「僕を『イジメ』の日々から救ってくれた作品」シンデレラ(2015) 相楽さんの映画レビュー(感想・評価)
僕を『イジメ』の日々から救ってくれた作品
他のサイトでも書かせていただきましたが、こちらでもレビューさせていただければと思います。
この映画の公開時、まだ小学5年生だった僕は、学校で同級生数名から言い難いほどのいじめを受けていました。おとなしい性格だったので意味もなくいじめの標的にされたのだと思います。無視や陰口は日常茶飯事で、ノートや筆箱の中身を全部ゴミ箱に捨てられたり、体操着を水で濡らされたり、なわとびで複数人から鞭のように叩かれたりと、本当に辛い毎日でした。学校に行くのが嫌で、朝、お腹が痛くなるくらい嘔吐し、体が震え、そのまま動けなくなった事もあります。
親を心配させたくないという思いと、どのように打ち明けたらいいのか分からないという迷いから両親にもいじめの事は言っていませんでしたが、この朝のようなことがあって全てを両親に話しました。それによって担任の先生も直ぐに対処してくれ、いじめは収まりましたが、僕はそれまでの恐怖から学校に行くことが出来なくなりました。
そんな時に、ディズニー好きな母親が、僕に気晴らしをさせたかったのか『映画でも観に行こう』と誘ってくれました。その時に見たのがこの実写版の「シンデレラ」でした。まだ小学生で、男の自分がこんなことを思うのは変かも知れませんが、本当に映像も物語もとても素敵で、何より観ていてワクワクしたし、舞踏会のシーンではあまりの豪華さと美しさに思わず(感動で)涙が溢れたのを覚えています。
エラ(シンデレラ)が継母や義理の姉たちから仲間外れにされたり、一生懸命作り直したドレスを引き裂かれるシーンでは、自分の経験とシンクロするところもあり、よりエラの悲しみが伝わって来ました。そして、エラが常に言っている『勇気と優しさ(思いやり)を忘れないで』という言葉は本当に深く胸に響きました。僕にはいじめに立ち向かう勇気も、相手が謝ったら許してあげようという優しさもなかった。いじめは本当にいけない事だけれど、自分も何か行動しなければ状況は決して変わらないのだという事を改めて教えられた気分でした。
その後僕は学校に行くことも出来、いじめっこ達も何もしてこなくなりましたが、一度だけ「チクり屋」と嫌味を言われた時には「チクられるような悪いことをしたのはそっちだろ!二度とするな!」と言い返してやりました。これが僕の『勇気』であったし、それ以上は何も責めなかったのは『優しさ』かな?…と個人的に思っています(笑)
僕にとっては夢と勇気を与えてくれた最高の映画です。僕は今年13歳になりましたが、あの時の感動は決して忘れません。
どんなに強い人でも、落ち込み、一人で涙するような時もあると思います。でも勇気と信じる心があれば、僕のように必ず報われる日が来ます。「シンデレラ」は、人の心の中にある温かい思いを引き出してくれる、そんな映画です。