこの役を出せとか、エピソードを追加しろとかの無茶振り。劇団四季に作品化の権利を与えたのなら、ミュージカルにする時に独自の改変は許して欲しい。ぜひ、物語を整理して、シンプルに九太と熊徹にフォーカスした作品になるとよいと思う。
人間の闇
独立してからの細田監督。若者向けに作られた『時をかける少女』と『サマーウォーズ』は好きだけど、その他は好きになれない。誰のために作られたかと考えると、やはり対象年齢が下がってきているとしか思えない。
バケモノの世界と人間世界。人間を見下していたり、“闇”を宿して混乱を招くといった渋天街の常識を宗師ならば変えられるという設定は面白いのに、終わってみると単なる親子愛という平凡なメッセージに変化していたように思う。蓮という名前を持ちながら、熊徹につけられた「九太」という名前を甘んじて受ける。小学生とはいえ、彼のアイデンティティは一体どこへ・・・
渋谷のモブシーンは丁寧な作りでダイナミクスを感じるし、9歳の少年にして喪失感や高みを目指す反抗心には胸打たれたのだが、バケモノたちが可愛いためだろうか、異世界の恐怖も全くない。あ、やっぱり子供向け。ただ、そこから西遊記みたいなメンバーでの修行の旅で多くの賢者たちに会ったり、ジャッキー・チェンを思わせるような修行の日々がまた良かったりする。人間世界の描き方が素晴らしかったため、可愛いバケモノとのギャップが残念でならない。
関係ない話ですが、金沢市には富山県南砺市との県境に医王山(いおうぜん、標高939m)という山があります。細田監督も富山出身なので知ってるはずで、熊徹のライバルとなる猪王山(いおうぜん)の名前もここからなんだろうな~。
少し詰め込み過ぎ
母親の死がきっかけで家出をした少年が、異世界でバケモノの弟子となり修業に励み、成長する物語。
「少年の成長譚」、「青春の苦悩」、「親子と師弟愛」、「恋愛」、そして「人間の性」。そんなことを描いた作品だと受け止めましたが、少々詰め込み過ぎに感じ、何を見せらているのか分からなくなりました。
また、人間社会に戻ってからの展開がご都合主義に感じられ、戸惑いを覚えます。
声優については、序盤は良かったのですが、後半の染谷将太と広瀬すずが出てくると拙さが感じられ、興を削がれます。
ビジュアルは美しく丁寧で、動きも迫力があるものでしたが、映画として観た場合には評価し難い作品に感じられ、評価はやや厳しめです。
きちんと育ってもヒトは孤独
キネマ旬報で星4か5は甘いが評者上島春彦 氏の、細田守の描く世界には元々「きちんと育ってもヒトは孤独」という感覚が流れている、との評は支持。
千と千尋に果敢に挑むも、何処か撮る動機と新味に欠ける。
うーーむ、これは微妙。。
「安心して観られる凡作」ってタイトルでレビュー書いてる方がいますが、まさにその言葉がぴったりな作品。
正直、観終わった後であまり感情を動かされることが無かった。。
細田映画観たのは、ONE PIECEのオマツリ男爵が初めだったけど、何か段々と尖ったところが無くなって、ドラえもん的な大衆映画になってきてるように思える。前回のおおかみこどもは好きだったけど。
何だろう・・キャラクターに感情移入できないからかしら?少なくとも、この作品はもう1回観たいと思わない。
当たり前の感想過ぎて恐縮ですが、子供が観るには良い映画だと思います。
たくさんの愛に溢れた作品
前作「おおかみこども」から三年でしょうか?偶然なのか今回もケモノがテーマの作品となりました。
予告で観た限り不安というか微妙なところはミスチルだけだったので、これまた楽しい足取りで劇場に向かいました。
作品は冒頭から力の入りようが伺え、とても豪華な絵面。
目まぐるしい主人公の目線は細かく描かれていて、特に狭く低い子供の視点は見事でした。
大人の足元をかいくぐるカメラワークなどは、スコセッシの「ヒューゴ」を彷彿とさせます。 また色彩も豊かでそんな処もわくわくさせられるんでしょう。
細田監督はキャスティングも上手く、役者起用の作品の中でもあまり違和感を感じません。
役所広司は素晴らしいですし、大泉洋も安定です。 そんな中リリーフランキーが少し不安だったのですが、これがまた想像以上にうまく、なんと味わい深い演技をするのだろうと関心しきりでした。
実写での彼の演技の幅は知っていたのですが、新たな一面を知るきっかけとなりました。
さてこの作品、前半こそファンタジーテイストの話なのですが、後半から大きく転調します。
何しろ話のペースが緩やかな前半と比べ一気に変わるのですから、観ていて戸惑う人もいたと思います。
もともと作中に小さな伏線をいくつも差し込んでくる監督でしたが、この後半パートではかなりの物量が詰め込まれていたと思います。
そんな物語はどんどんスピードを増していくのですが、ふとぽろっと出てくるセリフにも結構重要なキーがあったりと、観ていて緊張感があります。
そうして最後の対決シーンでその速度はついにピークを迎えます。
この後半から徐々に上り詰める感じが、本当にうまくできていたと思いますね。
ただ、この後半パートあまりに要素を詰め込んだような感じは残り、脚本が少し粗く見えちゃった感じではありました。
また個人的にですが、今回の作品は随所に「ポスト宮崎駿」のプレッシャーのような物も感じ取れました。
そういった演出が結構目立っていた気がしたんですよね。
とはいえ、これだけ壮大なエンターテイメント大作を作り上げたのだから凄いものです。
そんな転換期をも思わせるこの作品、次作で監督がどう化けるかとても楽しみになりました。 少し寂しかったり、少しうれしかったり、そんなたくさんの愛に溢れた作品でしたよ。
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