白河夜船のレビュー・感想・評価
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今どき珍しいくらい原作に忠実
引越しが多いので、かなりの本は処分してしまったけれど、たぶん、原作本はまだ実家にあると思う。黒い表紙の、シンプルな佇まい。本作は、あの本を久しぶりに棚から取り出し、読み返したような気持ちを味あわせてくれた。
確かに、余韻というには長すぎる、間延びしたシーンが全体に多い。70〜80分くらいのほうが、収まりよかったように思う。また、「…だわ」が語尾につく話し言葉だとか、外出時の荷物の少なさだとかも、どこかぎこちなく、現実離れしている。けれどもこれは、すでに現実と虚構のはざまに潜り込んだような物語だ。違和感は確かにあったが、それが、映画自体の持ち味までも失わせているとは感じなかった。
むしろ新鮮だったのは、文字からは聞き取れずにいた「音」だ。聞こえるとも聞こえないともつかないバイブの着信音、寺子の部屋に唯一生活感をもたらす、規則正しい洗濯機の音。ふわふわと流れかねない物語を繋ぎ止める、重要な役割を担っていたように思う。
そして、寺子の親友・しおりを演じた谷村美月の存在。久しぶりに透明感のある役柄で、彼女の魅力が際立っていた。(この頃は、変わった・しっかりものの職場の先輩、といったコミカルなものが続いていたような…)これからも、本作のような役どころをたくさん演じてほしい。主役の二人は、もちろんイメージ通り。あえて言えば、岩永にはもっと後ろ暗い影がほしかったけれど。
花火を二人で見た寺子は、自分の心の穴を埋めるのは自分自身であり、どんな人であっても他人では埋めようがないのだと、くっきり悟ったように思う。そんな覚悟を持った寺子と、無邪気とも覚悟済みともつかない岩永を照らす花火は、原作で思い描いたとおりに美しく、力強かった。
文字でできないことを語ってこそ映画、ということに異論はないが、原作にここまで忠実な本作に、私は好感を持った。
わかる
他のみなさん、さんざんなレビューですが、わたしは好きです。
現実味があるかどうか、ファンタジーかどうかではなく、1人の女性の感情を描いた映画だと思います。
一般的な幸せと定義されている結婚という指標ではなく、ただただひとりの人と繋がっていたい気持ちを真っ直ぐに描いています。
懐かしかった。
学生の頃かな。古本屋で文庫本を買って読んでました。
ばなな作品は、その前に、姉のお下がりの『キッチン』を中学の頃にヘビロテ的に読んでました。雄一(ゆういち)って名前が読めなくて、難渋した記憶がある(笑)
白河夜船は、キッチンと同じぐらいかそれ以上に映像化しにくいと思う。キッチンの解説にもあったが、当時のばなな作品は死別が多い。キッチンはまだ「(男女二人が)くっつくかな?」っていう動きがあるけど、白河夜船は初めからだらだらした不倫で、そのうえに親友の喪失を抱えなくちゃいけないので、まぁまぁ重い。
「かぞくのくに」の主演二人が再タッグ!ということだけど、先にこっちを観てしまった(笑) 原作で確かシオリは目が細めで、割といつもにこにこ笑っている感じで。私のイメージでは、どっちかって言うとサクラがシオリなイメージでした。(で、谷村美月とかが寺子)
でも実際、観てみると、、
まず、井浦新は岩永さんピッタリでした。一度観てしまうと、もう、岩永=井浦の図式が出来ちゃう。
原作は'89年とかなので、まぁまぁ古い。だから、語尾も「~わよ」とかが多い。サクラはけっこう、黒髪にパーマ当てると昭和レトロな趣があるので、違和感なかった気がする。あ、谷村美月もか。うまいな、配役。
中華料理屋のシーン。いつもよりテンション高めな岩永さんが卓をくるくる回すもんだから、寺子が「回ってちゃ食べられないわよ」と笑うところ。サクラ=寺子で、かつて活字で読んでたものを懐かしく思い出すなんて、贅沢。
でも、たぶんこの時の二人ってちょうど過渡期というか、ターニングポイントに来てるよね。だから、そのすぐ後に、斜め上からフカンの図で、寺子の心の声が流れる。
このシーン、良いですね。またサクラですからね。ばななの透徹したまなざしで描かれる寺子の心情。抑制のきいたサクラの言葉。間違いないです(笑)
小声と大声の落差が激しいので(たぶん録音の問題なんだけど)音量設定に困るのと、やたらサクラの裸が多い気がする…ぐらいかな。難点は。
ものすごく、懐かしかったです。「息を吹き込む」とは、こういうことですね。
そういや、ソフレ(添い寝フレンド)って今やレンタルサービスとしてやってる会社もあるよね。ばなな、いやシオリはかなり時代を先取りしてんな。
長々書きましたが、原作ファンには懐かしい映画だと思います(逆に原作知らないとキツいかもしれない(汗))
福島県白河市を舞台にした映画じゃないの…?
安藤サクラ出演作に外れナシ。しかも高い評価を受けた『かぞくのくに』の井浦新と再共演。
しかしこれは…。
話がよく分からない。
主人公の寺子には“添い寝業”をしていた親友が居たが、ある日死亡。
植物状態の妻が居る岩永と不倫の関係を続けている。
親友の死を受け入れられず、不毛な不倫の関係にも悩み、寺子は…って大まかな話なのだが、
ヒロインの愛や人生の彷徨が淡々と展開していき、退屈。
“眠り”を題材にした作品らしいが、劇中の寺子さながら、見てるこっちが深い眠りに落ちていく。
タイトルは、“実際は知らないのに知ったふりをする事”や“熟睡して周囲で何が起こっているか気付かない”という意味があるらしいが、
私はてっきり、我が県にある地名で、何かのご当地ムービーかと思っていた(^^;
う~ん
井浦新も安藤サクラも、どの映画見てもおんなじ演技でおんなじ雰囲気。
井浦新はモデルだし、縄文が好きとか個性的な人でセンスもあるけれど、役者さんとしてはどうなんだろう。井浦新は多分とてもいい人だと思うし、好きではあるんだけどなー。
ただゆるゆると観る映画
原作を読んでいないのでなんとも言えないけれど、おそらく小説そのままの世界観を壊すことなく映画にしたのだろうと感じました
逆によくこれを映画化しようと思ったなと。
フランス映画のように、退屈な人にはたまらなく退屈な映画
途中眠くなったので一度昼寝してからつづきを観ました
安藤サクラさんが好きで、同じく井浦新さんと共演している『かぞくのくに』を観たばかりだったので、少し物足りなさを感じましたが、サクラさんの演技力は相変わらずで、演技力のない女優さんだったら、もっと退屈な映画になっただろうなと。
あまり深く考えずにゆるゆると見るとよい映画かなと思います。
逃れらないけど、あっという間に失ってしまいそう。
これが吉本ばななさんの作品なのですから驚きです。
不倫する男と女と、一見どこにでもありがちな話ですが、2人の関係性があまりにも微妙で世界観が独特。
井浦新さん演じる男は、妻が昏睡状態。
対する安藤サクラさん演じる女は常に眠っていたい睡眠障害の女。
不安定な環境が互いを不安定な関係性にさせている、そんなアンバランスな世界です。
壊れそうで壊れないこの関係は、どちらかが踏ん切りをつけないと決して終わることはないのでしょうが、何だか居心地が良すぎてやめどころを見失っているようです。
このままずっとズルズルとする気がします。
詩的な物語でなかなか内容が響かなかったけど、安藤サクラさんの気だる...
詩的な物語でなかなか内容が響かなかったけど、安藤サクラさんの気だるさを纏いながらも愛嬌や鋭さを備えた主人公の演技が滅茶苦茶ツボだったので星3つ
無音の花火
生きる生かされ生きる。
死を選べる死を選べない
朝が来て夜がくるのが当たり前に感じる日常
昼寝夜寝朝寝
携帯で繋がり会う約束を交わし肌を合わせ
時間を埋め泳ぐ。
子門真人のタイヤキ君は流れず浮かばず
時間を埋め時間を過ごす。
あがる花火の音は静かに消える。
撮影・流れる音に見入り聴き入り
安藤サクラさん井浦新さんをまたまた
好きになってしまう。
ふんわりふわふわ、添い寝屋的映画
ちょっと苦手系と分かってはいたものの、やはり何を言いたい映画なのか、私レベルの頭ではもう一つよく分からない部類の作品でしたね。
本業が写真家な監督さんだけに、映像の見せ方に関してはさすがだなと思わされた部分もあったりして、何だかんだで引き込まれてはしまいましたけど、ふんわりふわふわ、まるで詩の世界の中にいるようで、いまいち掴みどころがない映画だった気がしました。
原作ファンには、原作読んで世界観をしっかり掴んでから見てくださいと叱られそうですが。
まあとりあえず、私は井浦新、安藤サクラ、谷村美月と言った主要キャストに惹かれて見たので、そこに関してはそれぞれが持ち味を存分に出していた印象で、一定の満足感は得られたかなと。
特に井浦新は個人的には不倫をしても何故かあまり不快感を感じないようなイメージもあったので、まさに嵌り役!
そんないい人臭が、本当にズルイ。
勿論、植物状態な妻がいると言う岩永の状況は、物凄く同情に値しますけど、寺子をまるで自分を癒す道具にしているのは、何だかねぇ・・・。
でも、井浦新の雰囲気が絶妙すぎて、不快感までは感じさせないのがホント上手いんだなぁ。
そんな岩永と全て分かった上で関係を続ける寺子の深い闇を表現した安藤サクラも、また素晴らしかったです。
半分寝ているような状態なので、何を喋っているのかよく分からない部分もありましたけど、眠りが深すぎてまるで半死状態になっているのが見る者にも伝わってくる絶妙な演技は、とても印象深かったです。
これはある種の現実逃避的な睡眠なんでしょうかね?
そして夢か現実か分からなくなる的な。
と言うかこの映画、もしかして全部夢なのか?
寺子がこんな状態になるきっかけでもあった親友しおりの自殺、彼女の添い寝屋と言う職業もまた何とも特殊でしたが、そんなしおりにずっと添い寝されているような作品でもあったように感じられましたね。
岩永の妻も植物状態で寝たままだし、皆寝ることに関連しているのが、何だかややこしい。
しかしいろいろと意味ありげな雰囲気は醸し出すも、ラストもそうですが私には明確にはよく分からなかったりで、結局雰囲気だけ楽しめたって感じの映画でしたかね。
逆にいろいろと自分で解釈しながら映画を見たい人にはオススメかも。
あのねー
独身女と既婚者の男性ってパターンが一番よくないと思う。
恋は恋は弱い女をどーして泣かせるのー
って歌にあるじゃない!
そぉ本当に思いますよ。
よく分からない結末だけど、そこが吉本バナナさん原作の良いところなのかもしれません。
息苦しい恋の行方
植物状態の妻を抱え、不倫相手の寺子を囲う岩永の身勝手な恋に寺子の心はしだいに蝕まれていく。
寺子の親友が自殺した。
彼女の仕事は一風変わった添い寝屋。
添い寝をしていると相手の心の闇を吸い込んでしまうと彼女は言った。
寺子は岩永の妻の事を知るうちに岩永の心の闇を吸い込んでしまう。
罪悪感と不安が寺子を襲う。
深い眠りに落ちてゆく日々の中で生死を彷徨うごとく夢を見る。
公園でバイトをするようにと言ってくれた女の人は誰?…寺子は知っていた。死の淵から救ってくれた彼女は岩永の妻。
仕事をしお金を稼ぐ。当たり前の事が嬉しいと感じれるようになった寺子はこの先どう生きていくのでしょうか。
岩永も植物状態の妻の今後や生活についてどう答えを出したのか?
2人にそれぞれの未来が…
ラストの花火は希望でしょうか?意味深です。
原作を損なわない空気感
おそらく、先に原作を読んでからの方がいいのではないかと思います。そして理屈が欲しくて、雰囲気を感じ取れない方にはおすすめしません。原作がとても好きだったので、見る前は期待と、もしがっかりしたらという不安が半々。ところが主人公2人がとてもいい。失礼ながら井浦新がこんなにいい役者さんだとは知らなかった。安藤サクラも愛のむきだしの印象が強すぎて、え、あの人がこの役?と・・・杞憂でした。何気ない手の動きや視線で、本当に恋をしている2人のように錯覚させられてしまう。ベッドシーンしかり、ただ二人で夜歩くシーンしかり。ところで印象のところに、なぜ「美しい」がないのかな?あればそれが一番しっくりくる印象です。
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