怒りのレビュー・感想・評価
全780件中、41~60件目を表示
それぞれのストーリー
千葉、東京、沖縄に身元の不明な男が3人現れる。
それぞれが直接的に繋がっているわけではないけど、どのストーリーも見事でした。
ある殺人事件が起きる。その容疑者は、身なりを変え、顔も整形していた。
それぞれに出てくる3人がもしかしたら、犯人などではないか?
それまで何ともない関係性が少しずつ崩れていく。
渡辺謙演じるお父さんがすごい存在感があった。
口数はどの役者に比べても少ないと思うけど、そこに纏う空気感がすごいなと思った。
物語は、「怒り」とは?映画のタイトルで感じたけど、物語が進むにつれてそういう事かと感じた。
「怒り」は、誰にでも持ち合わせている感情である。
だけどそれは、人によってものの価値観だったり、違ったりするから、どんな事に「怒り」を覚えるのか?違ってくる。
少年の真っ直ぐな気持ちが悲しい結末を迎えてしまう。
その「怒り」は、誰かの救いになったのかな。
感情の微妙の変化の具合が見事でした。
とてもいい作品でした。
自分への怒り
あの時ああすればよかった
あの時何もできなかった
あの時信じてやれなかった
人は何かしら後悔が残る
それは自分への怒りとなってあらわれる
怒りは人の弱さの象徴のようでもあり、それを跳ね除ける強さもまた怒りかもしれない
逃亡している殺人犯は誰かというミステリーを土台にして、
過去がわからない男3人とその周りの人間関係を描く。
さまざまな怒りを描いていて各々がそれらを代表している。
ヒューマンドラマとしての出来もいいけど、いい形でミスリーディングしていく過程もとても秀逸で面白い。ミステリーではないけど、ミステリーとしても面白い。
事件は明らかにリンゼイアンホーカーさん殺人事件を下敷きにしている。
関係ないけど、綾野剛、松山ケンイチ、森山未來の絶妙に三名の顔のどちらとも似ている似顔絵が秀逸なのは笑える。
思ってたよりずっと引き込まれた
森山未來怖すぎる!
宮崎あおいのメンヘラぷり、
素晴らしいー!!
役作りで太ったらしいけれど
相変わらず華奢!
竜也くん役の男のこの沖縄弁が自然で
沖縄地元民感とても出してた
広瀬すずちゃんは最後の叫ぶシーンで
監督にキレられたらしいけど
話を通して、あどけなさがちょっと抜けて
大人びた表情になって終わるのとてもよかった!
信じる信じられない信じたいみたいなテーマでいくと
羊の木とちょっと似てるけど
こっちのが全然おもしろい!
「怒り」とは自分を憐れむ気持ち?
最終的に犯人だとわかったあの男と他の容疑者2名の差はなんだろうか。
自分を憐れむものへの怒り、自分を他人と比較して自分自身を憐れみ自分自身にも怒っている森山未来役。
一方、身寄りもなく偽名を使って過ごしていることには変わりないが、人の愛に触れることができた2名(人の気持ちを優しさとして受け取ることができた2名)。
そこに違いがあるのかなと思った。
怒りは自分以外に向けられることがあるが、結局は自分に怒っているのかもしれない。
広瀬すずはこの時点で何歳なのか、恐るべき女優魂
タイトルは『憎しみ』でも『憤り』でもなく、『怒り』
皆さんのレビューが素晴らしすぎて
こちらから言うことは何も無し。
これは映画、フィクションだって
何回も言い聞かせてようやく平常心を保つ。
絶望の中に例え一筋の光が差し込んでも
前を向いていなければその光は見える訳もなく
自力で見上げることができなくても
きっと導いてくれる人はいるはず
2度と見たくない超名作
当時、日本アカデミー賞を総ナメしたことから軽い気持ちで視聴。
この作品は心を素手で鷲掴みにしてきた。
後半になるにつれ心が休みなく揺さぶられ、今まで観てきた映画の中でもトップクラスで素晴らしい作品に感じた。
ただの推理モノでは済まない、人間の感情の真理の詰め合わせ。
かなりの良作ですが観ているだけで疲弊してしまい、2度目の視聴はあるかな?というレベル。
個人的には真犯人が犯行時に強い恨みなどのこれといった動機がなく衝動的で、それでも現代パートではそこそこ抑えながら人と心を通わせているのがまたリアルだなと。
赦されたくもあり、今までの生き方とは全く違う人たちを眩しく思うこともあり、楽になってしまいたくもあり、それでも奥底にある衝動と闘っている。
「怒」をはじめ、洞窟?のシーンの落書きたちは、犯人が自分の衝動を落ち着けながら一般社会に擬態して生きていく術だったように見えたし、一見とんでもない「ウケる」等はその中で過去の自分とのギャップに悩んで慌てて書いたように感じた。
少なくとも学生2人に対しては情があったはずで、そんな中でも真っ直ぐに守りきれなかったやるせなさや、この2人になら何されてもいいやという気持ちもあったような気がする。
あの煽りはもし殺されるなら自分が心を許した人に…なのか、強い衝動で人を殺してしまうのは自分以外も同じ(自分は異常じゃない)と思いたかったのかもしれないなんて考えてしまった。
サイコパスにもサイコパスなりの理由はあったと思う。
人の愚かさと愛おしさを思い出させてくれる
PG12でいいのかと思ってしまうほどの衝撃的な場面があります。
猟奇殺人がキーになっていますが、エログロを映像や音楽で煽っているわけではありません。
個人的には、宝石箱に大切にしまいたくなる、誰にも汚されたくない宝物のような恋人との営み。
そして真っ向勝負で現実から目をそらさずに描き切るあのシーン。目を覆いたくなりますが、役者の覚悟に、かえって目を背けたら失礼だと思わされるくらいの迫力がありました。
衝撃的な映画です。
心の中に殴り込まれたような気分になります。
受け止めるのに時間がかかります。一生受け止めきれないかもしれません。あのシーン、このシーン、後から何度も思い出してしまいます。
パンドラの箱を開けたようです。どこかに希望が…というのは、私の願望なのでしょうか。
答えを探してしまいます。でも、どこにも見つかりません。自分の外にも、内にも。何一つ確かなことはないのでしょう。そんないら立ちに、自分の心が浸食されていく感じ。自分は何を信じているのでしょうか、何を信じていないのでしょうか。…『怒り』すごいタイトルです。
絆。心地よい響きです。
災害の度にどこのだれかともわからない人がボランティアとしてやってくる。大抵は絆を感じられるもの。
その反面、それが簡単に揺さぶられる現実。すぐ足もとにあるブラックボックス。
愛する人が何者なのか知りたい。それはギリシャ神話のプシケが陥った罠。
愛するからこそ知りたい。イザナギの神や『鶴の恩返し』のよひょうが犯した罪。
神話時代から繰り返されてきた物語。
これだけ重い話なのに、最後まで引き込まれて鑑賞できたのは、役者の迫真の演技と見事な映像と音楽、そして編集の技のお陰です。
主演は謙さんとなっていますが、どの登場人物も主役です。
お一人お一人の具体的な場面を示して称賛を贈りたいですが、ネタばれになってしまうので割愛。どの方も役者の代替えが利かないほどの存在感があります。
少なくとも、森山さん、広瀬すずさん、綾野さん、妻夫木さん、宮崎さんにとっては代表作になるのではないでしょうか。
特に、森山さんの役作りは、一見理解不能で、でも最近良くいるタイプを演じていらして唸らされました。少なくても田中自身必死で、その時湧き上がる思いに正直で、自分に自分が振り回されて、でもどうにかしたくてもがいている様子に涙が出てきてしまいました。
監督が「世界中の人が敵になっても、その人物を愛してくれる人に演じてほしい」と仰ったそうですが、どの方々もそんな監督の要請に応えられていたと思います。
李監督作品は『フラガール』しか鑑賞していませんが、振り幅の大きい監督ですね。
と言っても『フラガール』でも、何気ないショットで、その方のこれまでとか、年齢とか心情を描き出す人物描写が素晴らしかったです。この映画ではもっとじっくり人物が描き込まれていて魅せてくれます。
そして、私がこの映画に希望を感じてしまうのも、『フラガール』に注いだような温かい視点を感じるからでしょうか。
『フラガール』では、関係者が御存命なためか、ちょっと演出過剰っぽいところもありましたが、この映画では、これでもかというほど、ごまかさないで、現実から逃げない真摯な態度を貫かれています。
だから、重い…。
映像は、土地ごとでテイストが違い、コラージュされていきます。なのに、混じりあってゴタゴタになるのでもなく、バラバラになるのでもなく、フーガのように、ハーモニーのように相乗効果が効いています。
千葉の素朴な画にほっこりし、東京の電飾にめまいを覚えたかと思うと、セピア調のロマンチックに酔いしれ、沖縄のつきぬけた海と空に大きく深呼吸したくなりました。途中までは…。
そして、それらのやるせない物語を包み込むような音楽。
見事。
これほどの映画をリアルタイムで鑑賞できたことに感謝します。
んー
吉田修一さんはエッジの効いた素晴らしい文体をお持ちの作家さんだとは思う。思うけど、兎に角怒らせたいのね。
俳優陣は素晴らしいけど、トラウマになるゎ。
問題提起なら評論家でもできるのであって、映像化するからには、エンターテイメントであるか、芸術的要素をちゃんと入れてほしい。
横道世之介の方がまだいいかな
怒りの矛先と表現力で問われる人間性
李監督の作品は「悪人」ぶりだった。絶対重いと分かっていたので見るまでにだいぶ時間がかかった。
原作は読んでいないので先入観なしで。正直見てて本当に辛くて、途中心が折れそうになったけどなんとか完走。
まず役者陣は本当に申し分なし!個人的には沖縄編の俳優陣の演技は特に素晴らしかった。
ストーリーに関しても本当に秀逸で、千葉、東京、沖縄それぞれが平行して進み、ちゃんと最後の犯人にたどり着くまで飽きることなく見ることができたが、むしろ情報過多で正直途中しんどかった…。(←褒めてる)
この作品全体を通して思ったことは『怒りの表現の仕方が、その人の人間力を表す最大の素養である』という事。
森山未來演じる田中は自分の怒りをモノや人にぶつけて発散していく一方で、広瀬すず演じるイズミちゃんは、悲しみや怒りの負の感情を自分の中で昇華しようとする。
他の登場人物たちもそれぞれに怒りや悲しみの感情を抱えながらその感情を爆発させたり諦めたりする姿を見ていると、知らぬ間に自分の中にもなんとも言いようのないさまざまな怒りや悲しみといった感情がどんどん沸いて渦巻いていた。
人間が持つ感情の中で一番大きなパワーを生み出すのは「怒り」の感情だといわれている。
この作品を観ながら『この力を君はどう使うのか?』と問われている気がした。私はどうにかこの大きなエネルギーに振り回されることなく、人に害を加えず、自分が幸せになるために最大限に活用する方法を考えながら生きていきたいと思う。
見事!
豪華な役者陣に負けない重厚な演技。多少ステレオタイプが過ぎる脚本が気になるが、それを補って余りある内容。ミスリードへの持っていき方が割に剛腕で好感が持てる。こう言うのでイイのだと思う。
そんな中で、人を信じるということの難しさ、信じることの怖さをしっかり描く本作。日本人の琴線に触れやすい感情を訴えてるからだろうか。だから日本映画が好きなんだよ!と久しぶりに思えた。
実際に起きた事件に寄せているあたりが、イイのか悪いのかは観る人それぞれか。何よりあの役者たちの中で、もはや見劣りすることもなくなったピエール瀧の存在よ。すごいね瀧さん。
原作を読めば評価は高いかなと。
原作の描写をしっかりと映像表現されているだけに、
作者と監督の意図を理解できないと、すごくつまらなく感じると思う。
個人的に、映画でカットされた三浦貴大演じる北見の原作エピソードは好きだったし
3つの話しに唯一絡む人物なので、
「大切な人を信じる」ってテーマなら彼のエピソードも入れてほしかった。
長くなっちゃうけどさ。
犯人はわからず進むけど、推理するミステリーではなく
サスペンスドラマ+ヒューマンドラマという方が近い気がする。
リアルさ重視の人には面白いけど、そうでない人は大きなスクリーンで観るのはつらかったろうな。
本当に大切な人を心から信用できるか
3つのストーリーが同時に進むが、メッセージは同じであった。
自分の大切な人が、犯人ではないかと疑心暗鬼になり、自分の親兄弟も疑心暗鬼になってしまう。
信じられない、ことの痛みの大きさが恐いほど表現されていた。
最後まで犯人が分からなくて、目が離せなかった。
また、犯人の動機は実は、一時の感情の振れがとても大きいからではないか。
好意的な解釈かもしれないが、結局はたつや君を守るために、行動したのではないか。
最後の場面で、手を出すのは簡単だったのに手を出さなかったことや、警察の助けを求めたことからも実は感情の振れが大きいことの裏返しだと思った。
人を信用できるか、深いテーマだと感じた。
いろいろな怒り
怒り。いろいろな感情が絡み合う理不尽な環境だったり理不尽なことを言われたり。ちょっとした些細な事で人を殺めてしまう。この場合ターゲットが派遣の人だったら分かるけど。その時優しくしてくれた人だった。その時に側にいた人通り魔的な犯行です。
犯人は誰だろう。と頭の中で推理しながら綾野剛か松山ケンイチかと。でも違った
妻夫木とあおいちゃんは相手を疑い信用出来なかった事への悲しみと後悔の想い。あおいちゃんの泣きじゃくる演技が印象的。妻夫木も悲しむ顔がなんとも。渡辺謙はじめ他の俳優さんも素晴らしくよかった。ちょっとしか出ていなかった髙畑の演技も。
全780件中、41~60件目を表示